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2025年4月12日土曜日

NHK交響楽団2034回A定期 04月公演

2025-04-12 @NHKホール



パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
アントワーヌ・タメスティ:ビオラ*

ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」*
プロコフィエフ:交響曲第4番ハ長調 作品112
(改訂版/1947年)
----------------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007(ビオラ版)から「前奏曲」*





期待のPヤルヴィ。常任指揮者時代はたいてい響きも音楽の構成感も引き締まった演奏に好感していた。

今日も、一部にそういう雰囲気を彷彿とさせたが、全体としては、弦が美しくなかった。これがN響?と合点の行かない響きだったが、何が問題だったか?

2曲とも演奏機会が極めて稀で、おそらく、両方とも生では過去1回しか聴いていない。

「イタリアの〜」では、驚くことに指揮者の下手に用意してある独奏者用スペースに独奏者がいない状態で演奏が始まった。え〜?どこにいるんだ?と思ったら下手のハープの右に立って弾き始めた。以下、舞台中央(本来の独奏場所)、上手コンバスの内側、下手ハープの左と変幻自在だ。
独奏者ご本人のアイデアだそうだ(各楽器との掛け合いもあったかららしい。)。

また、終楽章に弦楽四重奏が入ることは覚えていた。
前回神奈川フィルで聴いた際は、Vn2人とVcが舞台から消え、舞台上の独奏Vaと弦楽四重奏を演奏した。

しかし今回はそういうバンダ的な演奏ではなく、各楽器のうんと後ろのプルトの奏者が独奏ビオラと舞台上で四重奏を弾いたので、あれ、どこでやってるの?とうろうろしながら結局カーテンコールで気が付いた次第。

まあ、管弦楽作品としてはコリに凝った作品だけど、あいにく、面白くない。


プロコ4番。これも随分久し振りで、かつ、始まっても覚えのある旋律も出てこなくて、記憶は完全消失していた。
そして、序奏?がニョロニョロと頼りなく、もうここで、集中する気力を失った。

ま、2曲とも楽しめなかった最大の原因はN響の、特に弦の響に艶がなかったことだと思う。

タスメティのEncでバッハの無伴奏Vc組曲1番前奏曲を弾いたがこれはとても良かったな。

♪2025-047/♪NHKホール-03

2025年1月26日日曜日

読売日本交響楽団第139回横浜マチネー名曲シリーズ

2025-01-26 @みなとみらいホール



アラン・ブリバエフ:指揮
読売日本交響楽団
反田恭平:ピアノ*

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から“だったん人の踊り”
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品16*
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」から
モンタギュー家とキャピュレット家@第2組曲第1曲
 少女ジュリエット@第2組曲第2曲
 修道士ローレンス@第2組曲第3曲
 踊り@第2組曲第4曲
 別れの前のロメオとジュリエット@第2組曲第5曲
 ジュリエットの墓の前のロミオ@第2組曲第7曲
 仮面@第1組曲第5曲
 ティボルトの死@第1組曲第7曲
-----------------
ショパン:ラルゴ変ホ長調*





沖澤のどかの代役で指揮をしたアラン・ブリバエフは初聴き。その指揮が良かったからかどうか分からないけど、演奏は3曲とも実に素晴らしい。
大いに満足できたけど、沖澤さんならどんなふうに引っ張ったのだ
ろう?と聴いてみたかったな、という思いもあり。

3曲通じて印象的なのは、読響ブラスの咆哮がよろしい。

ボロディンとロメジュリは弦16型。
一方、プロコPf協2番は12型だったから弦の数は20人も少ない。にもかかわらず管は2本少ないだけ。

この曲はPfの超絶技巧が全編に溢れるような作品で、オケは伴奏型の協奏曲だと言われているようだが、とてもそうとは思えない。
管・弦・打楽の面白さをずっしりと詰め込んで実にエキサイティングだ。ここでもブラスが気を吐く。

過去に何度も聴いているけど、今回初めて面白いと思えた。やはり反田恭平ただモノではないな。

ロメジュリは聴く度に組合わせが違うので、没入しにくい作品ではあるけど、今日の読響のパワフルな演奏は、ともかく、オーケストラを聴く楽しみに溢れていたよ。


♪2025-014/♪みなとみらいホール-04

2024年12月7日土曜日

Orchestra Neige 第1回演奏会

2024-11-19 @ミューザ川崎シンフォニーホール



山上紘生:指揮
Orchestra Neige

吉松隆:鳥は静かに...Op.72
プロコフィエフ:交響曲第7番 OP.131
吉松隆:交響曲第5番 Op.87
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プロコフィエフ:ワルツ組曲 Op.110から
3「メフィスト・ワルツ」


