2023年10月30日月曜日

東京都交響楽団 第985回 定期演奏会Aシリーズ

2023-10-30 @東京文化会館



オスモ・ヴァンスカ:指揮
東京都交響楽団

シベリウス:交響曲第5番変ホ長調 op.82
シベリウス:交響曲第6番ニ短調 op.104
シベリウス:交響曲第7番ハ長調 op.105




シベリウスの交響曲3本立て。
全7曲中<別格の2番と反対の意味で別格の3番>以外の作品はいずれも少なくとも結構な回数を聴いている。3本も演るなら聴く機会のレアな3番を入れて欲しかったよ。

まず、5番は感心できなかった。冒頭の木管の受け渡し、金管が入ってからも同様で、短いフレーズを繋いで主旋律を浮かび上がらせる手法らしいが、流れが感じられなかった。
それに最後の6連打?真面目にやればやるほどおかしくて聴く度に笑ってしまうよ。
そんな次第で、5番には感情移入できず。

だが、6番は清澄な教会音楽みたいな(全編教会旋法で!)美しさに惹き込まれる。5番は2回も改訂したというが、きっと、それでもシベリウスは満足してなかったのではないか、と6番を聴いて思ったよ。
7番も神秘的で、素人耳にも作品完成度がずいぶん上がっているように思う。

演奏も6番、7番と進むにつれアンサンブルが良くなった。エンジンが暖まったのか、指揮者とオケの気脈が通じてきたのか。

♪2023-188/♪東京文化会館-11

2023年10月29日日曜日

横浜交響楽団 第727回定期演奏会 【ミサ曲の午後】

2023-10-29 @県立音楽堂



泉翔士:指揮
横浜交響楽団
横響合唱団

神戸佑実子:ソプラノ
内海祐花:メゾ・ソプラノ
鷹野景輔:テノール
的場正剛:バリトン

モーツァルト:交響曲第1番変ホ長調 K.16
モーツァルト:ミサ曲第9番ハ長調 K.257「クレド・ミサ」
ハイドン:聖ニコライ・ミサ曲 Hob.XXII:6


珍しい作品ばかり3曲。
モーツァルトの交響曲第1番だけは極めて稀だけど生でも聴いているし、全集を買った時にまず1番を聴かないということはない。で、何度か聴いて第1楽章など、実際耳覚えのある曲だ。
先日、最晩年(逝去8月前)の弦楽五重奏曲第6番を聴いたが、逆にこの曲わずか8歳の作品だそうな。そして驚く事に、この曲の第2楽章には最後の交響曲第41番第1楽章のジュピター音形が既に現れている、この不思議な暗合!

次のモーツァルトとハイドンのミサ曲は両方とも珍しい。
そもそも演奏される機会が極めて稀なのだそうだ。
ハイドンの方はCDを持っていて、なんかの折に一度くらいは回したことがある。
両方とも4声部の独唱に合唱団(今回は76名)が入る。

2曲とも古典的な、というか、当時の標準スタイルで作曲されており、キリエ、クレド、〜アニュス・デイと並びも歌詞も同様だ。
もし、途中でハイドンの中にモーツァルトの曲が(逆も然り)紛れ込んでいても分からないだろうな。
作曲年代はハイドンの方が4年ほど早く(1772年=当時40歳)、モーツァルトの方は作曲当時20歳だ。
ハイドンの方が歌心があり心地よく、モーツァルトは劇的だ。

いずれにせよ、古典音楽の原型のようなすっきりした音楽を聴かせてもらった。ノーストレス万歳!

♪2023-187/♪県立音楽堂-10

2023年10月28日土曜日

N響オーチャード定期 第125回 東横シリーズ 渋谷⇔横浜 <ブラームス・チクルス>

2023-10-28 @みなとみらいホール



尾高忠明(⇦ヘルベルト・ブロムシュテットの代理)
NHK交響楽団
レイフ・オヴェ・アンスネス:ピアノ*

ベートーべン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」* 
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 作品90
-------------------
ブラームス:幻想曲集作品116から第6曲 間奏曲ホ長調*







N響オーチャード定期の今季第1回目。この定期はオーチャードとみなとみらいとを行ったり来たりで実施される。
奇数回(今回)はみなとみらいホールだ。

ところで、今回は元々ブロム翁が指揮をする予定だった。その為だろう、N響Bと全く同じキャストで同じプログラムだ。結果的にホールの響、ピアノの音比べということになるが、経験則上勝敗はやる前から分かっている。

まず、「皇帝」冒頭のオケtuttiのなんて美しいこと。
しばらくして尺取り虫のように上っては下がる独奏ピアノの音の美しいこと。これだよ。スタインウェイというより、そもそもピアノとはこういう音でなくちゃいかん。

