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2025年4月12日土曜日

NHK交響楽団2034回A定期 04月公演

2025-04-12 @NHKホール



パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
アントワーヌ・タメスティ:ビオラ*

ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」*
プロコフィエフ:交響曲第4番ハ長調 作品112
(改訂版/1947年)
----------------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007(ビオラ版)から「前奏曲」*





期待のPヤルヴィ。常任指揮者時代はたいてい響きも音楽の構成感も引き締まった演奏に好感していた。

今日も、一部にそういう雰囲気を彷彿とさせたが、全体としては、弦が美しくなかった。これがN響?と合点の行かない響きだったが、何が問題だったか?

2曲とも演奏機会が極めて稀で、おそらく、両方とも生では過去1回しか聴いていない。

「イタリアの〜」では、驚くことに指揮者の下手に用意してある独奏者用スペースに独奏者がいない状態で演奏が始まった。え〜?どこにいるんだ?と思ったら下手のハープの右に立って弾き始めた。以下、舞台中央(本来の独奏場所)、上手コンバスの内側、下手ハープの左と変幻自在だ。
独奏者ご本人のアイデアだそうだ(各楽器との掛け合いもあったかららしい。)。

また、終楽章に弦楽四重奏が入ることは覚えていた。
前回神奈川フィルで聴いた際は、Vn2人とVcが舞台から消え、舞台上の独奏Vaと弦楽四重奏を演奏した。

しかし今回はそういうバンダ的な演奏ではなく、各楽器のうんと後ろのプルトの奏者が独奏ビオラと舞台上で四重奏を弾いたので、あれ、どこでやってるの?とうろうろしながら結局カーテンコールで気が付いた次第。

まあ、管弦楽作品としてはコリに凝った作品だけど、あいにく、面白くない。


プロコ4番。これも随分久し振りで、かつ、始まっても覚えのある旋律も出てこなくて、記憶は完全消失していた。
そして、序奏?がニョロニョロと頼りなく、もうここで、集中する気力を失った。

ま、2曲とも楽しめなかった最大の原因はN響の、特に弦の響に艶がなかったことだと思う。

タスメティのEncでバッハの無伴奏Vc組曲1番前奏曲を弾いたがこれはとても良かったな。

♪2025-047/♪NHKホール-03

2023年4月26日水曜日

第1982回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-04-26 @サントリーホール



パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
マリー・アンジュ・グッチ:ピアノ*

シベリウス:交響曲第4番イ短調 作品63
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43*
チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32





ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」は今年4回目。ま、ラフマニノフ生誕150年だから。

他の2曲は初ものか…と思って聴いていたけど、違ったね。
シベリウス:交響曲第4番はシティ・フィルで、「フランチェスカ・ダ・リミニ」は都響で聴いていたけど、忘れていた。

この準初モノの2曲は、いずれも冒頭の低弦の力強く美しい響きに惹き込まれた。

特に、チェロ客演首席は元神奈川フィル首席の山脇氏で、12月のB定期以来2度目(あるいは僕が聴いていないC定期にも客演したのかもしれないが。)。
彼が美音でN響チェロ・グループを率いているのを聴くのは地元民として嬉しい。

「パガ狂」を弾いたグッチ女史は初聴き。珍しくプログラムに生年が書いてあって、97年生まれというから26歳くらい。
写真では田舎の娘さんという感じだったが、実物は、やはり野暮ったいけど可愛らしい。
何度もカーテンコールに呼ばれたのにアンコールはなかった。
演奏の方は問題なしだけどさほど感銘もなかった。
今年聴いた4回の中では上原彩子がベスト!

余談:ロダン「接吻」の原題は「フランチェスカ・ダ・リミニ」だそうな。吃驚!

