2023年7月19日水曜日
未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 令和5年7月歌舞伎鑑賞教室(第107回歌舞伎鑑賞教室) 『双蝶々曲輪日記-引窓-』
2022年11月2日水曜日
未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 “歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”
2022年6月13日月曜日
6月歌舞伎鑑賞教室(第101回 歌舞伎鑑賞教室)
2021年11月25日木曜日
国立劇場開場55周年記念 令和3年度(第76回)文化庁芸術祭協賛公演 11月歌舞伎公演『一谷嫰軍記』
2021-11-25 @国立劇場
並木宗輔=作
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき) 二幕
国立劇場美術係=美術
序 幕 御影浜浜辺の場
二幕目 生田森熊谷陣屋の場
熊谷次郎直実 中村芝翫
源義経 中村錦之助
梶原平次景高 中村松江
経盛室藤の方 中村児太郎
堤軍次 中村橋之助
亀井六郎 市村竹松
片岡八郎 市川男寅
伊勢三郎 中村玉太郎
駿河次郎 中村吉之丞
庄屋孫右衛門 中村寿治郎
番場の忠太 中村亀鶴
熊谷妻相模 片岡孝太郎
白毫の弥陀六 中村鴈治郎
実ハ弥平兵衛宗清
ほか
初日に面白かった、というか、よくできた芝居だなと思ったことと、中心となる「熊谷陣屋」の演じ方の、多分、珍しい方である「芝翫型」は当分観る機会がないだろうからと思い、もう一度観る機会を窺っていた。
N響定期を振り替えたので、ちょうどこれが歌舞伎の楽日と重なって観賞効率が良くなった。
型を重んずる芸の世界なので、アドリブらしき台詞も初日と同じだったのが笑えたが、おそらく、この3週間で磨きがかかったのだろう。
問題は、初日同様入りが悪い。
こんな調子で芝翫型が廃れたのでは寂しい。
2021年11月2日火曜日
国立劇場開場55周年記念 令和3年度(第76回)文化庁芸術祭協賛公演 11月歌舞伎公演『一谷嫰軍記』
2021年7月5日月曜日
7月歌舞伎鑑賞教室(第100回 歌舞伎鑑賞教室)
2021-07-05 @国立劇場
解説 歌舞伎のみかた
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)一幕
国立劇場美術係=美術
河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場
●「解説 歌舞伎のみかた」
解説 中村種之助
●『義経千本桜』
佐藤忠信/源九郎狐 中村又五郎
駿河次郎 中村松江
亀井六郎 中村種之助
法眼妻飛鳥 中村梅花
河連法眼 嵐橘三郎
源義経 中村歌昇
静御前 市川高麗蔵
ほか
そもそも中高生の団体鑑賞の為の公演だが、内容は手抜きなしの本物だ。
好きな席が取りづらいのは止むを得ない。今回は2階の4列目。なのに、単眼鏡を忘れたのは残念。
解説は先月に続いて種之助。巧い。
今回は本編の内容にかなり入り込んだ説明だった 。
「義経千本桜」という長い物語の一場だけを上演するので、先立つ事情などを説明したのは良かった。
「河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場」は何度も観ているが、この芝居の面白さは、早変わりなどの見せ場もあるけど、400歳!の「子狐」の演技で親子の情愛を表現するところで、歌舞伎入門には良いが、さりとて簡単に卒業できる演目でもないなと思う。
♪2021-068/♪国立劇場-05
2019年11月11日月曜日
11月歌舞伎公演「孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)―日向嶋―」
西沢一風・田中千柳=作『大仏殿万代石楚』
