2023年3月30日木曜日

ランチタイムコンサート〜音楽史の旅⑥

2023-03-30 @かなっくホール



管弦楽:カメラータかなっく

J.S.バッハ:G線上のアリア(弦楽合奏)
シューベルト:交響曲第8番「グレート」ハ長調 D.944


かなっくホール恒例の「音楽史の旅」後半の3回はシューベルトを取り上げて、今日はその最終回。
かなっくホールのレジデンスアーティスト篠崎史門が主宰する室内管弦楽団「カメラータかなっく」によるシューベルトの8番ザ・グレートで2022年度の音楽史の旅を円満に終えた。

カメラータかなっくは若手ばかりの集団。今日は弦23人+管打16人=39人というSmallによるGreatがスケルトンに肉付けの具合までクリアでとても新鮮な感覚で聴くことができた。
指揮者を置かないアンサンブルだが、むしろ個性的な指揮者によってあれこれ独自性を発揮されるより素直で自然で好感。

このホールには斎藤美雪さんという名物事業担当者がいて、公演企画のほか、芝居の脚本を書き、音楽解説をしたり、時にはシンバルを叩いたり、カメラータかなっくの創立にも関与して八面六臂の活躍だったが、この度かなっくホールを卒業すると言う。
今日のコンサートのカーテンコールはむしろ彼女の卒業式になった。いやはやお疲れ様でした。地元民としてかなっくホールをフィリアホールに負けないホールにしたいと思っているので、彼女には色々注文したり文句を言ったりしてきたが、いつも明るく対応してくれた。寂しいね。

♪2023-056/♪かなっくホール-05

2023年3月29日水曜日

MUZAランチタイムコンサート03月 オルガン&バイオリン それぞれの時代の響き~バロック&モダンバイオリンとともに~

2023-03-29 @ミューザ川崎シンフォニーホール



オルガン:永瀬真紀
バイオリン:大西律子

○V.リューベック(1654-1740):前奏曲ハ長調 π
◎J.S.バッハ(1685-1750):バイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021から
 第1楽章アダージョと第2楽章ヴィヴァーチェ Po+Bv
◎H.I.F.ビーバー(1644-1704):描写ソナタ から
 アレグロ、ナイチンゲール、かっこう、カエル、猫、アルマンド Po+Bv
◎J.G.ラインベルガー(1839-1901):バイオリンとオルガンのための6つの作品 Op.150から
 1 主題と変奏 π+mV
○A.ギルマン(1837-1911):ソナタ第1番ニ短調 Op.42から
 第1楽章イントロダクションとアレグロ π
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πはパイプオルガン
Poはポジティフオルガン
Bvはバロックバイオリン
mVはモダンバイオリン
○はソロ
◎はデュエット



オルガン2種xバイオリン2種で2つの時代の音楽を聴く。

オルガンはパイプオルガン(巨大)とポジティフオルガン(小型で移動可能)。
バイオリンはバロックバイオリンとモダンバイオリン。
音楽はバロックと古典派。

パイプオルガンはもちろん、ポジティフオルガンも単独では何度も聴いているが、バイオリンとの組合せ、特にバロックバイオリンとの二重奏は初めてのような気が…。

5人の作曲家の作品だったが、J.S.バッハ以外は多分全員初聴き!

1曲目のパイプオルガン独奏の後、ポジティフオルガンとバッロクバイオリンでバッハのソナタが演奏された。
その時、我が精神に硬くへばりついていた俗なるものがハラハラと剥がれてゆく思いがした。
音楽が心を浄化する事もあるとはいえ、なかなか実体験はできないのに、この日はどうしたものか、感受性が豊かになっていたのか壊れていたのか、とにかくそんな気持ちになった。

ポジティフ〜の柔らかい響にバロックガット弦の優しい音色が見事に溶け合って舞い降りてきたよ。

その後に古典派のパイプオルガンも聴いたが、これも普段と違ってありがたいものに聴こえて不思議。

マジカルミューザで、マジカル体験。

♪2023-055/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-09

2023年3月28日火曜日

東京・春・音楽祭2023 シューマンの室内楽

2023-03-28 @東京文化会館



バイオリン:金川真弓、山本翔平*
ビオラ:佐々木亮*
チェロ:横坂源
ピアノ:三浦謙司

シューマン:幻想小曲集 op.88
シューマン:ピアノ三重奏曲 第1番ニ短調 op.63
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44*



