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2024年3月30日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第395回横浜定期演奏会

2024-03-30 @みなとみらいホール



小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

神尾真由子:バイオリン*
石丸由佳:オルガン**

モーツァルト:バイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219「トルコ風」*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」**
-----------------
パガニーニ:24のカプリースから第5番*
アイルランド民謡:ダニーボーイ(弦楽合奏)
サン=サーンス:交響曲第3番第4楽章終結部




昨日のオケは良い音だったがピットの中だった。
1Wぶりに舞台上のプロオケを聴くと、モヤの晴れたくっきりと明瞭で美しいサウンドに、まずは一安心した。

しかし、今日の2本は誠に不思議な思いで聴いた。
モツVn協5番もサン=サーンス「ガン付き」もとても聴き馴染んだ作品だ。後者は先月も聴いたばかり。

よく馴染んだ音楽なのに、頭の中で少しも纏まらないのが不思議だった。
特にモーツァルトはどうだろう。全部、繋がってゆかない感じだ。特に3楽章は、作曲者に精神の異常があるのではないかと思うほど纏まらない。いや、異常はこちらか。

コバケンは、若い頃はその良さが分からなかったけど、最近はとても好ましく思うし、この人には、思い切り好きに振ってほしいし、それを味わいたいと思っている。

後半、オルガンが本領を発揮してきて、堂々たる旋律がゆったり目のテンポで進んでゆく時に、抑えた表現の中に溜めが効いていて、微妙なバランスを保つ緊張が解けないのがマジックのようでゾクゾクしながら聴いていたが、それがラストのクライマックスで完全放出とはいかなかったように思った。
つまり、僕の感性不足なのか。隔靴掻痒の感があったが、もう一度同じ演奏を聴いてみたいとも思った。

余談:サン=サーンスのガン付きを含むプログラムでは、今日のように神尾麻由子がVn協などで共演するのは4回目だ。先月も然り。彼女がガン付きを運んでくるのか?

♪2024-046/♪みなとみらいホール-10

2024年2月2日金曜日

東京シティ・フィル第367回定期演奏会

2024-02-02 @東京オペラシティコンサートホール



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
神尾真由子:バイオリン*
石丸由佳:オルガン**

ロッシーニ:歌劇「チェネレントラ」序曲
菅野祐悟:バイオリン協奏曲(世界初演)*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」**




◀️感想省略▶️


♪2024-018/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2023年1月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第382回定期演奏会

2023-01-21 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神尾真由子:バイオリン*
アレシュ・バールタ:オルガン**

ベートーべン:バイオリン協奏曲ニ長調Op.61*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」**
--------------------------
パガニーニ:24のカプリスから第5番*



1本目ベートーベン:バイオリン協奏曲/押尾真由子。
なんという緊張感。
弱音部の豊かな表現力によって、単に音量のダイナミック・レンジが広いというのではなく、音楽の躍動感が半端ではない。
何度聴いたか分からないこの曲を、今日は新鮮な驚きと幸福感に満たされて聴き終えた。音楽の真髄に一歩近づけたような気さえしたよ。

オケは12型。纏まりよく、弦は透明感を維持して、神尾を引き立てながら見事な合奏力を示す。

この1本で十分満足したが、加えてサン=サーンス「オルガン付き」。

この曲については2018年ミューザでの神フィルの演奏*が最高体験だったが、昨年、みなとみらいホールのリニューアルに登場した井上道義+N響がベストを上書きした。
果たして神フィルの雪辱なるか…。

