2017年2月26日日曜日

イザベル・ファウスト、ジャン=ギアン・ケラス&アレクサンドル・メルニコフ ピアノ・トリオ演奏会

2017-02-26 @県立音楽堂


イザベル・ファウスト:バイオリン
ジャン=ギアン・ケラス:チェロ
アレクサンドル・メルニコフ:ピアノ

シューマン:ピアノ三重奏曲 第3番 ト短調 作品110
エリオット・カーター:エピグラム(2012)
シューベルト:ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 作品99 D898
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アンコール
シューマン:ピアノ三重奏曲 第2番 第3楽章

このピアノ・トリオにはチームの名前がない。ピアノ・トリオでトリオ名があってそれが世の中に認知されているグループはむしろ少ないのではないか。僕が思い出せるのはボザール・トリオくらいで、手持ちのCDでほかのトリオをみてもたいてい3人の名前が並列してある。あるいは録音のために俄仕立ての名前が付いているのもあるけど、その名前での活動をしている風には思えない。

今回のトリオも同様で、3人の名前が並べてあるだけだ。
このうちナマを聴いたことがあるのはバイオリンのイザベル・ファウストだけで、ほかの2人も一流の演奏家なのだろうが、名前さえ知らなかった。

イザベル・ファウストを前回聴いたのは文化会館で都響とメンコンを演奏した時だ。その時は、彼女のストラディバリウスはよく響いたとはいえ、間近ではなかったし(オーケストラはそんな間近で聴きたくないけど。)、音圧を感ずるというほどではなかったので、今回は、音楽堂の3列目でかぶりついて聴くのが楽しみだった。

ピアノ・トリオはピアノが音色でも音量でも異質だから3者のバランスが難しそうだ。現に、ピアノの音に弦が埋もれてしまう演奏を聴いたこともある。しかし、今回はとてもいいバランスだった。バイオリンもチェロも、これはすぐそばで聴いているという事情もあったかもしれないが、音圧に不足はなく、ピアノとも溶け合うというのか、その異なる音の性格がピタッと呼吸を合わせて交わる時に生まれる響の妙が快感だ。

シューマンのトリオは亡くなる数年前の作品らしく、冒頭から不安神経症的だ。でも当然ながら全篇がシューマン印で、慣れるとこれが音楽的に面白い。

真ん中に挟まれたエリオット・カーター(1908〜2012。103歳で逝去!)の作品はまさに103歳で作曲したものだそうだ。超現代音楽で、ハナから聴く耳持たなかったから今ではさっぱり思い出せない。

こういう訳の分からない音楽の後にシューベルトのピアノ・トリオを聴くと清々しくも躍動感に溢れなんと美しいことか。
この曲はピアノ五重奏曲「ます」や弦楽四重奏曲「死と乙女」と並んでシューベルトの室内楽(言うまでもなく器楽ソナタは除く。)の3大傑作だな。

イザベル・ファウストほかのトリオの出来栄えは素晴らしかった。3人が一つの呼吸をしているように思った。また、一人ひとりの楽器の音色も素晴らしい。微細な弱音から最強音までが、特にすぐそばで聴いていると原音とどこからか響いてくる残響とが混じり合って妙なる響となる。楽器自体、それを操る才能、ホールのコンディションがすべてうまく混ざり合い、引き立てあって、なかなか得られない音楽体験をさせてもらった。

♪2017-030/♪神奈川県立音楽堂-02

2017年2月24日金曜日

洗足学園大学:学園オペラ公演 歌劇「カルメン」

2017-02-24 @洗足学園音楽大学


河地良智:指揮
小澤慎吾:演出

カルメン:森山京子
ドン・ホセ:上本訓久
ミカエラ:八木下薫
エスカミーリョ:倉内健人
フラスキータ:田中ひかり
メルセデス:河村有美
ダンカイロ:栁井隆弘
レメンダード:高井眞一
モラレス:荒井魁
スニガ:安東玄人
リリアス・パスティア :牧野正人

SENZOKUオペラ管弦楽団
SENZOKUオペラ合唱団
洗足学園小学校(賛助出演)
SENZOKUオペラバレエ団

ジョルジュ・ビゼー:オペラ「カルメン」 全3幕〈フランス語上演/字幕付〉

洗足学園音楽大学オーケストラや管楽器アンサンブルは聴いたことがあったが、大学まで行って聴くのは初めて。

指揮・演出・主要歌手はプロ。
オケ、合唱などは洗足音大学生達。

音大だからこそ自前でオペラ公演もできるのだ。
年末のN響、1月の新国立に続いて3ヶ月連続して「カルメン」を味わうことになった。
前2者と比較することはハナから無理だが、学生オケや学生歌手たちの健闘ぶりを確かめたいし、なによりあの音楽をまたナマで聴くことができるのが嬉しい。

