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2025年1月17日金曜日

令和7年国立劇場初春歌舞伎公演

2025-01-17 @新国立劇場



毛谷村六助⇒尾上菊之助
京極内匠⇒坂東彦三郎
一味斎姉娘お園⇒中村時蔵
若党友平/立浪家家臣十時伝五⇒中村萬太郎
立浪家家臣向山三平⇒市村竹松
立浪家家臣 捨川団八⇒市村光
真柴方の若武者⇒坂東亀三郎
真柴方の若武者⇒尾上丑之助
真柴方の若武者⇒尾上眞秀
真柴方の若武者⇒中村梅枝
真柴方の若武者⇒中村種太郎
一味斎孫弥三松⇒中村秀乃介
一味斎妹娘お菊/立浪家家臣 井村六郎⇒上村吉太朗
若党佐五平⇒市村橘太郎
一味斎妻お幸⇒上村吉弥
早川一学/杣斧右衛門⇒片岡亀蔵
衣川弥三左衛門⇒河原崎権十郎
老女福栄⇒市村萬次郎
吉岡一味斎/明智光秀の亡霊⇒中村又五郎
立浪主膳正⇒坂東楽善
真柴大領久吉⇒尾上菊五郎
 ほか


梅野下風・近松保蔵=作
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「彦山権現誓助剣」  四幕七場
    (ひこさんごんげんちかいのすけだち)
           国立劇場美術係=美術

発 端 豊前国彦山権現山中の場
序 幕 周防国太守郡家城外の場
    長門国吉岡一味斎屋敷の場
二幕目 山城国小栗栖瓢箪棚の場
三幕目 豊前国彦山杉坂墓所の場
    同  毛谷村六助住家の場
大 詰 豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場


23年秋から漂流する国立劇場。
毎年正月公演は菊五郎劇団と決まったおり、派手なスペクタクル歌舞伎が真骨頂だったが、今年は昨年に続き新国立中劇場から。
せめて、新国の中劇場くらいでやってくれないと気分が盛り上がらないが、それでもキャパは少ないし、派手な舞台転換もなく、第一花道が短すぎるしスッポンもない。

昨年は歌舞伎公演を何回やったろう。
僕は、昨年は結局正月公演のみで、全然観にゆかなかった。東京の辺鄙な小屋での公演なんて、観にゆく気が起こらなかったよ。

全く、国立劇場はどうなるのか。

20年近く、あぜくら会員を続けて、余程のことがない限り歌舞伎と文楽の全公演を楽しんできたのに、もうすっかり、気力を失っているよ。

さて、1年ぶりの菊五郎劇団。
「彦山権現誓助剣」は何度も観ているが、いつも大抵は、「杉坂墓所の場」、「六助住家の場」が演じられることが多いが、今回は、通し狂言と銘打ったからには、発端・序幕から大詰めの敵討まで演じられて、なるほど、こういう話だったのか、と得心できたのは収穫だった。

1年ぶりで驚いたことも。なんと時蔵が代替わりしていたよ。4代目梅枝が6代目時蔵を名乗っていたが、先代の時蔵は萬寿になったんだ。この先代時蔵と共に菊五郎劇団の看板だった尾上松緑も今回出演していない。代わりにゾロゾロとちびっ子たちは勢揃い。

菊之助の子供丑之助、寺島しのぶの子供眞秀、4代目種太郎(現4代目歌昇)の子供の5代目種太郎、先代梅枝の子供の5代目梅枝、歌昇の子秀之助、彦三郎の子亀三郎など。

いずれも同年代のちびっ子たちが最終幕で勢揃いをして、まあ、みんな桃太郎みたいで可愛いこと。
正月だし、まあ、こんなふうに華やかでいいのだとは思うけど、幼稚園のお芝居に付き合わされている感も拭えないね。

♪2025-007/♪新国立劇場-02

2024年1月19日金曜日

令和6年国立劇場初春歌舞伎公演

2024-01-19 @新国立劇場



文耕堂・長谷川千四=作
●梶原平三誉石切  13:00-14:20
(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
一幕 「鶴ヶ岡八幡社頭の場」

