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2024年10月25日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#26

2024-10-25 @すみだトリフォニーホール



上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団


ァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」


上岡ちゃんには癖がある。嵌れば面白い。
今日はモーツァルト最後の交響曲3曲をまとめて聴いて、大いに面白かった。

弦の編成はすべて12型。これに加わる管打楽器もいずれも小ぶり。
テンポは速めで、アンサンブルは上岡流に彫琢…というよりむしろ刈り込んだ感じで小気味良い。
中でも強弱の変化はこだわり抜いたか、ここまで弱音を求めるかと驚くほど。
あざとくなるスレスレで品よく保って、実に面白かった。

ほとんど弦楽合奏のような音楽だが、肝心の弦がとても良い出来。モーツァルトが聴いたらびっくりしたのじゃないか。こんな美しい演奏を聴いたことがないと言うのではないか、と思ったよ。

2024-143/♪すみだトリフォニーホール-07

2024年3月15日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#21

2024-03-15 @すみだトリフォニーホール



上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
アンヌ・ケフェレック:ピアノ*

ベートーべン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15*
シューベルト:交響曲第8番ハ長調 D944「グレート」
---------------------------
ヘンデル(ケンプ編):組曲第1番 HWV434から第4曲「メヌエット」




上岡ちゃんはクセがある。ハマれば面白い。が、今日のような曲ではそういうケレンは感じられなかった。
その代わり、古巣からえらく美しいアンサンブルを引き出した。
いつも、聴きたい!と思っている弦の透明感があって力強い響。管弦の交わりも絶妙だ。大将が振るとこういう音を出すのか!と軽い驚き。

「グレート」の「天国的な長さ」。
今日は指定どおりの繰返し(第2楽章以外)を全部やったかどうか分からないけど(55分という演奏時間は微妙)、手持ちのCDは多くが完全版と言っても60分前後で、作曲当時はともかく、その後無駄に長い作品がたくさん作られたから、それらと比べると「グレート」は健康的な美旋律の釣瓶打ちなので、まさに<天国的>だ。

これを演奏時間の長さゆえに批判する人は、もちろん、マーラーやブルックナーも嫌悪しているのだろうな。それなら一貫している。賛成はできないけど。

良い演奏だった。
しかし、今日のすみトリの響は燻んでいたよ。
オケもピアノも綺麗な音を出すのに、なぜかどこかでフィルターがかかったようにそのままが客席に届かなくて隔靴掻痒の思い。

いつもの席なのに。
いつもは大抵満足できるのに。
これまで、ホールの響として不満を感じたことがなかったのに。

そこが、これまで味わったことのない不安だった。自分の健康問題かもしれないけど。

2024-038/♪すみだトリフォニーホール-02

2022年10月14日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#10

2022-10-14 @すみだトリフォニーホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

田部京子:ピアノ**(ラルス・フォークト9/5逝去・代役)
上野星矢:フルート*
山宮るり子:ハープ*

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K. 299*
ベートーべン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 op. 58**
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 op. 73



観賞本数を減らしたい、すみだトリフォニーは家から遠い、の理由で、次季は継続しないつもりでいたが、決意が鈍って継続手続きをしてしまった。

しかし、今日の演奏を聴いて継続は正解だったと合点した。
久しぶりの上岡マジックを堪能した2時間半は至福の時。

元々新日フィルは満足度の高いオケだ。最近では佐渡裕、井上道義、デュトワと名演が続いているが、今日も期待以上の出来。

❶フルートとハープのための協奏曲は、フルートに比べハープが音量的に非力な為にバランス悪し。モーツァルトはそもそも室内アンサンブルとして書いたのではないか。オケが弦10型でも大きい…と言うより、そもそも、小ホールで聴く音楽だろう。

そういう問題はあったが、オケは弦が実に美しい。
弦のほかに管がホルン2本とオーボエ2本だけ。管弦溶け合うようなアンサンブルで、生演奏ならではの響き聴く喜び。

❷ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番が本日の絶品。
弦は12型になったが、透明感が見事。
特に第2楽章は弦5部とピアノの掛け合いに終始するが、ここでの弦の5部ユニゾンがゾクゾクする美しさ。

❸ブラームス交響曲第2番では弦14型に。
その結果は功罪半ばで、弦に厚みが出た代わりに高域弦の透明感は少し失われた。
冒頭低域弦に乗って、短い動機が管楽器でやりとりされるが、ここの空中浮遊感はどのオケでもだが危なっかく、今日の新日フィルも例外ではなかった。

