2023年1月31日火曜日

新国立劇場オペラ「タンホイザー」

2023-01-31 @新国立劇場



【指揮】アレホ・ペレス
【演出】ハンス=ペーター・レーマン
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【照明】立田雄士
【振付】メメット・バルカン
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【管弦楽】東京交響楽団


【領主ヘルマン】妻屋秀和
【タンホイザー】ステファン・グールド
【ヴォルフラム】デイヴィッド・スタウト(ダニエル・オクリッチの降板による代役)
【ヴァルター】鈴木准
【ビーテロルフ】青山貴
【ハインリヒ】今尾滋
【ラインマル】後藤春馬
【エリーザベト】サビーナ・ツヴィラク
【ヴェーヌス】エグレ・シドラウスカイテ
【牧童】前川依子
【4人の小姓】和田しほり/込山由貴子/花房英里子/長澤美希

R.ワーグナー「タンホイザー」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約4時間05分
第1幕   75分
 休憩  25分
第2幕   65分 
 休憩  25分
第3幕   55分







作品のテーマは劇中の歌合戦の課題と同じ「愛の本質とは」。
具体的には性愛と純愛の対立…と単純化して良いものかどうかは自信がない。
純愛を象徴するエリーザベトでさえ性愛の疼きと葛藤し、聖人君子然のヴォルフラムでさえ、彼のアリア「夕星(ゆうずつ)の歌」が夕星=金星=ヴェーヌスを意味するとあっては、やはり性愛を超越しているとは思えない。
そもそも超越しなければならないものでもなかろう。

性愛と純愛の対立図式はあまりに皮層的。
さりとて、ワーグナーに「愛の本質」について深い考えがあったとも思えない。かなり無理無理の筋運びだ。

で、いつもこのオペラは共感を拒む。

しかし、それはそれとして思考停止すれば、これはとても楽しめるオペラだ。
何と言っても大合唱(最大70人位?全員No Mask!)を中心にした音楽はとても馴染んでいるし、夕星の歌など、ワーグナーにしては(合唱曲を除き)珍しく口ずさむことができる。

今回の舞台(演出/美術/照明)については、なかなか豪華なセットで、その見せ方もうまい。

実は、前回19年に観たものと全く同様なのだけど、4年前の僕の記憶が怪しくなっていたお陰で?とても新鮮に好感した。
序曲と共にアクリル?で作った何本もの太い柱が深い奈落から徐々に競り上がってくる。

これでもう、ワクワクしてくるのだ。
バレエも登場し長い序曲を退屈させない。
その後も柱は自在に動き回る。
照明とプロジェクター投影で、官能(性愛)の世界にまずは誘う。
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ステファン・グールドがまた太った。
声はよく通るし声量も大きいが、膝を突いたり、横になった姿勢から立ち上がる姿が危なっかしい。

ヴォルフラム役のデイヴィッド・スタウトは初聴き。
当初配役されていた歌手(ダニエル・オクリッチ)の「芸術上の理由」による降板の代演だが好演。演出をめぐる対立か?ここまで降板理由を明らかにするのは珍しい。

ヴェーヌス役エグレ・シドラウスカイテもエリーザベト役サビーナ・ツヴィラクも初聴き。いずれも声が通って大舞台で存在感を放った。

牧童の前川依子は何度も新国で聴いているが、デカい歌手に囲まれて、え!子供が出ているのか、と思ったが、可愛らしい。声もよく通っていた。

♪2023-019/♪新国立劇場-02

2023年1月29日日曜日

名曲全集第183回 祝・ラフマニホフ生誕150周年企画第1弾! 「パガニーニの主題による狂詩曲」

2023-01-29 @ミューザ川崎シンフォニーホール



大友直人:指揮
東京交響楽団
上原彩子:ピアノ*

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43*
エルガー:交響曲第2番変ホ長調 op.63
 Ⅰアレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・ノビルメンテ
 Ⅱラルゲット
 Ⅲロンドプレスト
 Ⅳモデラート・エ・マエストーソ
-------アンコール-------
ラフマニノフ:前奏曲集 op.23-2*