会場は洗足学園音楽大学内の前田ホール。
この会場は、同大学のサイトの紹介によれば「19世紀ヨーロッパ型、いわゆる「シューボックス」型のコンサートホールとしては、日本で初めて建設された本格的なホールです。
世界最高の音響といわれるウィーンのムジークフェラインスザールを模範として設計されました。」とある。
座席数1,100余り。パイプオルガンもあって、同規模の県立音楽堂に比べて見た目はずっと立派だ。それにしてもシューボックス型では日本で最初って驚きだ。一体いつ頃オープンしたのだろう。公立の本格的な音楽専用ホールとして日本で最初に開館した県立音楽堂でさえ1954年なので、どうみたって、音楽堂よりピカピカの前田ホールはそれよりずっと後年のはずだ。
横道にそれたけど、日本の西洋クラシック音楽の歴史って本当にまだまだ浅いな…と感慨深い。

中規模ホールなので、舞台もピットも小振りだが、ピットに入ったオーケストラの音がなかなかの迫力。
歌手たちも、主要キャストは教員兼藤原歌劇団所属歌手らしいが詳しいことは分からない。因みにタイトル・ロールの森山京子さんは新国立劇場にも出演しているようだ。
プロ・アマの区別はつかないけどアリアを持つ歌手陣がともかく上手。
その他大勢が学生たちらしい。こちらはまだ若くてどうしても学芸会ぽく見えてしまうのだけど、合唱にも迫力があった。

一番感心したのは、狭苦しいピットの中での演奏ながら、とても良い響と迫力のオーケストラが素晴らしかった。

♪2017-029/♪洗足学園音楽大学-01

2017年2月23日木曜日

NHK交響楽団横浜スペシャル

2017-02-23 @みなとみらいホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

武満徹:弦楽のためのレクイエム(1957)
マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」

N響は(いつから始まったか知らないが)毎年度末に横浜みなとみらいホールでN響横浜定期演奏会を1公演だけ開催している。
それが今年は90周年という意味もあったのだろうが、横浜スペシャルと称して2日間の公演があった。

武満徹の「弦楽のためのレクイエム」とマーラーの交響曲第6番「悲劇的」の2本立てだ。

僕は2日めに行ったら、ステージ上には夥しいマイクが林立し、天上からも何組ものマイクが下がっていた。NHKホールでは珍しくもないがみなとみらいホールではなかなか見慣れぬ光景だ。
SONYクラシックスが収録をするための準備だということが後刻分かった。

指揮台の回りも背の高いポールに取り付けられたマイクが取り囲んでいるので、開演してパーヴォ・ヤルヴィが指揮台に立ったときはまるで檻に閉じ込められているようにも見えた。

しかし、CD収録を兼ねた演奏というと、当然パーヴォもN響も気合の入れ方が違うはず。ラッキーかも。


マーラーの6番は、多彩な管・打楽器が大活躍。
ホルン9本<8>、ティンパニ2セット、シンバル4組8枚、ハンマー、ハープ3台<2>のほかたくさんのパーカッションに、何と言ってもハンマーが駄目押しの迫力。
プログラム掲載の楽器編成(<>に記載)より実際に登場した楽器の数が多かったのは、収録を意図していたからではないか。

マーラーの交響曲には多分共通する(正確に確かめてはいないけど)のがこの管・打楽器の活躍で、6番でもまるでN響吹奏楽団に弦楽部賛助出演みたいだ。
特にトロンボーン以下中低管の重音もオルガンの如き見事なハモリが美しく、チューバの音色がこんなにきれいなものだったのか、と非常に驚いた。定期演奏会でもしばしばチューバは聴いているはずなのに、低い音、大きな音、と思うことはあっても美しい音を出す楽器だとは思っていなかった。

その賛助出演!の弦楽も力強く透明感がある。
ヤルヴィの意気込みが隅々に貫徹している様子がありあり!
N響としても力を出し切ったのではないだろうか。
なんともすごい演奏を聴いた、というのは掛け値なしの印象だ。

90周年記念で出かけるヨーローッパツアーでもこのプログラムを演奏するらしいから、CD収録に加え、日本での仕上げの意味もあったのだろう。

余談:この曲には第2-3楽章の順番に諸説あり、今回はスケルツォ〜アンダンテの順番で演奏された。
手持ちCDロリン・マゼールもエリアフ・インバルもS-Aだ。
因みに、鑑賞記録を残すようにした2014年以後の記録を見ると、
2014年3月金聖響指揮神奈川フィル⇒A-S
          6月インキネン指揮日フィル ⇒S-A
となっていた。
全曲の演奏時間は80分以上あり、うち第1楽章が23分ほど、終楽章が最長で30分を要する。なので、実のところ第2楽章と第3楽章をどの順序で演奏されようとも聴いている方には迫りくる怒涛の悲劇の前のホンの静けさみたいなもので、全体の音楽がもつ構成感に余り影響しないように思うけど。