♪2023-071/♪サントリーホール-10

2023年4月15日土曜日

NHK交響楽団1980回A定期 04月公演

2023-04-15 @NHKホール




パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

R.シュトラウス:「ヨセフの伝説」から交響的断章
R.シュトラウス:アルプス交響曲 作品64



これを記しているのは、1月以上経過した5月25日だ。
原則、その日のうちに簡単でも感想を記すことにしているが、忘れた。
この頃は6日連続7ステージの最終局面だったが、他のステージの感想も遅れ遅れで書いているうちに、このコンサートの分を失念していたよ。

朧げな記憶に、アルプス交響曲がなかなかの出来だったが、半年前にみなとみらいで聴いた神奈川フィルの方が良い出来だったという記憶がある。

たくさん聴いていると、勿体無いことをしたなあ、と思うコンサートも出てくる。

まあ、こんなこともあるのだ。

♪2023-064/♪NHKホール-03

2021年9月10日金曜日

第1936回 NHK交響楽団 定期公演 池袋C-1

2021-09-10 @東京芸術劇場大ホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

バルトーク:組曲「中国の不思議な役人」
バルトーク:管弦楽のための協奏曲


開演を待つ客席の雰囲気が既に高揚していた。

N響『定期』今季劈頭の回であり、久しぶりのPヤルヴィの登場である。

加えて、コロナ禍が産んだ珍現象?客席全員が”定期会員”のみというのも普段にない心地よい緊張感を漂わせた要因ではないか。


プログラムはバルトーク2本。

「管弦楽のための協奏曲」はしばしば聴くが、「中国の不思議な役人」は生では初聴きだったかもしれない。


いずれも親しみやすい音楽ではないけど、気合十分の優れた演奏家集団の手にかかるとこれが実に面白く聴くことができるのだ。

昨日の某オケがぼんやりしていたので、余計にN響の個人技と合奏能力の高さを思い知った。


池袋C定期は毎回60~80分休憩なしのプログラムだ。

そんな短時間の演奏会の為に横浜から池袋までわざわざゆくかなあとも思っていたけど、今日のような鉄壁のアンサンブルを聴けるなら十分価値がある。


入国後の待機期間が不足したPヤルヴィはその筋のお達しにより格別の感染対策をとることになって、楽団員と極力距離を取らなくてはならない為、従来にない入退場方法が可笑しかった。


♪2021-093/♪東京芸術劇場大ホール-02

2020年2月15日土曜日

N響第1935回 定期公演 Aプログラム

2020-02-15 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
シュテファン・ドール:ホルン*

アブラハムセン:ホルン協奏曲(NHK交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、NTR土曜マチネ、シアトル交響楽団、オークランド・フィルハーモニー管弦楽団共同委嘱/日本初演)*
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

神奈川フィルの定期を途中退席して、みなとみらい線~東横線~副都心線(と書くと乗り換えが大変みたいだが、全て相互乗り入れなので乗換えなし。)で明治神宮前から急ぎ足でNHKホールに向かう。
ギリギリセーフだったが、日本初演のホルン協奏曲は予想どおり、途中から爆睡。

メインはブルックナーの交響曲第7番。

格別好きでもないし、期待してもいなかったが、出来はイマイチ。
ブル(ブルックナー)・マラ(マーラー)・タコ(ショスタコーヴィチ)というのは演奏が緻密でないと腐った鯛の如く楽しめない。

P.ヤルヴィの振るN響は、たいていいつもは彫琢が行き届いた精緻なアンサンブルに魅了され、無駄に長すぎるという印象を中々払拭できないでいるブルックナーでさえ、聴き応えのあるものになることが多いが、今日は感心できなかった。今日に限っては神フィルの方が上出来!

2020-024/♪NHKホール-03

2019年9月14日土曜日

N響第1918回 定期公演 Aプログラム

2019-09-14 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

ジョシュア・ベル:バイオリン*

オール ・ ポーランド ・ プログラム
 バツェヴィチ:弦楽オーケストラのための協奏曲
 ヴィニャフスキ:バイオリン協奏曲第2番*
 ルトスワフスキ:小組曲
 ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲

オールポーランド作品。
バツェヴィチは他の作品を、ルトスワフスキは今日の作品のほか交響曲なども聴いた経験あり。ヴィニャフスキは多分初めて。

1曲めはバイオリンに付けた弱音器のせいか、えらく乾いた弦楽合奏に聴こえた。え〜っこれN響の音?