竹田出雲=作
●芦屋道満大内鑑  14:45-15:50
(あしやどうまんおおうちかがみ)
一幕三場 「-葛の葉-」

●勢獅子門出初台  16:15-16:50
(きおいじしかどでのはつだい)
 常磐津連中

『梶原平三誉石切』
梶原平三景時⇒尾上菊之助
大庭三郎景親⇒坂東彦三郎
六郎太夫娘梢⇒中村梅枝
俣野五郎景久⇒中村萬太郎
梶原方大名⇒市村竹松
梶原方大名⇒市村光
青貝師六郎太夫⇒嵐橘三郎
囚人剣菱吞助⇒片岡亀蔵
ほか

『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』
女房葛の葉/葛の葉姫⇒中村梅枝
信田庄司⇒河原崎権十郎
庄司妻柵⇒市村萬次郎
安倍保名⇒中村時蔵
ほか

『勢獅子門出初台』
鳶頭音羽の菊五郎⇒尾上菊五郎
鳶頭鶴吉⇒尾上菊之助
鳶頭亀吉⇒坂東彦三郎
芸者お梅⇒中村梅枝
鳶頭萬吉⇒中村萬太郎
手古舞おゆう/若い者勇吉⇒坂東亀三郎
手古舞おふみ/若い者文吉⇒尾上丑之助
手古舞おひで/若い者新吉⇒尾上眞秀
手古舞おせい/若い者清吉⇒小川大晴
世話人松島屋亀蔵⇒片岡亀蔵
世話人山崎屋権十郎⇒河原崎権十郎
芸者お橘⇒市村萬次郎
芸者お時⇒中村時蔵
ほか



昨秋から漂流する国立劇場。
毎年正月公演は菊五郎劇団。派手なスペクタクル歌舞伎が真骨頂だったが、今年は新国立中劇場から。

間口も奥行きも狭く花道はないも同然。が、そのハンデを感じさせない豪華な舞台。
尤も、従来の通し上演は諦めたか、1公演3本立て。歌舞伎座風になってきた。

これが今後6年も続くと歌舞伎が変質してしまうのではないかと心配。

出し物はいずれも1時間前後。休憩込み約4時間。
出ずっぱりの梅枝に感心。
一方、座頭の菊五郎は最後の演目にちょこっと顔を見せただけ。
世代交代を印象付けた。


「梶原平三誉石切」では、菊之助が景時を初役で、岳父吉右衛門の型で演じたが、後半の滑稽味が出てからの芝居はもう吉右衛門そっくり!
だが、板に付いている風ではなく何だか違和感も残った。

菊五郎、その子菊之助、その子丑之助くん、菊之助の姉の子の眞秀くんと音羽屋親子3代4人が華々しくも賑やかでヨシ!

富司純子、寺島しのぶも幕間の客席まで入って贔屓筋に大サービス。

晴れやかな初春歌舞伎ではあった。

♪2024-009/♪新国立劇場-02

2023年10月25日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-25 @国立劇場



蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか

近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場





先週観たばかりだけど、どうも、面白みが分からず、このまま、初代国立劇場での歌舞伎鑑賞を終えるのもすっきりしないので、ちょうど夜にN響Bが入っているので、この日のチケットを買った。

今月の歌舞伎公演はこれで初代国立劇場の見納めということもあって、いつになくお客さんが大勢で、良席は全然残っていなかった。

今月の公演は9月「妹背山婦女庭訓」第1部の続き(第2部)だが、その前半と部分と今月の後半部分は、どうも木に竹を継いだような展開で、釈然としない。

文楽でも通しで観ているけど、文楽版の方が、見どころが多かったように思う。

かくして、2ヶ月にわたる大作を気合を入れて観た割には消化不良で終わったのが誠に残念。

明日で、初代国立劇場は事実上閉館になって、再開場は2029年だ。もちろんその間も、あちこちの劇場を借りて歌舞伎公演は継続されるが、舞台機構(歌舞伎専用劇場ではないから花道、回り舞台、すっぽん、セリもない)の制約から演目も限られてくるね。

♪2023-183/♪国立劇場-13

2023年10月19日木曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-19 @国立劇場


近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場


蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか





先月に続いて、通し狂言「妹背山婦女庭訓」の後半だ。
この公演が、初代(つまり、現在の)国立劇場の掉尾を飾る。この後、2029年の第二代国立劇場の完成まではあちこちの劇場を渡り歩くことになる。寂しいことだ。それに6年後なんて、足腰は大丈夫だろうかと心配。

