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2019年3月18日月曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 セドリック・ティベルギアン ピアノ・リサイタル

2019-03-18 @みなとみらいホール


セドリック・ティベルギアン:ピアノ

【第1部】
ベートーベン:15の変奏曲とフーガ変ホ長調「エロイカ変奏曲」 作品35
ブラームス:シューマンの主題による変奏曲 作品9
【第2部】
ドビュッシー:12のエチュード
----アンコール------------
ドビュッシー:前奏曲第1巻第10曲「沈める寺」

先月、イブラギモヴァとのブラームス・バイオリン・ソナタ全曲を好感を以って聴いたばかり。今回はソロ。

Ⅰ部では独音楽の変奏曲の大曲2つ。
Ⅱ部はドビュッシーエチュード。
なぜこの組み合わせか分からなかった。

3曲とも複数の曲で構成されている。
ベートーベンの所謂「エロイカ変奏曲」は序奏-主題に続いて第1から第15変奏までと続いてフーガとコーダで終わるので、全18曲とカウントすることもできる。

ブラームスの変奏曲は主題と16の変奏だ。

性格は異なるがドビュッシーはタイトルどおり12曲の短い曲で構成されている。

なので、音楽の本質とは関係ないが、聴きながら指を折って現在地を確認するのだけど、大抵途中で迷子になってしまう。そうなると、全曲の終わりがに自信が持てないで、困ってしまう。

この「エロイカ変奏曲」のテーマはその名のとおり、ベートーベンの交響曲第3番「英雄=エロイカ」の終楽章でも用いられたほか、バレエ音楽「プロメテウスの創造物」でも使われているベートーベンお気に入りの旋律だ。多分、変奏にもふさわしい性格を持っているのだろう。

そんな訳で、その主題の旋律に馴染みが深い、というだけでなく、CDも聴いているので、迷子になる程度ではあるが慣れ親しんだ曲を生で聴くことができて、これは収穫だった。

ブラームスがシューマンの旋律を主題にした変奏曲はCDも持っていないし初めて聴いたが、何しろこの2人の組み合わせであるからは、相当コンプリケートなものであることは覚悟して聴いたが、いやはや緻密な音楽だ。
ベートーベンの作品のように揺るぎないテーマが骨太に貫いている訳ではなく、素人の耳には、旋律の変奏というより心情の変奏が繰り返されているように聴こえた。枯れて老練なピアニズムの味わいだ。とはいえ、ブラームス21歳の作品だというからその精神構造はどうなっているのだろうと思う。

ドビュッシーの練習曲もナマでは初めて聴いた。
各曲に練習曲としての目的が副題のように付されているので、なるほどと思いながら聴いた。
例えば、第1曲は「チエルニー氏に倣って」で、チェルニーの練習曲風に機械的で初歩的な指使いを繰り返す音楽だ。
第8曲は装飾音のための練習、第11曲はアルペジオのための作品。
という次第で、まことに正統的なアピア練習のための作品集のようでもあるが、そこはドビュッシーの作品で、ほとんど調性は無視されている。全音音階や教会旋法などが取り入れられているが、ベートーベンとブラームス2曲を聴いた後では、とても不思議な響きと雰囲気を漂わせるが、ピアノ音楽の世界を一挙に拡大した新たな世界が面白い。

♪2019-032/♪みなとみらいホール-12

2019年2月19日火曜日

イブラギモヴァVn/ティベルギアンPf ブラームス:バイオリン・ソナタ全曲演奏会

2019-02-20 @みなとみらいホール


アリーナ・イブラギモヴァ:バイオリン
セドリック・ティベルギアン:ピアノ

ブラームス:バイオリン・ソナタ第1番ト長調「雨の歌」作品78
 〃:バイオリン・ソナタ第2番イ長調 作品100
 〃:バイオリン・ソナタ第3番ニ短調 作品108
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クララ・シューマン:3つのロマンス 作品22ー1

イブラギモヴァは3度目。ティベルギアンは初聴き。が、15年来日時の2人によるデュオ・リサイタルがBSのクラシック倶楽部で放映され、録画したものを何度か視聴しているので昔なじみと再会した気分もあり。

イブラギモヴァのナマ演奏経験は過去2回はいずれもオケ定期での協奏曲で、好感していたので、今回はその美貌?も楽しみにして前から2列目の真ん中に席を確保。最前列も取れたけど何やら照れることもないのに腰が引けて…。

今回15年の演奏会録画を聴き直したが、このコンビによる演奏会は基本的に同一作曲家を取り上げるのだそうだ。この時はモーツァルトのソナタ集で、今回はブラームスのソナタ全曲。

15年来日時の演奏会
全曲といっても、ブラームスの場合、多品種少量生産で、他楽章形式・同一ジャンルで番号付きのものは交響曲の4作が最高で、ほとんど3作止まり。バイオリン・ソナタも全3曲だ。

さて、イブラギモヴァとティベルギアン、息の合った2人よる大好きなブラームスの世界をまったく何らの不満もなく堪能できた。
作品番号順に演奏されたが、どれも全てが同じように楽しい。コンビの巧さはもとより改めてブラームスの才人ぶりを思い知った。

肩当ては食器洗い用スポンジ
近くで見る彼女は正面から見る限りチラシと同じ顔つきで実年齢33歳よりもっと若く見えるが、横から見ると相当貫禄が出ている。15年来日時の演奏会と比べると、楽譜がiPadに変わり短髪が一層短くチコちゃんぽく(後ろは刈り上げ!)なったほか演奏スタイルは全く変わらない。
堂々として形が決まった演奏を聴き、演奏スタイルを見ていると、とても三十路の入り口に立っているとは思えない。

ブラームスのバイオリン・ソナタ全曲は、来月、川久保賜紀&小菅優でも聴くので楽しみにしている。ティベルギアンも同じく3月に単独リサイタルを聴く。これも楽しみ。

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余談だが、ブラームスの番号付き作品では、好みの順番をつけるのが実に難しい。
例えば、4曲ある交響曲のどれが一番好きか、これは答えられない。ピアノ・ソナタも3曲で順番をつけることは難しい。2曲あるチェロ・ソナタでも同じ。

これは、ハイドンはもとよりモーツァルト、ベートーベンなどと異なって同一ジャンルの作品数が少ない結果、全曲を等しく聴く機会が多いからだろうと思う。
また、ブラームスは<満を持して>作曲に取り掛かるタイプなので、取りこぼし?がないのではないか。

こういう事情が、ブラームス・ファンの全作品完全制覇を動機づける原因になっていると思う。もちろん、個々の作品が素晴らしいからというのが最大の要因だろうけど。

♪2019-020/♪みなとみらいホール-05