指揮の山上紘生(コウキ)君は、以前もアマオケで数回聴いていたが、なんといっても昨年6月のシティ・フィルの劇的なデビューが素晴らしかった。

首都圏のアマオケメンバーで構成されてたこのアマオケの第1回目の演奏会だったが、主宰者もシティ・フィルのデビューを聴いて指揮は山上くんに頼もうと決めたそうだ。

で、今日はもちろん、吉松作品がメイン。

特に後半の交響曲第5番(初聴き)が気合が入って実に面白かったし、そもそも吉松作品は好きだけど、特にこの作品は3番や6番よりも僕のツボに嵌った。

50分くらいだったか?
結構長尺だけど、飽きさせない。
実にシンフォニック・エンターテイメントだ。

CCでは1Fで聴いていた吉松センセも紹介された。

いつもエビス顔の山上好青年には、近いうちにプロオケで聴いてみたいね。
やはり吉松作品でガッツのある演奏を聴かせて欲しい。


なお、今日のチケットは無料!
N響聴いてもなかなか満足できないのに、今日の演奏会のなんと幸福感に満ちていたことか!

♪2024-155/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13

2024年10月26日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第399回定期演奏会

2024-10-26 @みなとみらいホール



小泉和裕:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
清水和音:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18*
プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 Op.100



小泉氏は、本当によく聴くよ。神奈川フィルと都響が圧倒的で、取り上げるのはほぼドイツもので、たまにチャイコやドボルザーク。
で、今日のラフマは初めて。プロコは2度目だが、前回も交響曲5番だった。

小泉氏はいつも安心して聴いておられるが、今日のラフマは少しテンポがゆったりだったのは、独奏者の好みなのか。

その清水和音は、大熱演で、こんなに力の入ったラフマ2番は珍しいよ。Pfは大音量でオケが隠れるくらいによく響いた。ロマンチックなのかエモーショナルか、とにかくたっぷりと歌った。案外こういうのがラフマの真骨頂かもと思った。

後半、小泉氏による2回目のプロコ5番。プロコの交響曲となるとたまに4-6-7番も聴くが大抵5番だ。馴染んでいるせいか、あまり抵抗感もないのだけど、今日は、前半でエネルギーを使ってしまったか、イマイチ入り込めなかったね。こんな日もあるよ。

♪2024-145/♪みなとみらいホール-36

2024年10月5日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第401回横浜定期演奏会

2024-10-05 @みなとみらいホール



出口大地:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
鳥羽咲音:チェロ*

ハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」から
「スパルタクスとフリーギアのアダージョ」
カバレフスキー:組曲「道化師」Op.26
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲イ長調 Op.33*
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
------------------------------
プロコフィエフ:マーチ*
プロコフィエフ:古典交響曲から「ガヴォット」





「佳作」という言葉があるが、今日の日フィルは「佳演」とでもいうのがぴったりする良い演奏だった。
4曲のうち1、4が14型。2、3が10型という小編成。

みつばちの法則「雨の日は良く鳴る」が当たって、弦がかなり透明感を保ったし、管弦の交わりも良く、全体としては管楽器の良さが光った。

とはいえ、力づくで聴かせるのではなく、実に、程良い力加減で、全体が「ロココ風」と言ってもいいような品の良さ。

今日は、たまたまだったのかもしれないが、出口くんの音作りって、こういうのを目指しているのか?と興味を持った。

鳥羽咲音(さくら)のチェロも、美音で、まさにロココだったが、カデンツァではもう少しヤニを飛ばして欲しかったな。

♪2024-134/♪みなとみらいホール-33

2024年2月14日水曜日

第2006回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2024-02-14 @サントリーホール



パブロ・エラス・カサド:指揮
NHK交響楽団
アウグスティン・ハーデリッヒ:バイオリン*
吉田珠代:ソプラノ**

ラヴェル:スペイン狂詩曲
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第2番ト短調*
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」(全曲)**
-------------------
カルロス・ガルデル(A.ハーデリヒ編):ポル・ウナ・カベーサ(首の差で)*