《*この日、「ガン付き」と一緒に演奏されたのはサン=サーンス:バイオリン協奏曲第3番で、独奏は神尾真由子だったというのも不思議な暗合だ。》

ベートーベンに続いて今日の神フィルの弦の美しいこと。いや管打鍵も呼吸を一つにしている。

ベートーベンが良かったのは主に神尾効果だと感じていたが、2本続くと違うな。沼尻効果だ。

年が明けていよいよ新生神フィルが着実に実力に磨きをかけているのを強く感じた。

今日のガン付き。気分的には井上N響を超えたね。

♪2023-012/♪みなとみらいホール-02

2021年5月21日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第368回横浜定期演奏会

 2021-05-21 @ミューザ川崎シンフォニーホール


田中祐子:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

神尾真由子:バイオリン*

ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブラームス:バイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ベートーベン:交響曲第5番《運命》ハ短調 op.67
------------
ハイドン:弦楽四重奏曲op33-2「冗談」(Hob.Ⅲ-38)第4楽章Presto

3本立てのうち、神尾真由子のブラームスVn協奏曲が一番聴き応えがあった。

今回は見た目の豪華さ(後述)も手伝ったが、風格を感じた。


発音がはっきりして曖昧さがない。


終楽章はもう少しハイテンポが好みだけど、しばらく進めば違和感も消えた。ま、なんていうか存在感があるな。


メインは「運命」だったが、些か食傷気味だし、40分のブラ協を聴いた後では期待はしていなかったが、小細工のないスッキリした小気味の良い音楽作りだった。

尤も、今日の日フィルは金管に瑕疵が目立ったが。


最近では珍しく、オケによるアンコールがあった。その時既に21時07分だったのに!

ハイドンの弦楽四重奏曲作品33-2、いわゆる「冗談」の第4楽章、仕掛けは知っていたのに、ついハイドンの仕掛けた冗談に乗せられてしまった😅。


音楽外であるが、一番インパクトがあったのは神尾真由子のドレスだ。クリムトの絵を思わせる金ピカだが、色合いは銀に近い渋さなので品は保っている。

こんな豪華なドレスを見たのは初めてかも。

上は諸肌出しだが、下は足も隠れるほど長く、腰の辺から同じ生地でできた折紙のような大きな飾りが付いている。


その腰巻きみたいにまとわりついている部分の布地だけで、ユジャ・ワンのドレスなら2着くらい作れるなあと思ったよ。


他の女性演奏家を思い浮かべて、誰ならこれを着こなせるだろうかとあれこれ考えたが、今のニッポンには神尾真由子以外にはおらんだろうな。


♪2021-046/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-09

2021年1月9日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第364回横浜定期演奏会

 2021-01-09 @県民ホール


永峰大輔:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

神尾真由子:バイオリンと指揮*

ピアソラ:《ブエノスアイレスの四季》*
 (神尾真由子による弾き振り)
ベートーベン:交響曲第7番イ長調 op.92
-----アンコール-----
グリーグ:「ホルベアの時代から」サラバンド

神尾真由子の弾き振りによるピアソラの「ブエノスアイレスの四季」が目玉で、それを楽しみにしていたが、済まんこってす。寝てしまった。

秋から始まって、冬の途中で冬眠状態に。
終曲の拍手で我に帰る。

またの機会を楽しみにしていよう。
ま、ともかく猛烈な睡魔には逆らえない。

その代わり、永峰大輔が振ったベートーベン交響曲第7番はしっかり聴いた。

県民ホールは響きがややデッドなホールだが、実力あるアンサンブルにかかれば残響多めのホールとは一味違う味わいを聴かせてくれる。

今日の日フィルの弦はその渋い味を放った。
特に中低域が気持ち良い。

永峰氏が処々に嫌味のない独自の色付けをしていた。工夫の跡だ。好感!


♪2021-002/♪県民ホール-01

2020年11月20日金曜日

NHK交響楽団 11月公演

 2020-11-20 @東京芸術劇場大ホール


原田慶太楼:指揮
NHK交響楽団

神尾真由子:バイオリン*

コリリャーノ:航海 (弦楽合奏)
バーバー:バイオリン協奏曲 作品14*
ドボルザーク: 交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界から」
-----Enc---------------
エルンスト:「魔王」による大奇想曲 Op.26*

