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2023年12月21日木曜日

日本フィルハーモニー交響楽団「第九」特別演奏会2023 ❺

2023-12-21 @みなとみらいホール



小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

オルガン:石丸由佳*

ソプラノ:小川栞奈
アルト:山下牧子
テノール:錦織健
バリトン:大沼徹

J.S.バッハ:高き天よりわれは来たれり BWV738*
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ*
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565*

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125




コバケンの「第九」は17年以来6年ぶり。
僕のコバケンへの思いはこの間に変化して、ケレン味の多いちょっと軽い感じの指揮者から、真摯な音楽家へ。それで敬愛の情を抱くに至っている。

しかし、センセイは変わらない。
6年前とまるで同じだった。

今年今日までに5回聴いた中で第2楽章は最速だったが、それ以外の楽章と全曲の演奏時間はいずれも最長だった。
これだけでも、独特の構成感だということが分かるが、処々利かすタメが大袈裟(効果的とも言える)だったり、管楽器のメリハリも強く、Hr四重奏部分は何度もベルアップで強奏した。
弦も強弱の差が大きく、終楽章の低弦のレシタでは全体の流れを掴み損なうほどに鷹揚な節回しだった。

クセの強い「第九」だが、日フィルの16型大編成の弦は、(慣れているのだろうが)コバケンの指揮によく応えて、実にスペクタクルな演奏をした。センターラインの席で聴いているので、広い舞台の両翼に伸びたプルトが発する響はホンにステレオ効果で包み込まれるような広がりを持った。
読響の12型とは全く異質な響だが、鋭く明瞭で、かつ、大所帯にしてはきれいにまとまっているのに感心。

こういう経験は、音楽を<聴く>というより<体験する>という方がピッタリだ。

♪2023-223/♪みなとみらいホール-49

2019年3月17日日曜日

輝けるテノール 錦織健テノール・リサイタル

2019-03-17 @みなとみらいホール


錦織健:テノール
多田聡子:ピアノ*

サン=サーンス:ノッテ・ステラータ〈星降る夜〉
ニーノ・ロータ:ロミオとジュリエット
ショパン:別れの曲
スッペ:恋はやさし野辺の花よ
服部良一:蘇州夜曲
多忠亮:宵待草
滝廉太郎:荒城の月
大中恩:しぐれに寄せる叙情
武満徹:小さな空
武満徹:死んだ男の残したものは
喜納昌吉:花
宮沢和史:島唄
バッサーニ:眠っているのか、美しいひとよ
カッチーニ:麗しのアマリッリ
スカルラッティ:すみれ
プッチーニ:「トゥーランドット」より“誰も寝てはならぬ”
バーンスタイン:「ウェスト・サイド・ストーリー」より “マリア”
ビクシオ:マリウ愛の言葉を
ラカジェ:アマポーラ
モリコーネ:ネッラ・ファンタジア 
----------------
ドビュッシー:月の光*
QUEEN:We will Rock you
      伝説のチャンピオン
  Love of my life
              Don't stop me now

「輝けるテノール」と題された独唱会。相変わらず輝いていたなあ。この人は話が(様子も)おかしいのでいつも本当に楽しめる。
「第九」などのソリストでの登壇とは人格が異なるようだ。

前半日本の歌、後半伊国の歌、Encはクィーンで大サービス。あんたはチャンピオンだよ。

♪2019-031/♪みなとみらいホール-11

2018年12月15日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第343回横浜定期演奏会 ---「第九」❷

2018-12-15 @みなとみらいホール


井上道義:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

菅英三子:ソプラノ
福原寿美枝:アルト
錦織健:テノール
青山貴:バリトン

ベートーベン:序曲「コリオラン」作品62
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

腕慣らし?の「コリオラン」が刮目の絶品。弦は変形12型対向配置。この小規模なオケならではの明確でクリアで力強い音楽は先日の独カンマーフィルと並ぶのではないか。

そのあとの休憩後に設けられたプレトークで、井上道義が<黄昏の「第九」>にはしないと言っていたが、正に<日の出の「第九」>だった。

弦は14型。対向配置から通常配置にもどった。コントラバスは7本並んだ。管楽器は雛段二段。その後方に独唱4人と150人前後の大合唱団が四段の雛段で配置。これなら視覚的にもどの楽器がどこに何人ずつ配置されているかが分かって気分良い。やはりプレトークの際に井上が「音楽は眼から聴く」とも言っていたが、これは我が意を得たりだ。