純粋にスペイン音楽ばかりではないけど、一応「スペイン」で括ったプログラム。

カサドの好みなのか、オケは繊細で攻撃的なところは微塵もなく、管弦のアンサンブル非常に良し。

さはさりながら、南国スペインの陽気な音楽かと思いがちだが、とんでもない。全て過去何度も聴いているのに、前半の2曲は、こんなに暗い音楽だったのか、とあらためて驚いた。

ハーデリッヒのバイオリンも明るい音色とは言えないし、音量も物足りない。繊細ではあるし一音一音をとても大切にしているのは分かったけど、協奏曲の妙味に乏しい。

後半、やっと本物のスペイン音楽が登場し、オケも繊細さを保ちながら華やいでとても好感した。

♪2024-026/♪サントリーホール-04

2024年1月27日土曜日

神奈川フィル フレッシュ・コンサート Vol.18未来を奏でる新星たち

2024-01-16 @県立音楽堂



横山奏:指揮
神奈川フィルハーモニー交響楽団
トランペット:三村梨紗♭
ソプラノ:中野亜維里◇
バリトン:宮下嘉彦◆
バイオリン:ステラ・チェン#

フンメル:トランペット協奏曲変ホ長調 WoO.1(S49)♭
グノー:歌劇「ファウスト」から「宝石の歌」◇「出征を前に」◆
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」から「私は町のなんでも屋」◆「今の歌声は」◇
芥川也寸志:弦楽のための三楽章
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第2番ト短調 Op.63#





<神奈川縁の新星>と神奈川フィルの共演…とコピーがついている年もあるが、今年「神奈川」が抜けたのは19年エリザベート・コンでの優勝者ステラ・チェンが加わったからだろう。他の3人は横浜と川崎の住人らしい。

今回は18回目。その9回目に(阪田知樹と共に)登場した大江馨が今日は神奈川フィルのコンマスとして新星をサポートした。

今回は、Tp、Sp、Br、Vnと4人も登場したが誰も知らない人ばかり。みんな素晴らしい演奏・演唱で、これはいい!と思ったら、次の奏者で感動が更新されてしまう具合。

中で、一番の好みはBrの宮下くん。いやはやよく通るデカイ声だ。
「〜町の何でも屋」では歌の冒頭を、扉は開けてあったが姿の見えない袖から歌った。一瞬どこにいるのか分からず姿を舞台に探したが、そのうち袖から顔を出したので、袖で歌っていたことが分かった。それにしても、まるで舞台の真ん中で歌っているようだった。これは、彼の声量もさることながら、音楽堂の響の良さを再認識したことであった。

神奈川フィルの演奏では、単独で演奏した芥川也寸志の「弦楽のための三楽章」が音楽堂ならではのソリッドな響で美しかった。この曲は以前、読響定期にかかったが遅刻して聴き逃したので、今回が初聴きだった。これは実に名曲だと思うよ。

https://youtu.be/NDL3VfPv1ic?si=GPoh-HMxzudDTp1Y

♪2024-016/♪神奈川県立音楽堂-01

2023年11月25日土曜日

NHK交響楽団1997回A定期 11月公演

2023-11-25 @NHKホール



平石章人〇/湯川紘惠●:指揮
NHK交響楽団

スヴィリドフ:小三部作〇
プロコフィエフ:歌劇「戦争と平和」-「ワルツ」(第2場)〇
A. ルビンシテイン:歌劇「悪魔」のバレエ音楽-「少女たちの踊り」〇
グリンカ:歌劇「イワン・スサーニン」-「クラコーヴィアク」〇
リムスキー・コルサコフ:歌劇「雪娘」組曲〇
チャイコフスキー(フェドセーエフ編):バレエ組曲「眠りの森の美女」●





フェドセーエフの代役若手2人のN響デビュー。この措置についてはN響は失敗したと思う。若手の育成も大事だが、本人たちに不要な重圧をかけない場所を用意すべきだった。加えて、払い戻しもセットすべきだった。
批判が殺到したらしい。だいぶ遅れて、言い訳がHPに掲載された。

ま、こうなれば、N響としては、本番を頑張るしかない。

失敗は許されないから、多分、普段以上にリハを重ねるだろう。成功は間違いない、と思っていたが…。

今日のN響。
みんな下を向いて、楽譜と睨めっこ。誰からも笑顔は無し。
こんな面白くない音楽を聴いたのは何十年ぶりか。
教科書どおりに演奏しましたという感じだ。
生演奏ならでは、本番ならではの丁々発止のやりとり、想定外に生まれる感興などとは無縁。
学習発表会だったよ。

