2019-11-23 @みなとみらいホール
大井剛史:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
朴葵姫:ギター*
【リムスキー=コルサコフ生誕175年プログラム】
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲*
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》 op.35
-------------
タレルガ:アルハンブラの思い出*
リムスキー=コルサコフ:歌劇「雪娘」から”軽業師の踊り”
リムスキー=コルサコフの2曲、特にシェヘラザードが力演。
弦のアンサンブルはほぼ完璧。
オケってこんなに調子が良い時があるのかと思うほど。
管楽器も明るくて強力で特にバストロンボーンとテューバの響きに痺れた。
日フィルの実力を遺憾なく発揮。大井剛史氏、丁寧な指揮ぶりだが、テンポ遅すぎ?
中に挟まったアランフェスが酷い。演らない方が良かった。
オケは、弦を24人に絞った上にギターはマイク集音SP付き(指揮者用?)だが、電源入れ忘れ?と思う程音量が小さい。
かき鳴らす音は聴こえるが旋律線が弱くて話にならない。
1F中央でも聴き取るのが大変だったが、2、3Fでは聴き取れたろうか。
♪2019-186/♪みなとみらいホール-47
2019年11月23日土曜日
2018年10月7日日曜日
東京交響楽団 川崎定期演奏会 第68回
2018-10-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール
大井剛史:指揮
東京交響楽団
阪田知樹:ピアノ*
深井史郎:架空のバレエのための三楽章
早坂文雄:ピアノ協奏曲*
小山清茂:弦楽のためのアイヌの唄
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ(1979年改訂版)
-----------------
武満徹:雨の樹素描Ⅱ〜オリヴィエ・メシアンの追憶に〜*
1914年生(小山、伊福部、早坂)、東響が日本初演(早坂、伊福部、深井)、アイヌがテーマ(小山、伊福部)という繋がりによる日本人作曲家特集…とチラシに書いてあった。
このうち深井と小山はその存在さえ知らなかったのだから、当然初聴き。早坂と伊福部はコンサートでも複数回聴いているが、今日の作品はいずれも初聴き。全曲初聴き!って非常に珍しい。
4作品とも1948〜64年初演のほぼ同時代の邦人作品ということで、すべて初聴きのせいもあったか、結果的にはどれもよく似た感じだが、所謂「現代音楽」の嫌味がまったくない。
阪田知樹と共演で早坂文雄の「ピアノ協奏曲」(2楽章構成)はピアノ中心に管弦楽編成の規模も大きく、華やかな音楽で演奏時間も一番長かった(僅かな差だが)ので、メインに据えても良い感じだったが…。
小山清茂の「弦楽のためのアイヌの唄」も弦楽アンサンブルに小型パーカッションという珍しい組み合わせで、靴べらによるチェロのピチカートなど、全体に新鮮な魅力があった。
それらの中でも最後に登場した伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」が一番楽しめた。音楽的に他作より抜きん出ているかどうかは分からないが、聴いていて実に面白く楽しい。
他の3作にも共通するが、西洋音楽の調性はあるようなないようなではっきりしない。調性というより日本古来の旋法が取り入れられているのだろう。部分的に雅楽や民謡、祭り囃子(「タプカーラ」はアイヌの民族舞踊を意味するらしい。)のような音楽が西洋音楽の調性と組み合わされているのではないかと聴いていた。
そのような試みが一番親しみやすく発揮されていたのが「シンフォニア」だと思う。
大井剛史の指揮も複雑な変拍子をきれいに捌いて東響のアンサンブルも上等。
余談ながら:
全員の生没年と今日の作品の初演年を書いておこう。
深井史郎(1907〜1959)⇒1956年
早坂文雄(1914〜1955)⇒1948年
小山清茂(1914〜2009)⇒1964年
伊福部昭(1914〜2006)⇒1955年(世界)、56年(日本)、80年(改訂版)
全作品が20世紀中程に作曲・初演されたものだ。
西洋音楽史的に言えば「現代音楽」の始まりの頃か。
さて、これらの作品を音楽界(どんな世界だ?)で「現代音楽」と呼んでいるのかどうかは知らない。「現代音楽」の定義があいまいだから。「現代」の音楽と言うなら、「現代音楽」に違いがない。無調又は調性が拡大されているのが「現代音楽」ならこれらの作品は半分くらい(数ではなくどの作品も内容的に)は「現代音楽」と言えるのかもしれない。
