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2025年6月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 Dramatic Series 楽劇「ラインの黄金」

2025-06-21 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

青山貴⇒ヴォータン
黒田祐貴⇒ドンナー
チャールズ・キム⇒フロー
澤武紀行⇒ローゲ
妻屋秀和⇒ファーゾルト
斉木健詞⇒ファフナー
志村文彦⇒アルベリヒ
高橋淳⇒ミーメ
谷口睦美⇒フリッカ
船越亜弥⇒フライア
八木寿子⇒エルダ
九嶋香奈枝⇒ヴォークリンデ
秋本悠希⇒ヴェルグンデ
藤井麻美⇒フロースヒルデ

Dramatic Series
ワーグナー:楽劇『ニーベルングの指環』序夜
「ラインの黄金」<セミステージ形式>

全1幕〈ドイツ語上演/日本語字幕付〉

予定上演時間:
約2時間30分(休憩なし)




過去鑑賞分を含め最上の「ラインの黄金」だった。
冒頭の、ラインの水煙や水の流れを表す低音の持続音に少しずつ音が重なって同じ音形を繰り返しながら徐々に音量を増すところの緊張感がまずは見事で、弦も管も美しい。
弦は16型で、総勢100人以上いたのではないか…特大編成のオケが、ピットとは異なり、見事に明瞭に唸る様が実に聴きものだった。みなとみらいホールの鳴らせ方を熟知している沼さんと神奈川フィルの最良の演奏を聴いた思いだ。

今後、「ワルキューレ」〜と全作を是非ともやってほしい。

残念だったところは、P席と左右の舞台周りのRA、LAを潰したのなら、そこをうまく活用してもっと芝居に立体感を持たせられなかったか?
照明もかなり大掛かりな機材が別途持ち込まれていたが、プロジェクターマッピングも駆使できなかったか?



歌唱は1人を除いてとても良かった。
最初はラインの乙女から始まるが、これが良い出来で、もうすっかり惹き込まれた。

残念なのは、ヴォータンと並んで大役のアルベリヒ役の志村文彦で、一人だけ譜面台にしがみついていた。これでは芝居が流れない。この神奈川フィルのDramatic Seriesの第1作「サロメ」でも一人だけ譜面台を持ってうろうろしたのがいたが、この場合は急遽の代役だったからやむを得ない。しかし、今回は代役でもないのに譜面台はよくない。また彼の舞台は何度も聴いているが、歌唱そのものも以前の巧さが感じられなかった。

ま、そこは目を瞑って、全体としてはまたとない優れた演奏・演唱だった。



ところで。
2時間半は長すぎるよ。5時間を超えるオペラもあるけど、必ず幕間休憩が入るもの。1幕もので150分は最長だと思うな。

♪2025-084/♪みなとみらいホール-017

2024年7月10日水曜日

新国立劇場オペラ「トスカ」

2024-07-10 @新国立劇場



【指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
【美術】川口直次
【衣裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
【照明】奥畑康夫

【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

トスカ⇒ジョイス・エル=コーリー
カヴァラドッシ⇒テオドール・イリンカイ
スカルピア⇒青山貴
(ニカラズ・ラグヴィラーヴァの代役)
アンジェロッティ⇒妻屋秀和
スポレッタ⇒糸賀修平
シャルローネ⇒大塚博章
堂守⇒志村文彦
看守⇒龍進一郎
羊飼い⇒前川依子

ジャコモ・プッチーニ:歌劇「トスカ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間55分
第Ⅰ幕
 50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕
 45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕
 30分







東フィル・冒頭のブラスが美しくて、それだけでまずは惹き込まれた。

…と気持ちよくスタートしたが、物語が始まると、過去何度も新国立劇場版を観ているが、これまで気が付かなかったのか、今回独自の演出なのか?堂守の演技に違和感を持った。片足を引き摺っている。なぜ、障がい者の役にする必要があるのか?この意味不明の安易な姿勢に出鼻を挫かれた。

それ以外は、いつも満足度が高い。
(放送・録画を含め)いろんな「トスカ」を観てきたが、舞台装置の立派さは新国版に及ぶものはないと思う。

全幕豪勢だが、特に1幕終盤の「テ・デウム」のシーンは圧倒的だ。同じ新国の「アイーダ」2幕より好きだ。新国版「アイーダ」は全篇紗幕の中で進行するという訳の分からない演出(ゼッフィレッリ)が大嫌い!