しかし、その後は、上岡名人の丹精が細かいところまで行き届いて、新日フィルの合奏力の底力を感じた。

20日程前に聴いたルイージN響のブラームス2番の出来よりずっと上等だった。


♪2022-149/♪すみだトリフォニーホール-07

2022年4月14日木曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 「上岡敏之 plays Piano」 上岡敏之 ピアノ・リサイタル

2022-04-14 @県立音楽堂



上岡敏之:ピアノ

ショパン:バラード第1番 op.23
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」
ショパン:ノクターン ホ短調 op.72-1
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調 op.53
ドビュッシー:ヒースの茂る荒れ地(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:花火(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:エレジー
ショパン:スケルツォ第1番 op.20
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番「戦争ソナタ」
----アンコール----
ヘンデル(ケンプ編曲):クラヴィーア組曲第1番からメヌエット
シューベルト:楽興の時 第2番 Op. 94-2
J.S.バッハ:平均率クラヴィーア曲集第1巻第1番からプレリュード
スクリャービン:3つの小品から「アルバムの綴り」Op.45-1


上岡敏之のピアノは、かつて室内楽で聴いたことがあったが、単独リサイタルは初めて。
指揮者としてもユニークだが、ピアノ・リサイタルも独特の雰囲気を醸して非常に面白かった。

何しろ、会場は真っ暗闇。
鍵盤部分にのみライトが当たっている。
ご本人の登場もピアノの傍に来て初めて確認できる。

1曲目のショパンが終わっても指は鍵盤を離れず、そのままスクリャービンに突入。以下、前半の8曲は絶妙な間合いで連続演奏した。

この独自なスタイルこそ上岡流なのだろう。

ショパン以外は初聴きだったが、次第に彼の構築する世界に惹き込まれて行った。

プログラミングの意図は分からないが終わってみれば不思議なもので、途中なんの違和感も感じなかった。緻密な計算があったのだろう。

後半は、プロコの戦争ソナタ8番。これも初聴き。

ワクワクするような音楽じゃないけど、ピアニズムを駆使した感じで楽しく聴けた。
プロコフィエフはドネツィク(「ドネツク」はロシア読み)州生まれだそうで、彼の手になる戦争ソナタを聴くとは感慨無量。

♪2022-050/♪神奈川県立音楽堂-04

2019年10月11日金曜日

新日本フィル:#26ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

2019-10-11 @すみだトリフォニーホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第2番変ロ長調 D125
シューベルト:交響曲第3番ニ長調 D200
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz. 116

今季の新日本フィルはシューベルト交響曲を全曲やるみたいで、9月4番、今回2・3番、来月1番、2月5番、7月8番。これに他の定期を合わせて全曲完成だ。
先月の4番も聴く機会が少ないく、圧倒的に5番以降が多い。
昔のことは記憶もいい加減だが、今日の2・3番は初聴きだったかも。

弦編成は10型という珍しい小規模。
2曲ともシューベルト17〜8歳頃の作品で、その頃ハイドンもモツも亡くなっており、ベートーベンを聴いていたはずだが、作風はハイドンに少し情緒をまぶしサロン音楽のような軽めの仕上がりだ。

これらの対比でバルトークが一層面白かった。
弦楽器の編成が14型(第1バイオリンが14人)に拡がって音の厚みが違う。

管弦楽のための協奏曲というだけあって、特に管楽器の出番が多い。技術的にも演奏が難しいようだ。
そこを、このオケのメンバーは難なくこなして面白い。
弦と管との混ざり合う響きも良い具合で、いつも上岡マジックに乗せられたようで、感心してしまう。

オマケにこのホール、響きが良いのが難点かも!


♪2019-154/♪すみだトリフォニーホール-03

2019年9月8日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第10回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2019-09-08 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第4番ハ短調 D417「悲劇的」
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107(ハース版)

新日本フィルのみなとみらいホールでのコンサートは年に3回しかないが、いずれも上岡御大が大曲を振る。
しかも数日前にサントリーホールで演奏した同一プログラムを持ってきてくれるので、謂わば、サントリーでお客を入れたゲネプロで仕上げた状態のものを聴かせてくれるのだから実に嬉しい。
そしていつもみなとみらいホールで収録するのは演奏が十分出来上がっているというだけでなく、良い音響を求めてのことだろう。いずれにせよ、いつも力が入っているのが分かる。

昨日の神奈川フィルの際もホールは良く鳴った。
不思議なもので、ホール内に入った時から、今日も良く鳴るぞという予感があった。
透明な空気感でそう感じたが、案の定だ。