前半はブラボーも聞こえなかったな。指揮者もオケも能面の如く。

やっと後半の女性の方がむしろ捌けていて、少しずつ音楽になってきた。それでもやはり、なかなかオケ自身が音楽を楽しんでいる風ではない。

重荷を背負わされた若い人が気の毒だった。
そして、やっぱり、キャリアを重ねた老練な指揮者がいかにオケをうまく操っているかを感じさせる演奏会だった。

明日は、肩の荷が降りて、もうちょっと良くなるだろう。

余談①:「眠りの森の美女」の10曲目くらい?が終わった時に上手から多分1人だけの確信的拍手が聞こえたが、あれは何だったんだろう?あまりに堂々としていたので、終曲と間違えた風には思えなかったなあ。

余談②:1階中央寄り前方しか分からないが、いつもより客席が空いていたと思う。僕の前の列もその前もパラパラ穴が空いており、座っている人が定期会員ではない席も僅かに確認できた。僕のお隣も初めて見る顔だった。

♪2023-202/♪NHKホール-08

2023年11月24日金曜日

東京都交響楽団 第985回 定期演奏会Aシリーズ

2023-11-24 @東京文化会館



小泉和裕:指揮
東京都交響楽団
イノン・バルナタン:ピアノ*

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23*
プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 op.100




何が原因するのか知らないけど、同じ席で同じオケを聴いているのに、日によって響が随分異なることは何度も経験している。
比較的変化がなく安定している文化会館だが、今日はえらく音が硬くて重かった。

しかし、今日に限っては、都響の16型がうまく機能してがっしりとした音楽に仕上がった。

プロコフィエフの音楽が、そのドライな響きにうまく合って、これもいいなと思わせた。

バルナタンというピアニストは初めて聴いたが、全然ロマンチックではなく、まるで機械人形のように慌ただしく弾き回るという感じなんだけど、それがこの日のドライな響にもマッチして、こういうチャイコも悪くない。
決して全体が早かった訳ではないけど、気分としては疾走するチャイコだった。

コンマスは客演の水谷晃氏。個人的には9月の神奈川フィルでの客演以来の登場だった。がんばれ水谷!

♪2023-200/♪東京文化会館-12

2023年7月7日金曜日

東京シティ・フィル第362回定期演奏会

2023-07-07 @東京オペラシティコンサートホール



秋山和慶:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
周防亮介:バイオリン*

リャードフ:交響詩「キキーモラ」作品63
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第2番ト短調 作品63*
スクリャービン:交響曲第4番 作品54「法悦の詩」
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シュニトケ:ア・パガニーニ から抜粋*



20世紀初頭のロシア音楽の内、精緻な管弦楽技法がウリの作品集と纏められるのかな?

リャードフの「キキーモラ」は、極めて弱音に始まり、ムソルグスキーを思わせる旋律が垣間見え、不気味な調子で徐々に音量が大きくなったかと思ったら、ピッコロが悲鳴を上げてストンと終わった。

プロコのVn協2番。独奏バイオリンのソロから始まるメロディは、耳に馴染んでいるけど、親しみやすいものでもなく、なんか、このままでは済まないぞという不穏な旋律で、聴き手にこの先の解決を待ち望ませるような効果がある。

気持ちの休まるところはなくて、緊張がずっと継続したまま超絶的に盛り上がって終わる。そして当然ながらここまで引きずってきた冒頭の不穏さがようやく解決される。30分程度の尺だからこういうスタイルが可能なんだろうな。


周防亮介は初めて聴いた時(19年)は、格別の印象もなかったが、昨年からとても良くなったのは、僕の耳垢がポロッと落ちたのか、彼が楽器を変えたのか?とにかく、音が明瞭で14型の弦のTuttiにも埋もれない安心感。
またEncで聴かせた超絶技巧。Enc用の小品とも思えないリサイタル・ピースのような作品であり演奏だった。