アンスネスの突上棒は今日も健在だったが、あれはサントリーのように響の悪いホールやNHKホールのように3600席もあるところでは必要かもしれないが、みなとみらいホールでは全く必要がなかった。それどころか、ピアノの音は弱音でもオケに埋もれることがなく明瞭に聴こえるので、第2楽章など、もう少し力を抜いて、触れるか触れないかのような美しい弱音を聴きたかった。

テンポは指揮者とピアニストのどちらのリードか分からないが、サントリーでも同じくやや早目で、標準的なものより5分近く早かったように思う。ただ、それがつまらない訳ではない。あまり「皇帝」らしくないなと思ったけど。

とにかく、明瞭で、抜けるようなピアノの音で、オケに埋没しない音で、これこそピアノ・コンチェルト!の醍醐味を味わった。

ブラームスの出来もB-1に比べて格段に良かった。その後本番を1回、リハを2回以上繰り返しているはずだもの。
弦に透明感が戻った。

しかし、演奏面で全面的に良かったかというと、終楽章は弦の高域でやや濁りは残った。一方、管楽器の最後のフェルマータは、今回はたっぷり息を溜めて吹いたか、全く濁らなかった。

B-1と同様、2-3楽章、3-4楽章はほとんどアタッカの如く短い休止だった。2-3楽章のアタッカ擬はありだなと思ったが、3-4楽章はやはり一呼吸あった方が良かったのではないか。2回聴いて2度とも思ったよ。

最後の最後。後ろの方から、フライイングとまでは言えないけど、もう少し待てよ!と言いたい拍手が起こった。ブラームス3番は静かに終わるので拍手のタイミングは難しいが、指揮者やオケと一緒に呼吸をしておれば分かるはず。
なんで、あんなに急ぐのだろう?

♪2023-186/♪みなとみらいホール-39

2023年10月27日金曜日

横浜バロック室内合奏団定期演奏会107回 〜室内楽の喜び

2023-10-27 @みなとみらいホール



横浜バロック室内合奏団
 Vn:小笠原伸子、藤村陽子、梅原真希子
 Va:百武由紀、大本綾子
 Vc:間瀬利雄、中垣文子
 Cb:大西雄二
 Pf:堀由紀子

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調 K.458「狩」
シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調 D.667「鱒」
モーツァルト:弦楽五重奏曲第6番変ホ長調 K.614



毎年、10月はバロックを少し離れて古典派〜ロマン派の室内楽。モーツァルトは弦楽四重奏「狩」と最晩年の弦楽五重奏第6番。シューベルトは「鱒」といずれも有名曲だけど、これが案外生で聴く機会が少ない。

特に、モーツァルトの五重奏6番は生では初聴き。
死の8月前の作品で、この後に作曲された器楽曲はクラリネット協奏曲のみだそうだ。なのに、この明るさがかえって哀しみを誘うよ。

今日もみなとみらい小ホールは実に良い響で、こんなに美しいアンサンブルを聴かせられると、来季も継続決まりだな。

ところで、弦楽器のうち、ビオラは見かけはスチール弦だけどその柔らかな響きはガット弦ではないか?と休憩中に奏者に聞いてみた。やはりガットだという。
問い:それにしては外見がメタルぽいけど?
答え:本当のガットは扱いにくいので、表面を糸状の金属を巻き付けたもの(巻線)が一般的なんです。
問い:えっ!じゃあ、他の楽器もガットだったの?
答え:バイオリンはガットでした。

ということで、僕はカルチャーショックを受けたよ。

終演後チェリストにも聞いた。
「はい。ガットです。今日のはお高いのを使ったんですよ」。
「な〜る。どうりで雅な音がしてましたよ。」
「ま、そうですか。ホホホ」。

♪2023-185/♪みなとみらいホール-38

2023年10月25日水曜日

第1994回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-10-25 @サントリーホール



尾高忠明(⇦ヘルベルト・ブロムシュテットの代理)
NHK交響楽団
レイフ・オヴェ・アンスネス*

ベートーべン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」* 
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 作品90
-------------------
ブラームス:幻想曲集作品116から第6曲 間奏曲ホ長調*



N響B-1の感想。1日違えば演奏もホールの響も違うから、今日26日は良かったのかもしれない。
1W前の19日(東フィル)は「今日のサントリーホールは1年に一度あるか!というレベルで良く響いたので驚いた」とツィートした。

