2022年3月31日木曜日

かなっくクラシック音楽部 ランチタイムコンサート「ア・ラ・カルト」⑥最終回 室内オーケストラ・カメラータかなっく

2022-03-31 @かなっくホール


室内オーケストラ・カメラータかなっく(かなっくホール専属の室内オーケストラ)

(オール・モーツァルト・プログラム)
ディベルティメント K.136
セレナード第6番ニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」
交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」
----------------
ウクライナ国歌


かなっくホールは、我が家の近所でもあり、音の良い大好きなホールだ。
専属の室内オケや弦楽四重奏団も抱えているが、運営体制が弱い。
フィリア・ホール休館中は人気の演奏家を横取りして招聘してほしいね🤫。

ところで、今日はその専属室内オケ「カメラータかなっく」の演奏会。
曲により14人(弦のみ)〜25人で、全モーツァルト・プログラム。

久しぶりに聴いたが、前回の印象より、今日はぐんと引き締まっていた。

メンバーは若手のプロオケ奏者を中心に、代表の篠崎史門の吸引力で集めているのか?
今日のコンマスは大阪フィルのコンマスで存在感を示していた。

セレナード6番で披露した弦5部首席のジャズセッションのようなアドリブ・カデンツァはユーモアもあり、相当高度な技術も披露した。

「リンツ」になると管楽器が増えて、賑やかになったが、その分、ざわつきも増えたのは残念。

アンコールはウクライナ国歌を演奏したが、この時に限り、録音・録画がOKで、むしろSNS発信を要請されたので、その時の様子を短い動画にしたがファイルサイズが大きいので残念ながら添付できない。

♪2022-046/♪かなっくホール-02

2022年3月30日水曜日

東京・春・音楽祭 ワーグナー・シリーズ vol.13 《ローエングリン》

2022-03-30 @東京文化会館


マレク・ヤノフスキ:指揮

NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン 

ローエングリンTn:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
エルザSp:ヨハンニ・ファン・オーストラム
テルラムントBsBr:エギルス・シリンス
オルトルートMs:アンナ・マリア・キウリ(エレーナ・ツィトコーワの代役)
ハインリヒ王Bs:タレク・ナズミ
王の伝令Br:リヴュー・ホレンダー

ワーグナー:歌劇《ローエングリン》
(全3幕)<演奏会形式/ドイツ語上演/字幕付>

予定上演時間:約4時間20分
 第Ⅰ幕   60分
  休憩  30分
 第Ⅱ幕   80分
  休憩  30分
 第Ⅲ幕   60分

ワーグナーなら何でも好き!という訳ではなく、昔から、この作品は苦手。話に深みがなく子供っぽい。饒舌なのに進行は遅い。魅力的な音楽に乏しい。


で、今回はパスするつもりいたところ、発売日をだいぶ過ぎてから気が変わって参戦。

なので、良い席が取れなかった。


オケはピットではない分、ストレートに響く。

歌手たちは、Eシリンス以外初聴きばかりだった。


急遽交代したAMキウリは完璧ではなかったようだが、それにしてもみんな巧い。

オペラパレスより500席も広い空間で背中にオケを背負っても朗々たる歌唱。


騎士役(ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー)とエルザ姫(ヨハンニ・ファン・オーストラム)の2人は特に美声だった。


あまり気が進まないまま買ったチケットは、1階〜3階の中央が売切れで3階壁際バルコニーだった。

知ってはいたけど、椅子は舞台を向いていない。

字幕を見るには30度、指揮者を見るには45度、歌手全員見るには90度は身体を捻らなくてはならない。

正味200分。どれほど苦痛であったか!