コリリャーノ:弦楽版「航海」は初聴き。
前回のNHKホールで聴いたJ.S.バッハのオルガン曲の弦楽合奏に比べるとずいぶん綺麗な音だ。

楽しみは神尾真由子。
バーバーのバイオリン協奏曲だったが、如何せん本日はあまり良席とは言えず、独奏バイオリンがオケに埋没する部分もあった。

しかし、アンコールで弾いたエルンスト:「魔王」では流石の腕前を感じた。

さて、メインは…。
今月13日新日フィル、15日都響に続いて3回目の「新世界」で、もうすっかり「日常世界」だよ。

都響も良かったが流石にN響。迫力の中にも透明感がある。

原田慶太楼の音作りも細部にこだわって独自の音楽になっていた。N響も受けてたって注文に応えるところがプロフェッショナルだ。

1-2楽章間はほんの一呼吸で、3-4楽章間はアタッカで続けたのは新しく気持ちが良かった。

この人がN響に新しい風を吹き込むかもしれない。

ただし、終楽章のテンポの変化は如何なものか。

オケはいい音を出しているのに指揮者の構成感に僕の感覚が付いてゆけない。隔靴掻痒の感で聴いていたよ。

♪2020-081/♪東京芸術劇場大ホール-02

2018年8月3日金曜日

フェスタサマーミューザ2018 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 ≪絶品フレンチⅡ〜天才サン=サーンス〜≫

2018-08-03 @ミューザ川崎シンフォニーホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

神尾真由子:バイオリン*
大木麻理:オルガン**

サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」 からバッカナール 作品47
サン=サーンス:バイオリン協奏曲第3番ロ短調 作品61*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」**

7/24東京フィルの<絶品フレンチ①>を受けて今日の神奈川フィルによる<絶品フレンチ②>は、オール・サン=サーンス集。

「サムソンとデリラ」からバッカナール、バイオリン協奏曲第3番、交響曲3番オルガン付き。
オーケストラの祭典にふさわしい華やかな選曲だ。

バイオリン独奏の押尾真由子は諸肌脱ぎの真紅のドレスで登場。愛器ストラディをガリガリと弾きまくり迫力十分。若いが女王の貫禄。カーテン・コールが多かったがついにアンコールなし。館内深い失望のどよめき。

メインの交響曲第3番は冒頭からクライマックスの連続にもかかわらずメリハリを付け、緊張が持続した。
終盤の各パートが複雑に交錯するところも若き常任指揮者・賢太郎氏が筋を通して見事な棒捌き。
フルサイズの管・弦・打にピアノとパイプオルガンが加わって怒涛のフィナーレに大満足。

近年、神奈川フィルの実力は確実に上がった。
「音楽の友」で好きなオケランキング国内4位、世界15位というのも、今は実力ではないにせよ、そのうち実力が人気に追いついてくるのではないか。

今日のフェスタサマーミューザは、地元オケということもあり満員の館内は大歓声に包まれた。これぞフェスティバル!

♪2018-093/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2017年10月28日土曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第63回

2017-10-28 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ダニエル・ビャルナソン:指揮
神尾真由子:バイオリン*
東京交響楽団

ビャルナソン:ブロウ・ブライト
ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77*
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
--------------
アンコール
パガニーニ:「24のカプリース」から第24曲*

ショスタコーヴィチのバイオリン協奏曲はあまり好きな作品ではないけど、演奏家はこの作品を好むのか、このところ毎年2回は聴いている勘定だ。今年について言えば、ほんの1週間前にもボリス・ベルキン+日フィルで聴いたばかり。

でも、段々と耳に馴染んできて抵抗感はだいぶ和らいできた。
いつの日かチェロ協奏曲第1番のように僕を夢中にさせるだろうか…いや、それはなさそうだ。

神尾真由子の方は今年1月にブラームスの協奏曲を日フィルとの共演で聴いて以来だ。その時はやや不満が残ったが、今回は、曲自体は好きになれないけど、彼女の演奏は迫力を感じた。ブラームスより、ショスタコのほうが彼女には向いているのではないか。