昨日の日フィルはラフマニノフが2曲。
今日の東響でもパガニーニ狂詩曲。

そういえば、プログラムには生誕150年と書いてある。

で、今後の各オケの予定を見たら、あるわあるわラフマニノフ祭りだ。
滅多に聴けない作品も並んでいて楽しみ。

一方、昨日からピアノ協奏曲が続いている。

昨日は小林愛実:ベートーベン第3番、小菅優:ラフマニノフ第3番、今日は上原彩子:ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲。

小林はまだ若いけど仲間入りさせて…実力派が揃った。

本当は実力は分からないけど、少なくとも小菅・上原には特別の力が備わっている気がしている。

さて、今日の上原のパガニーニ〜の素晴らしいこと。
なんてこった!

この曲を上原で聴くのは2回目。
パガニーニの主題と第7変奏以降登場する<怒りの日>の主題はその後もいくつかの変奏に形を変えて紛れ込み、第18番変奏で震えがくるような抒情性を堪能させてからはひたすら最終変奏のクライマックスへと駆け上がる。

そのアクロバティックな演奏に、手に汗握る思いで聴き入った。

アンコールはなくとも良かったのに、ラフマニノフの小品でこれも大変な曲。

だいぶ前だが、上原のリサイタルのアンコールで、彼女自身が編曲した超絶技巧「花のワルツ」を聴いて以来、この人はただのピアニストじゃないと思っているし、がっかりしたことはない。

がっかりはエルガー交響曲2番。
今後何度か聴けば面白いと思うかも。

♪2023-018/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2023年1月28日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第384回横浜定期演奏会

2023-01-28 @みなとみらいホール



カーチュン・ウォン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
小菅優:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 op.30*
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 op.27
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ショパン:練習曲 Op25-1 エオリアン・ハープ*
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行




次季首席指揮者カーチュン・ウォンの登場。
初めて聴いたのは2017年6月の神奈川フィル定期。
その時も、それ以降もずっと「カーチュン・ウォンに外れなし」だ。
凡人には分からないとんでもない才人なのか?
人柄がオケとの良い関係を築く?
長編2曲をいずれも暗譜で。

因みに、その初回もラフマニノフ特集で2番の協奏曲(ピアノ:松田華音)と交響曲は今日と同じ2番だった。多分、ラフマニノフを得意としているのだろう。

今回のピアノは小菅優。
彼女の前回は昨年5月のN響Bだったが、サントリーホールのピアノは聴くに耐えないので楽しむどころではなかったが、今日はみなとみらいホールの好環境で、江戸の敵を横浜で討った。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は2番に次いで聴く機会が多い。結構馴染んでいる曲だけど、今日は、とても新鮮だった。へえ〜こんな音楽だったか!という思いを何度か味わった。

交響曲第2番はラフマ印があちこちに刻まれて美しい音楽だ。第3楽章の馴染みの旋律を聴く度に何かと酷似しているなあ…とおもうのだが思い出せない。

♪2023-017/♪みなとみらいホール-03

東京シティフィル第357回定期演奏会

2023-01-28 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:小林愛実*

ベートーべン:「献堂式」序曲 作品124
ベートーべン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40



ベートーベン「献堂式」序曲は初聴き。
作曲の経緯を読むとあまりやる気を持った書いたとは思えないし、実際、聴くと内容的にもとてもベートーべン作とは思えない。
演奏の方もリキが入らず、冒頭の和音5強打中2回目迄は前打音付きかと思うくらいTuttiがズレていた。

小林愛実は昨年2月に都響と協演したベートーべン4番が、それまでの印象を変えて(以前よく聴いた曲種との違いにすぎなかったかも)、とても堂々として情緒を抑えたような様子が好ましいと思ったが、今日のベートーベン協3番でも、磨きをかけているな、という感じがした。
お腹が大きいせいかアンコールなし。

ここでは、オケも本来の力を発揮して好感!