25日にミューザでコルンゴルトを好演したばかりの金川真弓が中2日でシューマン室内楽に登板!三重奏はピアノ:三浦謙司、チェロ:横坂源。五重奏は加えて第2バイオリン:山本翔平、ビオラ:佐々木亮という今が旬の面子。全曲金川が第1バイオリンでリードした。

この日の彼女は黒地に金糸?が織り込まれた?ような衣装に時々見せるアルカイック・スマイルで、いよいよ弥勒菩薩ぽい。

22日に同じ会場でN響メンバーによる室内楽(弦楽五〜六重奏)を聴いたが、この時は文化会館小ホールとも思えないような乾いた響に大いにがっかりしたので、今日はどうか、と心配しながら第一声を待ったが、何の!横坂源のブンブン鳴るチェロであっさりと不安は吹き飛んだ。
かぶりつきだったこともあるが、弦は生々しくピアノは煌めいている。こうでなくちゃ!

全3曲は、どれもシューマンらしい感情表出に溢れてゾクゾクさせるが、やはり、一番面白いのは五重奏だ。
同編成の五重奏曲の中ではブラームスと並んで最高傑作だと思っている(シューベルトの「鱒」も大好き!だが、こちらは、第2バイオリン無しでコントラバスが入る変わった編成だ。)。
欲を言えば、全員が元気なので、聴いていて心地良いのだけど、アンサンブルの妙という点では、更に彫琢する余地があったような気もした。

五重奏になって加わった佐々木の存在感に比べ山本はやや影が薄かったのは、そもそもそういう音楽なのかもしれないけど。

ともあれ、25日から始まった6連投中の4日目。それが全部素晴らしいコンサートが続いて4戦全勝とは嬉や。

♪2023-054/♪東京文化会館-04

2023年3月27日月曜日

東京都交響楽団 第971回 定期演奏会Bシリーズ 【リゲティの秘密-生誕100 年記念-】

2023-03-27 @サントリーホール



大野和士:指揮
東京都交響楽団
合唱:栗友会合唱団**

バイオリン&声:パトリツィア・コパチンスカヤ*

リゲティ(アブラハムセン編曲):虹~ピアノのための練習曲集第1巻より[日本初演]
リゲティ:バイオリン協奏曲*
バルトーク:《中国の不思議な役人》op.19 Sz.73(全曲)**
リゲティ:マカーブルの秘密*
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リゲティ : バラードとダンス(2つのバイオリン編)*
with 四方恭子





リゲティは(「ルクス・エテルナ」を除き)嫌いだし、都響も普段あまり持ち上げることも少ないけど、このプログラムに限っては絶賛する。

明日も芸劇でやるそうだから、今日聴けなかった人は是非当日券を買って一大パフォーマンスを観に行ってほしい。値打ちものだ。

リゲティの3曲中「マカーブルの秘密」以外は初聴き。

「バイオリン協奏曲」が先ずは聴きもの。
オケの弦編成は変則調弦のバイオリン、ビオラ各1を含んで僅か11本だが、管打鍵は種類も人数も大所帯だ。
音楽は微分音を含むものらしいが、どこが?って感じ。
「ルクス・エテルナ」の管弦楽版擬。微妙な音程の重なりと変化を固唾を飲んで聴いた。

コパチンスカヤの口笛あり、奇声あり、足踏みあり。これらはオケも強要され、客席も求められ、呼応して叫ぶ勇者もあり。


「マカーブル〜」の編成も弦は15本だけだが、管打鍵は大編成。
ソリストは、編成表にも「ソプラノ」と記してある。本来は、歌手が担当するのだと思う。

僕が以前聴いた時は半田美和子の独唱と管弦楽だった。

今回は、コパチンがバイオリンを弾きながら歌った?いや、奇声を発した。
かつて経験していたものの、やはり驚かされた。

コパチンは衣装も独特で、バイオリン協奏曲の時は、以前同様虫食い穴あきのようなドレスで裸足だった。

それが、「マカーブル〜」では死神のつもりなのか極端なメイクに、ドレスには新聞紙や膨らませたレジ袋擬をいくつもぶら下げて登場し、見た目にも圧倒される。これは音楽なのか?と考えるゆとりも与えない強烈なパフォーマンスだった。