もう、金輪際壁際は買わない。


♪2022-045/♪東京文化会館-07

2022年3月27日日曜日

名曲全集第175回 超絶技巧のコロラトゥーラ・ソプラノ&「巨人」

2022-03-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール



飯森範親:指揮
東京交響楽団

梅津碧:ソプラノ*

●モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
●モーツァルト:歌劇「魔笛」夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」*
●オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲
●オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」より オランピアのアリア「生け垣に鳥たちが」*
●バーンスタイン:「キャンディード」序曲
●バーンスタイン:「キャンディード」より クネゴンデのアリア「着飾って、きらびやかに」*

●マーラー:交響曲 第1番「巨人」(1893年ハンブルク稿)
第1部 青春の日々より~花・果実・茨
 第1楽章 春、そして終わることなく
 第2楽章 花の章
 第3楽章 順風満帆
第2部 人間喜劇
 第4楽章 難破!~カロ風の葬送行進曲
 第5楽章 地獄から


前半はオペラ序曲とソプラノ・アリア3曲ずつ。
不可解な構成だったが、音楽は楽しめた。

後半は今月3回目という食傷気味のマーラー交響曲第1番。

始まってから様子が違うとは思ったが、その好奇心も史上最強の睡魔に負けた。
結果的に、貴重な機会を逸してしまった。

チラシなどでの予告はなかった。
当日のプログラムは、読み飛ばした。
だから、いつもの4楽章構成のものだとばかり思っていた。

ところがどっこい、実は、この日の演奏は噂には聴いていたハンブルク稿というもので、”花の章”が2楽章として挿入され、他にも楽器の編成、繰返しの有無などが、普段聴いている4楽章形式とは異なる…のに、僕はその”花の章”を寝てしまった。

コトラバスのソロ(通常の版では第3楽章。この版では第4楽章)で気がついて以降はしっかり聴いていたが、終曲間際のホルン7重奏が、1本多い8重奏で、トランペットもトロンボーンも伴わず、立奏もしなかった。木管の水平持ちもなし。

こんな”芸”は、音楽的に意味はないと思っているが、あまりに慣れているのでこの”芸”を見ないとマーラー1番を聴いた気にならないのは困ったものだ。

覚醒時に聴いていた演奏は悪くなかったが、カーテンコールの盛上りに欠けたのは腑に落ちないお客が多かったのではないか。
僕は、何しろ”花の章”1楽章分全部と続く楽章の途中まで寝ていたので、なんか変だと思いつつも全4楽章だと思い込んでいたから、帰りに解説を読んで5楽章ものだと気づいて、そうだったのか!と腑に落ちた。

こういう珍しい版を演奏するときは事前にもっとアピールしてくれなくちゃ。眠眠打破を用意しておくのに!


♪2022-044/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2022年3月26日土曜日

東京・春・音楽祭 ブラームスの室内楽Ⅸ

2022-03-26 @東京文化会館


バイオリン:辻󠄀彩奈
ビオラ:川本嘉子
チェロ:向山佳絵子
コントラバス:佐野央子
フルート:上野星矢
オーボエ:荒木奏美
クラリネット:三界秀実
ファゴット:皆神陽太
ホルン:福川伸陽
ピアノ:阪田知樹

ブラームス(オズグッド編):セレナード第1番ニ長調 op.11(九重奏版)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番ハ短調 op.60


この音楽祭で楽しみにしているのシリーズの一つが、ブラームスの室内楽シリーズだ。不動の川本嘉子に向山佳絵子(チェロが登場しない回もあったが。)を中心に、他は毎回異なる。
今回はピアノ四重奏の前に、記憶にある限り最大編成の九重奏を演奏。これが何と初聴き!

でも、聴きながら変な編成だと思った。
弦が4本に管が5本て、どうもしっくりこない。
帰宅後調べたらブラームスのオリジナルはオーボエの代わりにクラリネットが2本らしいが、今回は各1本ずつ。
いずれにせよ、妙な編成だ。

ブラームスがどこやらの領主に仕えた時期の作品で、スポンサーへのサービスなのか。
その後オーケストラ用に編曲し、併せて室内楽版は廃棄したそうだ。

それで、後年、何人かが九重奏に編曲し直しているらしい。

初めて聴く音楽でも、すーっと入ってゆけるものは多いし、特に大好物のブラームスなので何の警戒心も持たなかったが、残念!馴染めなかった。

管楽器奏者にとっては重要な作品だろうけど、聴く側としては心構えが難しい編成だと思う。

後半はピアノ四重奏曲第3番。
こちらはもう、慣れたもので、やはり、ブラームスはこうでなくちゃ。

溢れる叙情がこれでもか、と襲い掛かるようで、しかし、冷静さを失わない。このストイズムがブラームスの根本的な魅力だ。

昨日に続き、阪田くんのピアノの音の明瞭な事。辻彩奈・川本・向山の弦のアンサンブルも美しく響いた。

♪2022-043/♪東京文化会館-06

2022年3月25日金曜日

東京・春・音楽祭 岡本侑也(チェロ)&河村尚子(ピアノ)