メインが「英雄の生涯」だったが、これを聴いていると日フィル定期に間に合わないので諦めたが、高関氏は当然ここに焦点を合わせていたはずなので残念無念。

まことに余談:
ミーハーの目線では彼女と反田くんの結婚は、釈然としないね。

https://bunshun.jp/articles/-/60361

♪2023-016/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2023年1月27日金曜日

東京フィル第978回サントリー定期シリーズ

2023-01-27 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D759「未完成」
ブルックナー:交響曲第7番(ノヴァーク版)





チョンさんのW7番。
シューベルトの方は3年ぶり。
大昔、アマオケ入団初練習に行ったらチェロは誰も来ていない。で、自己紹介の後すぐ、一人で冒頭の旋律を弾く羽目になって戦慄したことを思い出すよ。あれで実力も余すところなく紹介してしまった。ま、後が楽だったけど。

低音て、他に上声が乗らないと音程が高めに聴こえる。
かつて、我が家に来たピアノの調律師が「低音はより低く、高音はより高く調律しないと本当の高さに聴こえない」と言っていたがそのとおりで、今日の冒頭は音程が定まっていないように聴こえ、バイオリンが刻み出すと転調したかに聴こえ、木管が主題を始めるとまた転調したかのように聴こえ、しばらくしてからやっとロ短調の世界に統一された。

でも、これはオケのせいではない。
それどころか、弦16型という大規模編成であったにも関わらず、弦は透明感があり、とても綺麗な演奏だった。
処々独自な節回しに一瞬違和感があったけど、全体としては好ましい演奏で「完成」された「未完成」。

ブルックナーはどうかな。
あまり好んで聴かない音楽なので、これがフツーの演奏かどうかは分からないが、ここでも弦の美しさは立派なものだった。
一昨日のN響は、ホールのせいで乾いた響きになったのが残念だったが、今日は、みつばちの法則「雨の日はホールが良く鳴る」が当たって潤いもあり、東フィルってこんなに達者なんだ、と再確認。

やや疑問は、管・弦のバランスはこれで良かったのか。ブラスの咆哮に弦が負けていなかったかと思ったりもしたけど。部分的に。

終曲後は、待ちきれないような猛獣の咆哮がそこここで始まった。確かにお達しで禁じられている「ブラボー」ではないのだけど「ウォウ!」「ウワーオ」となんだか気の毒なくらい。いっそはっきり「ブラボー」と叫べば良かったよ。

館内は、もう、5類相当を先取りしたかのようだった。

♪2023-015/♪サントリーホール-03

2023年1月26日木曜日

ランチタイムコンサート〜音楽史の旅⑤

2023-01-26 @かなっくホール



大山大輔:バリトン
宇根美沙惠:ピアノ*
司会・解説:飯田有抄(音楽ファシリテーター)

シューベルト:
 白鳥の歌 D.957から第4曲《セレナーデ》
 冬の旅 D.911から《おやすみなさい》、《菩提樹》
 野ばら D.257
 楽に寄す D.547
 4つの即興曲集 D.935から第2番変イ長調 ピアノ独奏
 魔王 D.328




かなっくランチタイムコンサート「音楽史の旅」全6回の5回目。4回目以降はシューベルトがテーマで、今日は、歌曲集。
オペラアリアの会は珍しくないけど、歌曲それもドイツリートは久しぶり。慣れ親しんだ曲ばかりでとても楽しかった。

このシリーズ、飯田有抄氏のMC付きだが、これがなかなか気が利いていて役に立つ。

今日は、大山大輔氏の歌はもちろん良かったが、飯田氏とピアノの宇根嬢とのやりとりで、絶好物の「冬の旅」におけるピアノ伴奏の特徴を実演付きで解説してくれたのは面白かった。

その「冬の旅」からは「おやすみ」と「菩提樹」。
「おやすみ」冒頭のピアノの8部音符♫♫が流れただけでパブロフの犬みたいにジーンとくるよ。

ピアノ独奏を1曲挟んで最後はやはり「魔王」でしょ!

この冒頭から終曲迄絶え間ないピアノの超速三連音符が凄い。みているだけで右手が引き攣りそうだ。
歌の伴奏を超えたピアノの存在感!

