2014-12-13 @みなとみらいホール
高関健:指揮
ソプラノ:半田美和子
アルト:坂本朱
テノール:錦織健
バリトン:堀内康雄
日本フィルハーモニー交響楽団
東京音楽大学:合唱
シベリウス:交響詩《タピオラ》
ベートーベン:交響曲第9番《合唱》
最近は、気候の変調や季節の食べ物が年中手に入るようになったり、シーズン商戦の前倒しなどで季節変化のグラデーションの帯域が広くなったせいでその変わり目はますます曖昧になっている。
そんな中、音楽シーンはこの月、確実に年末モードに突入して季節を明確に告知する。
「第九」と言えば12月と決まっている。
決まっているからこそ12月は「第九」の大混戦で、「ちけぴ」に出ているコンサートだけでも横浜・川崎だけで8回。主戦場の都内となると30回は下らないようだ。ほかのプレイガイドの取扱いやアマチュアの「第九」も入れると一体どれほどの回数が演奏されるのだろう。
かくいう僕も5回も聴きに行く予定だ。特に聴きたいと思って選んだのは1回だけ。残りの4回は定期演奏会なので、いわばお仕着せなのだ(嫌な訳じゃないけど)。
そのお仕着せ第1号が今日だった。
日フィルのホームページを見ると今月中に「第九」は2人の指揮者で7回演奏するようで(他の在京オケも似たり寄ったりだが)、毎回の演奏に気合を入れられるのかと心配になる。
が、今回の横浜定期が日フィル「第九」の一番乗りだったようで、おそらく、それなりの緊張感を持って臨んでくれたのだろう。
いつもながら、日フィルの響は実に柔らかい。ホールの残響に包まれた耳に優しいサウンドだが、物足りなさもあるのは聴く席のせいもある。これは畢竟費用対効果の問題に帰すので、日フィル定期ではメリハリの良さよりも柔らかサウンドを尊重するということにしておく。
ちょっと違和感を感じたのは、ソリストの出番だ。
合唱団は最初から舞台に陣取った。これはいい。
声楽ソリストはいつ登壇するか。
普通は第2楽章が終わったあとが多いように思う(この際に合唱団も入るということも多い。)。
今回は、違った。
第2楽章が終わってもソリストが登場しない。残るは第3楽章のあとしか無いので、その時点から残念感が同居した。
やはり、第3楽章が終わってからソリストが登場して拍手を受け着席するにはけっこう時間がかかるので、それまで継続していた音楽的緊張感が途切れてしまった。
これは良くない。
第3楽章と第4楽章間はアタッカ(切れ目なし)の指示がないけど、ここは間髪入れず第4楽章になだれ込んで欲しい。
第3楽章と第4楽章は一体なのだ。
第2楽章と第3楽章の間は空いてもいい。
音楽的に質が異なるし、むしろここで休憩代わりに合唱団とソリストを入場させるのが適当だと思う。
第4楽章の低弦のレシタティーヴォも綺麗すぎて物足りなかった。ここはタメを効かせて見得を切るように歌ってほしいな。まあ、好みの問題なのだけど。
残る4つの「第九」はどのように演奏されるだろうか。楽しみではある。
♪2014-115/♪みなとみらいホール大ホール-49