2022-03-25 @東京文化会館



岡本侑也:チェロ
河村尚子:ピアノ

ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
ブーランジェ:チェロとピアノのための3つの小品
プーランク:チェロ・ソナタ FP143
ブラームス:チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 op.99
--------アンコール--------
ブーランジェ:ヴァイオリンとピアノのための2つの小品 第1番 夜想曲(チェロ版)
シューマン:ミルテの花より 献呈
ドビュッシー:美しき夕暮れ


河村ちゃんは、大好きで機会を逃さないように聴いている。
岡本くんは昨夏カーチュン・ウォン+都響で聴いたのが最初で、その時とても驚いた。あの美しい響きは只者ではない。

で、この2人のDuoとなれば期待せずにおれなかったが、今日はその大きな期待を軽々超えた!

河村ちゃんは登場してあの愛嬌溢れる笑顔をみせただけでもう気分はお花畑の如し。ピアノに向かう表情を見るのも楽しい。ああ、彼女は今、音楽している!

プログラムはブラームス以外は初聴きというサービス精神に欠けるものだったが、それだけに2人の気合を感じた。

果たして岡本くんの第一声の美しさは?

これが半端ではなかった。

いろんなチェリストのいろんな音色を聴いてきた。
これまで一番美しい音を出すのは宮田大だった。
しかし、今日確信したよ。岡本くんの音色が実に美しく、力強い。こんなに綺麗な音は滅多に聴けないと思う。


サポートする河村ちゃんのピアノの音も負けず美しい。

つい先日、この会場で室内オケによるピアノ協奏曲をほぼ同じ席で聴いたのだけど、響きが違う。協奏曲でのピアノの位置は客席寄りだが、今日はチェロが前に出て、ピアノは後ろだ。それだけの違いだが、音が柔らかい。タッチの違いもあるだろうけどこんなに違うとは!

少なくとも配置によってPfの響きが変わるのは間違いない。
ともかく、河村ちゃんの特に低域の美しさにはジーンときたよ。

PfとVcの両者が、音楽の根本である楽器の”音”において比類ない美しさを聴かせてくれた。
音だけではなく、表現技術、解釈も必要だろうが、まずもって”音”が大切。美しい音が出せないなければ”音楽”にはならない。

こんなに美音なら、音階練習だって聴いていたいよ。


♪2022-042/♪東京文化会館-05

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#5

2022-03-25 @すみだトリフォニーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
清水和音:ピアノ*

細川俊夫:開花II(2011)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op.95「新世界から」
-------------------
ショパン:ノクターン第10番 Op32-2*
ブラームス:ハンガリアンダンス第1番


細川俊夫の初聴き作品「開花Ⅱ」は、冒頭の弦のアンサンブルがきれいだった(今日は、終始、弦に不満がなかった。)。しかし、面白味に欠ける音楽で、僕の中では花は開かずじまいだった。気分が乗れないまま続くモーツァルトのピアノ協奏曲も弾けなかった。

ところが、「新世界から」は実に小気味良いテンポで、キリリとまとまって、好印象を受けた。少し、まとまりのなさもあったのだけど、勢いが優った。

同じオケを同じホールの同じ席で聴いていても都度出来栄えが異なるのはどうして?今日など前半と後半でオケの締まり具合が違って聴こえたのは気のせいかなあ。

♪2022-041/♪すみだトリフォニーホール-02

2022年3月21日月曜日

東京・春・音楽祭チェンバー・オーケストラ

2022-03-21 @東京文化会館


東京春祭チェンバー・オーケストラ
バイオリン:堀正文、枝並千花、城戸かれん、城所素雅、武田桃子、戸原直、外園萌香、宮川奈々、山内眞紀
ビオラ:安藤裕子、岡さおり、森野 開、山本周
チェロ:辻󠄀本玲、中条誠一、宮坂拡志
コントラバス:佐伯洋裕
フルート:上野由恵
オーボエ:蠣崎耕三、森枝繭子
ファゴット:水谷上総、佐藤由起
ホルン:阿部麿、村中美菜

ピアノ:小林海都*

モーツァルト:
交響曲第1番変ホ長調 K.16
ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271《ジュノーム》*
交響曲第40番ト短調 K.550 
--------アンコール--------
シューベルト:4つの即興曲 op.142から第2番変イ長調 D935*
モーツァルト:カッサシオン ト長調 K.63からVI. Menuet. Trio


この室内オケは東京春祭の定番メニューだが、今日の編成(最大24人)で聴くのは初めて。16年に10人編成で聴いたけどその後規模拡大して今日に至っているのか?