歌も、語り手・父親・子供・魔王の4役を歌い分けてとてもドラマティック!
大山氏によるとこのように、多くの役を声色ではなく歌唱そのもので歌い分けるのが本来の”ベルカント”だったと説明していた。
それはどうか釈然としなかったが、歌唱、ピアノ演奏ともにホンに気迫に満ちて良かった。

♪2023-014/♪かなっくホール-01

2023年1月25日水曜日

第1976回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-01-25 @サントリーホール



トゥガン・ソヒエフ:指揮
NHK交響楽団
アミハイ・グロス:ビオラ*

バルトーク:ビオラ協奏曲(シェルイ版)*
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
ドビュッシー:交響詩「海」
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バルトーク(ペーテル・バルトーク編):44のバイオリン二重奏曲(ビオラ版)-第37番「プレリュードとカノン」* with 佐々木亮



N響の1月はトゥガン・ソヒエフ月間。
Aでドイツ、Bでハンガリー+フランス、Cはロシアと満遍なく取り上げた。
Cは会員じゃないし、他のオケとのダブり解消困難で聴けなかったのは残念。

今日は、なぜバルトークが含まれているか?
多彩な管弦楽技法を楽しむ…とプログラム解説にあった説明は後付けだろう。真意は分からない。

ソヒエフがやりたかっただけかもしれないけど、結果的には管弦楽技法を楽しむ番組になった。

しかし、煌めく色鮮やかな管弦楽の妙味を心から堪能した…という訳にはゆかなかったな…。

N響のアンサンブルは引き締まっていた。細部まで手が入ったという印象だ。

これはAプロでも感じたが、ソヒエフとオケとの信頼関係が確立できていたからではないだろうか。

残念なのは、ホールが乾いていた?
音に潤いが乏しかった。
三鳥の特質とも言えるけど、特に今日は響かなかった。寒気と厚着満席のせいか?
が、合奏力の確かさを実感し、ソヒエフの人柄にも好感。

♪2023-012/♪サントリーホール-02

2023年1月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第382回定期演奏会

2023-01-21 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神尾真由子:バイオリン*
アレシュ・バールタ:オルガン**

ベートーべン:バイオリン協奏曲ニ長調Op.61*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」**
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パガニーニ:24のカプリスから第5番*



1本目ベートーベン:バイオリン協奏曲/押尾真由子。
なんという緊張感。
弱音部の豊かな表現力によって、単に音量のダイナミック・レンジが広いというのではなく、音楽の躍動感が半端ではない。
何度聴いたか分からないこの曲を、今日は新鮮な驚きと幸福感に満たされて聴き終えた。音楽の真髄に一歩近づけたような気さえしたよ。

オケは12型。纏まりよく、弦は透明感を維持して、神尾を引き立てながら見事な合奏力を示す。

この1本で十分満足したが、加えてサン=サーンス「オルガン付き」。

この曲については2018年ミューザでの神フィルの演奏*が最高体験だったが、昨年、みなとみらいホールのリニューアルに登場した井上道義+N響がベストを上書きした。
果たして神フィルの雪辱なるか…。

《*この日、「ガン付き」と一緒に演奏されたのはサン=サーンス:バイオリン協奏曲第3番で、独奏は神尾真由子だったというのも不思議な暗合だ。》

ベートーベンに続いて今日の神フィルの弦の美しいこと。いや管打鍵も呼吸を一つにしている。

ベートーベンが良かったのは主に神尾効果だと感じていたが、2本続くと違うな。沼尻効果だ。

年が明けていよいよ新生神フィルが着実に実力に磨きをかけているのを強く感じた。

今日のガン付き。気分的には井上N響を超えたね。

♪2023-012/♪みなとみらいホール-02

2023年1月20日金曜日

東京都交響楽団 第966回 定期演奏会Aシリーズ

2023-01-20 @東京文化会館



ヨーン・ストルゴーズ:指揮
東京都交響楽団
ペッカ・クーシスト:バイオリン*

シベリウス:カレリア序曲 op.10
シベリウス:バイオリン協奏曲 ニ短調 op.47*
マデトヤ:交響曲第2番 変ホ長調 op.35
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1 Kopsin Jonas(フィンランドの民謡)
2 ELIA(フィンランドの民謡)〜
3 J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのための組曲第3番 ホ長調 BWV1006から IV.メヌエットI


フィンランド出身の指揮者とバイオリン独奏者を迎えて、全曲が同国音楽。

オケが、今日も16型(協奏曲は14型)だったので、また騒がしいのか、と心配したが、「カレリア序曲」の出だしがハッとするような美しさで、この曲はとても良かった。

バイオリン協奏曲:ペッカ・クーシストって下手に聴こえるように弾くのが上手?