弦のアンサンブルが実に美しい。
管も良い響き。
両者が混じり合う時の交響的音響はこれぞ生オケを聴く醍醐味だ。もちろん新日フィルの実力あってのことだが、音楽監督上岡敏之の采配も的確なのだろう。いつも細部へのこだわりを感ずる。時に独自な解釈を聴かせることがあって、それが楽しい。尤も、今日はオーソドックスな演奏ではなかったかと思うが、何しろブルックナーは好んで聴く方ではないから標準形を知らないので。

いずれにせよ、かくも透明感を維持して、楽器本来の音の美しさを発揮してくれるとあまり好物でもないブルックナーさえも愛おしくなる。

新日フィルが横浜に来るときはいつも客演するホルンの日高氏(元N響首席)もやはり只者ではない。マーラー同様ブルックナーでもホルンは非常に重要な役割を担っている。
第一楽章の出だしでバイオリンの細かい刻みに乗ってチェロとユニゾンでホルンソロが響くところ、ここで気持ちが乗らないと先がしんどいが、見事な演奏だった。お、これで今日は楽しめるかな、という気にさせ、そして最後まで知的興奮が継続した。

先日の大野+都響のブルックナー第9番も久しぶりに都響にも底力があるなと感心した出来だったが、今日の新日フィルの巧さは格違いの気がした。
こういう演奏を聴くと、ブルックナーに対して抱いていたマイナス印象を払拭されてしまう?ようで、どうしよう…。

♪2019-135/♪みなとみらいホール-38

2019年7月28日日曜日

フェスタサマーミューザ2019 新日本フィルハーモニー交響楽団 ≪ロシア音楽の2大巨頭を味わい尽くす≫

2019-07-28 @ミューザ川崎シンフォニーホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
小川典子:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番*
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲から
 モンタギュー家とキャピュレット家 (第2組曲)
 少女ジュリエット (第2組曲)
 ジュリエット (第3組曲)
 ロメオとジュリエット (第1組曲)
 僧ローレンス (第2組曲)
 タイボルトの死 (第1組曲)
 別れの前のロメオとジュリエット (第2組曲)
 ジュリエットの墓の前のロメオ (第2組曲)
 ジュリエットの死 (第3組曲)

----アンコール---------------
ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」作品39の1*

フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2019。その初日は他のコンサートに回って休んだが、今日から8月12日までに全10オーケストラを同じ席で聴けるのが楽しみだ。

今日の驚きは、いつになくホールの響きが良い事。
もとより、ミューザは聴く側にとってのスウィート・エリアが広く、ほとんど響きに不満を感じたことはないが、今日は格別だった。特にピアノが久々に良く鳴った。高域の抜けが良い。低域も濁らない。残響が過不足なく正に適度なのだ。故に小川典子のマイクなしのアンコール曲紹介が<明瞭>に聴き取れた。

残響が効き過ぎると声はくぐもる。声は届いても反射音も一緒に連れてくるものだから聴きとりにくくなるのだ。

同じホールで同じピアノを同じような席で聴いていてもなかなか今日のような明るい響きは経験できない。
外気の温湿度やエアコンの具合、客の入りなどで床や壁の木材の仕事ぶりが違うのだろう。ホンに木は生きているよ。

オーケストラの方も、実力が発揮できたのか、ホールに助けられたか、ともかく好調だった。
念入りな弱音も力技の強音も確かな表現になった。
それは「ロメオとジュリエット」の後半で愈々はっきりしてきた。時にゾクゾクさせるアンサンブルを聴きながら、上岡師がなぜこの曲を選んだのか、が分かったような気がした。

「ジュリエットの死」で全曲が終わった時に、上岡師は指揮台で死んだように手摺に凭れかかっている。幸い拍手は起こらない。演奏事故みたいに長く死んだふりしている。そろそろ心配になりかけた頃にムクッと生き返って大拍手。これも上岡師らしい。

♪2019-109/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06

2019年5月12日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第9回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2019-05-12 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

ワーグナー:歌劇『タンホイザー』から
「序曲とバッカナール」(パリ版)
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』から
「前奏曲と愛の死」
ワーグナー:楽劇『神々の黄昏』から
 第1幕「ジークフリートのラインへの旅」
 第3幕「ジークフリートの死と葬送行進曲」
ワーグナー:舞台神聖祝典劇『パルジファル』から
 第1幕 前奏曲と第3幕 フィナーレ」 

ワーグナー・アーベント。
全作楽しみなワーグナーの有名曲ばかり。
が、良い出来とは言えなかった。
前半はまずまずかなと思って聴いていたが、後半にはまとまりのなさが露呈してしまった。
上岡師のこだわりが細部に行き渡っているけどもオケがそれを表現できない。

そうなると、独自の味わいとなるべきところがむしろケレンになったり、嫌味になったり、中途半端になったり、聴こえないほどの最弱音さえも耳障り?