「妹背山婦女庭訓」は文楽では19年に、こちらも2公演にわたる通し狂言として観ている。
歌舞伎公演の先月の前半は、見処たっぷりなので先に観た文楽の内容も結構覚えており楽しめたが、今回の後半は、文楽でもややこしい話で、4年以上経過していることもありなかなか思い出せなかった。

しかし、役者陣は歌六、芝翫、時蔵、菊之助を中心に、病気による菊五郎の休演をはね飛ばさんと気合の入った様子。芝翫はますます貫禄が付いた。彦三郎は相変わらずよく通る声。梅枝が珍しく立役。菊五郎の代役も務めた時蔵は最後は藤原鎌足役で髭を生やしていたのも初めて観たよ。
米吉は今も可愛らしい娘役が似合うが、6年後はどうなっているだろう。菊之助も美しい娘役(二役)だったが、少し太っていたな。

初代国立で最後に観る舞台としては消化不良だったのが残念だった。時間を作って再度挑戦するべ。

♪2023-177/♪国立劇場-12

2023年1月12日木曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「遠山桜天保日記」

2023-01-12 @国立劇場大劇場



竹柴其水=作
尾上菊五郎=監修
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「遠山桜天保日記」六幕十一場
    -歌舞伎の恩人・遠山の金さん-
      (とおやまざくらてんぽうにっき)
        国立劇場美術係=美術

序  幕 第一場  河原崎座楽屋の場
   第二場  花川戸須之崎政五郎内稽古所の場
   第三場  隅田川三囲堤の場
二幕目 安房国山中の場
三幕目 第一場  花川戸須之崎政五郎内の場
    第二場  山の宿尾花屋の場
    第三場  大川橋六地蔵河岸の場
四幕目 第一場  新潟行形亭座敷の場
    第二場  同    庭先の場
五幕目 北町奉行所白洲の場
大 詰 河原崎座初芝居の場

羅漢尊者⇒市川左團次
笛方六郷新三郎/旅の一座の座頭⇒市村橘太郎
捕手頭 佐藤清介⇒市村竹松
楽屋番紋助⇒市村光
行形亭女将お滋⇒市村萬次郎
待乳山のおえん⇒尾上右近*
尾花屋丁稚辰吉⇒尾上丑之助*
遠山金四郎⇒尾上菊五郎
尾花屋小三郎後ニ羅漢小僧小吉⇒尾上菊之助*
八州廻り宮森源八⇒尾上左近*
生田角太夫⇒尾上松緑*
尾花屋番頭 清六⇒片岡亀蔵
座元河原崎権之助/須之崎の政五郎⇒河原崎権十郎
角太夫女房おもと⇒中村時蔵*
政五郎養女おわか⇒中村梅枝*
若太夫河原崎権三郎/八州廻り咲島千介⇒中村萬太郎*
遠山家用人河原崎権三郎/与力大里忠平⇒坂東亀蔵*
佐島天学/⇒坂東彦三郎*
遠山家家老簑浦甚兵衛⇒坂東楽善
        ほか
小川大晴**
寺嶋眞秀**
坂東亀三郎**
*は大詰めの河原崎座役者を兼務*又はそれのみの出演**










毎年、国立の正月公演は菊五郎劇団と決まっている。
いつもは見た目重視の派手な出し物が多いが、今年は初代国立の最後の正月公演なのに地味な世話物?

しかし正月らしい目配りが効いた芝居で大いに満足。

所謂遠山の金さんの話だが、裁きより人情噺に重点。

菊之助の長男、丑之助君を前回見たのは昨年10月だったが、今回は芝居も長く科白も多く、それを見事にこなしている。才能あるものが打ち込んでいるとこんなに早く成長するんだと、近年退化の一途を辿る身としては、驚くとともに反省頻り。
菊五郎も菊之助も同じ舞台に立って喜びこの上なしだろ。

遠山の金さんという人は、天保の改革で取り潰されそうになっている芝居三座を浅草猿若町への所替えで救ったそうで、謂わば歌舞伎の恩人でもある。
そこで今日の芝居では、一件落着後の終幕に主要な役者が、<歌舞伎役者>として登場し、桜尽くしの中、総出で踊って華やかに幕を閉じた。