弦の透明度高く、気持ちの良いアンサンブルだ。
指揮者のコントロールが細部まで届いている感じ。
テンポは中庸。所々に溜めを利かせるような井上節があったが、やり過ぎ感は無い。演奏時間は計測ミスしたが、楽章間休止を除いた正味で70分弱か。

演奏における井上流の独自色は、終楽章の6/8マーチから、ピッコロ、トライアングル、シンバル、大太鼓の4人を舞台下手に登場させてたことだ。奇を衒っているとも言えるが、おかげでピッコロ・パートの終盤の活躍も良く分かった。

第2楽章の後に声楽陣が入場したので、ここの長い休止がやや緊張を損ねたのが惜しかったが、第3楽章から第4楽章の入りは間髪入れず。そうでなくちゃいけない。ここで、ぼんやり休んでいたのでは、ベートーベンが第2楽章と第3楽章の形式を反対に配置した意味が失われると思う。

オケは文句のない出来栄え。
東京音大の大合唱団もピッチが綺麗に揃い、透明感と大人数ならではの迫力の合唱を聴かせた。

大いなる満足で85点。これを超えるのはどこ?

♪2018-170/♪みなとみらいホール-40

2017年12月23日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第333回横浜定期演奏会 ベートーベン「第九」演奏会

2017-12-23 @みなとみらいホール


小林研一郎:指揮[桂冠名誉指揮者]
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

オルガン:石丸由佳*

ソプラノ:増田のり子
アルト:林美智子
テノール:錦織健
バリトン:ジョン・ハオ

J.S.バッハ:新年のコラール BWV615《汝のうちに喜びあり》*
J.S.バッハ:新年のコラール BWV614《古き年は過ぎ去り》*
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565*

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」


これまで小林研一郎の「第九」は聴いたことがないが、炎のコバケンが演る以上フツーの「第九」では終わらないはずだという妙な期待。

編成が大きく、冒頭は弦の音圧も高くてかなりの期待値。昨日の神奈川フィルの「軽め」の「第九」とはだいぶ違って、荘大なる「第九」の雰囲気だ。

テンポも全楽章通じてゆったり目。特に第3楽章は相当遅く、演奏時間16分だった。帰宅後手持ちのCDで他の指揮者の演奏時間を調べてみたが、9人中の5番目の長さということはこれでも中庸なのか(各人1種類しか持っていないので録音時期によって演奏時間は異なるだろうけど、まあ、一つの目安として。)。
最近聴くのはいずれももっと早めのテンポだからえらく遅い感じを受けた。

全体の長さも72分とこれまた中庸だ。
しかし、今年の年末に聴く「第九」は今日が3回目だが、前2回は、
飯森範親+東響が66分、
鈴木優人+神奈川フィルが65分であったから、かなり長いといえる。

テンポが遅めでも全体の流れが上手く運んでおれば違和感はない。今回は手練のマエストロが手慣れた日フィルを隅々までコントロールして、重厚なアンサンブルと相まって壮大な世界を歌い上げたように思う。

しかしである。
やはり気になるのはところどころ顔を出すコバケン節だ。
第1楽章のラストはしっかりタメを効かせて大げさに終曲したし、終楽章の低弦のレシタティーヴォの開始は、直前に2秒もあったか…えらく長いポーズをとったり、行進曲の始まる前も一時的に相当テンポを落として、テンポの、よく言えばメリハリを付けるのだが、これは外連(ケレン)としか思えない。もっとフツーにやれば、壮大なる本格的な「第九」になったと思う。こういう演出は観客サービスなのだろうが、観客の感性を信用して素直で正統的な音楽を聴かせてほしいよ。

全体に、熱演。
合唱も今日までの3回では最大規模で160人以上居たと思う。
よく声がでていたが、女声の高域はキンキンと唸りとても天上の音楽ではなかった。今回は東京音大の合唱団だが、東響と組んだ東響コーラスの透明感には及ばず。

≪参考:第3楽章の演奏時間と全曲の演奏時間≫
D・ジンマン⇒ 11:32 / 73
A・バッティストーニ⇒ 12:09 / 52
A・トスカニーニ⇒ 13:01 / 62
小澤征爾⇒                   15:39 / 71
小林研一郎⇒ 16:00 / 72
H・ブロムシュテット⇒ 16:24 / 72
H・カラヤン⇒ 16:50 / 66
O・スウィトナー⇒ 17:00 / 72
朝比奈隆⇒                   19:50 / 81