オケの規模が大きいだけに音楽が形良く納まらなかった。
エキストラが多かったが、実力者を揃えた(例:Hrの日高氏など大活躍!)のだろうけどアンサンブルを整える迄に至らなかったか。


♪2019-062/♪みなとみらいホール-16

2019年3月18日月曜日

プレシャス・ストーン <NJP特典コンサート>

2019-03-18 @すみだトリフォニーホール


藤井将矢:コントラバス
中舘壮志 & マルコス・ペレス・ミランダ:クラリネット
腰野真那:パーカッション
上岡敏之:ピアノPf

グリエール:プレリュードとスケルツォ 作品32 藤井+上岡
グリエール:インテルメッツォとタランテラ 作品9   藤井+上岡
ブラームス:クラリネット・ソナタへ短調 作品120-1 中舘+上岡 
ブラームス:クラリネット・ソナタ変ホ長調 作品120-2 ミランダ+上岡
J.ダドウル:スノーブラインド 腰野+上岡

新日本フィルの、定期会員や年間セット券購入者(先着順)に対するサービスの室内楽コンサートだった。これがなければすみだトリフォニーまで出かけることはなかったろうな。昔2度ばかり行ったことがあったが、リタイア後は足が遠のき、多分10年ぶりくらいだ。

6曲演奏されたが、ピアノとコントラバス、ピアノとクラリネット、ピアノとパーカッションという組み合わせで、ブラームスのクラリネットソナタ2曲以外は現代曲だ、皆目知らない作曲家の作品だった。

ブラームスのソナタも、CDは持っているし、何度か聴いているけどクラリネット五重奏や三重奏に比べると格段に馴染みが薄く、生で聴くのも初めてだった。そういう意味では良い機会だったが、室内楽を聴くには会場が広く(キャパ1800席)、席は遠すぎて(23列センター)気持ちが入り込まなかった。

やはり、室内楽は小ホールに限る。大ホールでもせめて5列以内程度に座りたい。

♪2019-033/♪すみだトリフォニーホール-01

2018年10月28日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第7回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2018-10-28 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団*

山口清子:ソプラノ*
清水華澄:アルト*
与儀巧:テノール*
原田圭:バス*

ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB 109(ハース/オーレル版)
ブルックナー:テ・デウム WAB 45*

好みじゃないブルックナー「交響曲第9番」が今年はどういう訳か3回目だ。

でも、今日は、指揮が好みの上岡敏之だし、未完の第4楽章に代えて(ブルックナーの)「テ・デウム」を休憩なしで演奏するという野心的な試み。

これまで、ブルックナーが(第9番の終楽章が未完に終わった場合は、「テ・デウム」を代わりに演奏せよ、と)示唆したというこの形での演奏に接したことがなかったので、その面でも楽しみだった。

細部へのこだわり=上岡らしさは特に感じなかったが、弦はきれい。管はやや残念。とは言え、緊張感の持続する良い演奏だった。

難点の<長さ>については、「テ・デウム」込み(約90分)でも納得させた。というより、むしろ「テ・デウム」が終楽章の代わりに続いたことが全曲の完結感を高めたのだろう。

欲を言えば、合唱席はP席(舞台後方)を使ったのだから、冒頭から座って待っておれば良かった。80人が着席するには時間が必要で、気持ちを維持するのに一手間かかる。
でも、その合唱は良かった。
独唱4人の巧拙は別に、アンサンブルの妙が無い。そういう音楽だから仕方がない。

♪2018-138/♪みなとみらいホール-30

2018年4月22日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第6回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2018-04-22 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
アンヌ・ケフェレック:ピアノ*

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491* 
ブルックナー:交響曲第6番 イ長調 WAB 106
---------------
アンコール
ヘンデル(ケンプ編):メヌエットト短調*
モーツァルト:交響曲第29番イ長調から第4楽章

新日本フィルは、在京プロオケの中では、オペラのピットに入っているのを別にしてコンサートを聴く機会は極めて少ないオケだが、その数少ない機会に上岡敏之が振ったのを聴いて非常に印象に残っていた。
ラヴェルの「ボレロ」はどこのオケが演奏してもまずハズレ無しだが、約2年前のミューザで聴いた上岡+新日本フィルの「ボレロ」はいろんなオケで何度も聴いている曲だけど、その中で一番インパクトを受けた演奏だ。

また2015年の読響を振った「第九」もすごかった。
細部へのこだわりが、彼の場合は嫌味を超越した外連味となって、高いテンションを生んでいる。一種の癖になってしまうような困った魅力があるのだ。

新日フィルはめったにみなとみらいホールで聴く機会がないが、今回は特別演奏会として登場した。これからも度々来てくれるといいのだけど。

さて、メインはブルックナーの交響曲6番だが、ブルックナーの交響曲はマーラーほどではないにしても演奏される機会が多い。5番、4番、7番、9番を中心に何度も聴いているが、1番と6番だけはナマで聴いたことがなかった。今日、6番を初めて聴いたので残りは1番だ。どこのオケでもいいや、早く聴かせてくれ!