今回に限っては、トスカ役ジョイス・エル=コーリーが美形でトスカにハマり役だった。
カヴァラドッシのテオドール・イリンカイは前に「トゥーランドット」で聴いているが、今回も良かった。

特筆は、N.ラグヴィラーヴァの代役でスカルピアを歌った青山貴かな。海外勢に引けを取らない憎々しげで堂々たる演唱だった。

つまり、堂守の演技プランはBooだがそれを除けば、すべて水準以上で満足できたのだけど、アンジェロッティ役の妻屋秀和氏がTwitterでBooが入ったと嘆いていたが、僕には聞こえなかったなあ。

本作で今季は完了だ。
今季は「シモン・ボッカネグラ」、「エフゲニー・オネーギン」、「トリスタンとイゾルデ」、「コジ・ファン・トゥッテ」と1本おきに秀作が続き「トスカ」が有終の美を飾った。

♪2024-099/♪新国立劇場-09

2023年12月23日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 For Future 巡回公演シリーズ 横浜公演 「第九」演奏会 ❼

2023-12-23 @みなとみらいホール


園田隆一郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
合唱:神奈川ハーモニック・クワイア

ソプラノ:迫田美帆
メゾ・ソプラノ:福原寿美枝
テノール:澤崎一了
バリトン:青山貴

ウェーバー:歌劇「オベロン」から序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



「ドイツレクイエム」を唯一の例外として、ほぼイタリアオペラしか聴いたことがない園田ちゃんがベートーベンを、それも「第九」をやるということ自体がビックリで興味深かったが、蓋を開けたら、しっかりベートーベンだ。それも実に小気味の良い「第九」に仕上がっていた。

一つは弦12型ということもあるが、コンパクトでまとまりが良い。特に終楽章の音楽作りには刮目すべきものがあった。昨日の下野節とは全然異なるアプローチで、処々、タメを利かす場面はあったが、全体としてはほぼイン・テンポで駆け抜けた。

全曲の演奏時間は今年の「第九」7回目にして最短。楽章間休止も入れて64分。因みに最長はコバケン日フィルの72分。

低弦のレシタもオペラぽく歌わせるのかと思ったら、いかにもドイツ風で、引っ張り回すことなく軽やかだった。

終楽章は、本来、歌の意味からしても重苦しくなく、あまり荘厳にもならず、明るく突き抜けてほしいと思っていたが、今日の園田節は正に軽快に歌い抜けた。

コンマスはこの頃珍しい組長が就いた。
その弦も組長好みの繊細で美しい響だった。

管打も全く不満なし。
特にHrは4人がそれぞれに良い仕事をした。特に首席の坂東ちゃんの見事なこと!
読響より、N響より冴え渡っていたよ。

合唱団の規模があまりに小さかった(20+20)ので、怖いような音圧の壁は感じられなかったが、さりとて不足とも思わなかった。軽快な終楽章の為にはこの編成には意味があったのだろう。

今日の独唱陣はP席最前列だが客席との間に遮るものもなく、実に明瞭。これでなくちゃ。
やはりNHKホールのように奥行きが深い(その上背後に百人の合唱団)場合は舞台最前列に出るべきだよ。

これで「第九」7回目。
総合点としてN響をあっさり超えて読響と同点1位かな。

ほんに爽快な「第九」を聴いた。

♪2023-225/♪みなとみらいホール-50

2023年7月12日水曜日

オペラ「ラ・ボエーム」 〜高校生のためのオペラ鑑賞教室2023〜

2023-07-12 @新国立劇場



指揮】阪哲朗
【演出】粟國淳
【美術】パスクアーレ・グロッシ
【衣裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照明】笠原俊幸

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ミミ⇒木下美穂子
ロドルフォ⇒工藤和真
マルチェッロ⇒青山貴
ムゼッタ⇒九嶋香奈枝
ショナール⇒高橋正尚
コッリーネ⇒伊藤貴之
べノア⇒畠山茂
アルチンドロ⇒晴雅彦…本公演と同じ
パルピニョール⇒寺田宗永…本公演と同じ