♪2017-028/♪みなとみらいホール-09

2017年2月21日火曜日

国立劇場開場50周年記念 あぜくらの集い 復曲素浄瑠璃試演会 花魁莟八総(はなのあにつぼみのやつふさ)

2017-02-21 @国立劇場



素浄瑠璃試演会 花魁莟八総
●行女塚(たびめづか)の段
   豊竹靖太夫
   野澤錦糸
●伴作住家の段
口 豊竹亘太夫
   豊澤龍爾
奥 竹本千歳太夫
   豊澤富助

座談会
 竹本千歳太夫
 野澤錦糸
 豊澤富助
司会 児玉竜一

年末に初めて人形浄瑠璃(文楽)を観てから、太棹三味線のベンベン!に惹かれている。

国立劇場の友の会である「あぜくら会」会員向けの企画で、素浄瑠璃を聴かせるというので応募したら当選したので出かけた次第。

素浄瑠璃と言うのは人形が付かない<三味線と太夫の語りだけ>だ。
今回の出し物は「花魁莟八総」という作品の中から二段で、この作品は上演されなくなっておよそ百年になるところ、当代野澤錦糸という三味線方の名人が残っている楽譜を元にして太夫と協力しながら公演に耐えるような形に仕上げているのだそうだ。

「花魁莟八総」。
「やつふさ」という名前から「南総里見八犬伝」に関係するのかと思っていたが、まさにそのとおりだったが、これが非常に複雑怪奇な物語で、登場人物も多く、しかもその一部(といっても素浄瑠璃だけで2時間半ほど要した。その後に座談会もあり。)なので…、という言い訳も通らないほどそもそも語りがよく聴き取れない。

文楽公演の際は字幕も付いたが、今回は字幕なし(仮に字幕がついても最前列だったから読めないが。)。
床本(台本の意)が配られたが、現代語で書かれていても中身は古文であるから、早々簡単には読み切れないのだ。

そんな訳で、筋はほとんど分からずじまい。ただ、調子の良い三味線と語りを聴きながら…正直なところ、船を漕いでしまった。

義太夫節には慣れも必要だろう。

来月6日には人間国宝竹本駒之助を聴きに行くことにしているが、失礼にならぬようしっかり準備して臨まねばなるまい。

♪2017-027/♪国立劇場-06

2017年2月20日月曜日

国立劇場開場50周年記念 平成28年度2月中席

2017-02-20 @国立演芸場


《落語》
金原亭馬久
金原亭馬治
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蝶花楼馬楽
《漫才》
金原亭世之介
古今亭菊春
《落語》
林家正雀
金原亭馬生
《獅子舞》
金原亭世之介
古今亭菊春
 
  ―  仲入り  ―
《大喜利》
鹿芝居「らくだ」脚本=竹の家すゞめ
丁の目の半次   金原亭馬生
屑屋・久六    林家正雀
大工・八五郎   金原亭世之介
たらちねお長   古今亭菊春
職人・亀吉    金原亭馬治
家主女房・くま  金原亭馬玉
小間物屋娘・花  林家彦丸
らくだ・馬五郎  金原亭馬久
大家・源兵衛   蝶花楼馬楽

2月中席はトリの代わりに噺家総出演での大喜利をやるのが十数年続いているそうだが僕は初めて。
噺家たちが落語「らくだ」(かなり変形していたが)を演じて、これが傑作だった。
鹿芝居とも言うらしい。噺家芝居⇒はな・しかしばい⇒しかしばい⇒鹿芝居。

2017-026/♪国立演芸場-03

2017年2月18日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第327回

2017-02-18 @みなとみらいホール


飯守泰次郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第8番ヘ長調Op.93
シューベルト:交響曲第8(9)番ハ長調D944「ザ・グレート」

敬愛するマエストロ、飯守泰次郎の指揮でベートーベンの交響曲第8番とシューベルトの第8(9)番というダブル8のダブルAサイドという豪華なプログラムだ。
尤もシューベルトの第8番はかつて(1978年前)は「未完成」に付けられていた番号で、したがって、本日のハ長調の通称「ザ・グレート」は「第9番」と言われていた。今でも表記が徹底されていないので第8(9)番などと表記されることが多い。そういえばドボルザークの交響曲「新世界から」は現在では第9番でほぼ定着しているけど、その昔は第5番と言われていたっけ。