♪2017-209/♪みなとみらいホール-52

2017年5月7日日曜日

ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート2017前期 ≪輝けるテノール≫錦織健テノール・リサイタル

2017-05-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール


錦織健:テノール
金井信:ピアノ

日本古謡:さくらさくら
大中寅二:椰子の実
服部良一:蘇州夜曲
山田耕筰:来るか来るか、この道、松島音頭、からたちの花
瀧廉太郎:荒城の月
小林秀雄:落葉松
菅野よう子:花は咲く
ドニゼッティ:私は家を建てたい
トスティ:マレキアーレ
ティリンデッリ:おお春よ
プッチーニ:誰も寝てはならぬ(トゥーランドット)
フロトー:夢のごとく(マルタ)
ドニゼッティ:人知れぬ涙(愛の妙薬)
クルティス:忘れな草
ショパン:別れの曲
ラカジェ:アマポーラ
ララ:グラナダ
------------------
アンコール
〈ピアノ・ソロ〉
Shall we go?
哀愁のノクターン
〈テノール+ピアノ〉
カプア:オー・ソレ・ミオ
QUEEN:Love of my life、愛しのラヴァーボーイ
B.Andersson & B.Vlvaeus:thank you for the music

睡眠不足で出かけたが、前半日本歌曲その第一声「さくら」の<さ〜>で一瞬に完全覚醒した。なんという輝く声、そして大ホールに響き渡る豊かな声量。
これまでに「第九」等声楽付き管弦楽の独唱者としては何度も聴いていたがソロリサイタルは初めてでその実力、魅力を思い知った。

後半はイタリア歌曲とアリア集。日本歌曲の美しさにシミジミしていたが本領は後半だった。いずれも素晴らしくドミンゴも青くなりそうな「サンタルチア」など可笑しくて美しい。
曲間の軽妙なトーク。舞台後方席や側方席の観客にも心遣いのエンターティナーぶり。

伴奏ピアノは錦織に八王子のダ・ヴィンチと紹介された金井信。渾名のとおり才人で、演奏も見事だが作・編曲家であり東京藝大声楽科卒で歌も上々。本篇とアンコールでピアノを弾きながら錦織とのデュエットも素晴らしかった。最高に楽しいリサイタルだった。


♪2017-080/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2016年12月17日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第323回横浜定期演奏会

2016-12-17 @みなとみらいホール


下野竜也:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

ソプラノ:吉原圭子
アルト:小林由佳
テノール:錦織健
バリトン:宮本益光
合唱:東京音楽大学

ボイエルデュ―:《バグダッドの太守》序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」


今年の「第九」の2回目。

先日の神奈川フィルの出来がとても良かったが、こちらも好テンポ。軽快だ。疾走するベートーベンは小気味よし。
しかし、第3楽章の天上の音楽はいくらなんでも急ぎ過ぎではないか。

終楽章、低弦のレシタティーボも疾走するが如き。
ベートーベンはこういうのを意図したのだろうか。
変り種と言えば、昨年の上岡敏之+読響の「第九」も相当なものだったが、あれはあれでなんか惹きつけられたなあ。

声楽独唱・合唱団は最初から舞台に待機したのは良かったが、なら第3楽章の後の休止を最小限にして終楽章に雪崩うってほしかった。

合唱団は声部毎ではなく男声・女声がランダム?に並んだ。一体どういう効果を狙ったものか?見た目にも良くない。


♪2016-178/♪みなとみらいホール-48

2016年4月16日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第316回横浜定期演奏会

2016-04-16 @みなとみらいホール


ピエタリ・インキネン:指揮

ソプラノ:安藤赴美子(大隅智佳子から変更)
メゾソプラノ:池田香織
テノール:錦織健
バス:妻屋秀和
合唱:晋友会合唱団
日本フィルハーモニー交響楽団

ヴェルディ:レクイエム

ヴェルディの「レクイエム」は、モーツァルト、フォーレと並んで三大レクイエムと呼ばれているが、フォーレはともかく、モーツァルトと並ぶ作品だろうか?三つ選ぶならブラームスの「ドイツ・レクイエム」がなぜ入らないのだろう、という疑問を持っていた。