2曲めは明確に好みでない。
他の3本(いずれも1950年前後の作)より百年ほど前の作品で、歌謡曲みたいで安っぽい。初聴きのジョシュア・ベルのバイオリンはなかなかの熱演で悪くはないが、音楽自体に惹き込まれない。

最後の2本はルトスワスキで、特に以前も聴いたことのある「管弦楽のための協奏曲」は、これも好みではないとはいえ、<管弦楽>を聴く面白さが詰まっていたように思う。
終盤は自分の体調もだいぶ戻って、N響の巧さ、P・ヤルヴィの統率力に感心した。

N響は今日から新シーズンだ。
ホール・エントランスの鉢巻部分が綺麗に塗装してあった。
演奏会の1日目はFM生中継とTV録画が行われる。
その為の客席内ビデオカメラの配置が変更されて、下手後方は静止画カメラ席になり、従来そこにあったカメラは客席最後列中央に移動していた。これで僕の後ろ髪が映されるかもしれないな。あまりふさふさしていないけど…。

♪2019-138/♪NHKホール-05

2019年6月8日土曜日

N響第1915回 定期公演 Aプログラム

2019-06-08 @NHKホール



パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

マティアス・ゲルネ:バリトン*

マーラー:こどもの不思議な角笛*
ニールセン:交響曲第2番ロ短調 作品16「4つの気質」

マティアス・ゲルネは海外招聘組としては聴く機会が多く、N響定期で過去2回。今日で3回目。他に、最近ではバイエルン国立歌劇場公演「タンホイザー」でも聴いている。

今回の不思議な口笛ではあまり張り上げるところもなく(そのような作品だから)穏やかに終始したので遠くの席まで届いたかしらと心配したが、オケも穏やかだったので余計な心配だったかもしれない。
ご本人は上出来だったようで、1曲歌う毎パーヴォと目を合わせて満足のご様子。

ニールセン(ニルセン)は年に1回聴く程度で、今回の交響曲は初聴き。「4つの気質」を描いているそうだが、全然気にせず、まるで映画音楽みたいな軽さと刺激を楽しんだ。

前回のN響(横須賀公演)の出来が悪かったので、同じオケとも思えない異次元の響に、これぞN響だと安心したよ。

斜め前に音楽評論家堀内修氏を発見!
♪2019-076/♪NHKホール-04

2019年2月9日土曜日

N響第1906回 定期公演 Aプログラム

2019-02-09 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
アリョーナ・バーエワ:バイオリン*

R.シュトラウス:バイオリン協奏曲ニ短調 作品8
ハンス・ロット:交響曲第1番ホ長調*
-----アンコール-----
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナ第5番ト長調 作品27-5から第1楽章「曙光」*

神奈川フィルでハンス・ロットを聴いた同じ日に、N響で同じ曲を聴くと、N響の次元の違う巧さに感心する。

ハンス・ロットのゴテゴテした音の厚塗りも透明感を得て管弦楽の妙となる。同日さほど時を置かずに2回目を聴いたせいもあるが、全体の骨格も見通しが良くなった。

とはいえほぼ全曲にわたって全奏・強奏が鳴り響く音楽は、スペクタクル巨編の映画音楽かゲーム音楽のようで、訴え方がモロに原始脳を刺激するので品が無く、聴いてい大いに疲れる。

多くの人は、コンテンツではなくこの音楽が纏う悲劇性というコンテキストに気持ちを奪われた結果心を寄せるのではないか、と思っているが、かくいう僕もブラームスが「美しい部分もあるが、残りは平凡で無意味」と手厳しく看破したというエピソードに囚われているのかもしれない。