ベートーベンの第8番は第1、第2、第4番と並んで演奏会で取り上げられる機会が少ないが、これが非常に面白い作品だ。
切迫感に満ちた佳編で特に第一楽章後半の運命の動機のような(ここでは3拍子だけど)繰り返しがもたらす高揚感がいい。

シューベルトの第8番はベートーベンの第8番に比べて演奏時間が倍ほど長い。この作品が「ザ・グレート」と呼ばれるようになったのは、第6番が同じハ長調なので、長大な第8番の方を「ザ・グレート」と呼んだのが始まりらしいが、この壮大な音楽は単に演奏時間が長いというだけではなく、誠に「ザ・グレート(偉大な!)」がふさわしい内容を持っている。
全篇にシューベルトの詩情が溢れているが特に第2楽章がいい。シューマンが「天国的な長さ」と評した楽章の美しいこと。
スケルツォ(第3楽章)もリズムの疾走というだけでなくメロディーも歌詞を付けたらおもしろい曲になるのではないか。…いや、この全4楽章すべてに独唱と合唱を加えたら壮大なオラトリオになるので華だろうか。それほど、歌心に満ちていて心地よい。

今日の神奈川フィルは、飯守御大の入念な指導(今日のゲネプロのほかに3日もリハーサルを繰り返したそうだ。)の甲斐あってか、2曲ともシャキシャキと引き締まって、軽快な中にも歌心に溢れた好感度の高い演奏だった。

神奈川フィルの最良の演奏は、N響の時に凡庸な演奏に勝る。

♪2017-025/♪みなとみらいホール-08

2017年2月16日木曜日

江戸歌舞伎三百九十年 猿若祭二月大歌舞伎

2017-02-16 @歌舞伎座


田中青滋 作
一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)
猿若⇒勘九郎
出雲の阿国⇒七之助
若衆⇒宗之助
若衆⇒児太郎
若衆⇒橋之助
若衆⇒福之助
若衆⇒吉之丞
若衆⇒鶴松
福富屋女房ふく⇒萬次郎
奉行板倉勝重⇒彌十郎
福富屋万兵衛⇒鴈治郎
  
初代桜田治助 作
  戸部銀作 補綴
二、大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)
「黒髪」長唄連中
正木幸左衛門実は源頼朝⇒松緑
地獄谷の清左衛門実は文覚上人/北条時政⇒勘九郎
おます実は政子の前⇒七之助
清滝⇒児太郎
熊谷直実⇒竹松
畠山重忠⇒廣太郎
佐々木高綱⇒男寅
三浦義澄⇒福之助
下男六助⇒亀寿
家主弥次兵衛⇒團蔵
女房おふじ実は辰姫⇒時蔵
  
河竹黙阿弥 作
三、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
四谷見附より牢内言渡しまで
野州無宿富蔵⇒菊五郎
女房おさよ⇒時蔵
伊丹屋徳太郎⇒錦之助
浅草無宿才次郎⇒松緑
寺島無宿長太郎⇒菊之助
黒川隼人⇒松江
頭⇒亀三郎
三番役⇒亀寿
下谷無宿九郎蔵⇒萬太郎
ぐでんの伝次⇒橘太郎
下金屋銀兵衛⇒松之助
穴の隠居⇒由次郎
数見役⇒権十郎
石出帯刀⇒秀調
生馬の眼八⇒團蔵
隅の隠居⇒歌六
うどん屋六兵衛⇒東蔵
浜田左内⇒彦三郎
牢名主松島奥五郎⇒左團次
藤岡藤十郎⇒梅玉
    
四、扇獅子(おうぎじし)
鳶頭⇒梅玉
芸者⇒雀右衛門

1★★★…いわば、江戸歌舞伎の発祥を祝う長唄に乗せた所作事(舞踊)中心。華やかでいい。

2★★…この幕は寝てよし。

3★★★…これは菊五郎と梅玉が双方いい味出すのだけど、世話物として物足りない。牢屋の仕組みを知らなかった当時の普通の生活者にとって、このリアルさに惹きこまれたのかもしれないけど。

4★★★…清元による所作事。鏡獅子ならぬ扇獅子。四季の移り変わりを愛でる舞踊。梅玉と雀右衛門。ここでの雀右衛門はいいと思った。

勘九郎、七之助はいい。優れたDNAを受け継いでいると思う。
菊之助、松緑は出番少なし。

♪2017-024/♪歌舞伎座-01

2017年2月14日火曜日

千住真理子の四季 スーク室内オーケストラ

2017-02-14 @みなとみらいホール


千住真理子:バイオリン*
マルティン・コス:バイオリン
スーク室内オーケストラ

グリーグ:「ホルベアの時代から」(第1〜第5曲・全曲)
カッチーニ:アヴェ・マリア*
モーツァルト:アダージョ ホ長調 K.261*
モーツァルト:ハレルヤ ~モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」から*
J.S.バッハ:2つのバイオリンのための協奏曲 ニ短調*#
ビバルディ:和声と創意への試み第1集(所謂バイオリン協奏曲集「四季」)全曲*
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アンコール
クライスラー:愛の喜び*