プログラムの構成としては、長尺大編成のバルトークを最後に置くのが常識的だが、「マカーブル〜」を先にやったのでは、お客にとてもバルトークを聴く心の準備ができないと考えて、「マカーブル〜」で締め括ったのだろう。正解だ。

さて、バルトーク「中国の不思議な役人」。
組曲版は過去に聴いているが今回は全曲版。
弦16型で管打鍵はこちらも大編成。オルガンに混声4部60人強のボカリーズも。

今回は、よほどリハを繰り返したのか、大野和士のリードが巧かったのか、細部まで、よく整ったアンサンブルで大編成の魅力を十分に発揮した。
大満足也。

♪2023-053/♪サントリーホール-08

2023年3月26日日曜日

第12回音楽大学フェスティバル・オーケストラ

2023-03-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



井上道義:指揮
音楽大学フェスティバル・オーケストラ(首都圏9音楽大学選抜オーケストラ)
 上野学園大学
 国立音楽大学
 昭和音楽大学
 洗足学園音楽大学
 東京音楽大学
 東京藝術大学
 東邦音楽大学
 桐朋学園大学
 武蔵野音楽大学

ヨーゼフ・シュトラウス:「天体の音楽」作品235
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1913)
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」から最終曲「いけにえの踊り」


音大オケ・フェスは毎年のように聴いているけど、音大フェス・オケはずいぶん久しぶりだった。
首都圏9音大選抜による弦16型総勢108名?

あまり大きな編成だとプロでも喧しいばかりという例も多々あるが、今日に限っては、この大編成が必然で効果的だった。

ミューザの包容力も相まって、音の洪水に翻弄されて心地良し。
特に、中低域の弦の美しくも力強さには聞き惚れた。

伊福部「シンフォニア・タプカーラ」は初聴きだった東響@ミューザで魅了され、昨秋のミッキー指揮N響の演奏はとりわけ見事だったが、今日の音大オケはダイナミクスや躍動感で肉薄。

さらに管打を増やした「春の祭典」も強力な音圧に塗れてもうランナーズ・ハイ状態だ。
ナマで、管弦楽を聴く喜びというのはこういうものだと実感させる。

サービス満点のミッキーは、アンコールで自ら「生贄の踊り」を舞い(指揮台からではなく)舞台から転げ落ちたかに見えたけど、歳を考えてくだされ。

ミューザ最上層の一部は入場させなかったようだが、視界の及ぶ範囲で客席はてんこ盛り。終演時の拍手・喝采も音大関係者が多かったのだろう、普段の高齢者中心の客席とは違い、元気な若者の迫力で、我がApple Watchは健康上有害なレベルのノイズを検知した。

♪2023-052/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-08

2023年3月25日土曜日

名曲全集第185回 東響初登場!俊英の指揮者が贈るワルツの世界

2023-03-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール



リオ・クオクマン:指揮
東京交響楽団
金川真弓:バイオリン*

コルンゴルト:バイオリン協奏曲ニ長調 op35*
R.シュトラウス:「ばらの騎士」組曲 op59 TrV 227
ラヴェル:ラ・ヴァルス
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ハイフェッツ編:Deep River*




期待感て、重荷でもある。
金川真弓は今日で7回目。過去にハズレなしだったので、こういう幸せがそう長く続く訳もなかろう、がっかりするなら早くその時を迎えて、その後は期待もせずに聴きにゆきたい。
などと気持ちが妙に屈折して困ったものだ。
で、今日は?

いかん。いけませぬ。
登場して定位置に着いた姿がもう弥勒菩薩だ(因みにバイオリン界の百済観音は日下紗矢子だ。)。
佇まいが既に音楽。
名器ウィルヘルミ(最近まで大谷康子が使っていた。TVの音だが、「おんがく交差点」で聴き慣れた音だ。)の良く鳴ること。発音は明瞭で、重音は正確で美しい。

最近、どのホールも音が硬くて、僕の耳の問題かもと疑っていたが今日のミューザは普段どおりで、東響の弦も美しい。

そして常に音楽の中心は金川のVnがきゅっと掴んで離さない。
コルンゴルトの協奏曲は映画音楽のような、クラシックの様式を借りたポップス大曲のような馴染みやすい音楽だ。