しかし、「現代音楽」という場合、その代表とされるジョン・ケージの「4分33秒」(幸いにして聴いた?ことがない。)とかリゲティの「ポエム・サンフォニック(100台のメトロノームのための)」(東響で聴かされた!腹立たしい。)など、「無調」さえ超え、古典的な「音楽」の定義にも外れるような作品も堂々とステージに掛けられているが、今日の邦人作品群はそんな不届きな作品とは別世界のものだ。だから、これらの作品を「現代音楽」という言葉で括るのは抵抗もあるし、間違いではないだろうか。
…などと余計なたわごとを記したのは、自分の備忘のためでもあるし、所謂「現代音楽」に時々我慢がならないからだ(アルヴォ・ペルトの作品などはほとんど抵抗なく受け入れられるから、時期的な括りで音楽の「現代」性を捉えるのも間違っていると考えている。)。
行き詰まりから始まり、調性を諦め、不協雑音と激しいリズムとダイナミックレンジで聴衆の<意表を突くだけ>の「現代音楽」に展望があるはずがない。「古典にもどれ!」と言いたい。
♪2018-125/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-19
大井剛史:指揮
東京交響楽団
阪田知樹:ピアノ*
深井史郎:架空のバレエのための三楽章
早坂文雄:ピアノ協奏曲*
小山清茂:弦楽のためのアイヌの唄
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ(1979年改訂版)
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武満徹:雨の樹素描Ⅱ〜オリヴィエ・メシアンの追憶に〜*
1914年生(小山、伊福部、早坂)、東響が日本初演(早坂、伊福部、深井)、アイヌがテーマ(小山、伊福部)という繋がりによる日本人作曲家特集…とチラシに書いてあった。
このうち深井と小山はその存在さえ知らなかったのだから、当然初聴き。早坂と伊福部はコンサートでも複数回聴いているが、今日の作品はいずれも初聴き。全曲初聴き!って非常に珍しい。
4作品とも1948〜64年初演のほぼ同時代の邦人作品ということで、すべて初聴きのせいもあったか、結果的にはどれもよく似た感じだが、所謂「現代音楽」の嫌味がまったくない。
阪田知樹と共演で早坂文雄の「ピアノ協奏曲」(2楽章構成)はピアノ中心に管弦楽編成の規模も大きく、華やかな音楽で演奏時間も一番長かった(僅かな差だが)ので、メインに据えても良い感じだったが…。
小山清茂の「弦楽のためのアイヌの唄」も弦楽アンサンブルに小型パーカッションという珍しい組み合わせで、靴べらによるチェロのピチカートなど、全体に新鮮な魅力があった。
それらの中でも最後に登場した伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」が一番楽しめた。音楽的に他作より抜きん出ているかどうかは分からないが、聴いていて実に面白く楽しい。
他の3作にも共通するが、西洋音楽の調性はあるようなないようなではっきりしない。調性というより日本古来の旋法が取り入れられているのだろう。部分的に雅楽や民謡、祭り囃子(「タプカーラ」はアイヌの民族舞踊を意味するらしい。)のような音楽が西洋音楽の調性と組み合わされているのではないかと聴いていた。
そのような試みが一番親しみやすく発揮されていたのが「シンフォニア」だと思う。
大井剛史の指揮も複雑な変拍子をきれいに捌いて東響のアンサンブルも上等。
余談ながら:
全員の生没年と今日の作品の初演年を書いておこう。
深井史郎(1907〜1959)⇒1956年
早坂文雄(1914〜1955)⇒1948年
小山清茂(1914〜2009)⇒1964年
伊福部昭(1914〜2006)⇒1955年(世界)、56年(日本)、80年(改訂版)
全作品が20世紀中程に作曲・初演されたものだ。
西洋音楽史的に言えば「現代音楽」の始まりの頃か。
さて、これらの作品を音楽界(どんな世界だ?)で「現代音楽」と呼んでいるのかどうかは知らない。「現代音楽」の定義があいまいだから。「現代」の音楽と言うなら、「現代音楽」に違いがない。無調又は調性が拡大されているのが「現代音楽」ならこれらの作品は半分くらい(数ではなくどの作品も内容的に)は「現代音楽」と言えるのかもしれない。