R.シュトラウスのバイオリン協奏曲はCDで多少馴染んでいるけど、ナマは初聴きだった。適度にロマンチック。適度な叙情性。これがなんと17歳の作品とはとても思えない。
ハンス・ロットの交響曲が22歳の作品だが、これに比べてもとても老成した感がある。栴檀は双葉より芳しか。

バイオリン独奏は、こちらも初聴きアリョーナ・バーエワ嬢。アンネ・ゾフィー・ムターの若い頃に感じがよく似ている。妖艶で見た目も楽しませる。ステージから袖に引っ込む時に深く割れたドレスの襞が開いて長い美脚がチラと見えたぞ。

♪2019-014/♪NHKホール-01

2018年12月8日土曜日

ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団演奏会

2018-12-08 @みなとみらいホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
シューベルト:交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」D.944
----アンコール------
シベリウス:悲しきワルツ

ドイツ・カンマーフィルは昨年も来日したような気がするが、なぜ聴きに行かなかったのか、が思い出せない。
一昨年は同じくみなとみらいホールで聴いた。シューマン、ベートーベン、ブラームスという独墺音楽の古典派〜ロマン派という絶好のプログラムだった。

今回もシューベルトの交響曲が2曲。それも5番、8番とはなんとも嬉しい組み合わせだ。

「カンマー・フィル」の名前のとおり、「室内管弦楽団」であるので、編成は小さく、シューベルトの5番では管弦合わせて35人、8番は管打が増えて44人だった。

この小ぶりなオーケストラが、実に軽快で各声部の絡みをくっきりと浮かび上がらせて精妙なアンサンブルを聴かせてくれる。

2曲ともテンポは早めで8番2楽章を除きほぼインテンポ。
その8番の4楽章終盤に溜めを効かす演奏も多いが、ここではサラッとしたものでむしろ小気味良い。

ほぼ1年前に同じホールのほぼ同じ席でブロムシュテットが指揮するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で同じ8番を聴いて、その精緻さに驚いたが、今日のカンマー・フィルもその時のゲヴァントを彷彿させる出来だった。

アンコールがシベリウスというのはちょいと違和感を感じたが、演奏そのものはここでも弦楽合奏が細く細く、弱く弱く、響いて、実に美しいアンサンブルだった。

♪2018-164/♪みなとみらいホール-39

2018年10月1日月曜日

NHK音楽祭2018:NHK交響楽団演奏会

2018-10-01 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
新国立劇場合唱団*
NHK東京児童合唱団*

オルガ・ペレチャッコ・マリオッティ:ソプラノ*
マックス・エマヌエル・ツェンチッチ:カウンターテナー*
ベンジャミン・アップル:バリトン*

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
オルフ:踊る牧神[日本初演]
オルフ:カルミナ・ブラーナ*

ドビュッシー(1862〜1918)の「牧神の午後への前奏曲」で始まり、オルフ(1895〜1982)の「踊る牧神」に引き継がれた。

第1曲と第2曲は「牧神」繋がりだ。オルフの「牧神」はなんと日本初演だった。フランスの近代作品とドイツの現代作品という文化の違いがあるけど、後者は前者の色彩を色濃く受け継いでいる感じだった。フルートの活躍、2台のピアノ、チェレスタなど、楽器編成もフランスぽい。

いよいよメインが、「オルフ」繋がりで、オルフの代表作にして大作「カルミナ・ブラーナ」(1936年完成)だ。

慎重に、そして気合を入れた前2段の準備の後に、この日のメインと言うより、個人的には今年、最も楽しみにしていた作品が厳かに?登場する。

バイエルンの修道院に残されていた中世の詩集から選択・編集したテキストを基に世俗カンタータの形で作曲された。

冒頭に配された「運命の女神フォルトゥナ」が中心的な主題になっているようだ。大合唱、小合唱、児童合唱、独唱などがいろいろ組み合わされて全部で25曲。最後は再び「運命の女神フォルトゥナ」が登場して壮大この上なく盛り上がって終曲する。