終曲後はクオクマンもオケ団員も、表情が緩んでいたのがその日の出来を表している。

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この日は、この1曲を聴いて退席した。
次の予定が迫っていた為だが、後半の最初の曲は聴いてから出かけても間に合ったけど、金川真弓で十分満足したからもういいや、という気持ちも半分。


♪2023-051/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2023年3月22日水曜日

東京・春・音楽祭2023 N響メンバーによる室内楽

2023-03-22 @東京文化会館



バイオリン:白井圭、森田昌弘
ビオラ:中村翔太郎、村松龍**
チェロ:藤森亮一、小畠幸法*

モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515*
 ⅠAllegro
 ⅡMenuetto : Allegretto
 IIIAndante
 IVAllegro

ボッケリーニ:弦楽五重奏曲ホ長調 G.275**
 ⅠAmoroso
 ⅡAllegro con spirito
 ⅢMinuetto e Trio
 IV. Rondeau. Andante

ブラームス : 弦楽六重奏曲第1番変長調 op.18
 ⅠAllegro ma non troppo
 ⅡAndante ma moderato
 ⅢScherzo : Allegro molto
 ⅣRondo : Poco Allegretto e grazioso

* **はその曲に参加しなかった者





東京文化会館小ホールは、東京の小ホールでは最高の響がすると思っている。
この東京・春祭でも、これまでベルリン・フィルの室内楽、ブラームスの室内楽などのシリーズでは稀有な音楽体験をした。

しかし、このところ(今月中頃から)、どのホールも概ね乾いた響で、残念な状況が続いている(にもかかわらず楽しめる演奏もあったが。)。
それで、この日も心配して第一声を待ったが、実のところ、開演前から何となくその日の響に悪い予感がしていた。
始まってみれば、案の定で、こりゃ一流の弦の音じゃない。本来なら、高域弦はともかく、ビオラやチェロはグイグイ・ブンブン・ビリビリ鳴っても良さそうなのに、乾いて薄っぺらい。

実は、この感想を4月に入って書いている。
良い感想も書けないので今回はパスしようかと思ったけど、まあ、これも記録のうちと思って遅まきながら投稿することにした。

不思議なことに、この日の鑑賞を(当面の?)最後として、その後はどのホールでも以前の響を取り戻している。
特に、東京春祭3/28のシューマンの室内楽では、同じホールのほぼ同じ席(1列違い)だったが、嘘みたいに霧が晴れていつもの、迫力と潤いのある響を聴かせた。

これはどう考えても奏者の問題ではなく、ホールの本来的な問題でもない。すると、僕の体調のせいなのか、気候のせいなのか。

体調は、最近特に変わったこともないので、冬場の空気の乾燥、楽器の乾燥が原因だったのではないかと思う。
室内楽は、いつも最前列から3列目くらいで聴いている(この日は2列目中央。3/28は最前列中央)。おそらくそのせいで、響に敏感にならざるを得ないのだろう。その代わり好条件が揃った際の生々しさは文字どおりナマ音楽を聴く喜びがある。

♪2023-054/♪東京文化会館-03

2023年3月21日火曜日

新国立劇場オペラ:オッフェンバック「ホフマン物語」

2023-03-21 @新国立劇場



【指揮】マルコ・レトーニャ
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣裳】アンドレア・ウーマン
【振付】上田遙
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】須藤清香

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団

【ホフマン】レオナルド・カパルボ
【ニクラウス/ミューズ】小林由佳
【オランピア】安井陽子
【アントニア】木下美穂子
【ジュリエッタ】大隅智佳子
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】エギルス・シリンス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】青地英幸
【ルーテル/クレスペル】伊藤貴之
【ヘルマン】安東玄人
【ナタナエル】村上敏明
【スパランツァーニ】晴 雅彦
【シュレーミル】須藤慎吾
【アントニアの母の声/ステッラ】谷口睦美


ジャック・オッフェンバック「ホフマン物語」
全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間45分
第1幕・第2幕   75分
 休憩       30分
第3幕                50分
 休憩       30分
第4幕・第5幕   40分