でも昨日は1年に一度あるか!という最悪レベル。
ホールの響は重く、硬く、鈍く。
ピアノは、いつもよりさらにひどく石を叩いているよう。

N響の演奏にも満足できない。弦はキンキン不快音が混ざる。ブラームスは(あれを16型でやるかなあ…という不審感も手伝って)、ちっともブラームスらしくない。
1、4楽章は攻撃的なアタックの連続。
3楽章は、あのウルウルさせるような情緒的なメロディはどこへいった?
最終楽章の管楽器最終音のフェルマータは濁っていたよ。

これがブロム翁でなくて良かったよ。

土曜日に同じプログラムをみなとみらいホールで聴くので、多分、ピアノは輝いて聴こえるだろうが、オケはどうかな。しっかり調整して臨んでほしいよ。

終演後、客席を出る行列の前にいた老男女1組の会話。スタインウェイがどうとか聞こえたので、耳をそばだてたら、「今日のピアノの音がスタインウェイの明るさがなくて残念。場所が悪かったのかしら…」。
おお!同じ耳を持った人がいて嬉しよ。
が、お客さん、席のせいじゃないんですよ。
コンチェルト用の最高席に陣取っていてもおもちゃのピアノだもの。
僕の推測では、床の材料と床下の構造に問題があるのではないかと思っているが、専門家は気にならないらしい。
因みに加齢現象でもない。なぜなら、他のホールではスタインウェイは明るく輝いて美しいから。


この日のPfの屋根を支えた突上棒はアンスネスが持参したものだろう。前に聴いたのはやはりN響と共演した2016年で、その時はNHKホールだったが、突上棒の長さまでは気が付かなかった。

念のために過去の映像記録を見直したら、少なくとも3回の来日公演で、同じ手作り風の棒かスタインウェイ特注?を使っていた。

屋根を高く上げることで遠くまで音を飛ばそうというのだろうけど、果たして効果はあるのだろうか?

♪2023-184/♪サントリーホール-21

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-25 @国立劇場



蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか

近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場





先週観たばかりだけど、どうも、面白みが分からず、このまま、初代国立劇場での歌舞伎鑑賞を終えるのもすっきりしないので、ちょうど夜にN響Bが入っているので、この日のチケットを買った。

今月の歌舞伎公演はこれで初代国立劇場の見納めということもあって、いつになくお客さんが大勢で、良席は全然残っていなかった。

今月の公演は9月「妹背山婦女庭訓」第1部の続き(第2部)だが、その前半と部分と今月の後半部分は、どうも木に竹を継いだような展開で、釈然としない。

文楽でも通しで観ているけど、文楽版の方が、見どころが多かったように思う。

かくして、2ヶ月にわたる大作を気合を入れて観た割には消化不良で終わったのが誠に残念。

明日で、初代国立劇場は事実上閉館になって、再開場は2029年だ。もちろんその間も、あちこちの劇場を借りて歌舞伎公演は継続されるが、舞台機構(歌舞伎専用劇場ではないから花道、回り舞台、すっぽん、セリもない)の制約から演目も限られてくるね。

♪2023-183/♪国立劇場-13

2023年10月24日火曜日

MUZAランチタイムコンサート 10月 オルガン de 世界の旅

2023-10-24 @ミューザ川崎シンフォニーホール



パイプオルガン:三浦はつみ
トランペット:阿部ちさと

♪イギリスから
 J.クラーク(c. 1673-1707):デンマーク王子の行進*
♪イタリアから
 A.コレッリ(1653-1713):ソナタ 第8番*
♪スイスから
 「トッケンブルクの家庭用オルガン舞曲集」から
  ポルカ ハ長調 2分30秒
 G.ボヴェ(b.1942):トッカータ
♪フランスから
 J.ブレ(b.1974):天使たちのワルツ
♪アメリカから
 L.バーンスタイン(1918-1990):
 ウエスト・サイド・ストーリー」から*
 マリア/アイ・フィール・プリティ/トゥナイト
♪ドイツから
 J.S.バッハ(1685-1750):フーガ変ホ長調 BWV552/2



パイプオルガンとトランペットという組合わせ。異種格闘技みたいだなと思ってたけど、これが案外違和感がなかった。
まあ、演奏される音楽が最後の1曲を除けば軽い調子のものばかりだったからかも。

トランペットも、ピッコロ、B♭管、C管を曲に合わせて吹き分けた。

J.クラーク「デンマーク王子の行進」なんて聞いたことないな、と思っていたが、始まってみるとトランペットの有名曲としてすごく馴染んでいる音楽だったよ。
コレッリのソナタ8番というのもVnと通奏低音のためのソナタのトランペット版でこれもよく聴いている音楽だった。