しかし、「現代音楽」という場合、その代表とされるジョン・ケージの「4分33秒」(幸いにして聴いた?ことがない。)とかリゲティの「ポエム・サンフォニック(100台のメトロノームのための)」(東響で聴かされた!腹立たしい。)など、「無調」さえ超え、古典的な「音楽」の定義にも外れるような作品も堂々とステージに掛けられているが、今日の邦人作品群はそんな不届きな作品とは別世界のものだ。だから、これらの作品を「現代音楽」という言葉で括るのは抵抗もあるし、間違いではないだろうか。
…などと余計なたわごとを記したのは、自分の備忘のためでもあるし、所謂「現代音楽」に時々我慢がならないからだ(アルヴォ・ペルトの作品などはほとんど抵抗なく受け入れられるから、時期的な括りで音楽の「現代」性を捉えるのも間違っていると考えている。)。
行き詰まりから始まり、調性を諦め、不協雑音と激しいリズムとダイナミックレンジで聴衆の<意表を突くだけ>の「現代音楽」に展望があるはずがない。「古典にもどれ!」と言いたい。
♪2018-125/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-19
2016年9月10日土曜日
日本フィルハーモニー交響楽団 第320回横浜定期演奏会
2016-09-10 @みなとみらいホール
大井剛史:指揮
ソプラノ:半田美和子
アルト:手嶋眞佐子
テノール:望月哲也
バリトン:甲斐栄次郎
ボーイソプラノ:野沢晴海
ほか声楽独唱8人(合唱兼務)
日本フィルハーモニー交響楽団
日本フィルハーモニー協会合唱団
メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」 Op.70
2日前にN響「千人の交響曲」を聴いたばかりだが、今日は今季オープニング、日フィル60周年ということもあってか、定期演奏会なのにメンデルスゾーンの大曲オラトリオ「エリア」全曲。
音楽正味130分(さすがに途中休憩が入った。)。オルガン付き管弦楽に大合唱団、独唱5人+8人。
めったに聴けないどころか、ナマは初聴き。それも定期で。太っ腹な日フィルにブラボー。
CDは持っている(メンデルスゾーンはCD化されてものはほとんど網羅しているはず。)ので、一度くらい聴いたことはあったのだけど、こんなに聴いていて楽しい音楽だとは思わなかった。
旧約聖書「列王記」を中心に預言者エリアの活躍を描いているが、これがなかなかのドラマなのだ。
初期ロマン派のメロディーメーカーだけあって耳に馴染む明快な旋律の一方で預言者エリアの闘いを劇的に表現して飽きさせない。
声楽陣が素晴らしかった。合唱も実にうまい。
管弦楽はあまり目立たないのだけど声楽とうまく溶け合って見事なアンサンブルだった。
これまで日フィルを結構の回数聴いている(2014年以降は記録しているので今日までに30回)が、日フィル鑑賞歴で最高のコンサートとなった。音楽も良かったし、演奏も良かった。それにみなとみらいホールの音響の良さもやっとこさ感じた(全体として良いホールだけど場所を選ぶと思っている。)。
いつも目立たない指揮者の大井剛史氏には常から好感を持っているけど、ホンに良い仕事をしてくれたと思う。
♪2016-120/♪みなとみらいホール-23
投稿者
みつばち先生
ラベル:
★みなとみらいホール,
★日本フィル,
メンデルスゾーン,
甲斐栄次郎,
手嶋眞佐子,
大井剛史,
日本フィル協会合唱団,
半田美和子,
望月哲也,
野沢晴海
2016年7月2日土曜日
千住真理子&東京交響楽団 華麗なるバイオリン名曲集
2016-07-02 @県立音楽堂
千住真理子:バイオリン*
大井剛史:指揮
東京交響楽団
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲 K492(管弦楽のみ)
モーツァルト:バイオリン協奏曲第5番イ長調 K219 「トルコ風」 *
エルガー:愛のあいさつ (管弦楽のみ)
クライスラー:「愛の喜び」「愛の悲しみ」「美しきロスマリン」*
モーツァルト:ディヴェルティメント第17番 ニ長調 K334から第3楽章 メヌエット(管弦楽のみ)
ベートーベン:ロマンス第2番 ヘ長調 op.50*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
------------------
アンコール
モンティ:チャールダッシュ*