ここで、本編には登場しなかった、
小川大晴(ひろはる=中村梅枝の長男 7歳)
寺嶋眞秀(まほろ=寺島しのぶの長男 10歳)
坂東亀三郎(かめさぶろう=坂東彦三郎の長男 9歳)が
尾上丑之助(うしのすけ=菊之助の長男 9歳)と共に揃いの衣装で登場した。まあ、可愛らしいこと。
揃って、セリフを先走ったので舞台上も客席も大笑い。
めでたし。

♪2023-004/♪国立劇場-01

2022年10月11日火曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「義経千本桜」【Bプロ】三段目

2022-10-11 @国立劇場大劇場


竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言  義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 国立劇場美術係=美術

三段目
下市村椎の木の場
下市村竹藪小金吾討死の場
下市村釣瓶鮓屋(すし屋)の場


いがみの権太⇒菊之助
主馬小金吾武里⇒萬太郎
猪熊大之進⇒菊市郎
若葉の内侍⇒吉太朗
庄屋作兵衛⇒宇十郎
権太女房小せん⇒吉弥
鮓屋弥左衛門⇒権十郎
弥助実ハ三位中将維盛⇒梅枝
弥左衛門娘お里⇒米吉
弥左衛門女房おくら⇒橘太郎
梶原平三景時⇒又五郎 ほか


「義経千本桜」はそもそも義経は小さな脇役に過ぎないし、三段目に至っては義経のヨノの字も出ない。
ここでの主人公はちょいワルの”いがみの権太”という遊び人だ。

全体は所謂時代物だと思うが、この段だけは世話物風味で完全に浮いている。

が、多分一番面白い。

勿論、権太を演ずるのは菊之助。

一幕物として上演されることが多いのは「鮓屋(すし屋・鮨屋とも)」の場。

今回は”通し”と銘打っているので、前段も上演されたが、「椎の木の場」や「小金吾討死の場」は初めて観た。これが置かれることで「すし屋の場」が立体的になる。

物語は、相も変わらず、首実験や忠義の妻子犠牲だが、ドラマの布石が心憎い。
店先にたくさん並んだすし桶に、
権太は掠め取った金を隠す。
彼を勘当している父は小金吾の首を隠す。

その取り違え?がドラマを急転直下の感動に盛り上げる。

尤も、半世紀もすれば、このような時代錯誤の美意識は世間の批判に屈して観られなくなるかも(オペラも同様)。

菊之助は美形すぎてワルは似合わないように思うが、最近では髪結新三も良かったし、案外コワイ役も面白いかも。

♪2022-148/♪国立劇場-10

2022年10月7日金曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「義経千本桜」【Aプロ】二段目

2022-10-07 @国立劇場大劇場



竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言  義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 国立劇場美術係=美術

二段目
伏見稲荷鳥居前の場
渡海屋の場
大物浦の場

佐藤忠信実ハ源九郎狐/渡海屋銀平実ハ新中納言知盛
⇒尾上菊之助
武蔵坊弁慶⇒坂東彦三郎
銀平女房お柳実ハ典侍の局⇒中村梅枝
片岡八郎⇒市村竹松
静御前⇒中村米吉
銀平娘お安実ハ安徳帝⇒尾上丑之助
相模五郎⇒市村橘太郎
源義経⇒中村錦之助
 ほか



初代国立劇場さよなら公演。文楽は先月の公演が「〜さよなら公演」だったが、歌舞伎の1番手は今月の「義経千本桜」。二〜三〜四段目を3公演に分けて”通す”。

菊之助が3役を演ずるが、今日の出番は2役。
尤もいずれも”A実はB”なので、事実上4役。
もう今月の国立は菊之助一色だ。

客席は大入りだった。

馴染みの芝居だが、”通し”では初めて。

今日は、舞台が引き締まっていた。
菊之助の初の三役に挑む緊張感が全員に伝わっているのだろう。

彦三郎の大音量と滑舌の良さが心地よい。弁慶がぴったりだった。
静御前の米吉はホンに女性のよう。
丑之助くんも長丁場を立派にお勤め。

♪2022-144/♪国立劇場-09

2022年3月18日金曜日

令和4年3月歌舞伎公演『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』

2022-03-18 @国立劇場大劇場



佐々木盛綱⇒       尾上菊之助
高綱妻篝火⇒       中村梅枝
信楽太郎⇒         中村萬太郎
伊吹藤太⇒         中村種之助
盛綱妻早瀬⇒       中村莟玉
高綱一子小四郎⇒   尾上丑之助
盛綱一子小三郎⇒   小川大晴
古郡新左衛門⇒     嵐橘三郎
盛綱母微妙⇒       上村吉弥
北條時政⇒         片岡亀蔵
和田兵衛秀盛⇒     中村又五郎
                           ほか