若竹笛躬・黒蔵主・中邑阿契=作『嬢景清八嶋日記』から
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言 孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ) 四幕五場
― 日向嶋 (ひゅうがじま) ―
国立劇場美術係=美術
序 幕 鎌倉大倉御所の場
二幕目 南都東大寺大仏供養の場
三幕目 手越宿花菱屋の場
四幕目 日向嶋浜辺の場
日向灘海上の場
悪七兵衛景清⇒中村吉右衛門
源頼朝/花菱屋長⇒中村歌六
肝煎左治太夫⇒中村又五郎
仁田四郎忠常⇒中村松江
三保谷四郎国時⇒中村歌昇
里人実ハ天野四郎⇒中村種之助
玉衣姫⇒中村米吉
里人実ハ土屋郡内⇒中村鷹之資
和田左衛門義盛⇒中村吉之丞
俊乗坊重源/花菱屋遣手おたつ⇒嵐橘三郎
梶原平三景時⇒大谷桂三
秩父庄司重忠⇒中村錦之助
景清娘糸滝⇒中村雀右衛門
花菱屋女房おくま⇒中村東蔵
ほか
9月の文楽「嬢景清八島日記」に前段2幕を加えた歌舞伎版通し。
時代物に世話物がサンドイッチになった構造。
特に終幕・日向嶋は能の様式も取り入れて多彩な見もの。
吉右衛門、歌六、又五郎、雀右衛門、東蔵とうれしい芸達者が揃った。
最近歌昇がいい。
♪2019-174/♪国立劇場-14
2019年10月7日月曜日
10月歌舞伎公演「通し狂言 天竺徳兵衛韓噺」
天竺徳兵衛/座頭徳市/斯波左衛門⇒中村芝翫
梅津掃部⇒中村又五郎
梅津奥方葛城⇒市川高麗蔵
山名時五郎/奴鹿蔵⇒中村歌昇
下部磯平⇒大谷廣太郎
銀杏の前⇒中村米吉
佐々木桂之介⇒中村橋之助
侍女袖垣⇒中村梅花
石割源吾/笹野才造⇒中村松江
吉岡宗観/細川政元⇒坂東彌十郎
宗観妻夕浪⇒中村東蔵
ほか
四世鶴屋南北=作
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「天竺徳兵衛韓噺」(てんじくとくべえいこくばなし)
三幕六場
国立劇場美術係=美術
序幕 北野天満宮鳥居前の場
同 別当所広間の場
二幕目 吉岡宗観邸の場
同 裏手水門の場
大詰 梅津掃部館の場
同 奥座敷庭先の場
国立劇場での通し狂言としては20年ぶりだそうだが、17年前に猿之助の「天竺徳兵衛新噺」(明治座)を観ていたので、変だなと思ったが、よく読めば「韓噺〜いこくばなし」と「新噺〜いまようばなし」との違いがある。
今回のは「いまよう」ではないのだから、古くからある噺で本家なのだろう。
大蝦蟇が出てきたり妖術を使ったりと外連味たっぷりの娯楽作とはいえ、猿之助と芝翫ではだいぶキャラが違う。
たまたま両方の舞台に異なる役で出ている米吉も二つの演目は噺が違うとプログラムに書いているが、その違いはもはや思い出せず、猿之助版の方が遥かに面白かったことは思い出しながら芝翫版を観たのでイマイチ気合が入らなかった。
2019年7月16日火曜日
令和元年6月 第96回歌舞伎鑑賞教室「菅原伝授手習鑑ー車引」/「棒しばり」
解説 歌舞伎のみかた 坂東新悟
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 一幕
―車引(くるまびき)―
国立劇場美術係=美術
吉田社頭車引の場
岡村柿紅=作
棒しばり(ぼうしばり) 長唄囃子連中
(主な配役)
「菅原伝授手習鑑 -車引- 」
舎人松王丸⇒尾上松緑
舎人梅王丸⇒坂東亀蔵
舎人桜丸⇒坂東新悟
舎人杉王丸⇒中村玉太郎/尾上左近(交互出演)
藤原時平⇒中村松江
ほか
「棒しばり」
次郎冠者⇒尾上松緑
太郎冠者⇒坂東亀蔵
曽根松兵衛⇒中村松江
ほか
7月は短篇2本。菅原伝授手習鑑から「車引」。
三ツ子の兄弟の出会い・睨み合いを描くだけでこれといって面白い話ではないが、歌舞伎の荒事・和事・実事を隈取りや車鬢、衣装、小道具などで描き分ける点で入門にも相応しい。
松緑の松王丸、亀蔵の梅王丸やよし!