真っ赤な生地に胸と背中に金筋の入った派手なドレスが、やや太めの体型にピッチリ食い込んでいる感じで凹凸感も見どころだったかな。
アンコールのパガニーニは前回も同じだった。こういう作品を聴いていると技巧も達者なものだと思う。さすがはチャイコフスキーコンクールの覇者か。

冒頭に本日の指揮者、ダニエル・ビャルナソンの作品が演奏された。1979年生まれというからまだ38歳か。無調ではないのだろうけど、調性は怪しい。何より、リズムが主体で管弦はそのリズムに色合いを付けるだけだ。旋律らしきものはない。面白い訳がない。
この作品は日本初演だった。因みにビャルナソン自身も指揮者として今日が日本デビューだったそうだ。


メインの「シェエラザード」は冒頭のバス・テューバの見事に大きく美しい音色にまずは引き込まれた。木管・金管の他にバイオリン、チェロもソロが入ってそれぞれが見事に上手。アンサンブルもいい。音の混ざり具合といい響き具合といい文句なし。
今日は、ミューザの美点が十分に発揮され、東響も腕前を発揮し、管弦楽の魅力が堪能できた。

♪2017-168/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-28

2017年1月7日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第324回横浜定期演奏会

2017-01-07 @みなとみらいホール


飯森範親:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
神尾真由子:バイオリン*

ブラームス:バイオリン協奏曲 ニ長調 作品77*
ドボルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95《新世界から》
-------------
アンコール
パガニーニ:「24のカプリース」から第24曲*
アンダーソン:「ジャズ・ピチカート」(弦楽版)


2007年のチャイコフスキーコンクールで優勝したというTVのニュースで神尾真由子(当時21歳)を初めてみた時に、えらく自信に満ちていたのが印象的で、その後放映でなんどか見る・聴く機会があって、その力強さに一目置いていた。

生を聴いたのは東響との共演でビバルディの「四季」の半分という中途半端な経験で、本格的な演奏は今回が初めてだった。しかも、ブラームスの協奏曲は大好きな作品だ。

で、大いに期待して出かけたのだけど、全体にテンポがゆったりめで、ちょっと違うんじゃないか、と隔靴掻痒の感で聴いた。
特に第3楽章は部分的に変拍子が用いられていて、ここはやはりある程度のスピード感とともに味わいたいところなのだけど、ブラームスのちょっとして工夫の魅力があまり伝わらなかった…と思う。
こういうテンポの設定は指揮者の好みなのか、ソリストの好みがリードするのか分からないけど、他の指揮者でも聴いてみたい。

バイオリン協奏曲の中ではチャイコフスキーと並んで超絶度が高いらしいが、バリバリ弾きまくるという印象はなかった。

むしろ、アンコールの「24のカプリース」の第24曲こそ、僕がイメージしていた神尾真由子だった。

「新世界から」もテンポはゆったりめだったが、これは不満がなかった。オケも弾き慣れているのだろうし細部まで巧い。
耳タコだけど、最近は聴く度によくできた作品だなあと思う。
奇を衒わない堂々とした音楽づくりがこの曲では活きていたやに思った。

♪2017-002/♪みなとみらいホール-01

2014年12月27日土曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第103回

2014-12-27  @ミューザ川崎シンフォニーホール


秋山和慶:指揮

秋山和慶:チェンバロ*
神尾真由子:ヴァイオリン*
安井陽子:ソプラノ
清水華澄: メゾ・ソプラノ
与儀巧:テノール
萩原潤:バリトン
東響コーラス:合唱

ビバルディ:「四季」~春&冬*
ベートーベン:交響曲第9番 ニ短調 Op125 「合唱付き」



このシーズン5回目の「第九」にして今年最後のコンサート。
有終の美を飾って欲しいところ。

指揮は東響の顔とも言える御大、秋山和慶。
コンマスはこちらも東響の顔、大谷康子。
バイオリンソリストが若手バイオリニストのホープ、神尾真由子。
…と役者が揃った感じで大いに期待していたのだけど、うーむ。