5年前にやはり新国立劇場で同じ演出・美術で観た。オランピア役は今回も同じく安井陽子だった。砂川涼子が出ない代わりに木下美穂子が同じアントニアの役だった。

舞台美術や衣装は派手で、綺麗だ。
音楽も悪くない。オランピアの歌う「クマシデ並木の鳥たちから」やニクラウスとジュリエッタの二重唱「舟唄」など耳馴染みもいくつかあるし、全体として不満はない。

しかし、物語がさっぱり分からない。18年の時も同じ感想を持った。MET版の録画ディスクを回してみてもやはりよく分からない。

未完の大作らしいが、物語としても未完成ではないかと思うよ。

♪2023-049/♪新国立劇場-05

2023年3月19日日曜日

横浜交響楽団 第722回定期演奏会【同時代の作曲家②:グリーグとチャイコフスキー】

2023-03-19 @県立音楽堂



鈴木衛:指揮
横浜交響楽団

グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調「悲愴」 作品74
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チャイコフスキー:「白鳥の湖」から「乾杯の踊り」


同時代シリーズ2回目はグリーグ「ペール・ギュント組曲1」とチャイコフスキー交響曲第6番。
前々日に読響でもこの両者の組合わせ(グリーグのピアノ協奏曲とチャイコフスキー交響曲第4番)を聴いたばかり。

たまたまの偶然だと思うが、この2人になにか特別の関係があるのだろうか。両方の演奏会プログラムには何にも触れてなかったが。

「ペール・ギュント」は、第1組曲が演奏される機会はそこそこあるが、第2組曲はなぜか少ない。第2の方にもしんみりと胸を打つ名旋律がたくさんあるのでできれば両方を聴きたかった。

「悲愴」は管楽器が手こずっていたように思ったが、それでもこういう大作をそれなりに演奏するのは大したものだ。

♪2023-048/♪県立音楽堂-3

2023年3月18日土曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#13

2023-03-18 @すみだトリフォニーホール



大植英次:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
小曽根トリオ*
 小曽根真:ピアノ
 小川晋平:ベース
 きたいくにと:ドラムス

小曽根真:ピアノ協奏曲「SUMIDA」(新日本フィル創立50周年委嘱作品/世界初演)*
ワーグナー:歌劇『ローエングリン』から「エルザの大聖堂への行進」
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)
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小曽根真:エイジアン・ドリーム(ピアノ・ソロ)*




昨夏以来の大植ちゃんにまずはびっくり!
なんという変わりよう。以前は、顔もお腹もパンパンだったが、えらくスリムに。多分20Kg位は減量できた(痩せ衰えた?)。
同時にギラギラと漲る情熱・自信・オーラは少なくなっていたと思う。病気でなければいいけど。

前半は小曽根トリオとの協奏曲。初演。
小曽根はいつものようにセンスのない服装だ。パン職人か、化学実験助手みたいな白装束が浮いている。
彼自身の作曲による作品は、仕掛けに満ちてはいても結局既視感強く面白みに欠けた。彼の音楽はどこへゆく?二兎追っていずれ行方不明になりはすまいか。

このところどこのホールも音が硬い。墨鳥も例外ではなく、ブルックナーは熱演だったが響に潤いを欠いた。



終盤は演奏にも疲れが出たか、終楽章冒頭のVn1の9度の跳躍音がG線でスラーの為か探り弾きのようで音程が瞬時には定まらず。最後の管のppによるロングトーンでは息切れ状態に。
お疲れ様…

♪2023-047/♪すみだトリフォニーホール-02

2023年3月17日金曜日

読響第8回川崎マチネーシリーズ

2023-03-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール



小林研一郎:指揮
読売日本交響楽団
仲道郁代:ピアノ*

グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
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シューマン:謝肉祭から「ショパン」*
アイルランド民謡 :ダニー・ボーイ(弦楽合奏)



この頃燃え盛らなくなった炎のコバケン・仲道郁代・読響によるグリコン(グリーグ:ピアノ協奏曲)が実に良かった。

(お互いに)若い頃のコバケンは、遊び(その実、客席サービス)が多くて、抵抗感があったけど、もう5〜6年くらい前から?遊びを封じてとても共感できるようになった。

今では、マエストロと呼ぶのに抵抗がない数少ない指揮者の1人だ(…といいながら実際は”コバケン”なのだけど)。

グリコンでは冒頭ティンパニ・ロールがクレッシェンドしてクライマックスにピアノとオケが同時にアタックする。
このピアノとオケの同時攻撃!特にティンパニとは協奏機会が多く、生演奏では2者、3者の強打が全て揃う事は極めて稀だ。少々ズレるのがフツー。生だもの。それぞれには勢いがあるから電子音楽みたいにぴったり合わなくたっていい。