後半は「棒しばり」。
狂言から移された松羽目物。
オリジナルの狂言は若い頃に観ているが歌舞伎版は初見。
遠い記憶と照らしてはほぼ同じように思ったが…。
主人の留守中、悪さをせぬようにと次郎冠者は棒に両手を縛られ太郎冠者は後ろ手に縛られるが、二人協力して酒の壺から大酒する様のおかしさ。こちらも松緑と亀蔵が大活躍。
松江が前半では藤原時平、後半では大名(曽根松兵衛)の役で舞台を締めるはずだけど、イマイチ貫禄不足かなあ。この人は真面目一方な感じで(実際は知らないけど…)ハッタリが不足している。
♪2019-101/♪国立劇場-10
2018年12月6日木曜日
12月歌舞伎公演 通し狂言「増補双級巴」〜石川五右衛門〜
石川五右衛門⇒ 中村吉右衛門
壬生村の次左衛門⇒ 中村歌六
三好修理太夫長慶⇒ 中村又五郎
此下藤吉郎久吉・真柴筑前守久吉⇒尾上菊之助
大名粂川但馬⇒ 中村松江
大名田島主水/早野弥藤次⇒ 中村歌昇
足柄金蔵/大名白須賀民部⇒ 中村種之助
次左衛門娘小冬⇒ 中村米吉
大名天野刑部/小鮒の源五郎⇒ 中村吉之丞
大名星合兵部/三二五郎兵衛⇒ 嵐橘三郎
呉羽中納言氏定/大名六角右京⇒ 大谷桂三
足利義輝⇒ 中村錦之助
傾城芙蓉/五右衛門女房おたき⇒ 中村雀右衛門
義輝御台綾の台⇒ 中村東蔵
ほか
三世瀬川如皐=作
国立劇場文芸研究会=補綴
国立劇場美術係=美術
通し狂言 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)四幕九場
―石川五右衛門―
中村吉右衛門宙乗りにて
つづら抜け相勤め申し候
発 端 芥川の場
序 幕 壬生村次左衛門内の場
二幕目 第一場 大手並木松原の場
第二場 松並木行列の場
三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場
第二場 同 奥庭の場
第三場 木屋町二階の場
大 詰 第一場 五右衛門隠家の場
第二場 藤の森明神捕物の場
今月の国立劇場は役者が豪華。
吉右衛門、歌六、又五郎、菊之助、錦之助、雀右衛門、東蔵ら。
石川五右衛門を題材とするいくつかの作品を素材に三世瀬川如皐が取りまとめた作品(1851年初演)を基に、今回、新たに翻案したそうである。
場面によっては、90年(木屋町二階)、70年(壬生村)、50年(五右衛門隠家)ぶりの発掘という。こういうところが国立劇場らしい。
が、<娯楽>に留めず、石川五右衛門の家族を思う人間味を表現しようとした試みが、次ぎ接いだ前後で五右衛門の様子が異なる印象を齎す結果となり、謂わば木に竹接いだ感じになってしまったのは残念。
が、今回の売り物の一つ、「宙乗葛籠抜け」には驚いた。
花道上を大きな葛籠が宙にぶら下がって2階客席前辺りまできたところで、その中から吉右衛門が飛び出すのは、そういう仕掛けがあることは承知していたけど、実際に眼前で起こって、これは驚いた。目の前で見たのだけど、どういう仕掛けになっていたのか、一瞬の出来事なので、分からなかった。
最後は吉右衛門の大立ち回りだ。
これも、形を見せるものだとはいえ、背中が丸くなったような吉右衛門のひたすらスローモーションの立回りに不安を禁じ得なかった。
役の大きさの割に見せ場の少なかった菊之助、娘役がドンピシャの米吉が1幕で姿を消すなど、欲求不満が残ったものである。
♪2018-162/♪国立劇場-016
2018年11月4日日曜日
平成30年度(第73回)文化庁芸術祭協賛 明治150年記念 11月歌舞伎公演 通し狂言「名高大岡越前裁」
河竹黙阿弥=作
国立劇場文芸研究会=補綴
国立劇場美術係=美術
通し狂言「名高大岡越前裁」(なもたかしおおおかさばき)六幕九場
序 幕 第一場 紀州平沢村お三住居の場
第二場 紀州加田の浦の場