まずはスーク室内オーケストラ(弦5部のみ12人)によるグリーグの「ホルベアの時代から」。前奏曲と4つの舞曲から成る。いずれも短く、民謡風で分かり易い音楽だった。
弦楽四重奏を3倍したような編成(コントラバスが1本入っているが)が生み出す透明感のある響が厚みも備えて心地良い。

この豪華な前座に続いて千住真理子の登場だ。
彼女の独奏(正しくは協奏か)にオケが伴奏に回り、ここからはハープシコードも加わった。
最初の2曲は楽器慣らしみたいなものか、特にアヴェ・マリアでは弓が上滑りした個所があったような気がした。
銘器「デュランティ」(ストラディバリウス)をしっかり鳴らすには力技も必要なのかも。

その「デュランティ」はこれまで何度か生で聴いているが、音色は鋭く、硬く、輝かしく、音量も大きくて、その魅力は、バッハの二重協奏曲ではちょっとアンバランスを感じさせた。
オケのコンマスでもありソリストでもあるマルティン・コスの柔らかい音色とは好対照で、男女役割交代しているような印象だった。

休憩を挟んで後半の「四季」は演奏前に千住真理子がマイクを握り、全4曲、全12楽章を通して演奏するので拍手はその後にお願いします。全曲終演がはっきり分かるように合図しますから、途中、楽章の数を数えないでも安心して聴いていてくださいとのアナウンス。

確かに良い心配りだ。いくら聴き慣れているとしても全12楽章もあれば、今どこ?となるのは必定だ。

さて、そうして始まった「四季」は彼女の「デュランティ」が大いに輝いた。
ホンに良く鳴る、良く響くバイオリンだ。
特に今回は前から3列目というかぶりつきだったので余計に強力な音圧を享受できたので、なるほど、銘器の実力を納得できた。
また最初に書いたように、この楽器は扱いが難しそうに感じた。その楽器と長年(14年?)格闘して、飼い馴らし、自分のものにした(しつつある?)のは並のバイオリニストではないからだろう。

ただ、バイオリン<協奏曲>としてはすごくまっとうで、もちろんこれで良いのだけど、個人的には昨年5月に聴いたアンナ・マリア・スタシキェヴィチが独奏バイオリンと弾き振りで演奏したポーランド室内管弦楽団による「四季」は、全曲、独奏とオケとの恰も戦闘モード。あの刺激に満ちた演奏が忘れられない。

*は千住真理子がソロを担当。
#はマルティン・コスが第1ソロ、千住真理子が第2ソロを担当。
無印はスーク室内オーケストラのみ。
マルティン・コスは、#以外はコンサートマスターとして参加

♪2017-023/♪みなとみらいホール-07

2017年2月12日日曜日

N響第1856回 定期公演 Aプログラム

2017-02-12 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
クセニア・シドロヴァ:アコーディオン*

ペルト:シルエットーギュスターヴ・エッフェルへのオマージュ(2009)[日本初演]
トゥール:アコーディオンと管弦楽のための「プロフェシー」(2007)[日本初演]*
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 作品43
------------
アンコール
エルネスト・レクオーナ:マラゲーニャ*

エストニア出身のP・ヤルヴィが同郷の現代作家2人の作品を本邦初演。
アルヴォ・ペルトは現代存命作曲家だが、当初は12音技法などを使ったらしいが、ある時期からは古典回帰したようで、その音楽は静謐で、宗教色が濃いものになっているようだ。
少なくとも、僕が持っているCDや、これまでコンサートで聴いた作品はトゲトゲしさや意表を突く展開で人を驚かすことに喜びを感じている風な現代音楽とは一線を画している。

そんな訳で、今日のペルトの作品も(まあ、どれを聴いても似たり寄ったりの感は否めないが)自然に受け入れられた。

トゥールの珍しいアコーディオン協奏曲風の作品は演奏時間24分という現代曲にしては長めの全4楽章(通して演奏されるが。)。
いかにもの現代音楽だが、アコーディオンの演奏が珍しいので、あまり苦にはならなかったが、何度も聴きたいような音楽ではなかった。
アンコールにソロで弾いた有名な「マラゲーニャ」のメロディは楽しめた。