すべて肩の凝らない耳に優しい音楽ばかりで、昼時に小一時間の良いくつろぎの時間だった。

♪2023-182/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-26

2023年10月21日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第391回横浜定期演奏会

2023-10-21 @みなとみらいホール



カーチュン・ウォン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
亀井聖矢:ピアノ

ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
-----------------
ショパン:マズルカ作品59-3*





やっぱり、音楽聴くには、健康が第一。心配事も悩み事もない状態で聴きたいね、とツクヅク思ったコンサートだった。

前回、亀井聖矢を聴いた際(今年の6月・東フィル@サントリー)は、中年女性の集団がかぶり付いていて異様な雰囲気だったが、もうほとぼりが覚めたのか、今日も完売だったものの(P席はだいぶ空いてたけど。)、熱狂的なものはなく、むしろカーチュン・ウォンの人気がジワジワと高まってきているようで同慶也。

カーチュン・ウォンにハズレなし、とよく書いてきたけど、今日に限れば期待のブラームス1番。ハズレではないけど当たりというほど共感を覚えるものではなかった。

ショパンも同様だが、音楽の前に、オケの音が軽い感じがしたよ。演奏する側はいつものように構えたんだろうけど。
自分の体調不良が、受け止めた音を脳内でうまく副調できなかったのだろう。

ただ、ブルックナーの翌日にブラームスを聴くと心底ほっとするよ。

♪2023-181/♪みなとみらいホール-37

2023年10月20日金曜日

東京都交響楽団 第984回 定期演奏会Bシリーズ

2023-10-20 @サントリーホール



小泉和裕:指揮
東京都交響楽団

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調 WAB102(ノヴァーク:1877年稿)








僕にとって目玉のブルックナーは、滅多に1回券を買ってまで聴きに行く作曲家ではないので、ほとんどが定期演奏会のお仕着せで聴く音楽だ。

好んで聴かないせいか、僕の耳にはブルックナーの作品は交響曲の何番であれ、同じように聴こえてしまう。その代わり、知らずに聴き始めたとしても、ブルックナーの作品だとは分かると思う。

終始、厚ぼったく鳴り続けて、繰り返しが多く、無駄に長い。
これで面白いのかなあ、といつも思いながら聴いている。

管弦楽のアンサンブルの妙があれば、それはそれで楽しむこともできるが、今日の都響の出来は前日の東フィルに及ばず。先月の読響にははるかに及ばず。ま、平凡な出来。

♪2023-180/♪サントリーホール-20

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#18

2023-10-20 @すみだトリフォニーホール



鈴木秀美:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」op.26 
シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D.759「未完成」
ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」





鈴木秀美といえば、14年に神奈川フィルを指揮したベートーベン「運命」が、J・ノセダのN響「運命」と同じくらいインパクトを与えてくれた。

その後も彼の指揮を何度も聴いているが、圧倒的にベートーベンが多く、今回も、たぶん研究が行き届いた成果の発表なのだろう。

それにしては、あの疾走する「運命」とはだいぶ雰囲気の異なる穏やかな「田園」だった。もちろんそもそもの音楽の違いからから「田園」が疾走してどうするか、ということだけど、何か、ここが秀美印、と言ったものを感じたかった。

それは発揮されていたけど、僕が聴き落としたのかも知れない。

2023-179/♪すみだトリフォニーホール-07

2023年10月19日木曜日

東京フィル第990回サントリー定期シリーズ

2023-10-19 @サントリーホール



クロエ・デュフレーヌ
2021年ブザンソン国際指揮者コンクール聴衆賞、オーケストラ賞)
東京フィルハーモニー交響楽団
中野りな:バイオリン*
(2022年仙台国際音楽コンクール優勝)


リリ・ブーランジェ:春の朝に
(リリ・ブーランジェ生誕130年)
サン=サーンス:バイオリン協奏曲第3番*
ベルリオーズ:幻想交響曲
----------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第2番からアレグロ



指揮者もソリストも女性、で共に初聴き。プログラムはすべてフランス音楽。

リリ・ブーランジェは他の作品は聴いたことがあったが、今日のはお初。この冒頭のアンサンブルが極上でなんて素晴らしい…と思ったが、その後、木管の高域が弦の高域と干渉して濁り始めたものの、全体として丁寧な演奏だった。
次の中野りなのVnが明瞭だ。
Encのバッハもくっきりスッキリ。