入門 “盛綱陣屋”(もりつなじんや)をたのしむ

近松半二=作
近江源氏先陣館  一幕
-盛綱陣屋-
 国立劇場美術係=美術
        

「熊谷陣屋」は歌舞伎・文楽で何度も観たが、「盛綱陣屋」は初めて…と思っていたが、19年の暮れに松本白鸚の盛綱で観てたよ。ホンにこの頃の記憶力低下は自分でもゾッとするよ。

両者の話に共通点は多い。
偽頸実験。
うまく騙した後の一波乱。
何より極端なくらいの忠孝。

物語としては「熊谷」の方が上等な気がするが、「盛綱」も面白かった。と言うか、今回はちびっ子2人にやられた!

主人公盛綱の長男役を小川大晴(ひろはる=梅枝の長男)が。
盛綱の弟である高綱の長男役を丑之助(菊之助の長男)が演ずる。

この絵本の桃太郎のような2人が非常に可愛らしいので、登場しただけで癒される。

が、やがて悲劇に見舞われる丑之助の健気さに胸を掻きむしられ迂闊にも落涙!

このところ、国立の3月は「菊之助劇団」で定着しそうだが、ところどころに、昨秋亡くなった吉右衛門を思い起こさせる雰囲気があった。

美形中の美形、莟玉の顔がえらく丸々としていた。まあ、いつまでも美少年ではいられないし、顔つきも変わってゆくのだろうか。あまり太らないのがよろしい…けど。

ところで、コロナも下火になりつつあるが、舞台と客席が双方向的に交流する歌舞伎では「大向こう(掛け声)」が復活しないと、本当の「歌舞伎」にならない。
拍手ではもどかしい。手練れの間合いの良い掛け声を聞いて役者も気持ちを乗せられるだろうし、声を掛けないお客もこの雰囲気を楽しめるのだが。

♪2022-038/♪国立劇場-02

2022年1月5日水曜日

初春歌舞伎公演「通し狂言 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)」

2022-01-05 @国立劇場大劇場


犬山道節⇒尾上菊五郎
犬坂毛野⇒中村時蔵
網乾左母二郎/犬飼現八⇒尾上松緑
犬塚信乃⇒尾上菊之助
犬田小文吾⇒坂東彦三郎
犬川荘助⇒坂東亀蔵
蟇六娘浜路⇒中村梅枝
犬村大角⇒中村萬太郎
横堀在村⇒市村竹松
甘利掻太⇒市村光
犬江親兵衛⇒尾上左近
軍木五倍二⇒市村橘太郎
大塚蟇六⇒片岡亀蔵
馬加大記⇒河原崎権十郎
蟇六女房亀笹
市村萬次郎
簸上宮六⇒市川團蔵
足利成氏⇒坂東楽善
扇谷定正⇒市川左團次
ほか

国立劇場開場55周年記念
曲亭馬琴=作/渥美清太郎=脚色/尾上菊五郎=監修
国立劇場文芸研究会=補綴

通し狂言 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)  五幕七場
序 幕  (武蔵)  大塚村蟇六内の場
          本郷円塚山の場
二幕目  (下総)  滸我足利成氏館の場
         芳流閣の場
三幕目  (下総)  行徳古那屋裏手の場
四幕目  (武蔵)  馬加大記館対牛楼の場
大 詰  (上野)  扇谷定正居城奥庭の場

国立劇場の初春歌舞伎は菊五郎劇団と決まっている。

毎年、お正月らしい派手な演目で、7年前も同じ「八犬伝」だった。


今日、プログラムを買ったら、配役と筋書きの一部変更の1枚紙が入っていた。ギリギリまで練り直していたという訳だが、7年前も同様だったというのがおかしい。

帰宅後、残してある過去のプログラムも読み直してみたが、7年前のプログラムに印刷された筋書きとその一部訂正、今回のプログラムの筋書きとその一部訂正という計4種類の筋書きがほぼ同じで、宿敵をその場で倒すか後日譚に任せるかの違いを毎回、手直ししている。