メインはシベリウスの名曲、交響曲第2番で本日は北欧一色。

シベ2は聴く機会が多いが、こんな濃厚な演奏は初めてだった。
各パートにとことん歌わせて、これまで聴いたどんな演奏(CDも含め)よりも情感たっぷりでコテコテのシベリウスだった。
終盤は粛々と盛り上がる高揚感が、フィンランドの歴史というコンテクストをまとい、じわじわと胸を打った。

2017-022/♪NHKホール-02

2017年2月11日土曜日

読響第93回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2017-02-11 @みなとみらいホール

小林研一郎:指揮
読売日本交響楽団

宮田大:チェロ*
長井浩美:オルガン#

ドビュッシー:小組曲
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番*
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」#
---------------
アンコール
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から前奏曲*

炎のコバケンが今日は遊びを封じて大真面目に実力発揮。
宮田大のチェロはまずもって音が惚れ惚れする。

メインの「オルガン付」は文字どおりパイプオルガンが怖い程の重低音。
終演後客席を向いたオルガニストの可憐な美しさに癒されたよ。

♪2017-021/♪みなとみらいホール-06

2017年2月10日金曜日

国立劇場開場50周年記念 近松名作集<第三部> 冥途の飛脚(めいどのひきゃく)

2017-02-07 @国立劇場





























近松門左衛門=作
 梅川忠兵衛
   冥途の飛脚(めいどのひきゃく)
    淡路町の段
    封印切の段
    道行相合かご

(主な出演者)
 豊竹咲甫太夫
 鶴澤清友
 豊竹呂勢太夫
 鶴澤清治
 竹本千歳太夫
 豊澤富助
 竹本文字久太夫
 竹澤團七
 豊竹睦太夫
 竹澤團吾
 豊竹希太夫
 鶴澤清丈
 竹本小住太夫
 豊澤龍璽
 竹本文字栄太夫
 野澤錦吾
 吉田玉男

 豊松清十郎
   ほか

遊女梅川に夢中になってしまった飛脚問屋の跡継忠兵衛が、預り金に手を付けて身請けしたものの、それまでに築き上げてきた財産も信用もなくした上に法を犯して追われる身となり、二人して「生きられるだけ生きよう」と必死の道行。

雪の舞う中一枚の羽織を「お前が」、「忠兵衛さんが」と互いに着せ合うのが美しくも哀しい。

自分で自分を冥土に運ぶ飛脚になってしまった忠兵衛は二十四歳。梅川も二十歳前後だろう。
若気の至りだけでは片づけられないからこそ共感を呼ぶ。

♪2017-020/♪国立劇場-05

2017年2月9日木曜日

国立劇場開場50周年記念 平成28年度2月上席

2017-02-09 @国立演芸場



講談 神田みのり⇒山本源東次
落語 柳亭明楽⇒犬の目
漫才 マグナム小林
落語 三遊亭遊史郎⇒紙入れ
奇術 山上兄弟
落語 柳亭楽輔⇒錦の袈裟
   ―  仲入り  ―
講談 神田陽子⇒鼓ヶ滝
落語 春風亭柳橋⇒代り目
ギダレレ漫談 ぴろき
落語 三遊亭小遊三⇒置泥

前座に講談は珍しかったが、仲入り後にも神田陽子の「鼓ヶ滝」で講談2本。口演時間に制約があるのでコレカラ…というところで切られてしまうのが残念。

今日は満員御礼だったが落語が不作。
こんな程度で笑うか、というような芸や観客に多々興醒め。

2017-019/♪国立演芸場-02

2017年2月7日火曜日

国立劇場開場50周年記念 文楽公演 近松名作集<第二部> お初徳兵衛 曾根崎心中(そねざきしんじゅう)

2017-02-07 @国立劇場


近松門左衛門=作
 お初徳兵衛
   曾根崎心中(そねざきしんじゅう)
    生玉社前の段
    天満屋の段
    天神森の段

(主な出演者)
 竹本文字久太夫
 竹澤宗助
 豊竹咲太夫
 鶴澤燕三
 竹本津駒太夫
 豊竹咲甫太夫
 豊竹芳穂太夫
 豊竹亘太夫
 鶴澤寛治
 鶴澤清志郎
 鶴澤寛太郎
 鶴澤清公
 吉田玉男
 桐竹勘十郎
 吉田玉輝
 吉田文哉
  ほか


近松名作集全3作のうちでは一番有名な作品かな。
文楽で観るのは初めて。

歌舞伎では2014年4月に〜坂田藤十郎一世一代にてお初相勤め申し候〜という藤十郎がこれで最後のお初を演ずるという公演を観て、特に「天満屋の場」の床下に隠れた徳兵衛(鴈治郎=当時は翫雀)との件が非常に強い印象となって残っていたのが、良かったか、悪かったか。