長大な中間の22曲は3部に分かれ、
第1部は「はじめての春」春の訪れの喜びだけではなく、男女の<春>も喜びも描かれる。
第2部は「酒場にて」。男と酒の世界だ。
第3部は「愛の宮廷」。かなり際どい男女の世界が歌われ、
それらがすべて冒頭の「運命の女神フォルトゥナ」に収斂してゆく。

聖の世界から生の世界、そして性の世界と、正に聖俗の混交だ。
宝箱のようなおもちゃ箱をひっくり返したように次から次と刺激的で官能的で、土俗的で、時に天上の音楽が繰り出され、聴いている側も息をつく間もないめくるめく感興に振り回される。


圧倒、圧巻、感動、最高〜なんて賛辞を軽々に使いたくないが、今日のこの演奏に使わずしてどこで使う?
パーヴォ・ヤルヴィの緩急自在な棒にオケも合唱もピタリと合わせて見事。聴きながら幸福に浸りオルフがこの作品を残してくれた事に感謝せずにおれなかった。

余談だが、ソプラノのオルガ・ペレチャッコは、昨年3月に新国立劇場で「ルチア」のタイトルロールを歌ったのを観に行った。今回は狂乱のルチアとは様変わりの役柄だったが、悩ましく蠱惑的な喉を聴かせてくれた。

♪2018-122/♪NHKホール-09

2018年9月15日土曜日

N響第1891回 定期公演 Aプログラム

2018-09-15 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

アンナ・ルチア・リヒター:ソプラノ*

ヨハン・シュトラウスII世:
 喜歌劇「こうもり」序曲
 ワルツ「南国のばら」作品388
 ポルカ「クラップフェンの森で」作品336
 皇帝円舞曲 作品437
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」作品212
マーラー:交響曲第4番ト長調*

J.シュトラウスのワルツ等5本にマーラー交響曲第4番というハテナな組合せだった。プログラムによる強いての説明は同時代のウィーンを代表する音楽の組合せとあるが、牽強付会というべきか。

前半はパーヴォ・ヤルヴィの彫琢が隅々に行き届いているのを感じさせる出来栄え。さすがはN響のアンサンブルはきれいだ。
尤も、結局のところどの曲もかっちりした音楽になっていてあまり軽やかではない。ウィーン風ってこんなんじゃないだろ、と腑に落ちぬまま聴いた。

マーラーは、出だし快調だが、第2、第3楽章がモタつく感があった。もともと、ぼんやりした音楽なのでそのように感じたのかもしれない。とにかく、第3楽章が長すぎる。全体で1時間ほどだが第3楽章だけで20分を超える。

第4楽章はソプラノ独唱が登場して、あたかも天上から降りてくるような美声で大いに気分を盛り返した。

さて、終曲後、ヤルヴィは腕を降ろさず固まったように微動だにせず、その時間、30秒どころではなかった。1分位も動かなかったろうか。もちろん、観客もじっと息をこらしているだけ。

あまりに長かったので、ようやく終わったことが観客にも分かった際には、普段のような大喝采は起こらなかった。

今日は、FM放送では中継放送しているはずだから、ディレクターからもっと時間を延ばせとサインが送られたのか…というのは冗談だが、とにかく、異常な長さだった。

ヤルヴィは今の演奏に納得できなかったが、なんとか納得しようと葛藤していたのだろうか。
それとも存外よく出来たので上気してしまい気持ちを鎮めるのに長い時間が必要だったのか。
いずれ、クラシック音楽館で放送されるときにはヤルヴィの表情が分かるはず。それが楽しみだな。


♪2018-112/♪NHKホール-08

2018年5月13日日曜日

N響第1885回 定期公演 Aプログラム

2018-05-13 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

クリスティアン・テツラフ:バイオリン*

ベートーベン:バイオリン協奏曲 ニ長調 作品61*
シベリウス:交響詩「4つの伝説」作品22
 「レンミンケイネンと乙女たち」
 「トゥオネラの白鳥」
 「トゥオネラのレンミンケイネン」
 「レンミンケイネンの帰郷」
-------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのソナタ第2番イ短調 BWV1003からアンダンテ*