プッチーニ:「ラ・ボエーム」
全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

上演時間約2時間45分
 第Ⅰ幕・第Ⅱ幕60分
  休憩25分
 第Ⅲ幕30分
  休憩20分
 第Ⅳ幕30分



本公演が終わった後、同じ演出(美術/衣装/照明も)でのそっくり再演だが、指揮者(大野和士⇒阪哲朗)と主要なキャストが変わっている。

最重要な歌手4役は
ミミ⇒木下美穂子、ロドルフォ⇒工藤和真、マルチェッロ⇒青山貴、ムゼッタ⇒九嶋香奈枝に。

高校生の集団鑑賞の残り席を分けていただくシステムなので、あまり良い席は取れなかったが、今日は1階席の最後列の1列前だがかろうじてセンターブロック。

舞台は遠い。
が、オケも歌唱も十分響いて音楽鑑賞に不満はないが、歌手の表情が見え辛いのは致し方ない。

7倍モノキュラーを愛用しているけど、ずっと追いかけている訳にもゆかない。

木下美穂子は明るくハリのある声で、時に突き刺さってくるような勢いがある。掛け値なしの実力派としか言いようのない人材なのに、イマイチ活躍の場が少ないのが不思議だ。
本公演でミミを歌ったA.マリアネッリを凌ぐような迫力があり、演技もうまい。

終幕の瀕死のミミと祈るような思いのロドルフォの二重唱は第1幕の2人の名アリアが再現されて(プッチーニの巧さ!)、気持ちが入り込んでゆく。この辺も、本公演より吸引力が強かったな。

他の歌手陣も問題なし。まあ、好みを言えば適役かな?と思った人もいたのだけど。

♪2023-122/♪新国立劇場-14

2022年12月24日土曜日

「第九」2022-❽ 神奈川フィル「第九」特別演奏会 2022 フューチャー・コンサート厚木公演

2022-12-24 @厚木市文化会館



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー交響楽団
プロ歌手による神奈川フィル合唱団

砂川涼子(ソプラノ)
八木寿子(メゾソプラノ)
笛田博昭(テノール)
青山貴(バリトン)

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



神奈川フィルの「第九」は三ツ橋敬子指揮@ミューザで既に聴いたが、今回は、沼さんの指揮。

独唱陣も異なって、
砂川涼子❤️Sp
八木寿子Ms
笛田博昭Tn
青山貴Brだ。

これは聴かねばなるまいと、遠路厚木まで出かけた。

厚木市は人口22.4万人。財政力指数県内1、関東で5位という豊かな街だそうな。さぞや立派な文化会館かと思いきや小都市にどこにでもあるような多目的のフツーの造作だった。

が、キャパ1400のこじんまりしたホールは残響は少なめだが明るい軽やかな響きだった。

弦は10型(低域12型風)は昨年同様。

合唱は男女とも14人の計28人。

今年12回聴く「第九」の中で、あと4回を残すものの、オケ・合唱とも最小規模だろう。

そのコンパクトなオケを纏めたコンマスは日フィルの千葉清加の客演だ。17日の日フィル「第九」@みなとみらいでは次席に座っていた。

コンマスとしての仕事ぶりを見るのは初めてだったかもしれないが、やはりボウイングや上半身の使い方が違う。よく、リードしていたと思う。

沼さんの「第九」を聴くのは初めて…だと思うが、こちらも正統派。ケレンはつゆほどもないが、だから面白くないのではなく、安心して聴ける。

10型の編成はキビキビし、弦の透明感も確保できている。もう少し弦を増やしたら厚みが出るけどその分濁りが出る心配がある。今日は、これで良かったと思う。
ホルンのソロも安定して、とくに3楽章の4番ホルンのソロも見事に決まった。

不安だったのは、声楽陣の着座だ。

通常は冒頭から。または3楽章の前に入場着座する。
しかし、今日は2楽章が終わっても入ってこない。
そして3楽章が始まった。
てことは4楽章の前に入るのか?
ところが3楽章が終わると間髪を容れず4楽章に突入。
あれれ。

さらに低弦のレシタが始まり、歓喜の旋律が始まっても声楽陣は入ってこない!