今日のような演奏会では素顔が出ることもないが、室内楽で見せる表情や話を聞くと、とても穏やかでカワユイところがあって、人間的も魅力的だ。

最後の「法悦」は7年ぶりに聴いた。どんな音楽だったか、全く忘れていたし、音楽が始まっても思い出すこともできなかった。残念ながらエクスタシーも感じられなかった。しかし、神秘和音とやらを探しながら、強力な管打楽器群(Hr9本!Tp5本など)にざわざわと翻弄され、パイプオルガンも加わって賑やかな極彩色管弦楽絵巻を楽しんだ。

秋山御大82歳か。お元気な様子で嬉しい。今年も年末の東響は秋山「第九」チケ取り済み。


♪2023-119/♪東京オペラシティコンサートホール-05

2023年6月10日土曜日

NHK交響楽団1983回A定期 05月公演

2023-06-10 @NHKホール




ジャナンドレア・ノセダ:指揮
NHK交響楽団
べフゾド・アブドゥライモフ:ピアノ*

プロコフィエフ:交響組曲「3つのオレンジへの恋」作品33bis
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品16*
カゼッラ:歌劇「蛇女」からの交響的断章(日本初演)
[第2組曲]
 Ⅰシンフォニア
 Ⅱ前奏曲
 Ⅲ戦いとフィナーレ
[第1組曲](切れ目なしに演奏)
 Ⅰアルティドール王の夢の音楽
 Ⅱ間奏曲
 Ⅲ戦士の行進
------------------------
ラフマニノフ:13の前奏曲 作品32から第5番ト長調*



ノセダはほぼ8年ぶりだ。その前回が初めてで大きな衝撃を受けた。是非もう一度、それもN響で聴きたいと思っていたが、ようやく果たせた。

前回の「運命」があまりに強烈な印象を残したので、今回は、もう始まる前から、おそらくこんな感じの音楽だろうな、と想像を膨らませていたが、いやはやそのとおりになった。

実は、プロコの「3つのオレンジへの恋」は”行進曲”以外ナマでは聴いたことがないし、カゼッラの「歌劇『蛇女』からの交響的断章」は日本初演なので当然聴いたこともない。にもかかわらず、音楽の感じは想定したとおり、期待したとおりだった。

テンポが良く、シャキシャキとして歯切れの良い音楽だ。
聴いていて小気味良い。

プロコのPf協2番は、多分3番程には有名ではないと思うが、今回初聴きのアブドゥライモフのPfがプロコらしいのだけど、それ以上にノセダらしい音楽だった。
そう言えば、前回聴いた際もプロコPf協3番を演ったのは、お得意のレパートリーなのかもしれない。

また、今日のNHKホールの響の良いこと。今のシーズンはPf向きなのだろうか?このホールの響も好きだけど、Pfがかくもキラキラと美しく鳴ったのはずいぶん久しぶりの感じだ。

さて、問題は、日本初演だ。
カゼッラなんて聞いたこともなかったよ。今年生誕140年というからラフマより10歳若い。レスピーギより4歳若いだけなのでほぼ同世代のイタリア人。
歌劇「蛇女」からの交響的断章は初演が1932年だそうだが、こんな時代の人の作品が日本初演というのに驚く。

2つの組曲(各3曲)で構成されているが、普通は第1組曲から演奏されるところ、今回は、急遽、第2ー第1の順に変えられた。第1組曲は3曲が切れ目なしに演奏される。そして、こちらの方が派手なエンディングを迎えるので、この変更は大正解だったと思う。

実に分かり易く、まるで真面目に構成した軽音楽のようでもあり、映画音楽のようでもあり、聴きながら、昨日聴いた吉松隆の交響曲第3番と感じが似ているなと思った。もちろん吉松作は和のテイストが散りばめられているが、カゼッラの場合は、イタリアの…ローマの…はっきり言えばレスピーギのテイストがそこここに匂い立つ。
イタリアの青い空を思い浮かべて心地良く帰途についた。

そう言えば、Bプロではラフマとレスピーギを取り上げる。これもとても楽しみだ。

♪2023-105/♪NHKホール-05

2022年10月24日月曜日

東京都交響楽団 第961回 定期演奏会Aシリーズ

2022-10-24 @東京文化会館


準・メルクル:指揮
東京都交響楽団
五明佳廉:バイオリン*

細川俊夫:オーケストラのための《渦》(2019)
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19*
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲《展覧会の絵》
-------------------------
サミュエル・アダムス:バイオリン ディプティック*



細川俊夫「渦」は初聴き。非常に興味深く聴いた。
舞台奥に管楽器群。
前の左右に打楽器等と弦5部によるオケが対峙。
2F左右の客席に金管2名ずつ配置。

最弱音から始まる音がうねるように変容して超立体的!に渦を巻いてゆく様な…、と作者弁を読んだのでそんな気が…。

旋律らしきものなく、拍らしきものなく、ただ、特殊奏法を中心にした効果音の羅列だ。
音の実験として面白いけど、こんな事なら初めから電子音楽で作れば良かったのでは?