二幕目 美濃長洞常楽院本堂の場
三幕目 第一場 大岡邸奥の間の場
第二場 同 無常門の場
第三場 小石川水戸家奥殿の場
四幕目 南町奉行屋敷内広書院の場
五幕目 大岡邸奥の間庭先の場
大 詰 大岡役宅奥殿の場
大岡越前守忠相⇒中村梅玉
大岡妻小沢⇒中村魁春
法沢後二天一坊⇒市川右團次
田口千助⇒中村松江
吉田三五郎⇒市川男女蔵
下男久助/池田大助⇒坂東彦三郎
大岡一子忠右衛門⇒市川右近
お三⇒中村歌女之丞
僧天忠/久保見杢四郎⇒嵐橘三郎
土屋六郎右衛門⇒大谷桂三
伊賀亮女房おさみ⇒市川齊入
平石治右衛門⇒坂東秀調
名主甚右衛門⇒市村家橘
山内伊賀亮⇒坂東彌十郎
徳川綱條⇒坂東楽善
下女お霜⇒中村梅丸
ほか
昨日が初日で今日は日曜日。にもかかわらず客席は閑散としていた。
梅玉、魁春、右團次、彦三郎、彌十郎など渋い役者が渋い芸を見せてくれるのだけど華には不足するなあ。
越前守(梅玉)が天一坊(右團次)一味の騙りを鮮やかに裁くよくある話とは趣向を変えてあり、尻尾を掴ませない悪党たちの為に、越前守、その妻(魁春)、嫡男(右近)が切腹の危機に陥る。
この越前守の、奉行としてあくまでも自分の直感を信じて真実を見極めたいとする業のような真摯な人柄と、それによって思いもよらぬ窮地に落ち込むさまを通して、これまでの大岡裁きモノとは異質な、人間越前守を描こうとしているのだろう。
悪事の証拠を収集すべく遠国に派遣した家来たちが中々帰参せず、切腹の刻限が迫って来る。
屋敷で待ち受ける忠臣大介(彦三郎)は、気が気でならず、越前守に「今、暫くお待ちくだされ」と必死に頼みながら同士の帰りを今か今かと焦って待っている。
ここは、恰も「忠臣蔵」四段目の如し。
時事ネタ入れて笑える場面も。
悪党、天一坊を右團次が演じているが、この人がこんな大きな役を演じるのを観たのは初めて。梅玉との掛け合いで彼のセリフの出るのが遅い場面があって、これはヒヤッとしたが、全体としてはまずまずの出来かな。
若手役者ではいつもながら梅丸がよろしい。
まるで女性にしか見えない。
https://youtu.be/Do1quJB4pa8
♪2018-140/♪国立劇場-015
2018年10月4日木曜日
十月歌舞伎 通し狂言「平家女護島」
近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
国立劇場美術係=美術
通し狂言 平家女護島(へいけにょごのしま)三幕四場
序 幕 六波羅清盛館の場
二幕目 鬼界ヶ島の場
三幕目 敷名の浦磯辺の場
同 御座船の場
(主な配役)
平相国入道清盛/俊寛僧都⇒中村芝翫
俊寛妻東屋⇒片岡孝太郎
瀬尾太郎兼康⇒中村亀鶴
能登守教経/丹左衛門尉基康⇒中村橋之助
俊寛郎等有王丸⇒中村福之助
上臈松ヶ枝⇒中村梅花
海女千鳥⇒坂東新悟
越中次郎兵衛盛次/丹波少将成経⇒中村松江
後白河法皇⇒中村東蔵
ほか
所謂「俊寛」に前後の段を加えた通しとして演じられた。できるだけオリジナルを復元して次代に伝えようという姿勢で、これが国立劇場の魅力だ。
しかし、先月秀山祭@歌舞伎座で吉右衛門が「俊寛」を演ったせいか、2ヵ月続いて「俊寛」では誰が演じてもお客は呼べないだろう。
僕は、秀山祭は昼の部だけを観て夜の部の「俊寛」をパスし、今月の国立での通し狂言「平家女護島」に期待をしていた。
しかし、というか、案の定というべきか、厳しい状況で、芝翫が吉右衛門にかなうはずもなし。
今日のお客の入りは全館で五分〜せいぜい六分の入りか。
舞台は芝翫親子が熱演しているのだけど、空席の目立つ客席は緊張がシカンしていた。
芝翫の息子たち、橋之助・福之助兄弟はそれぞれに出番の多い役で頑張っていたが、舞台にも生まれる緊張の隙間を埋めるには到底心もとなく、お稽古教室の感があった。