とにかく、今日のサントリーホールが1年に一度あるか!というレベルで良く響いたので驚いた。
いつも僕が悪口を言っているのが聞こえたのか。

中野りなについては3月にフィリアのリサイタルのチケットを買ってあるがますます楽しみに。

ベルリオーズ「幻想〜」はなぜか今年は当たり年で、この1年で5回目。来月も読響で聴くので6回目か。もうちょっと辟易の感あり。
でも、これも良い出来だった。
大きな鐘を使ったらしいが、袖で叩くのではなく舞台で見せてくれたら良かったのに。
本来は見えないところで鳴らすよう指示があるらしいが、音楽はすべて想像の産物。舞台にあったからと言って、邪魔になならんよ。

♪2023-178/♪サントリーホール-19

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-19 @国立劇場


近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場


蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか





先月に続いて、通し狂言「妹背山婦女庭訓」の後半だ。
この公演が、初代(つまり、現在の)国立劇場の掉尾を飾る。この後、2029年の第二代国立劇場の完成まではあちこちの劇場を渡り歩くことになる。寂しいことだ。それに6年後なんて、足腰は大丈夫だろうかと心配。

「妹背山婦女庭訓」は文楽では19年に、こちらも2公演にわたる通し狂言として観ている。
歌舞伎公演の先月の前半は、見処たっぷりなので先に観た文楽の内容も結構覚えており楽しめたが、今回の後半は、文楽でもややこしい話で、4年以上経過していることもありなかなか思い出せなかった。

しかし、役者陣は歌六、芝翫、時蔵、菊之助を中心に、病気による菊五郎の休演をはね飛ばさんと気合の入った様子。芝翫はますます貫禄が付いた。彦三郎は相変わらずよく通る声。梅枝が珍しく立役。菊五郎の代役も務めた時蔵は最後は藤原鎌足役で髭を生やしていたのも初めて観たよ。
米吉は今も可愛らしい娘役が似合うが、6年後はどうなっているだろう。菊之助も美しい娘役(二役)だったが、少し太っていたな。

初代国立で最後に観る舞台としては消化不良だったのが残念だった。時間を作って再度挑戦するべ。

♪2023-177/♪国立劇場-12

2023年10月18日水曜日

横浜アンサンブルワンダーランド 日本フィル with 佐藤晴真

2023-10-18 @みなとみらいホール



佐藤晴真:チェロ*
日本フィル・メンバー
 杉原由希子:オーボエ**
 伊藤太郎:バイオリン/ビオラ
 未廣紗弓:バイオリン
 小中澤基道:ビオラ

●第一部 コンサート
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007からプレリュード、サラバンド、メヌエット1&2、ジーグ*
ハイドン:弦楽四重奏曲「皇帝」ハ長調 op.76-3から第2楽章
バーバー:弦楽四重奏曲変口長調 op.11から第2楽章
ブリテン:無伴奏チェロ組曲第1番 op.72からカントⅠ、フーガ、ラメント、カントII、ボルドーネ、モルト・ペルペトゥオ~カント
フィンジ:オーボエと弦楽四重奏のための間奏曲 op.21**
モーツァルト:オーボエ五重奏曲 K.406から第2楽章、第4楽章**
--------------------------
●第二部トークイベント


日フィルが横浜定期を初めて50周年になったのを記念して?日フィルメンバー中心に室内楽をやろうという企画らしいが、この先の計画は示されていない。

今日はその第1回目。
プログラムは佐藤晴真の無伴奏を核に弦楽四重奏とこれにObを加えた五重奏。といっても全曲通したのはフィンジの「ObとSQのための間奏曲」だけ。その他は1楽章だけだったり、ちょっと省略されていたりと、まるでサンプルCDみたい。

ドイツ(語圏)音楽と英国音楽から少し時代を異にするものを選んだそうだが、演奏順番は国別でも時代順でもないし、全曲でもないので、そういう観点からは聴けなかった。

意外に思ったのは、佐藤のチェロの音の硬いこと。
ちょうど10日前に同じ場所で小泉ユミのチェロを聴いたが、実に美しかった。低域の豊かな音はビ〜ンと鳴っていた。
しかし、今日の佐藤の音は、太くて硬く容易に伸長できない弦をグイッと締め上げているような印象で、高域から低域までよく鳴るのだけど、低域の音はグィ〜ンと鳴っている。これはオケで弾くソリストの音なのかも知れない。技量の差というより、明らかに楽器が違う。特に弦が違うと感じた。

前半60分の演奏が終わって、後半30分はMCも入っておしゃべりの時間で、あまり驚くような話は聞けなかったが、今日の紅二点、Ob首席の杉原嬢、第2Vnの末廣嬢いずれもなかなかの美形で、日フィルにこんな人がいたのかとちょいと驚いた。

♪2023-176/♪みなとみらいホール-36