でも、この日の(指揮)、ピアノ、オケは見事に次々とステージクリアして行った。
ベテラン仲山は勘処でオケや指揮を見、ティンパニを聴くゆとりがあり、コバケンも両者の息を合わせた。

ここには、指揮者が存在することの意味をきっちりと音楽で表した。
ほう、協奏曲って本来はこうなんだ、と小感動したよ。


最近、ホールの音はどこも硬めだ。加えてピアノが珍しくYAMAHAだったので、スタインウェイに比べると硬い。
しかし、仲山は高域をコロコロと輝かせて耳タコの美旋律で酔わせてくれた。

後半、チャイフスキー交響曲第4番。6日前に日フィル@みなとみらいホールで聴いたばかり。

今日の読響はあの冒頭のファンファーレが今一歩。いつも素晴らしい響の読響ブラスが日フィルに負けるか?

ま、今日のホールのコンディションも影響したはずだ。

しかし、その後は盛り返した。最後の最後に遠慮がちにコバケン節が顔を覗かせて、これはむしろ嬉しかったよ。

♪2023-046/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06

2023年3月15日水曜日

東京都交響楽団 第970回 定期演奏会Aシリーズ

2023-03-15 @東京文化会館



大野和士:指揮
東京都交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ソプラノ:中村恵理
メゾソプラノ:藤村実穂子

マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」



プログラムの解説が興味深い。色々書いているが慎重に”礼賛”を避けているように読めたが、これは僕がそういう気持ちを有しているからかもしれん。

マーラー交響曲第2番「復活」。3年ぶりに聴いたが、大袈裟で、刺激的で、芝居がかって、俗っぽく、品がなく、漫画チックでさえある。
ベトやブラなら絶対書かなかった旋律だらけ。

マーラーの他の作品でも同様に思うが、特にこの”大作”で甚だしいと思うのは、人間の知性や洗練された感性ではなく、”原始脳”にこれでもか、これでもかと訴える野蛮だ。

しかし、それがいい、という人の方が大勢かもしれない。
マーラー信仰、巨大信仰、男根信仰にも通ずるか。

確かに大規模編成の管弦楽を体験する面白さはある。
家庭のオーディオ装置では絶対に味わう事はできない。


音楽は長尺だけど、小-中-大爆発を繰り返すので退屈せず。


で、その演奏。
冒頭の生々しい弦に、これは期待できるかも…と思ったが、長くは続かない。バイオリンに高域が現れてくると濁りが。
管楽器もあれだけ長時間吹いていると瑕疵も生ずる。
木管の息切れも。

独唱は前に出たら良かった。遠い。

都響だし、大勢入っていたし、ブラボーもマスク着用なら解禁されたので、終演後の熱狂は大変なものになるかと思ったが、そうでもなかった。

今日は国立劇場と文化会館をハシゴしたが、いずれもマスクの着用は求められず。大いに結構。
なので、僕は一応持参したが、家を出てから帰るまでまったくマスクをせずに済んだ。
しかし、両劇場とも、客席は、ほぼ全員がマスクをしていた。3年もマスクに馴らされてきたので外せないのか。ブラボーもマスクをしていては発しづらいとか、周囲への遠慮もあったのかもしれない。

♪2023-045/♪東京文化会館-02

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 歌舞伎名作入門「源氏の旗揚げ」 「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚」「五條橋」

2023-03-15 @国立劇場大劇場



●入門「源氏の旗揚げ」
ご案内 片岡亀蔵

●文耕堂・長谷川千四=作《鬼一法眼三略巻》
「一條大蔵譚」二幕
一條大蔵卿長成 中村又五郎
吉岡鬼次郎   中村歌昇
鬼次郎女房お京 中村種之助
勘解由妻鳴瀬  中村梅花
播磨大掾広盛  嵐橘三郎
八剣勘解由   片岡亀蔵
常盤御前    中村魁春 ほか