とは言え、もともと文楽の方がオリジナル。
お初が足の先で徳兵衛に心中の決意を伝えるところなど、人形で演じた方が抵抗は少ない。生身の人間が演ると、やはり印象が強烈になる。

徳兵衛の甲斐性のなさにはじれったいが、この時お初19歳、徳兵衛25歳(数え年)。互いの愛を死を以て貫いたのは哀れかな。

〜未来成仏疑ひなき恋の手本となりにけり〜

♪2017-018/♪国立劇場-05

国立劇場開場50周年記念 文楽公演 近松名作集<第一部> 平家女護島(へいけにょごのしま)

2017-02-07 @国立劇場


近松門左衛門=作
 平家女護島(へいけにょごのしま)
    六波羅の段
    鬼界が島の段
    舟路の道行より敷名の浦の段

(主な出演者)
 豊竹靖太夫 野澤錦糸
 豊竹英太夫 鶴澤清介
 豊竹咲甫太夫 鶴澤藤蔵
 竹本三輪太夫 野澤喜一朗
 竹本南都太夫 鶴澤燕二郎
 
 吉田一輔
 桐竹亀次
 吉田玊佳
 吉田玉翔
 吉田幸助
 吉田玉勢
 吉田和生
 吉田勘彌
 吉田簑助
 吉田簑紫郎
 ほか

暮の「仮名手本忠臣蔵」2部に分けての全段通しの次の国立劇場文楽公演は「近松名作集」だ。
今回は3作を1日で3部に分けての公演だ。
11時から20時まで頑張れなくもないけど、最近の体力不足が心配で、今回は1部と2部は同日に続けて、3部は別の日に鑑賞することにした。

「平家女護島」は本来の形はもっと長いもの(全5段11場)らしいが、今回は最も有名な「鬼界が島の段」(なぜ「女護の島の段」と言わないのか不思議だけど。)を真ん中に据えて、前段に俊寛の妻の六波羅での横死を描き、後段で清盛入道の極悪非道ぶりを描く。
原作の2段目と5段目が省略されているが、それでも話が通るようにできている。

今日の中段が歌舞伎でも有名な鬼界が島での顛末だ。
鹿ヶ谷の陰謀が露見して配流されて3年。そこに訪れた赦免船の使者から申し渡された俊寛の恩赦の喜びも束の間、妻が自害して果てたことを知り、絶望のあまり、自分は鬼界が島にとどまるので、島の海女である千鳥を代わりに船に乗せて都に連れて行ってやってほしいと頼む。
色々とあった後、それが叶ったものの、俊寛は海辺の大きな岩に聳える松の木に縋って、赦免の船を見送るのだが、そこで、独りになってしまった寂しさに心が折れて気持ちが崩れてしまう。
かつて都で権勢を誇った俊寛僧都でも、島に取り残された時、思いもしなかった寂寥感に襲われて身悶えする。そこが、人間俊寛の魅力でもあリ、この物語の見どころだ。

鬼界が島の段で俊寛が自分の代わりに船に乗せてやる女・千鳥が海女という設定が、敷名の浦の段の活劇で生きてくるのは巧い作劇だ。

♪2017-017/♪国立劇場-04

2017年2月4日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第11回

2017-02-04 @県民ホール


小泉和裕:特別客演指揮者
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」よりモルダウ
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール
ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」より間奏曲
チャイコフスキー:イタリア奇想曲Op.45
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アンコール
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニ・オネーギン」からポロネーズ

小泉和裕御大が神奈川フィルの特別客演指揮者に就任したのが14年の夏で、それ以来この組合せで5回目だが、今回のプログラムは全9曲がいずれも序曲、間奏曲、前奏曲の類で、ちょっと重めのアンコールピースのような作品ばかりだ。確かにキャッチコピーにあるように「名曲」コンサートではある。

そのせいか、県民ホール定期にしては大勢の観客が入っていた。
県民ホールはキャパが首都圏のコンサートホールとしてはNHKホールについで大きい(2,500人。因みにNHKホールは3,600人、東京文化会館が2,300人だ。)。これだけの席を神奈川フィルの定期会員だけでは到底埋められない。それで、県民ホール定期では時として空席が目立つことしばしばである。
しかし、この日は空席もあることはあったが探さなくちゃいけないほどの少なさだった。それだけお客が入ったのも、この「名曲」ラインナップのせいだろう。また、1回券のチケット料金が年間定期会員券よりも安価に設定してあるではないか!ま、たくさん入るに越したことはないからいいけど。