コンマスの堀正文氏以外は若手・中堅で、特に女性が多いVn・Vaは名前も知らない人ばかり。

リサイタルを除くとほぼ1年ぶりの文化・小Hだった。
とても響きがいい。
冒頭の弦の合奏の響きにゾクゾクした…が、良かったのは最初だけ。
弦の響きはホールの残響に包まれて美しいけど、小編成の割に透明感に欠ける。

Stagingがぎこちないのも乗りを悪くさせた。

Pf協独奏者として登場した小林海都くんは2016年の横浜市招待国際ピアノ演奏会以来。ますます磨きをかけた指さばきが爽快だった。
でも、このオケのサイズでフルコンサートグランドかなあ。フォルテピアノで聴きたかったが、そうなると演奏家を変えなくちゃいけないか。

♪2022-040/♪東京文化会館-04

2022年3月19日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第374回横浜定期演奏会

2022-03-19 @県民ホール



大植英次:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

小林美樹:バイオリン*

メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調 op.64*
マーラー:交響曲第1番《巨人》 ニ長調
--------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第1番サラバンド


今月は神奈川フィル定期に続いて2回目のマーラー1番。27日にも東響で聴くから1月に3度とは珍しい。

今日は、大植英次の指揮で。

彼の人間性に魅力を感じているので、彼がやりたいようにやってくれたらそれで満足。
今日のようにテンポは自在(過ぎ!)で、歌はベタベタとくどくともOK。

終曲までの道中の各所に大植印を撒き散らした。

あまりに独自色が強くて音楽としてついてゆけないけど、そこも大植流の面白さ。

民族臭プンプンの舞曲集のような軽い俗っぽさをこれでもかと聴かせるのは、案外、マーラーの本質なのかもなあと思いながら聴いた。

前半は小林美樹のメンコン。
冒頭の音が硬くて驚いたが、そのうち普段の柔らかさ、力強さを取り戻した。空調が徐々に本気を出してきたからだろう。

「雨の日はホールの響きが良い」…と言う仮説が、久しぶりに当たった。
こちらは大植流独自色も封印され、品よく正統的メンコンを楽しんだ。

♪2022-039/♪県民ホール-05

2022年3月18日金曜日

令和4年3月歌舞伎公演『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』

2022-03-18 @国立劇場大劇場



佐々木盛綱⇒       尾上菊之助
高綱妻篝火⇒       中村梅枝
信楽太郎⇒         中村萬太郎
伊吹藤太⇒         中村種之助
盛綱妻早瀬⇒       中村莟玉
高綱一子小四郎⇒   尾上丑之助
盛綱一子小三郎⇒   小川大晴
古郡新左衛門⇒     嵐橘三郎
盛綱母微妙⇒       上村吉弥
北條時政⇒         片岡亀蔵
和田兵衛秀盛⇒     中村又五郎
                           ほか

入門 “盛綱陣屋”(もりつなじんや)をたのしむ

近松半二=作
近江源氏先陣館  一幕
-盛綱陣屋-
 国立劇場美術係=美術
        

「熊谷陣屋」は歌舞伎・文楽で何度も観たが、「盛綱陣屋」は初めて…と思っていたが、19年の暮れに松本白鸚の盛綱で観てたよ。ホンにこの頃の記憶力低下は自分でもゾッとするよ。

両者の話に共通点は多い。
偽頸実験。
うまく騙した後の一波乱。
何より極端なくらいの忠孝。

物語としては「熊谷」の方が上等な気がするが、「盛綱」も面白かった。と言うか、今回はちびっ子2人にやられた!