鬼界ヶ島で俊寛に斬り殺されてしまう悪役・瀬尾太郎兼康を中村亀鶴が演じていた。亀鶴という役者をこれまで何度も観てきているが、その都度忘れてしまう、まあ、あまり存在感のある役は振られていなかったように思うが、今回の役はなかなか良かった。元気な悪党ぶりが頼もしかった。これで当分覚えているだろう。
♪2018-123/♪国立劇場-014
2018年4月5日木曜日
四月大歌舞伎 昼の部
●明治百五十年記念
真山青果作「江戸城総攻」より
松竹芸文室 改訂
大場正昭 演出
一、西郷と勝(さいごうとかつ)
西郷隆盛⇒松緑
山岡鉄太郎⇒彦三郎
中村半次郎⇒坂東亀蔵
村田新八⇒松江
勝海舟⇒錦之助
●通し狂言
梅照葉錦伊達織(うめもみじにしきのだており)
二、裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)
大場道益宅
足利家御殿
同 床下
小助対決

下男小助/仁木弾正⇒菊五郎
乳人政岡⇒時蔵
細川勝元⇒錦之助
下女お竹/沖の井⇒孝太郎
倉橋弥十郎⇒松緑
荒獅子男之助⇒彦三郎
渡辺民部⇒坂東亀蔵
鶴千代⇒亀三郎
松島⇒吉弥
大場宗益⇒権十郎
横井角左衛門⇒齊入
栄御前⇒萬次郎
八汐⇒彌十郎
大場道益⇒團蔵
渡辺外記左衛門⇒東蔵
メインは、通し狂言「梅照葉錦伊達織」〜「裏表先代萩」。
と、ポスターや筋書きに書いてあるが、この意味がよく分からない。長大な通し狂言「梅照葉錦伊達織」の中の「裏表先代萩」の幕という意味ではなさそうで、どちらも同じ芝居を指しているようだが、どうしてこんなタイトルになっているのか。「梅照葉錦伊達織」という演目で上演されたこともあるようだ。内容は「伽羅先代萩」の変形なので「裏表先代萩」という言い方の方が伝わりやすいところから、いつしか、今のような形になったのかもしれない。
なにゆえ「裏表」なのか、と言えば、<時代物>である「伽羅先代萩」を「表」とし、そのスピンオフとして町人を主人公にした<世話物>を「裏」として、裏から初めた物語を次は表と交互に綴り、一本の話として成立させているのだ。
実に面白い趣向であるが、更に加えて両方の主人公格(表の伽羅先代萩では仁木弾正、裏では下男小助)を一人の役者が二役をするというのが通例になっているようで、時には最大4役を演じたという記録があるそうな。一人で主役格の複数の役をこなすというのもこの芝居の趣向となっているようだ。
今回は菊五郎がその両者を演じている。
そんな訳で、一粒で二度美味しいアーモンドグリコのような芝居だが、惜しいのは表と裏が交錯しないという点だ。もちろん話はつながっているのだけど、そのつながりが弱く、良いアイデアなのに二つの話が別々に進行してゆくのがイマイチもったいない。
さて、本日の歌舞伎座はガラガラだった。こんなに空席が目立つのも珍しい。やはり、一月、二月と高麗屋三代襲名で大勢の役者が揃った反動で、所謂、人気スターがお休みか、あるいは地方巡業に回ったのではないか。
しかし、今回歌舞伎座で留守を守る役者たちはどちらか言えば好みの
渋い役者が揃っている。
菊五郎、時蔵、錦之助、孝太郎、松緑、彦三郎、坂東亀蔵、萬次郎、彌十郎、團蔵、東蔵など。
中でも、彌十郎の八汐、東蔵の外記左衛門は驚いた。男女の役割が逆様だ。東蔵の立役は初めてでは無いけど、僕の鑑賞歴では非情に珍しい。彌十郎が女形を演じたのは、我が記録・記憶にはなく、多分今回が初めてだった。
2014年の11月国立劇場の「伽羅先代萩」では坂東彌十郎が渡辺外記左衛門(荒獅子男之助も)を、東蔵が栄御前を演じていたが、まあ、この配役が普通の形だろう。
元々声のよく通る彌十郎がひときわ大音声で勤めるので八汐の怖さ倍増だ。いやはや、珍しいものを観せてもらった。
♪2018-035/♪歌舞伎座-02