オーケストラの編成は全曲ほぼ一定で、管楽器が多少出入りした程度で弦5部は固定していたのではないか。コンバス7本大勢は最初からずっと変わらなかったように思う。
つまり、コンバスが7本並ぶということは弦全体の数もそれなりの大きさで70人位いたのかもしれない。

そういう大規模管弦楽で、いずれも耳によく馴染んだ名曲が次から次へと繰り出されるのは実に心地の良いものであった。

初めてナマで聴く音楽は一つもなかったが、どの曲も面白いものばかりだ。
セビリアの音楽も良いが、リストのガンがリー狂詩曲は弦の中低域がとても力強くて美しい。
ローエングリンの前奏曲もファンファーレが見事。
「サムソンとデリラ」の音楽は異国情緒たっぷり。
「中央アジアの高原」もエキゾチックで美しい。日本人好みだ。
「マドンナの宝石」もきれいだ。

たまには、こういう肩の凝らない「名曲」集もいいものだ。

♪2017-016/♪県民ホール-01

2017年2月3日金曜日

チェコ国立室内管弦楽団パルドビツェ 演奏会

2017-02-03 @みなとみらいホール


武藤英明:指揮
ホルンソロ
P・ヴォイタ(ケルン放送響首席)
M・バラノウスキー(フランクフルト放送響ソロ)
K・ヤブルコヴァ(チェコフィル次席ソロ)
Z・ヴァシナ(チェコフィル)

チェコ国立室内管弦楽団パルドビツェ

新垣隆:弦楽オーケストラとフルートのためのFNM(世界初演)
シューマン:4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュトゥック 作品86
ベートーベン:交響曲第7番イ長調作品92
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アンコール
ドボルザーク:スラブ舞曲 作品72 第2番(作品46と通し番号で第10番)
ヨーゼフ・シュトラウス&J.シュトラウスⅡ:ピチカート・ポルカ


「チェコ国立室内管弦楽団パルドビツェ」なんて知らなかった。
チェコで名の通ったオケと言えば、何と言ってもチェコ・フィルだろう。次いでプラハ室内管弦楽団かな…。いずれにせよナマで聴いたことはないが。
「パルドビツェ」はプラハの近くの町の名前で人口9万足らずの田舎町?らしい。そこを本拠にしているオケという訳だが、そんな都市の存在も知らなかった。
指揮の武藤英明という人のことも知らない。チェコで活躍している人だそうだ。

安っぽいプログラムにはオケのことも指揮者のこともなんにも説明がないのには驚く。

まったくもって有名ではない指揮者とオケだが、ホール主催のシリーズ物の一コマではなく、単体の演奏会だ。お仕着せのプログラムではなく、自分の好みでチケットを買ったのだ。
なぜか。

室内管弦楽団で、ベートーベンの7番を聴いてみたい、という興味があった。それにわざわざチェコからやってくるのだし、それも国立のオケなのだから下手な訳はないだろうという希望的観測があったから。

パーヴォ・ヤルヴィ率いるドイツ・カンマー・フィルが52人前後だったが、このオケはそれよりさらに少なくて4人のホルン奏者とオケ36人、計40人くらいだったと思う。この規模だと音楽のスケルトンが目で見えるような感じさえする。

で、実際の演奏を聴いてみたら、なかなかいい。
新垣隆氏の世界初演という作品はタイトルの意味も分からないしあまり面白い音楽ではなかったけど弦楽合奏が美しいので、これはかなりの実力者集団だろうと思った。

次のシューマンは珍しい作品でCDは持っているが、ナマで聴くのは初めて。4本のホルンのけたたましいファンファーレから始まって、ホルン奏者にとっては面白くも相当な難曲のようだ。
全3楽章が続けて(アタッカで)演奏される。
これを聴いて管楽器のレベルの高さが分かる。


そして最後のベートーベン。
第7番は初演時に80人を超える規模で(弦5部で69人)演奏されたそうで、今も普通のオーケストラの演奏ではだいたいその程度の規模だと思うが、初演当時としては驚くような大編成だったのだろう。
それが、半分程度の室内楽オケなので音楽の響は軽量級なのだけど、先に書いたように音楽的構造が分かりやすくて面白い。
深刻ではなく、重厚ではなく、お友達のようなベートーベン。これも一興であった。

楽団員が楽しそうに演奏しているのも良かった。
アンコールでは、母国チェコの作品、スラブ舞曲全16曲の中でも最もメランコリックな第10番を取り上げた。なかなか心に沁みる演奏だった。
ラストのピチカート・ポルカではひょうきんな演出もあって、観客も大笑いしながら聴いた。

♪2017-015/♪みなとみらいホール-05