主人公盛綱の長男役を小川大晴(ひろはる=梅枝の長男)が。
盛綱の弟である高綱の長男役を丑之助(菊之助の長男)が演ずる。

この絵本の桃太郎のような2人が非常に可愛らしいので、登場しただけで癒される。

が、やがて悲劇に見舞われる丑之助の健気さに胸を掻きむしられ迂闊にも落涙!

このところ、国立の3月は「菊之助劇団」で定着しそうだが、ところどころに、昨秋亡くなった吉右衛門を思い起こさせる雰囲気があった。

美形中の美形、莟玉の顔がえらく丸々としていた。まあ、いつまでも美少年ではいられないし、顔つきも変わってゆくのだろうか。あまり太らないのがよろしい…けど。

ところで、コロナも下火になりつつあるが、舞台と客席が双方向的に交流する歌舞伎では「大向こう(掛け声)」が復活しないと、本当の「歌舞伎」にならない。
拍手ではもどかしい。手練れの間合いの良い掛け声を聞いて役者も気持ちを乗せられるだろうし、声を掛けないお客もこの雰囲気を楽しめるのだが。

♪2022-038/♪国立劇場-02

MUZA ミュージック・カレッジ 第1回 知る〜ロマン派のオルガン音楽

2022-03-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール



講師:井上さつき(音楽学/愛知県立芸術大学音楽学部教授)
松居直美:ポジティフオルガン/パイプオルガン

●C.フランク:『オルガニスト』から「ノエルのためのト長調とト短調の7つの作品」----ポジティフオルガン
1 ポコ アレグレット
2 ポコ レント [古いノエル]
3 アレグレット[アンジェ地方のノエル]
4 クアジ レント
5 クアジ アレグロ[アンジェ地方のノエル]
6 アレグレット ヴィヴォ
7 後奏 アレグロ〜クアジレント〜アレグロ
●C.フランク:コラール第3番イ短調


この第1回がコロナで延期され、「ミュージック・カレッジ」の最終回となった。
開催日が変わっただけではなく、開催時刻も1時間早くなっていたのをすっかり失念していて、ミューザには30分ほど早く着いたと思っていたら、もう始まっていた。それでみっともないことに、案内嬢に案内されて入場するハメに。

会場も、同じミューザの市民交流室から大ホールに変わった。
それで、パイプオルガンが使えるようになったのは良かった。

全然予習せずに出かけたが、テーマはロマン派のオルガン音楽で、演奏されたのは全曲セザール・フランクの作品だった。

レクチャー部分は、途中から聞いたので前段にどんな話があったかはわからないが、もっぱらフランクがどんな人生を送ったか、という紹介で、人生体験が彼の音楽にどう反映しているのかを説明してくれなくちゃ面白くないのに、その方面への切り込みがほとんどなかった。

今回もレクチャーというより演奏主体で、時間の大半は松居直美によるポジティフオルガン(足踏み式パイプオルガンで、家庭用や教育用のオルガンに比べると相当大型だが、移動はできる。)とパイプオルガンによる演奏だった。

家庭用よりずっと大きいとは言え、パイプオルガンにはくべようもないくらい小型なので、音質・音量とも別種の音楽だ。

最後のコラール第3番はパイプオルガンだったが、かなり長尺で、パイプオルガンといえば、バッハの作品か、逆に思い切り現代の作品を聴くことが多いが、ロマン派のオルガン作品は珍しく、なかなか興味深いものだった。

♪2022-037/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-09

2022年3月16日水曜日

オペラ:ヴェルディ「椿姫」

2022-03-16 @新国立劇場


【指 揮】アンドリー・ユルケヴィチ
【演出・衣裳】ヴァンサン・ブサール
【美 術】ヴァンサン・ルメール
【照 明】グイド・レヴィ
【ムーブメント・ディレクター】ヘルゲ・レトーニャ
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】斉藤美穂

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団

【ヴィオレッタ】中村恵理
【アルフレード】マッテオ・デソーレ
【ジェルモン】ゲジム・ミシュケタ
【フローラ】加賀ひとみ
【ガストン子爵】金山京介
【ドゥフォール男爵】成田博之
【ドビニー侯爵】与那城敬
【医師グランヴィル】久保田真澄
【アンニーナ】森山京子
【ジュゼッペ】中川誠宏
【使者】千葉裕一
【フローラの召使い】上野裕之