みなとみらいホールやミューザ川崎シンフォニーホールのような大きな会場ではなく、1100人しか入らない音楽堂でのリサイタルというのが楽しみだった。しかも、前から15列目はバイオリン+ピアノという組合せを聴くには理想的だ(と勝手に思っている。)。
尤も、音楽堂はたいていどこで聴いても音響面でがっかりすることはないから、あまりこだわりはないのだけど。
オーケストラのみの演奏もあったが、小ぶりの編成でシャキッとした演奏だった。残響が短いホールなので、下手なオケは弦のアンサンブルのまずさがすぐ露呈するが、今日の東響は乾いた糸のような繊細な響が好ましかった。
そして、何より千住の良く鳴るバイオリンに驚嘆。
楽器(300歳の銘器ストラディバリウス「デュランティ」)のせいもあるだろうが、先日、みなとみらいホールで聴いた石田泰尚の音とはまるきり違う。ピンマイクで音を拾っているのではないかと思わせるくらい明瞭で音圧がある。
石田の音も悪くはないが、中3日で千住の音を聴くと比較せずにはおれない。
楽器の違いのほかに会場の違いも大きいだろう。
これまで、みなとみらいホールやミューザでの美女トリオ(長谷川陽子、仲道郁代)でも千住の独奏を聴いていたが、やはり、音楽堂で聴いた音は決定的に違う。
蚊の鳴くようなppから熊も逃げ出しそうなff迄自在に操り音楽堂空間まで楽器にしてしまった。
演奏技術や音楽性の前に、音楽は「音」こそが基本だ。
その「音」があまりに見事なので、素晴らしいテクニックを駆使して演奏してくれる名曲に驚きと感動が一層増幅した。
♪2016-090/♪県立音楽堂-06
2016年1月30日土曜日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第7回
2016-01-30 @県民ホール
大井剛史:指揮
萩原麻未:ピアノ*
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調作品21*
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」 作品64全曲(52曲)版から20曲抜粋
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アンコール*
ショパン:ワルツ第6番作品64-1「子犬のワルツ」
神奈川フィルのソロ・コンサートマスターは石田泰尚氏だ。コワモテのあんちゃんぽい風貌だけど、シャキッとしていかにもコンマスらしい。指揮者にも一目置かれているらしいのがコンサートの様子でも分かる。
室内楽などの独自活動もしているせいか、最近は、「ソロ」の付かない若いコンマスが登場する場合が多く、石田御大の出番は少なかったが、本日は久々の登場だった。この人のファンも多いようだ。確かに、このコンマスが登場すると楽団全体が引き締まるような気もする。
この日の演奏は、全体としてなかなか良かったが、コンマスのせいだろうか。
ショパンのピアノ協奏曲は2番だけど作曲順は1番。
有名な1番よりえらく抑制的だけどピアノはとても難しそう。
萩原麻未はジュネーヴ国際音楽コンクールで日本人として初優勝した人だ(2010年)。テクニックは一流なのだろう。それでも音を外した箇所があったが、生演奏の勢いの良さがあるから気にならない。
とてもエネルギッシュな手振り身振りで紡ぎだす、あるいは叩き出す音楽はおよそ聴き慣れたショパンのものなので、まあ、正統的な解釈に沿った演奏だったのだと思う。
その彼女がアンコールに弾いた「子犬のワルツ」は過去に聴いた中で最速の部類。アンコールゆえのお遊びもあったのかもしれないし、これまで聴き慣れていないだけでこういう超高速演奏が「子犬のワルツ」の本来の姿なのかもしれないが。
わあ、すごい!と思わせるには十分だった。
この曲ではピアノ以外にも第3楽章のホルンのファンファーレがとても目立つのだけど、この日はしっかり決めてホッとしたよ。
「ロメジュリ」は、これまでは「組曲」として聴くことが多かったが、今回は全曲盤からの抜粋だった。組曲には入っていない(初めて聴く)曲もあって面白い。
60分の長大作もだれることがなかった。
大井剛史という人の指揮も初めてだったが、コンマスが派手目の人だけにもう少しハッタリを利かせても良かったろう。手堅く誠実という印象を受けたもののなんだか存在感が希薄だった。
それにしても、この日の県民ホールは空席が目立った。
ここでの神奈フィルも相当の回数聴いているけど、過去に経験がないような空席ぶりだった。
地味なプログラムだからやむを得ないのかったか。
せっかく、2人の客演を招いたのに残念なことだった。
♪2016-011/♪県民ホール-01