歓喜の歌が、オケのTuttiで盛り上がったその時、合唱も独唱も入場した。確かに人数が少なく短時間で並び、大音量だから足音もかき消されてしまうのだ。

実は、神フィルには前科があり、少なくとも19-20年も同様のスリルを味わったことを思い出した。
まあ、無駄のない演出とも言える。

ともかく、演奏は見事だった。
会場の大きさや響のタイプの違いを考えてこういう編成にしたのかどうか分からないが、オケの編成は大きければいいというものではない。コンパクトの良さを活かした、快活な演奏が実に心地よし。

演奏好感度★95点

♪2022-203/♪厚木市文化会館大ホール-01

2022年10月26日水曜日

第1967回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-10-26 @サントリーホール


ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団

オリ・ムストネン:ピアノ*
盛田麻央:ソプラノ**
青山貴:バリトン**

グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16*
ニールセン:交響曲第3番 作品27「広がり」**
------------------------
ヘンデル:調子の良いかじ屋*


グリーグのピアノ協奏曲は頻繁に聴いているようで3年ぶり。大いに楽しみにしていたが、これは興醒めだった。

ピアノのオリ・ムストネンは初めてで、陽気な人柄みたいだが、いざ始まるとタッチの拘りは尋常ならざるものあり。フレーズの中のテンポも強弱も極めて独自…大袈裟だ。

ピアノの音も悪かった*がそれは措くとしても、異色の鍵盤操作に呆然として音楽に入ってゆけず。

が、NHKでの放映が楽しみだ。
どこまで彼の独自のアーティキュレーションをマイクは正確に拾うだろうか。

後半のニールセン。
交響曲3番は初聴きだが、交響曲1番や序曲、各種協奏曲などこれまで聴いたものは、全て好印象。

始まってみると、冒頭から楽しい!
きっちり調性があるだけではなく、実に分かりやすく、大掛かりな娯楽音楽のようでもある。
それに多彩な管弦楽技法が興趣を高める。
第2楽章だけソプラノとバリトンのボカリーズが加わって、これも効果的。

N響は大規模編成(弦は対抗配置16+16…)ながらカチッとしたアンサンブルが見事。こういう演奏なら、みなとみらいホールとかミューザで聴きたいものだが。


*今に始まった事ではないが、サントリーホールの響は良くない。特にピアノの音が耐えられん。
高域の強奏はキラキラ輝くが、それでも痩せ細った硬い音だ。
中低域となるとまるで石を叩いているかのよう。
安酒場のホンキートンクみたいだ。

が、苦情は出ていないようだから、三鳥に限って僕の耳が変になるのだな。

♪2022-160/♪サントリーホール-19

2021年12月15日水曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第373回横浜定期演奏会「第九」❶

 2021-12-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール


角田鋼亮:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

ソプラノ:澤江衣里
アルト :金子美香
テノール:村上公太
バリトン:青山貴

オルガン:花澤絢子*


J.S.バッハ:目覚めよと、呼ぶ声す BWV645
レーガー:クリスマスの夢 op.17-9
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
-----以上3曲オルガン独奏*-----
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


愈々「第九」に突入。

まず第1回目は日フィル。

その初っ端の「第九」がびっくりだった。

弦10型(10-8-6-5-4)という極小サイズ。

日フィルの「第九」は別にコバケンも5回振るので、要員を2手に分けたか…なんてことはないだろう。

小編成だと声部が聴き取り易いという利点はある。

だが、弦5部を縮小しても管の編成は変える訳にゆかない。

少数弦は共鳴も少なく、響きは薄い。

普段は弦に埋もれているような管のフレーズが聞こえてくるのも面白いけど、モダンな大編成に慣れた耳には違和感が強かった。

いっそ、楽器も弦も奏法も変えて古楽アプローチするのも手だが(昨年聴いたオルケストル・アヴァン=ギャルドの徹底した古楽アプローチは素晴らしい「革新の第九」だった。)、日フィルメンバーには慣れてないから無理だろう。



そんな訳で、中途半端な寂しい「第九」だった。

演奏のテンポは、特に速い感じはしなかったが終わってみると60分強で、長さもコンパクト(それ自体は全然問題じゃないけど。)。

低弦が少ないから4楽章のレシタティーヴォも”熱”を感じない。

合唱は60名全員マスクで歌った。60人も並んだ割にはこちらも”熱”を感じない。あのマスク何とかならんかい!

独唱陣は、3楽章前にこっそり入場して舞台奥で歌った。1F客席最前列から4列も閉鎖したのだから舞台前方で歌えば良かったのではないか(皆んな馴染みの歌手達なのに顔がよく見えない。)。

終演後のカーテンコールが盛り上がりに欠けたのは、角田クンのステージングが悪い。

せめて、ここでは独唱陣を舞台前に呼んで拍手を受けさせるべきだった。

みんなの「頑張り」が「歓喜」には至らなかった。

出鼻を挫かれた格好の「第九」だが、まだ残り7回!