どうせ、スペクタクルが売り物の演目なので、そんなに拘ることもなかろうと思うけど…。


見どころの多い芝居だが、やはり、1番の見ものは菊之助と松緑の芳流閣の大屋根での立ち回りではないか。


灰色の瓦と白い漆喰の網目模様。

その上で真っ赤な着物の菊之助と金襴緞子の松緑が絡んでは見得を切る。

その姿が絵に描いたように美しい。


ところで、菊五郎御大の動きに力がなかったが、大丈夫だろうか。


国立劇場の歌舞伎として、久々の大入りは同慶の至り。


♪2022-002/♪国立劇場-01

2021年3月9日火曜日

3月国立劇場 歌舞伎公演

2021-03-09 @国立劇場


令和3年3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』
《歌舞伎名作入門》

●入門 歌舞伎の“明智光秀”

●四世鶴屋南北=作
中村吉右衛門=監修
時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)三幕

序 幕 饗応の場
二幕目 本能寺馬盥の場
大 詰 愛宕山連歌の場


----------------
●「入門 歌舞伎の“明智光秀”」
ご案内                片岡亀蔵

●『時今也桔梗旗揚』
武智光秀              尾上菊之助
小田春永              坂東彦三郎
光秀妻皐月          中村梅枝
森蘭丸                  中村萬太郎
光秀妹桔梗          坂東新悟
森力丸                  中村鷹之資
山口玄蕃              中村吉之丞
住職日和上人        片岡亀蔵
連歌師宇野丈巴    河原崎権十郎
安田作兵衛            中村又五郎
                                          ほか


「時今也桔梗旗揚」(ときはいまききょうのはたあげ)

光秀が信長のパワハラに我慢ならぬと謀反を起こす物語。

初見だったが楽しめた。


主人公光秀役の菊之助(初役)のほかに信長役の彦三郎、片岡亀蔵、又五郎、梅枝、新吾などいずれも口跡の良いシャキシャキした中堅と若手が清新に舞台を引き締めた。


重鎮は一人も配役されていなかったが、役者の気合十分で、緩むところがなかった。


菊之助は白塗りがよく似合う。

彦三郎はホンに憎らしや!


この作品、本篇中に義太夫が全然使われていない。

鶴屋南北の作品には珍しくないみたいだが、寂しくもあり、一方で科白劇として分かり易かったのかもしれない。


本編に先立って、解説を片岡亀蔵が面白おかしく勤めたが、これもなかなかの見もの・聴きもので、夏の鑑賞教室のような構成だ。


それにしても、平日昼間なので、もとより観客層は限られるが、空席が目立った。こんな面白い芝居をもったいないことだ。


♪2021-022/♪国立劇場-03

2020年11月20日金曜日

11月歌舞伎公演第1部

 2020-11-20 @国立劇場

【第一部】
近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
平家女護島(へいけにょごのしま)-俊寛-
            国立劇場美術係=美術

序幕 六波羅清盛館の場
二幕目 鬼界ヶ島の場

平相国入道清盛/俊寛僧都   中村吉右衛門
海女千鳥           中村雀右衛門
俊寛妻東屋/丹左衛門尉基康    尾上菊之助
有王丸                         中村歌昇
菊王丸                           中村種之助
平判官康頼                          中村吉之丞
越中次郎兵衛盛次               嵐橘三郎
丹波少将成経                        中村錦之助
瀬尾太郎兼康                        中村又五郎
能登守教経                          中村歌六



所謂「俊寛」〜鬼界ヶ島。

吉右衛門、菊之助、雀右衛門。
役者が揃ったせいか、コロナ隆盛にも関わらず市松満席近い。

考えてみれば鑑賞・観劇は他人と対面する事は少なく、客は無言で咳払いも粗無い。施設はマメに消毒しているようだし、家に居るより安全?

…とでも思っていなきゃ怖くて観に行けない。

この芝居は、鬼界ヶ島に1人残される俊寛の葛藤が見処だが、放免されないと知った際の地団駄踏む子供じみた態度に比べると船を見送る際の無念さは諦観からか存外おとなしい。

歌舞伎・文楽で何度か観ている中で今回は一番静かな俊寛だったが、あの立場で、あの事情で、人はどんな態度を取るものだろうか、考えさせられた。

吉右衛門は長くこの役を演じながら考え抜いて今の形に至ったのだろうが、これは難しい芝居だなと気付かされた。

それが今日の収穫かな。

♪2020-080/♪国立劇場-10