ジュゼッペ・ヴェルディ「椿姫」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間45分
 第Ⅰ幕・第Ⅱ幕1場 75分
  休憩   30分
 第Ⅱ幕2場・第Ⅲ幕 60分


世界の椿姫として有名なアニタ・ハルティヒが降りて中村恵里が代わった。その残念感が吹っ切れぬまま臨んだが、中村はさすが近年引っ張りだこの実力者だ。全幕出ずっぱりの歌い詰めだが実にうまい。

それに、彼女の出番だけでなく、次から次へとNonStopで名曲連打。

この作品は何度も観ているけど、今回あらためて、こんなにコストパフォーマンスの良いオペラはないかも…と思った。

全幕終えて、やはり、中村恵理は強力だった。
だから、蝶々夫人にせよヴィオレッタにせよ、こういう薄幸のヒロインというイメージがどうも合わないと思っている。

新国立劇場の「椿姫」は、2015年以降この演出(ヴァンサン・ブサール)が変わっていない。
美術・舞台装置・衣裳・照明など、すごくセンスがいい。

しかし、最初に観た時からずっと違和感があるのは終幕だ。

瀕死のヴィオレッタがアルフレードに「そばに来て」というのに、彼女と恋人の間は紗幕で遮られている。

幕の手前と奥で彼岸・此岸を表しているとしても、その理由が分からない。
どうしても紗幕を使うなら、最後、アルフレードは幕を切り裂いて彼岸のヴィオレッタに駆け寄れよっ!と言いたくなる。

帰り道、同じく観賞を終えた夫婦の会話が耳に入った。
妻「あのカーテンどういう意味かしら?」
夫「コロナ対策だろう。」

♪2022-036/♪新国立劇場-04

2022年3月13日日曜日

ブラームス 室内楽マラソンコンサート第3部

2022-03-13 @東京オペラシティコンサートホール



諏訪内晶子、マーク・ゴトーニ、米元響子、小林美樹、小川響子(バイオリン)
鈴木康浩、田原綾子、村上淳一郎(ビオラ)
辻󠄀本玲、中木健二、上野通明(チェロ)
阪田知樹(ピアノ)
金子平(クラリネット)


弦楽五重奏曲:
第1番 ヘ長調 Op.88 (ゴトーニ/小林/田原/村上/上野)
第2番 ト長調 Op.111 (米元/小川/鈴木/村上/辻󠄀本)
クラリネット:
三重奏曲 イ短調 Op.114 (金子/中木/阪田)
五重奏曲 ロ短調 Op.115 (金子/諏訪内/ゴトーニ/鈴木/辻󠄀本)
-----アンコール-----------------
ブラームス:f.a.e.ソナタ第3楽章(諏訪内/坂田)




♪2022-035/♪東京オペラシティコンサートホール-2

ブラームス 室内楽マラソンコンサート第2部

2022-03-13 @東京オペラシティコンサートホール


諏訪内晶子、マーク・ゴトーニ、米元響子、小林美樹(バイオリン)
鈴木康浩、田原綾子、村上淳一郎(ビオラ)
辻󠄀本玲、中木健二、上野通明(チェロ)
阪田知樹、髙木竜馬(ピアノ)
葵トリオ<秋元孝介(ピアノ)、小川響子(バイオリン)、伊東裕(チェロ)>


弦楽六重奏曲:
第1番 変ロ長調 Op.18 (米元/小林/村上/田原/辻󠄀本/中木)
第2番 ト長調 Op.36 (ゴトーニ/諏訪内/鈴木/田原/上野/辻󠄀本)

ピアノ四重奏曲:
第1番 ト短調 Op.25 (鈴木/葵トリオ<秋元-小川-伊藤>)
第2番 イ長調 Op.26 (ゴトーニ/田原/中木/髙木)
第3番 ハ短調 Op.60 (米元/鈴木/辻󠄀本/阪田)

ピアノ五重奏曲 ヘ短調 Op.34 (米元/田原/葵トリオ<秋元-小川-伊藤>)