2017年11月8日水曜日
11月歌舞伎公演「坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)」「沓掛時次郎(くつかけときじろう)」
平成29年度(第72回)文化庁芸術祭協賛
山本有三生誕百三十年
山本有三=作
二世尾上松緑=演出
坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)四幕
中嶋正留=美術
第一幕 茶臼山家康本陣
第二幕 宮の渡し船中
第三幕(一)駿府城内茶座敷
(二)同 表座敷の一室
第四幕 牛込坂崎江戸邸内成正の居間
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長谷川伸=作
大和田文雄=演出
沓掛時次郎(くつかけときじろう)三幕
釘町久磨次=装置
序幕 (一)博徒六ッ田三蔵の家の中
(二)三蔵の家の外
(三)再び家の中
(四)再び家の外
(五)三たび家の中
二幕目 中仙道熊谷宿裏通り
大詰 (一)熊谷宿安泊り
(二)喧嘩場より遠からぬ路傍
(三)元の安泊り
(四)宿外れの路傍
中村梅玉⇒徳川家康/沓掛時次郎
中村魁春⇒三蔵女房おきぬ
尾上松緑⇒坂崎出羽守成正/六ッ田の三蔵
中村松江⇒南部左門/大野木の百助
坂東亀蔵⇒本多平八郎忠刻/苫屋の半太郎
中村梅枝⇒家康の孫娘千姫
中村歌昇⇒松川源六郎
市村竹松⇒坂崎の小姓
市川男寅⇒松平の使者
中村玉太郎⇒坂崎の小姓
尾上左近⇒三蔵倅太郎吉
市村橘太郎⇒三宅惣兵衛/安宿の亭主安兵衛
中村歌女之丞⇒安兵衛女房おろく
嵐橘三郎⇒本多佐渡守正信
河原崎権十郎⇒本多上野介正純
市村萬次郎⇒刑部卿の局
坂東楽善⇒八丁徳
市川左團次⇒金地院崇伝
ほか
新歌舞伎2本立て。僕としては国立劇場では初めての経験。
竹本も三味線もなし。戦場のざわめき、風、雨、波などの自然音の録音(あるいは効果音?)が使われる。
幕は、普通は定式幕だが、今回はすべて暗転と緞帳が上ったり降りたり。
見得はない。
色々と普段の歌舞伎とは勝手が違うので、拍手のタイミングも難しく、僕は声を掛けたりしないけど、大向こうも出番に窮していたようだ。
かわった出し物であるせいか、今日の客席はせいぜい半分ほどしか埋まっていない。これじゃ役者も気合いが入らないだろう。
坂崎出羽守
無骨にして直情径行の男が、焼け落ちる大阪城天守から自らの顔面の半分を焼きながらも千姫を救い出す。家康が救いだせば嫁にやろうと言われ、急に恋心が芽生える。一旦芽生えると激しい性格ゆえに、千姫一途となるが、肝心の千姫は無骨な坂崎に振り向こうともせず、祖父の家康に縁談を断る。千姫は仏門に入るという理由で縁談を断り、その際、誰にも嫁がないという確認をとってなんとか承知したが、後日、恋敵に嫁ぐことを知ってその行列に狼藉に及ぶという話だ。
まったく、戦場でしか役に立たない男ゆえの悲劇だが、あまりに初心なので彼に感情移入できないのは残念。松緑は祖父のために書かれた芝居を父に次いで今回ようやく初役で勤めるので思い入れもあるだろうし、良い味を出しているけど、現代人が観るには芝居に無理があるなあ。
沓掛時次郎
うーむ。これはイマイチ良さが分からなかった。第一、梅玉のような品のある役者にヤクザものは似合わない。物語もピンと来ない。時次郎は一宿一飯の義理で、土地の博徒の頭を斬り捨てるが、その博徒には妻と幼い子供が居た。今際の際に「女房、子供を頼む」と言われた時次郎はそれを引き受けて以後3人で旅が始まる…。もう、この設定が理解不能だ。後は、人情噺としてそれなりに分からないでもないけど、とても共感できる話ではなかった。
演技のスタイルも、歌舞伎というより新派とか新国劇風だ。国立劇場向きとは思えない。
♪2017-173/♪国立劇場-17