N響A定期は、本来は土曜日(初日)の会員なのだけど、コンサートがダブって、日曜日に振り替えてもらった。なので、席は選べないし、振替先にはたいてい良い席は残っていない。
センターゾーンだけどその中でも下手寄りで、おまけに実質6列目だった。
普段の席は、センターの中のセンターで非常に良い席だ。
今回は、一体どんな響がするのだろうか、不安だったが、第1バイオリンの原音のシャリシャリ感が少し強めだったけど、これはこれで一つの味わい。終わってみれば不満はなかった。
むしろ、これは席の問題ではないが、P.ヤルヴィの指揮が隅々に行き届き、繊細&重厚なアンサンブルが素晴らしかった。

ベートーベンのVn協は先日の石田泰尚+神奈川フィルが上出来だったが、今日のテツラフの独奏は広いDレンジと起伏に飛んだ表現力。それにバックのN響も呼応してこれぞベートーベンといった風格のある演奏で、やはり、格違いを感じさせた。
カデンツァもベートーベンがこの曲を自らピアノ協奏曲に編曲した際に作曲したティンパニー伴奏付きのもので、以前、ティンパニーの入ったカデンツァを聴いたことがあるが、それと同じだったかどうか分からない。ピアノ用に書かれたものをバイオリン用に編曲したのはテツラフ本人だというから、多分、今回が初聴きのカデンツァだったのだろう。とてもスリリングで良かった。

シベリウスの「4つの伝説」中の「トゥオネラの白鳥」は非常に有名なので、これだけ単独で聴くことは多いが全曲は初めて聴いた。50分を超える大曲で、管弦楽アンサンブルの響はとても良いのだけど、ちょっと退屈してしまったな。

♪2018-052/♪NHKホール-05

2018年2月10日土曜日

N響第1879回 定期公演 Aプログラム

2018-02-10 @みなとみらいホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

パーヴォ指揮マーラーの7番。コンサートでマーラーの交響曲が演奏される事は多いが7番は少ないという事もあって中々馴染めない。
ちなみに、過去にコンサートで聴いたマーラーの交響曲の番号別回数は、2013年以前はきちんとした記録を残していなかったのでやや不正確だが、おおむね
1番⇒10回
2番⇒  4回
3番⇒  2回
4番⇒  2回
5番⇒  3回
6番⇒  4回
7番⇒  1回
8番⇒  2回
9番⇒  2回
ということで、全30回のうち1/3は1番だ。
2番、6番がその次で5番が3位。
やはり、7番は回数が少ない。今日で、2回めということになるが、13年以前にも聴いていないと思う。

80分の長尺で全篇鳴りっぱなし。なので、退屈することもないし眠ることもできない。さりとて面白いかと言えば、冗長に過ぎる気がしてならぬ。構成感に乏しく、聴く側として気持ちの持ち方が難しい。

N響の演奏は、たいていパーヴォの指揮のときはリハーサルが念入りなのか、メリハリの付いた音楽の輪郭が明らかなで聴きやすいとは言える。でも、感動するにはだいぶ遠いな。聴き馴染んだら面白いと思うようになるだろうか。

ところで、チェロの首席が日フィル辻本氏にソックリ!まさかと思ったが、どうもそのようだ。エキストラというのではなくて、この場合は客演ということなのだろうな。
N響にかぎらず、時々、他のオケメンバーが混じっていることがある。以前、N響に神奈川フィルのメンバーが加わっていて驚いたことがある。ま、いい音楽を聴かせてくれたらこだわる必要もないけど。

♪2018-016/♪NHKホール-02

2017年9月16日土曜日

N響第1864回 定期公演 Aプログラム

2017-09-16 @NHKホール



パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調 作品60「レニングラード」

生演奏は3年前にウルバンスキ+東響で聴いたのが初めてで、これが2回め。オケの定期は7コースも聴いていてもめったに演奏されない曲だ。声楽は入らないのに演奏時間が70分を超えるのが原因だろうか?でも、ブルックナーやマーラーの交響曲でももっと長い作品はいくつもあるが、それらを3年に1度しか聴けないということはまず無い。あまり人気がないのだろうか。

