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2021年9月5日日曜日

国立劇場開場55周年記念 人形浄瑠璃文楽 令和3年9月公演第Ⅱ部

2021-09-05@国立劇場



●卅三間堂棟由来 (さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)
 平太郎住家より木遣音頭の段
中 睦太夫/清志郎
切 咲太夫/燕三
奥 呂勢太夫/清治
人形 吉田和生・桐竹紋臣・吉田簑一郎・
   吉田簑二郎・吉田玉助・桐竹勘次郎

●日高川入相花王 (ひだかがわいりあいざくら)
 渡し場の段
三輪太夫・咲寿太夫/
碩太夫・聖太夫・團七・清𠀋・錦吾_清允・青方
人形 吉田清五郎・吉田勘市


機会の少ない文楽の前回公演を、コロナ拡大中につき弱気にも断念したので、2月公演以来の久しぶりの文楽観賞だった。
客席に座った時に、その場限りにせよ、日常が戻ったなあと嬉しくなった。

「卅三間堂棟由来」は文楽では始めての観賞だが、歌舞伎では数回観ている。

異類婚姻譚の一種。
柳の精・お柳は、平太郎と縁あって結ばれ、子(緑丸)を成す。
平和な暮らしも長くは続かず、ある日、白河法皇の病気平癒のため建てる三十三間堂の棟木に使う柳の大木が切り倒されることに。
その柳の木こそお柳その者なのだ。

切り倒されて都に運ばれる柳の大木は夫と緑丸が見送る場面で動かなくなる。

夫が歌う木遣音頭に合わせて緑丸が綱を曳くと、びくとも動かなかった柳が動き出す。
夫婦・母子の無念の別れが涙を誘う。

豊竹咲太夫・鶴澤清治・吉田和生の人間国宝トリオが結集して、何やらありがたい舞台ではあった。

♪2021-089/♪国立劇場-06

2016年7月27日水曜日

平成28年7月歌舞伎鑑賞教室「卅三間堂棟由来」(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい) (平成28年度神奈川県歌舞伎鑑賞教室)

2016-07-27 @県立青少年センター


●解説 歌舞伎のみかた   
   坂東新悟

若竹笛躬・中邑阿契=作
山田庄一=補綴
●卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)二幕三場
      国立劇場美術係=美術

  序  幕 紀州熊野山中鷹狩の場
  二幕目 横曽根平太郎住家の場
           木遣音頭の場

中村魁春⇒お柳<おりゅう>(実は柳の精)
坂東秀調⇒進ノ蔵人<しんのくらんど>
中村歌女之丞⇒平太郎母滝乃
市村橘太郎⇒伊佐坂運内<いささかうんない>
中村松江⇒太宰師季仲<だざいのそちすえなか>
坂東彌十郎⇒横曽根平太郎<よこそねへいたろう>
  ほか

国立劇場で初日を観たが、7月の歌舞伎鑑賞教室は横浜でも公演があるので再度観にいった。

今回は、前方8列目、花道から7番目に席をとった。下手(しもて)に偏するけど、役者には近い。

国立の大きな舞台に比べると少し手狭だが、席が舞台に近かったことや客席全体もこじんまりとしているので没入感はむしろ大きかった。

芝居の感想は初日(7月3日)に書いたとおりだが、役者たちの熱演にはあらためて感心する。国立劇場で休み無しの22日間・42回の公演を終えて、中2日の休みを挟んで横浜での2日間・4公演だ。
少しは手抜きがあるかと思ったが、それは全く感じられなかった。おそらく、一度でも手を抜くと芸がダメになるのだろう。この日の午後の部で千秋楽だが、ゆっくり夏休みをとってほしいものだ。

子役(緑丸)が初日と同じ子供(2人交代)かどうか分からないけど、なかなかうまい。大先輩たちに混じって演じているうちに徐々に腕を上げてきたようだ。花道七三で短い足を踏ん張って見得を切る姿は堂々として可愛らしい。

地味な演目で、役者も花形とはいえない。
昨年の菊之助の公演の時のような熱気がなく、客席もおとなしくて大向うは全然かからない。拍手さえはばかられるような雰囲気で、多分、あまり歌舞伎を観慣れていないお客が多かったのではないか。それでも終盤に向かって徐々に拍手の和が広がっていったのは良かった。
尤も、歌舞伎鑑賞において拍手はするべきではないという意見もあるらしいが、これは少数異見だろう。


♪2016-104/♪県立青少年センター-1

2016年7月3日日曜日

平成28年7月歌舞伎鑑賞教室「卅三間堂棟由来」(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)

2016-07-03 @国立劇場


●解説 歌舞伎のみかた   
    坂東新悟

若竹笛躬・中邑阿契=作
山田庄一=補綴
●卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)二幕三場
    国立劇場美術係=美術

 序 幕 紀州熊野山中鷹狩の場
 二幕目 横曽根平太郎住家の場
     木遣音頭の場

中村魁春⇒お柳<おりゅう>(実は柳の精)
坂東秀調⇒進ノ蔵人<しんのくらんど>
中村歌女之丞⇒平太郎母滝乃
市村橘太郎⇒伊佐坂運内<いささかうんない>
中村松江⇒太宰師季仲<だざいのそちすえなか>
坂東彌十郎⇒横曽根平太郎<よこそねへいたろう>
  ほか

「卅三間堂棟由来」は異類婚姻譚の一種。
柳の精・お柳は、今は落魄の武士・平太郎の弓の腕前のおかげで危ういところ一命をとりとめる。それが縁で2人が結ばれ、子(緑丸)を成すが平和な日々は長くは続かない。

およそ5年経過したある日、都から知り合いの武士が平太郎一家が住む熊野にやってくる。白河法皇の病気平癒のために都に三十三間堂を建てることになり、その棟木に使う柳の大木を伐りに来たのだ。

お柳はそれを聴いて自分の最期を知る。
まさにその柳の木こそお柳そのものなのだ。

やがて、柳に斧が振るわれる。カーンという音。これは小鼓だろうか。激痛に身悶えしながら、お柳のクドキが始まる。
すべてを知った平太郎も緑丸も姑も為す術はなく、4人が互いに掻き抱きながら、無情の別れが竹本(浄瑠璃)の気合も高らかに哀切極まりない。
ああ、この話で江戸の庶民は涙を搾り取られたんだろうなと思いながら観ていたが、隣のお兄さんも鼻をグズグズ言わせ始め、つい伝播して不覚の涙。

特に切り倒された柳の大木を運ぶ木遣り音頭の場面では、大勢の曳き手にもかかわらず、駆けつけた平太郎や緑丸を前に柳は微動だにしなくなる。そこで、緑丸が「かかさま~」と縋りより、手綱を曳くとお柳の思いが晴れたか、ゆっくりと動き出す。
緑丸を演じた子役(星一輝と山田華音のダブルキャストなのでこの日=初日どちらが出ていたのか分からないが)がなかなか上手で、しっかり感情移入させてくれた。

大道具の仕掛けもいろいろあって、姿が消えたり、早変わりに宙吊りまでと、人情モノにしては凝った作りが面白かった。

平太郎の彌十郎とお柳の魁春。
これまで、余り主要な役は観る機会がなかったが、いずれも力の入った良い芝居だったと思う。


♪2016-092/♪国立劇場-04