♪2021-155/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-43

2018年12月15日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第343回横浜定期演奏会 ---「第九」❷

2018-12-15 @みなとみらいホール


井上道義:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

菅英三子:ソプラノ
福原寿美枝:アルト
錦織健:テノール
青山貴:バリトン

ベートーベン:序曲「コリオラン」作品62
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

腕慣らし?の「コリオラン」が刮目の絶品。弦は変形12型対向配置。この小規模なオケならではの明確でクリアで力強い音楽は先日の独カンマーフィルと並ぶのではないか。

そのあとの休憩後に設けられたプレトークで、井上道義が<黄昏の「第九」>にはしないと言っていたが、正に<日の出の「第九」>だった。

弦は14型。対向配置から通常配置にもどった。コントラバスは7本並んだ。管楽器は雛段二段。その後方に独唱4人と150人前後の大合唱団が四段の雛段で配置。これなら視覚的にもどの楽器がどこに何人ずつ配置されているかが分かって気分良い。やはりプレトークの際に井上が「音楽は眼から聴く」とも言っていたが、これは我が意を得たりだ。

弦の透明度高く、気持ちの良いアンサンブルだ。
指揮者のコントロールが細部まで届いている感じ。
テンポは中庸。所々に溜めを利かせるような井上節があったが、やり過ぎ感は無い。演奏時間は計測ミスしたが、楽章間休止を除いた正味で70分弱か。

演奏における井上流の独自色は、終楽章の6/8マーチから、ピッコロ、トライアングル、シンバル、大太鼓の4人を舞台下手に登場させてたことだ。奇を衒っているとも言えるが、おかげでピッコロ・パートの終盤の活躍も良く分かった。

第2楽章の後に声楽陣が入場したので、ここの長い休止がやや緊張を損ねたのが惜しかったが、第3楽章から第4楽章の入りは間髪入れず。そうでなくちゃいけない。ここで、ぼんやり休んでいたのでは、ベートーベンが第2楽章と第3楽章の形式を反対に配置した意味が失われると思う。

オケは文句のない出来栄え。
東京音大の大合唱団もピッチが綺麗に揃い、透明感と大人数ならではの迫力の合唱を聴かせた。

大いなる満足で85点。これを超えるのはどこ?

♪2018-170/♪みなとみらいホール-40

2018年6月17日日曜日

日生劇場会場55周年記念公演 NISSAY OPERA 2018 モーツァルトシリーズ『魔笛』

2018-06-17 @日生劇場


指揮:沼尻竜典
演出:佐藤美晴


管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:C.ヴィレッジ・シンガーズ

ザラストロ:伊藤貴之
タミーノ:山本康寛
パミーナ:砂川涼子
夜の女王:角田祐子
パパゲーノ:青山貴
パパゲーナ:今野沙知恵
モノスタトス:小堀勇介
 ほか

モーツァルト作曲 オペラ『魔笛』全2幕
(ドイツ語歌唱・日本語台詞・日本語字幕付)

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ幕 70分
 --休憩20分--
第Ⅱ幕 90分

日生オペラは制約(料金が安いから制作費なども多くは取れない。また、詳しいことは知らないけど舞台機構も大型のせりや回り舞台は無いのではないか。)の大きい中で舞台や衣装等も工夫が凝らされているのにいつも感心する。

今日の魔笛も、主要な舞台装置は中央に一つきり。それがくるくる回転して、照明を受けて、いろんなシーンを形作る。
役者の衣装もあまり豪華とは言えない。パパゲーナの靴などもっといいのを履かせてあげたいと思ったよ。

それでも、いつも概ね楽しめる舞台を作り上げるのは大したものだ。

今日も楽しんだが、なんと言っても一番良かったのはパミーナ役の砂川涼子。役のせいもあるけど「祭りの準備」の頃の竹下景子そっくりでカワユイ!もちろん歌も素晴らしい。
今回、砂川涼子のほかには伊藤貴之(ザラストロ)、青山貴(パパゲーノ)くらいしか覚えのある歌手は見当たらなかったが、若干の不満はあったものの、みんな上手にこなしていたと思う。

ところで、オペラ一番人気とも言われる「魔笛」だが、ストーリーは難しいというか、ザラストロや夜の女王の本質は何か、まあ、よく分からない。専門家がいろんな解釈を提供しているが、今回の演出でもよく分からなかった。