東響で聴いたときの編成は覚えていないけど、今日のN響はコントラバスが10本も並んだ。まるで学生オケの複数校合同演奏会みたいだ。金管も11本が並ぶ通常の配置のほかに打楽器群より後ろ、つまり最後方に金管10本の別働隊も加わって、豪気なものだ。

聴く機会が少ない割には第1楽章の、単純な旋律が耳に馴染んでいる。多分、これが「戦争の主題」と言われているモノだろう。音楽全体のテーマに比べるとひょうきんな行進曲として始まる。これがソ連軍の行進か、ドイツ軍の行進を表現しているかは説が分かれているようだ。最初はスネアドラムの刻む一定のリズムに木管が最弱音で始まった主題は何度も何度も執拗に繰り返され、だんだん重苦しくなってゆく。ラヴェルのボレロのようだ。これだけ繰り返されると耳にも馴染んできて他の場所の音楽は全然覚えていなくともこの主題だけは3年に1度でも、嗚呼、これこれ、覚えているよという感じだ。

まあ、CDではとても最後まで聴く気にはなれないけど、ナマの迫力と緊張感で退屈とは無縁。手に汗握るような70分余だった。

2017-151/♪NHKホール-07

2017年6月25日日曜日

N響第1862回 定期公演 Aプログラム

2017-06-25 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
河村尚子:ピアノ*
NHK交響楽団

デュティユー:メタボール(1964)
サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22*
ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」組曲 第2番
---------------
アンコール
クープラン:バッハの名による即興曲*

P・ヤルヴィ指揮で仏音楽集。デュティユーはつまらないから気持ちはパス。4曲演るのだから1つくらい気合を入れなくとも良かろう。
楽しみはサン=サーンスのピアノ協奏曲2番だ。これは生では初聴き。だからというより河村尚子がお目立てだ。

1月に音楽堂でクレメンス・ハーゲンとのデュオをほぼかぶりつきで聴いた時、ピアノの腕前は当然として、豊かな表情が実にキュートでその弾きっぷりがまさに音楽的、音楽そのものと感じた。彼女の演奏は初めてではなかったが、遠くからは気づかない。

ほかにも上手なピアニストはたくさんいるが、弾きっぷりを観ていて楽しくなるピアニストはこの人ぐらいか。
今日も定席からなので、舞台までは結構遠いが、幸い中央からやや下手の席なので、よく見える単眼鏡で表情や華麗な鍵盤上の乱舞を堪能した。

曲自体は通常の協奏曲とは異なって、ほぼ全曲ピアノが主導権を持つ。オケはピアノを補強したり、あるいは完全に伴奏に回って、両者の丁々発止のやり取りはない。
全体的に軽ろやかな印象だが、独奏部分は叙情的で時にメランコリックで親しみ易い。

後半はラヴェルの「優雅で感傷的なワルツ」と「ダフニスとクロエ」組曲第2番で(この組合せは何度か経験済)、オケの規模も大きく楽器も多彩で、これぞ管弦楽という世界だ。いずれも聴き慣れた作品だが、同じ仏ものと言っても前2曲とは随分違う。

「ダフクロ」は本来ヴォカリーズが付いていたが、ラヴェル自身がその部分を管弦楽に置き換えた版も編曲したそうで、今回はその版だった。と言うより過去に何度か聴いているがヴォカリーズ付きは経験がない。また、組曲第1番というのも多分未経験だ。

N響の技が発揮されたのは後半のラヴェル2曲。というか、管弦楽の精妙さが際立つ音楽だからそのように感じたということだが、特に管楽器がきれいな音を出していた。逆に弦の美しさが発揮される場面が少なかったのは、そういう音楽だからし方がない。

2017-108/♪NHKホール-05