でも間違いなく大家なんだ。少なくともシベリウス国際コンクールでは優勝している。

が、伝統的な演奏ではなかった。

アンコールではその特異性を一層発揮。

チューニングか試し弾きか…と思っていたらいつの間にか蚊の鳴くような音で土着臭ぷんぷんの彼の地の民謡を2曲。それがまだ続いていると思っていたらいつのまにかバッハになっていた。

フィンランド民謡とバッハの類似性に、ここは興味深く聴いた。ただ、弓は乗せているだけといった感じで極限まで小さな音だ。協奏曲ではもちろんガリガリとよく鳴らしていたのに。

マデトヤ:初聴き。
異国風で親しみ易い音楽だった。

しかし、「カレリア」では目立たなかった大所帯の弦が、やはりうるさい。

♪2023-011/♪東京文化会館-01

みなとみらいアフタヌーンコンサート2022後期 〜四季&四季 木嶋真優〜

2023-01-20 @みなとみらいホール



木嶋真優 with 弦楽アンサンブル
 独奏バイオリン:木嶋真優
 バイオリン:松野弘明、森田昌弘、白井篤、三又治彦
 ビオラ:千原正裕、中村翔太郎
 チェロ:銅銀久弥
 コントラバス:石川滋
 チェンバロ:山田武彦

ビバルディ:バイオリン協奏曲集「四季」
 第1番ホ長調 RV 269「春」La Primavera
 第2番卜短調 RV 315「夏」L'Estate
 第3番へ長調 RV 293「秋」L'Autunno
 第4番へ短調 RV 297「冬」L'Inverno

ピアソラ:「ブエノスアイレスの四季」
「秋」Otofio Portefio
「冬」Invierno Portefio
「春」Primavera Portefia
「夏」Verano Portefio

------アンコール-----------------------
恋するフォーチュンクッキー


木嶋真優を初めて聴いたのはだいぶ前だが、2回連続してメンデルスゾーンの協奏曲(メンコン)を聴いて、いずれも気分が乗れなかったが、その後、ショスタコやハチャトゥリアンの協奏曲で、俄然見方が変わった。個性派なんだ。

今日は、9人の男性(N響などの主席・次席)から成る弦楽アンサンブルを従えて強力なリーダーシップを発揮した。

ビバルディも結構自由に弾いていたようだったが、ピアソラが特に似合う。こちらはおそらくかなりアドリブを入れているのだと思う。そもそも「秋」の冒頭の長いカデンツァって、原曲にあったかなあ?

ドレスもユニーク。MCも快調。このアンサンブルは「木嶋組」だ。


♪2023-010/♪みなとみらいホール-01

2023年1月17日火曜日

MUZAランチタイムコンサート01月 尺八、翔(か)ける!

2023-01-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール



尺八:長谷川将山 *
ピアノ・作曲:永井秀和 #
囃子:藤舎呂近 $

初代中尾都山:都山流本曲《慷月調》(1903)から初段*
宮城道雄(永井秀和編曲):春の海 - ジャズを添えて(1929/2022)【初演】*#
永井秀和:巡る“流“と”打”-尺八と小鼓のための協奏的二重奏曲 - (2021)【初演】*$
J.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調(BWV1013)から*
     Ⅰアルマンド、Ⅲサラバンド、IVブーレ・アングレーズ
永井秀和:現代風妖怪演舞 - 尺八、小鼓、ピマアノのための-(2022)【初演】*#$




このランチタイムコンサートではクラシックのみならずいろんなジャンルの音楽が格安で聴けるのが魅力だが、邦楽は珍しい。尺八は西洋クラシック音楽に取り込まれたものを聴いたことがあるが、お囃子の小鼓は初めてで実に新鮮だった。