それはともかく、今回のコンサートに向けて予習のためにCDは相当聴き込んだが、スコアを見ながら聴いた訳ではないので、この複雑な構造は皆目頭に入ってこなかった。
しかし、やはりナマを聴くと没入度が違うし、古典的な形式を踏んで4楽章にキチンと分けられていて、聴きながら道に迷うということはなかった。
しかし、馴染み方が十分ではないので、どこに上岡マジックが秘められていたのか、それは分からなかった。案外、そんなものはなくてひたすらオーソドックスを目指したのではないか、という気もしながら聴き終えた。

前日がインキネン率いる日フィルの精緻なアンサンブル、その前日がブロムシュテットのN響、その前日が大野和士の都響と4日連続して大物を聴いていたので、新日フィルのオーケストラとしての力量は素人の評価は差し控えておこう。まあ、特段劣ることもないという印象だった。

ブルックナーの前に、モーツァルトの2曲しかない短調のピアノ協奏曲の一つ、24番がアンヌ・ケフェレックの独奏で演奏された。この人の演奏は、過去にオリヴィエ・シャルリエというバイオリニストと一緒にベートーベンとブラームスのバイオリン・ソナタを聴いていたが、これは記録を改めて思い出したこと。
その時の印象は特に残っていなかったが、今日のモーツァルトはとても良かった。
技術的なことは分からないけど、転がるような高音域と太い1本弦がブルっと震えているのが伝わるような低域まで豊かに響いて(ま、ピアノが良い、ホールが良いということでもあるけど)、まずはピアノの音が美しいし、少し哀愁を含んだモーツァルトの旋律も穏やかで心にしみる。まあ、とにかく気持ち良く聴くことができたし、この曲では新日フィルの編成は当然小規模で弦楽中心だったが、このアンサンブルも良い雰囲気を醸していた。

♪2018-046/♪みなとみらいホール-13

2016年7月25日月曜日

フェスタサマーミューザ2016 新日本フィルハーモニー交響楽団 シェフ上岡敏之のスペイン・ラプソディー

2016-07-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
ビゼー:「アルルの女」第1組曲
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ラヴェル:ボレロ
-----------
アンコール
ビゼー:「アルルの女」第2組曲から「ファランドール」


今日は新日本フィルによるスペイン音楽集。
といっても作曲者全員が非スペイン人というのも面白い。

全曲が耳に馴染んだ作品ばかりだし、そのいずれもが規模の大きい編成によるきらびやかな管弦楽技法を駆使した作品なのでオーケストラを聴く楽しみがてんこ盛りという感じだ。

なんといっても、本日の白眉は「ボレロ」だ。
これまでにいろんなオケ、いろんな指揮者で聴いたすべての演奏に比較して今日の演奏は最弱音から始まった。
指揮者のタクトは動いているので音楽は始まっているのだけどスネアドラムのリズムもチェロ・ビオラのピチカートもほとんど「聴こえない」のだからすごい。やがてフルートのメロディが始まって、なるほど「ボレロ」だと確認できるような具合だ。
この辺がいかにも上岡敏之のケレン味たっぷりな指揮ぶりだ。
もちろんこれはクライマックスに向けてのダイナミックレンジの広さを表現しているのだ。
果たして終盤は全楽器が荒れ狂うように盛り上がる。

館内の歓声・拍手はオープニングよりずっと賑やかだった。
こういうエネルギッシュな大曲の後はアンコールはないのが相場だけど、度々のカーテンコールで登場したマエストロはついにひょいと指揮台に上がり、予想に反して、すっとタクトを振り下ろしたのがなんと景気の良い「ファランドール」だ。
もう本当にお祭り気分最高潮を演出してみんなが気持ちよく上岡マジックに酔った一晩だった。

それにしても初日の東響は選曲を間違えたね。
ローマ三部作でも演奏してミューザの夏祭りを盛り上げるべきだったよ。


♪2016-103/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-16