よく言われているようにこの作品はオペラ作家らしくとても劇的な音楽だ。それで、宗教性や精神性が低いとみる向きもある。
これまでビデオやCDでしか聴いたことがなかったが、今回、じっくりと集中して聴いたので、なるほど、まるでオペラのような部分もあるし、有名な「怒りの日」の主題(はその後もクイド・スム・ミゼルの前、ラクリモサの前、リベラ・メの後でも再現される)など、ここまで激しい表現がレクイエムに必要なのか、とも思うが、一方で、ヴェルディの本作の作曲動機(敬愛するイタリア文学者マンゾーニの死去に対する弔意)を知るとこれらの劇的表現も納得できる。


ま、ともかく、約80分間、喜怒哀楽の激情の音楽に晒されていると徐々にアドレナリンが噴出してきて体内を駆け巡り、否応なく興奮してくる。
宗教性だの精神性だのは超越して、この巨大な音楽に圧倒されてしまうのだ。

大規模管弦楽に大規模合唱団と声楽独唱4人を加えて240人位はいたように思う。
音楽を聴いた、というより体験した、という感じだ。

で、やはり3大レクイエムなのだろうか…という疑問は残ったままだ。ヴェルディの大作を聴き終えてもやはり、個人的にはヴェルディを外してブラームスを入れたい。

♪2016-045/♪みなとみらいホール-14

2014年12月13日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第303回横浜定期演奏会

2014-12-13 @みなとみらいホール



高関健:指揮
ソプラノ:半田美和子
アルト:坂本朱
テノール:錦織健
バリトン:堀内康雄
日本フィルハーモニー交響楽団
東京音楽大学:合唱

シベリウス:交響詩《タピオラ》
ベートーベン:交響曲第9番《合唱》



最近は、気候の変調や季節の食べ物が年中手に入るようになったり、シーズン商戦の前倒しなどで季節変化のグラデーションの帯域が広くなったせいでその変わり目はますます曖昧になっている。

そんな中、音楽シーンはこの月、確実に年末モードに突入して季節を明確に告知する。

「第九」と言えば12月と決まっている。
決まっているからこそ12月は「第九」の大混戦で、「ちけぴ」に出ているコンサートだけでも横浜・川崎だけで8回。主戦場の都内となると30回は下らないようだ。ほかのプレイガイドの取扱いやアマチュアの「第九」も入れると一体どれほどの回数が演奏されるのだろう。
かくいう僕も5回も聴きに行く予定だ。特に聴きたいと思って選んだのは1回だけ。残りの4回は定期演奏会なので、いわばお仕着せなのだ(嫌な訳じゃないけど)。

そのお仕着せ第1号が今日だった。

日フィルのホームページを見ると今月中に「第九」は2人の指揮者で7回演奏するようで(他の在京オケも似たり寄ったりだが)、毎回の演奏に気合を入れられるのかと心配になる。

が、今回の横浜定期が日フィル「第九」の一番乗りだったようで、おそらく、それなりの緊張感を持って臨んでくれたのだろう。

いつもながら、日フィルの響は実に柔らかい。ホールの残響に包まれた耳に優しいサウンドだが、物足りなさもあるのは聴く席のせいもある。これは畢竟費用対効果の問題に帰すので、日フィル定期ではメリハリの良さよりも柔らかサウンドを尊重するということにしておく。


ちょっと違和感を感じたのは、ソリストの出番だ。
合唱団は最初から舞台に陣取った。これはいい。
声楽ソリストはいつ登壇するか。
普通は第2楽章が終わったあとが多いように思う(この際に合唱団も入るということも多い。)。
今回は、違った。

第2楽章が終わってもソリストが登場しない。残るは第3楽章のあとしか無いので、その時点から残念感が同居した。
やはり、第3楽章が終わってからソリストが登場して拍手を受け着席するにはけっこう時間がかかるので、それまで継続していた音楽的緊張感が途切れてしまった。
これは良くない。

第3楽章と第4楽章間はアタッカ(切れ目なし)の指示がないけど、ここは間髪入れず第4楽章になだれ込んで欲しい。
第3楽章と第4楽章は一体なのだ。

第2楽章と第3楽章の間は空いてもいい。
音楽的に質が異なるし、むしろここで休憩代わりに合唱団とソリストを入場させるのが適当だと思う。

第4楽章の低弦のレシタティーヴォも綺麗すぎて物足りなかった。ここはタメを効かせて見得を切るように歌ってほしいな。まあ、好みの問題なのだけど。

残る4つの「第九」はどのように演奏されるだろうか。楽しみではある。


♪2014-115/♪みなとみらいホール大ホール-49