●「五條橋」一幕
武蔵坊弁慶   中村歌昇
牛若丸     中村種之助 ほか



「鬼一法眼三略巻」は度々観ているが、一度として同じ構成はない。とてもややこしい。今回は、元の文楽の四、五段目だが、四段目中「檜垣茶屋」は省略し、上演が極めて珍しい「曲舞」と、こちらもなかなか上演されない五段目の「五條橋」が加わった。
これ迄縺れていた知識を解きほぐしてようやく全体の構成が分かるようになった。

その上演されることの少ない両方の幕(場)とも初見だったが、面白い。

見どころは、鑑賞教室ではここ数年主役を演ずることがあったが、本舞台での主役=大蔵卿を初役で演じた中村又五郎。
吉右衛門が当たり役のようにしていたし、その舞台も観ているので、阿呆の場面ではしっくりこなかったが、正気を表す場面では”又五郎”が出てきて興味深かった。

新発見は種之助の牛若丸。随分前から観ているのに莟玉、米吉ほどの優しげな顔立ちではないので、女方ではあまり印象的な芝居が思い出せない人だが、今日の彼の牛若丸はなんと美しい。
「大蔵譚」でも女役だったが、全く別人のようだ。今後要注目。

余談:3月13日からのマスク着用のルールが緩和されたのに伴って、入場に当たってマスクはお客各人の判断に委ねられた。大いに結構。
ただし、歌舞伎の完全復活はまだ遠いな。何しろ、「大向こう」が封じられている。前回の公演から、決められたエリアから(一般客は立ち入れない)大向こうの”専門家”による模範的掛け声が始まったが、人数も少なく、雰囲気が盛り上がらない。
歌舞伎は双方向芸術だ。客席とのやりとりがあって、初めて見得も決まる。

♪2023-044/♪国立劇場-04

2023年3月11日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第385回横浜定期演奏会

2023-03-11 @みなとみらいホール



藤岡幸夫:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
須川展也:サクソフォン*

菅野祐悟:サクソフォン協奏曲《Mystic Forest》*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
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グリーグ:過ぎにし春






ちょっと気分が悪く、それを引き摺って鑑賞したので音楽の聴こえ方にも悪影響を齎した。やはり、心身とも健康な状態で臨まねばならんなあ。

菅野祐悟の作品は3度目だけど、どういう訳か藤岡幸夫+日フィルが多い。

前に聴いた作品は分かりやすい映画音楽を聴いているようで、面白くなかったが、今回のサックス協奏曲は、全編モダンで難解で、今回も共感できなかった。わざわざ旋律のツボを外す事で、意表を突く事が目的みたいだ。
独奏の須川展也は名人なのだろうけど、サックスの音色の魅力が感じられず、煩いばかり。

チャイコ交響曲第4番は、冒頭のファンファーレが魅力的で、ホルン+トランペット+ファゴットから音が下がってトロンボーン、テューバが加わる節は生理的快感。ここが良ければあとは大抵好感を持てる。

今日は、打楽器群の音が明瞭。前半喧しかった弦も美しく迫力があった。終楽章、最後の盛り上がりがあっけなかったが、ここの加減は難しいね。

♪2023-043/♪みなとみらいホール-11

落語 de オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

2023-03-11 @かなっくホール



大山大輔:バリトン
西山詩苑:テノール
川越未晴:ソプラノ
瀧川鯉丸:落語
宇根美沙惠:ピアノ

○第一部:大山大輔、瀧川鯉丸
・ワーグナーとは?
・ワーグナーの“ライトモチーフ”について
・〈タンホイザー〉にもみられる中世の歌合戦とは?
※〈タンホイザー〉より〈夕星の歌〉 歌:大山大輔
-----休憩-----
○第二部:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」よりハイライト版




かなっくホールでは純クラシック以外に時々ユニークな公演を行う。

「60分オペラ」、「3人くらいdeシェイクスピア」、そして今日の「落語 de オペラ」…。
これらの催し物が客層を広げているのは確かだろうけど、ややもするとどっちつかずの感否めず。

今日は、2部構成で前半に「タンホイザー」を素材にワーグナー入門。後半に「マイスター」を歌手3人+ナレーションで40分?位で紹介。

これはいかにも無理。

前半も「マイスター」でやれば良かった。それに落語は無用。

まあ、それでも、ちょっと「マイスター」を彷彿とさせて値段分楽しめた。

♪2023-042/♪かなっくホール-04