「第九」のコンサートは1本立てでいいと思うのだけど、ビバルディのバイオリン協奏曲「四季」から春と冬が前置された。
やるなら全曲やって欲しいところだけど、中途半端だ。

管弦楽は弦楽器のみ20人に指揮者が兼任するチェンバロが加わっただけの極めて小編成。実際にビバルディが作曲した当時はこんな程度だったのだろう。
これに神尾真由子のソロヴァイオリンが加わるが、ソロはもちろん、伴奏(協奏というべきか)の各パートもくっきりとして新鮮な感じで聴くことができた。

<ミューザ提供>

ソロパートの節回しに普段聴き馴染んでいるものと違うようなところを感じたのは普段聴こえていない音を聴いたからだろうか?トリルなどの装飾音の奏法が違ったのか、それとも気のせいだろうか。
神尾真由子のバイオリンは、ここぞというところでは大きな音が出るものだ。ソリストはなにより音量が大事だけど、楽器の良さもあるだろうが、全身を楽器にして絞りだす音に迫力がある。かと思えば、微細加工も怠りない。幾多のコンクールを制覇し、とりわけチャイコフスキー・コンクール第1位というのはなるほどこういうものかと、耳の保養になった。
<ミューザ提供>

さて、「第九」だ。
実は、「四季」のときから感じていたのだけど、いつもの東響の音じゃないように思ったのは「四季」ではオケの編成があまりに小さいためではないか、と思っていた。
しかし、「第九」でもやはり、どうも違う。音のまろやかさが違うなあ。どうして?

いや、音の問題だけではなく、わずかながら生理的に違和感があった。
微妙な間の取り方などが、自分の脳内で流れている音楽と完全シンクロしないからだ。どうして?

<ミューザ提供>

「第九」の、「第1楽章」と「部分的に第1楽章を再現する第4楽章」の一部にとても危なっかしいところがあると感じている。
緊張感を失うと空中分解してしまいそうな場所がある…と思っている。
でも、普段は、それを感ずることはない。
音楽に違和感を感じた時だけ、その失速しそうな危うさを嗅ぎとってしまうみたいだ。
滅多に無いことだけど、今日は感じてしまったなあ。それが引っかかって最後までとうとう気持ちが盛り上がらなかったのが残念。

でも、この原因は僕の側にあるのだろう。13日からの15日間で「第九」を5回も聴いたということは3日に1回は聴いたということだ。僕の脳内は異常に敏感になっていたのかもしれない。

<ミューザ提供>

「第九」が終わった後のカーテンコールのさなかに楽団員が譜面台にアンテナのようなものを取り付けているのを発見。何かあるな、と思っていたら、カーテンコールもひととおり山場を過ぎると声楽ソリストも元の場所に戻り、音楽が始まった。
アンコールというより一年の最後を締めくくるという意味だろう、合唱団とソリストたちによる「蛍の光」がオーケストラ伴奏で始まった。途中から館内の照明が落ちると、合唱団やソリストは手に持っていたカラフルなLEDライトを一斉に点灯した。譜面台に取り付けたものもLEDライトだった。
これがなかなか幻想的でよかった。
青色ダイオードのおかげだよ。
そういう意味では2014年掉尾を飾るにふさわしかったかも。

余談:
声楽がどこで登壇するか?シリーズ。
合唱団は全員冒頭から着座した。
ソリストは、やはり、第2楽章が終わったところで入場し着座した。
この入場に関して、曲の始まる前に「指揮者からのお願い」が館内放送された。
音楽の緊張感を維持するために、第2楽章終了後ソリストが入場するが、拍手はご遠慮いただきたい、ということだった。
宗教音楽でもあるまいしそんなにテンションを高めなくともいいかとも思うけど、そこまでする以上、第3楽章と第4楽章は切れ目なく演奏するのだな、と受け取ったが、果たしてそのとおりだった。
間髪入れず第4楽章になだれ込んだ。「第九」はこうでなくちゃ。


♪2014-121/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13