Ⅰ部はパスしたが、結果的には聴くべきだった。半日聴くのはツライかと思ったが、Ⅱ部&Ⅲ部を通しても案外、平気だった。

終演がEnc含め21:40頃。
13:30開始だから「ラインの黄金」と「神々の黄昏」をいちどきに鑑賞したみたいなものだ。

開演前にBGM代わりにPfの演奏があった。その音が重くて硬くて、近頃どのホールでも経験しているが、都内の大ホールの中では響きの良い武満Hでもこの音じゃ、かなわんな、と思ったが、不安的中、弦六が始まってもやはり硬い。

弦に潤いがないのが悲しい。

ところが、Pf四以降は響きがころっと変わって、明瞭で美しい。
なぜ?
Pfの音まで変わった理由は分からないが、弦については多分、配置が変わったから。
弦6本が半円状に並ぶとどうしても客席から離れてしまう。

Pf四ではPfの前にこじんまりと弦3人が並ぶので弦六の配置と比べて2m〜3m前方になった。さらに弦の後ろではPfの屋根が音を跳ね返す。これで、調子が出た。

前方一桁列のそれも前の方で聴いていたので配置の違いによる響きが如実だったが、遠くで聴いていたらあまり変化は感じなかったかも。

そんな訳でPf四以降は響きに何の不満もなく、全てを楽しんだ。
色々と発見もあった。CD等ではよく聴いているつもりでも、やはり聴き流していることが多い。生演奏が齎す緊張の中に身を置くと、新鮮なフレーズを発見したり、ブラームスが緻密に設計した内声の重音の美しさに気づいたり。

16人が入れ替わり立ち替わり登場した。殆どは何度も聴いているが、初めての人もいた。おそらく今回初顔合わせEnsが多い中で、唯一既成Ensの参加は葵Trioで、Vnの小川響子は以前に凄腕を聴いていたが、Trioとしては初めて(4重奏の中の面子として参加)聴いた。今後は注意しておこう。

♪2022-034/♪東京オペラシティコンサートホール-1

2022年3月11日金曜日

第8回被災地復興支援チャリティ・コンサート ~オルガンとチェロで奏でる祈り~

2022-03-11 @ミューザ川崎シンフォニーホール


秋山和慶:指揮*
オルガン:松居直美◇
司会:山田美也子
チェロアンサンブル:
 山崎伸子、菊地知也、向山佳絵子、長谷川彰子、
 大友肇、横坂源、藤原秀章、矢部優典、
 上野通明、水野優也、森田啓佑、築地杏里


●オルガン独奏
J.S.バッハ:前奏曲変ホ長調 BWV 552/1
-----《黙祷》-----
●オルガン&チェロアンサンブル
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
J.S.バッハ:主よ人の望みの喜びよ

●チェロアンサンブル
クレンゲル:賛歌 op.57 (12重奏)*
ポッパー:演奏会用ポロネーズ op.14 (4重奏)
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」から荘厳なる曲 (8重奏)
チャイコフスキー:弦楽セレナーデハ長調 op.48からワルツ (12重奏)*
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのパルティータ第2番 BWV1004からシャコンヌ (12重奏)*
---アンコール---------------------
カザルス編:「鳥の歌」(オルガン&チェロアンサンブル)*


11年前の今日、我が家も震度5。さしたる実害もなかったものの怖い数日を過ごした。ミューザは震度5強で天井崩落し、2年の休館を経て、再開後毎年この日にチャリティー・コンサートが開かれるようになって今日は8回目。

荘重なバッハのオルガン曲で始まり、その後、14:46を期して全員で黙祷した。こういう音楽こそ「献奏」というべきか。

オルガンは松井直美。12人のVcはベテラン、中堅、新星をよくまあ集めたものだ。
新日フィルの長谷川ちゃんも、先頃来脚光を浴びている上野くん、お初だが代役登場の築地杏里さんも。

数曲は秋山御大が指揮をとった。

ポッパーの曲以外は静かで鎮魂にふさわしいものばかり。

昨日の東フィルは、音楽外でいささか緊張を強いられたが、今日は、自分でもおかしいくらい素直に音楽を受け止め、音楽を通して被災者の無念に思いを馳せ、彼の地の真の復興を祈念した。

売上と寄付金は全額被災地復興義援金に充てられる。


♪2022-033/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-08

2022年3月10日木曜日

東京フィル第966回サントリー定期シリーズ

2022-03-10 @サントリーホール



ミハイル・プレトニョフ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

スメタナ:連作交響詩『わが祖国』(全曲)
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J.S.バッハ:G線上のアリア(弦楽合奏)