それを舞台・客席・壁・天井に配置したスピーカーから鳴らせばもっと明瞭で効果的。何なら客席からハウリングも加えたら面白いのに。

アコースティックな楽器を山ほど並べて、懸命に電子音を模しているようで、どうもおかしい。

プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第1番は、真剣に聴こうと構えていたが、なかなか入ってゆけなかった。
先月の周防亮介+日フィルの響が頭に残っていて「なんか違うぞ…」。ホンに良い演奏を聴くと後が厳しい。

「展覧会の絵」で初めてメルクル節が出たのかな。
各フレーズは消え入るまでしっかりと歌う。
一点一画を疎かにしない楷書ぽい。

が、全体にゆったりとしたテンポで、管楽器は概ね粘っこい。
弦は細かい音符も数えられる程の滑舌の良さ。
これ迄沢山聴いてきたが、かくも”独自”なのは初めて。

この曲も過去に何度も名演を聴いているからなあ。
昨年末のG・デスピノーサ+N響!
今年6月のS・ヴァイグレ+読響!

今日の都響が素晴らしかったのは「サムエル・ゴールデンベルク〜」だ。
木管と弦のユニゾンが美しい。音域も特に高くないので時に聴くことがある不快音とも無縁。都響の16型の弦が豊かな厚みで本領を発揮した。

♪2022-158/♪東京文化会館-13

2022年10月4日火曜日

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニー in かなっく Vol4 〜神奈川フィルメンバーによる室内楽演奏〜

2022-10-04 @かなっくホール


齋藤雄介(クラリネット)
櫻田悟(バイオリン)
高野香子(ビオラ)
宇根美沙恵(ピアノ)
MC:榊原徹(神奈川フィル音楽主幹)

フォーレ:初見試奏曲 ( Vn & Pf )
フォーレ:子守歌 ( Vn & Pf )
プロコフィエフ ( ポボリソフスキー編 ):バレエ音楽「ロメオとジュリエット」から「前奏曲」、「騎士の踊り」 ( Va & Pf )
シュライナー:インマー・クライナー ( Cl & Pf )
ハルヴォルセン:サラバンドと変奏 ( Vn & Va )
モーツァルト:クラリネット、ビオラとピアノの為の三重奏曲 K498から第3楽章 ( Va、Cl、Pf )
ミヨー:バイオリン、クラリネットとピアノのための組曲から第1・2・4曲 ( Vn、Cl、Pf )
-----ENC------------
花は咲く ( Vn、Va、Cl、Pf )


今日は変則ピアノf四重奏、と言っても曲により2-3-4人の組合せ。アンコール含め知っているのは3曲だけだが、初めての曲もすべて面白かった。

まずは、こういう形でビオラを聴く機会は少ないが、魅力を再確認。

傑作は、シュライナーという作曲家による「インマー・クライナー」(段々小さくの意)。
最初がピークでその後ずっとディミヌエンドが続き限界まで音量が小さくなるのかと思ったが、そうじゃない。
クラリネットの楽器本体が小さくなるのだ。

演奏が始まって暫くすると、出番のない奏者が出てきてクラリネットを分解せよと指示。

まずは朝顔が持ってゆかれ、暫く演奏が続き、次は穴のある管の下半分を持ってゆかれ…次は上半分も…さらに短い管も無くなって最後はマウスピースだけ。
つまりクラリネットは5つにも分解できるのに驚いたが、下から順にパーツが無くなってもそれなりに音楽を演奏し続けられる!のがもう、ビックリだ。

本篇は2-3人の組合せだったが、アンコールは4人全員で「花は咲く」。

元の歌もいいけど、編曲も素直に美しい。
震災被災者の鎮魂と共に、安倍ちゃんのあまり上手くないピアノ演奏がまさに自分への鎮魂歌になってしまったなあ、と感無量。


♪2022-142/♪かなっくホール-08