この作品(だけではなく、物語として首を傾げるものは少なくない。)は、もう、おもちゃ箱をひっくり返したような、次々登場する耳慣れた、それゆえ心地良い音楽の砲列を楽しむのが一番かな、と思っているけど、どうか。

新国立劇場では来シーズンの幕開けが「魔笛」だ。これを楽しみにしている。

♪2018-072/♪日生劇場-01

2016年6月18日土曜日

NISSAY OPERA 2016オペラ『セビリアの理髪師』

2016-06-18 @日生劇場


園田隆一郎:指揮
粟國淳:演出
新日本フィルハーモニー交響楽団
        
アルマヴィーヴァ伯爵⇒中井亮一
ロジーナ⇒      富岡明子
バルトロ⇒      増原英也
フィガロ⇒      青山貴 
ドン・バジリオ⇒   伊藤貴之
ベルタ⇒       山口佳子
フィオレッロ⇒    清水勇磨

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」


その昔、日生劇場には、オペラやバレエでも数回出かけたが、主に劇団四季のミュージカルやストレートプレイにせっせと通っていたところ、四季が「キャッツ」以後仮設専用劇場を建て、やがて自前の劇場を持つようになってからはそれまでホームグランドとしていた日生劇場での公演をやらなくなり、僕の足も日生劇場からは自然と遠のいてしまった。
職場の親睦会の行事で演歌歌手のコンサートなどには出かけたが、それにしても10年は経つのでずいぶん長くご無沙汰していたものだ。

ロビーやホワイエの白い大理石に赤絨毯。ホール内は海中を模した独特の意匠で、その空間に身を置いた瞬間にかつてここで観たいろんな芝居やミュージカルを思い出して非常に懐かしかった。

オペラの録画ディスクは著名なところは全て揃っていると思うが、いずれヒマができたらじっくり鑑賞しようと思いつつ、未だわずかしか目を通せていない。
ナマのオペラもリタイア後は年に数本観るようになったが、現役時代は数年に1本といったところだった。
その中でも「セビリア*の理髪師」には縁があって、一昨年のみなとみらいホール小ホールオペラを含め今回で3回めだと思う。

モーツァルトの「フィガロの結婚」の前日譚で、「フィガロ~」では悪役になるアルマヴィーヴァ伯爵はここではまだ?善人で恋する若者だ。フィガロの人格は2作で変わっていないようだ。
「セビリア~」での悪役はヒロイン・ロジーナの叔父で彼女の財産目当ての結婚を企んでいる医師バルトロだが、この名前は「フィガロ~」でも登場するが、そこでは伯爵家のお抱え医師になっている。
原作者(ピエール・ド・ボーマルシェ)は同じでも、台本を書いた人が異なるし、作曲者も違うので、人物の設定は原作とは変えてあるのかもしれない。

「セビリア~」は「フィガロ~」ほど登場人物は多くないし、物語も単純で、上演時間も短く(本篇のみ2時間半くらい)、音楽はいくつかの有名なアリアが耳に馴染んでいるし、そのほかのアリアも親しみやすい音楽だ。字幕上演とあいまって、物語は進行とともにほぼ必要な範囲で?消化できるのが嬉しい。

指揮の園田氏は記憶・記録にある限り、日フィルの定期で一度聴いたが、その時もオペラ・アリア集だった。歌劇畑の指揮者なのかな。

ほとんど馴染みのない歌手たち(バルトロを演じた増原英也氏は3回目だったが、ほかの人は初めてだろう。2012年より前の昔のコンサートは記録をしていないので分からない。)なので、楽壇における立ち位置は分からないけど、みんな上手だった。
声がよく通る。ビンビン響くのには驚きだ。音響が良すぎてクラシック・コンサートには向かないという説もあるが、1300席強というこじんまりした空間も観る・聴くにちょうどいい環境だ。

随分久しぶりに、本格的な舞台オペラ(演奏会形式ではなく、小ホール形式でもない)を、これまた随分久しぶりの日生劇場で、ゴージャスに楽しむことができた。オペラは、どうもクセになりそうだ。


♪2016-087/♪日生劇場-1




*「セヴィリア」の理髪師と表記されることもあるが、自己流の表記法で「セビリア」の理髪師に統一することにしている。
ヴァイオリン⇒バイオリン
ベートーヴェン⇒ベートーベン
ドヴォルジャーク⇒ドボルザーク
など。なるべく簡単に。