コロナの為に来日できず、公演中止3回!
プレトニョフ執念の4度目の正直「わが祖国」全曲。

しかし、東欧の小国の民族意識を高揚させる音楽をロシア人が振るって、タイミング良くなかったね。
勿論プレトニョフ個人にはなんら関係のないことだけど。

客席も舞台も、妙な緊張感が漂っていた。
終曲後ホッとしたか、オケのメンバーに少し笑みが生まれたが、アンコールをやらない方が良かった。
G線上のアリアが、まるで「ウクライナ鎮魂歌」に聴こえて、弾き終えたオケの面々からもすっかり笑みが消えてプレちゃんはそこそこに舞台を去った。
本来なら、絶賛拍手の嵐の中、舞台に呼び戻されていたろうに。マエストロには気の毒だった。客席も盛上りを欠いた。

さて、「わが祖国」は色んなオケで聴いたが、個人的には一度も良かったと思ったことがない。全曲の構成感がなかなか掴めない。管弦楽化も問題あり?

今日は、曲間休止が短めで、緊張感が持続し、冗長感はなかった。
が、気候のせいか、弦の響が硬く潤いに欠け、よく鳴るブラスに完全に負けていた。





ところで、「わが祖国」の第1曲目「高い城」に出てくる進軍ラッパが、目下世間を騒がせている「1812年」の終盤、ロシア帝国国歌を先触れし、重なって盛り上がる部分そっくりって、気のせい?

我が祖国第1曲「高い城」


1812年序曲(ロシア軍の到着)



♪2022-032/♪サントリーホール-04

2022年3月6日日曜日

モーツァルト・マチネ第48回「疾風怒濤」

2022-03-06 @ミューザ川崎シンフォニーホール



井上道義:指揮
東京交響楽団

グラスハープ:大橋エリ*
フルート:相澤政宏*
オーボエ:荒木奏美*
ビオラ:西村眞紀*
チェロ:伊藤文嗣*

≪オール・モーツァルト・プログラム≫
◆交響曲第25番ト短調 K.183(173dB)
◆ グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調 K.617*
◆交響曲第29番イ長調 K.201(186a)


今期最後のモーツァルト・マチネ。

副題4文字熟語は「疾風怒濤」。

これ迄で一番内容に即しているかと思ったが、弦8型対抗配置(8-8-6-4-2)+管8の25番シンフォニーは、本来がこういう編成で、こういう響きなのだろう。

てことは「疾風怒濤」には遠かったな。

29番になると弦8型に管4だからさらに室内楽化した。


もちろん、編成が小さいと各パートの輪郭明瞭で、今、誰が、どの音を出しているかさえほぼ分かる。

個が集積して音楽が立ち上げる様が面白い。


さて、今日のメインはグラスハーモニカの為のアダージョとロンドで、これは弦2+木管2に(Gハーモニカではなく)グラスハープでの五重奏。


大橋エリのGハープは先月同じミューザで聴いたばかり。

この時は独奏と途中からギター1本が加わった。


今回もPA(拡声装置)を使っていたと思うが、それでも音が小さい。

木管奏者はかなり気を使って演奏していたと思う。

文字どおり傾聴したが、この音は天使の溜息なのか。

ティンカーベルの魔法の粉か。


元来がGハーモニカの為の作品なので、それをGハープで演奏するのはなかなか難しいだろう。

早いパッセージでは遅れを取る場面もあったが、ま、それもご愛嬌。

もう2度と聴けないかもしれない得難い経験だった。

本来は昨年のモーツァルト・マチネに登場するはずだったが、コロナで公演中止になった。井上道義は、自分が指揮をする訳でもないのに再度今季のプログラムに入れて捲土重来を果たしたが、モーツァルト・ファンに是非とも聴かせたかったのだろう。

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ところで、今日で、今季のモーツァルト・マチネは終了した。

来季はモツ・マチが実質的に変質し、崩壊したので買わなかった。6年間継続してきた(パスした回もあるが)ので、ここで止めるのも寂しい気がするが、メンデルスゾーン・マチネやらチャイコフスキー・マチネみたいになったんじゃ面白くないもの。


最後がオール・モーツァルト・プロで良かったよ。


♪2022-031/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07