しかも、ピアノも含まれるというまことにレアな編成なのに、お遊び、といった様子は皆無で、すべて真剣勝負といった体に、軽い気持ちで聴きに行ったところを襟を正された感じもした。
ピアノの永井氏が無伴奏作品(2曲とも古典)を除いて、作・編曲を手掛けており、いずれも今日が<初演>ということだった。
中でも小鼓の入った作品はなかなかスリリングな面白い作品だった。

♪2023-009/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-02

2023年1月15日日曜日

読響第7回川崎マチネーシリーズ

2023-01-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール



山田和樹:指揮
読売日本交響楽団

黛敏郎:曼荼羅交響曲
マーラー:交響曲第6番イ短調《悲劇的》


3日連続してブラームス、の後、仕上げがマーラー6番か。
胃凭れしそうなプログラムで実測88分と長かったが、さすがは読響。音楽は片時も緩みなく、食いつくように聴いた。

読響管楽部の巧さは折に触れ感じているが、今日は弦も透明度が高くて、密度の高い合奏力を示した。

マーラーの作品はあまり好きでもないのだけど、6番は分かり易いのか、つまりは好みに合うのか、がっかりしたことがない。

いろんなオケで平均年1回は聴いているが、過去最高の出来はPヤルヴィ+N響@みなとみらいHで、あの神がかりな演奏を超えるものはまったく期待していないが、今日の読響はその時の演奏を彷彿とさせた。


もちろん弦は16型だが、ホールの良さも手伝って、迫力はあれどがさつかず。時に出来不出来はあれど平均的にはやはり読響は実力集団だなと得心させた。

2-3楽章の順はスケルツォ⇒アンダンテ。第1楽章や第4楽章が長大なので、相対的に短めの両楽章の順番はどっちでもいいと思うよ。

前半の曼荼羅交響曲の緊密な合奏力も特筆もの。
これで、6番を傾聴する心の準備ができた。

♪2023-008/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01

2023年1月14日土曜日

NHK交響楽団1974回A定期 01月公演

2023-01-14 @NHKホール



トゥガン・ソヒエフ:指揮
NHK交響楽団

ハオチェン・チャン:ピアノ*

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 83
ベートーべン:交響曲第4番変ロ長調 作品60
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ブラームス:3つの間奏曲 Op117から第1番変ホ長調




昨日、新日フィルで聴いたばかりのブラームス:ピアノ協奏曲第2番を、今日はソヒエフ指揮+ハオ・チャン:ピアノ+N響で。

昨日も素晴らしかったが、今日も大満足。
どっちがどうとも言えない。
今日の方が元気があったか。
でも、昨日は渋かったし。
管は昨日に軍配かな。
弦の一体感はN響が優ったかも。

みんなちがって、みんないい(みすず)
…ということにしよう。

ハオチェン・のアンコールが昨日のネルソン・ゲルナーとニアミスで、同じくブラームスの間奏曲(Op117から1番)だった。
これも個人的には大好きで、Gグールドで聴き倒した⁉︎時期があったので、最初の2音でもう分かったよ。
気が利いた選曲だ。嬉しいね。

ベートーベン交響曲第4番。
プログラムの解説に思わせぶりなことが書いてあって、へえ、そういう見方もあるのか、と注意して聴いたが、確かに冒頭序奏部に仕掛けがあるとも言える。

これまで、どちらかと言えば軽い、陽気な受取りをしていたが勉強になった。

さて、今日(と明日)はマロさん最後のコンマスだったが、名曲・名演で有終の美を飾った。


ところで、ソヒエフは2016年にN響横浜定期で聴いて以来だった。その時は全ロシアものだったが、今月のN響A・Bにはロシアが含まれない。あれれ、気を遣っているのか?と思ったが、Cはロシアものだけのプロだ。それでいいんだ。得意なのをやってくれ!

ウクライナ侵攻以来翻弄された挙句いくつかの要職を擲った際のソヒエフの辞任の弁を読んだ時に、日本は待っているよ、N響が出番を用意するはずだよと心の中で語りかけた。

前季は結局来日できなくなったが、今季も来季も1月はソヒエフの月だ。

プーチンのロシアは問題外だが、文学・音楽・バレエなどロシアの賜物をないものにはできないだろう。

とまれ、ソヒエフが戻ったことを大歓迎する。

♪2023-007/♪NHKホール-01