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2025年6月14日土曜日

神奈川フィル クローズアップコンサートinかなっく


2025-06-14 @かなっくホール




[第一部]
Vn1東亮汰
Vn2桜田悟
Va池辺真帆
Vc長南牧人
◆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番二長調

[第二部」
SoloVn東亮汰
Vn1横山琴子
Vn2桜田悟
Va池辺真帆
Vc長南牧人
◆ビバルディ:四季メドレー
◆シューマン(萩森英明編):子供の情景 作品15〜第7曲:トロイメライ
◆ドボルザーク(クライスラー編):我が母の教え給し歌
◆エルガー:愛の挨拶 作品12
◆シャミナード:スペイン風セレナーデ
◆クライスラー:前奏曲とアレグロ
◆エンニオ・モリコーネ(萩森英明編):ニュー・シネマ・パラダイス(愛のテーマ)
◆J.ウィリアムズ:シンドラーのリストから「追憶」
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モンティ:チャールダーシュ


東くん(中学2年)を初めて聴いた時のポスター

神奈川フィルのメンバーによる室内楽@かなっくは”ブランチ”ハーモニーと銘打ったシリーズが3年ほど続いていたように思うけど、なぜか、今年度から”クローズアップ〜”に変わったらしい。尤も第2回目は予定されているとは聞かないから、今回で立ち消えになるかもしれない。

なので、今後も定着するかどうかは分からないけど、今回は、神奈川フィルの弦4人にゲストとして東(ひがし)亮太クンが加わった。

前半は、彼がVn1を受け持つSQでボロディンの2番。
後半は、彼がSQをバックにSoloを受け持つポピュラー名曲集。

前半は、どうもしっくりこなかった。冒頭の旋律はVn2以下の3本で奏でられるが、その部分が分解しそうな気がしてたよ。Vn1が入ってからはだいぶ軌道に乗ってきたが、最初の不信感は長く尾を引いたな。

後半は、普段はPf伴奏の部分をSQに編曲し直した名曲集だが、こちらはとても良かった。東クンのVnが実に明瞭で美しい。バックに徹した感のあるSQの方も良い調和を見せていた。この5人の弦の響がとてもいい。

そこに感心しながら、満足して聴き終えた。

「雨の日はホールが良く鳴る」というみつばちの法則がピッタリ当たった。

♪2025-078/♪かなっくホール-08

2025年1月26日日曜日

読売日本交響楽団第139回横浜マチネー名曲シリーズ

2025-01-26 @みなとみらいホール



アラン・ブリバエフ:指揮
読売日本交響楽団
反田恭平:ピアノ*

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から“だったん人の踊り”
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品16*
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」から
モンタギュー家とキャピュレット家@第2組曲第1曲
 少女ジュリエット@第2組曲第2曲
 修道士ローレンス@第2組曲第3曲
 踊り@第2組曲第4曲
 別れの前のロメオとジュリエット@第2組曲第5曲
 ジュリエットの墓の前のロミオ@第2組曲第7曲
 仮面@第1組曲第5曲
 ティボルトの死@第1組曲第7曲
-----------------
ショパン:ラルゴ変ホ長調*





沖澤のどかの代役で指揮をしたアラン・ブリバエフは初聴き。その指揮が良かったからかどうか分からないけど、演奏は3曲とも実に素晴らしい。
大いに満足できたけど、沖澤さんならどんなふうに引っ張ったのだ
ろう?と聴いてみたかったな、という思いもあり。

3曲通じて印象的なのは、読響ブラスの咆哮がよろしい。

ボロディンとロメジュリは弦16型。
一方、プロコPf協2番は12型だったから弦の数は20人も少ない。にもかかわらず管は2本少ないだけ。

この曲はPfの超絶技巧が全編に溢れるような作品で、オケは伴奏型の協奏曲だと言われているようだが、とてもそうとは思えない。
管・弦・打楽の面白さをずっしりと詰め込んで実にエキサイティングだ。ここでもブラスが気を吐く。

過去に何度も聴いているけど、今回初めて面白いと思えた。やはり反田恭平ただモノではないな。

ロメジュリは聴く度に組合わせが違うので、没入しにくい作品ではあるけど、今日の読響のパワフルな演奏は、ともかく、オーケストラを聴く楽しみに溢れていたよ。


♪2025-014/♪みなとみらいホール-04

2024年3月17日日曜日

横浜交響楽団 第730回定期演奏会 【19世紀のロシア音楽】

2024-03-17 @県立音楽堂



鈴木衛:指揮
横浜交響楽団

グラズノフ:祝典序曲
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から"ダッタン人の踊り"
カリンニコフ:交響曲第1番



今日は「19世紀のロシア音楽」というコンセプトだが、チャイコもラフマも登場しない。ロシア5人組からはボロディンが登場したが、彼とグラズノフ、カリンニコフを結びつけるのはどういう概念だろう。指揮者のプレトークも聞いたが、そこで説明があったのか?聞き逃したのか?

いずれにせよ、音楽は3曲ともロシアの土着っぽい、それ故に懐かしさを感じさせる音楽で楽しめた。

グラズノフは近年交響曲やVn協奏曲など色々演奏されるようになったが、今日の「祝典序曲」は初聴きだったし、カリンニコフについては、そもそもこの人の作品をナマで聴くのが初めてだった。
お馴染みは「ダッタン人の踊り」だけ。

ここが横響の捨て難い魅力だ。年間8回も定期演奏会を開くので、普通のアマオケとは一線を画すレパートリーの豊かさ。
プロオケにせっせと通っていてもなかなか聴けない作品を取り上げてくれるのは嬉しい。

演奏は、時々上手、時々下手。

今日は、年間パス更新の日で、来季も番号1番のパスを受け取ったよ。

♪2024-041/♪県立音楽堂-03

2023年11月17日金曜日

横浜弦楽四重奏団2023年度シリーズ Vol.3

2023-11-17 @みなとみらいホール



横浜弦楽四重奏団
 Vn:小笠原伸子、有馬希和子
 Va:百武由紀
 Vc:間瀬利雄
 Pf:岡原慎也

ベートーべン:弦楽四重奏曲第3番ニ長調 作品18-3
シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調 作品44
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調 作品11
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ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調 から第3楽章ノクターン


「横浜弦楽四重奏団」として聴くのは初めてだったが、メンバーは横浜バロック室内合奏団と同じ。で、バッロック定期の一つが行けなくなったので、こちらに振り替えてもらって、何と同じ席を用意してもらった。僕の好みを尊重してくれたようだ。というのも、バッロク定期に比べるとだいぶお客が少ないから、たまたま同じ席が用意できたということだろうけど。

1曲目ベートーベン3番は4年前ぶり。
そもそも弦楽四重奏を聴く機会が少ないからだ。
残念ながらあまり感ずるところはなかった。
でも、本日の期待はシューマンのピアノ五重奏にあるので、まあ、前座の腕鳴らしと了解。

ピアノが加わることで音楽のスケールがいっぺんに広がる。
それに、いつ聴いても気持ちを鷲掴みにされる力強さに繊細な抒情。シューマンのオーケストレーションはあまり好評ではないが、この作品は編成がピアノ・ソナタの延長にあるような規模だから、彼は完全掌握して自在に・効果的に五重奏に仕上げたのではないか。
ま、演奏に関しては、欲を言えば、ピアノが頑張りすぎで弦とのユニゾンでは弦が埋もれがち。


後半はチャイコの弦楽四重奏曲第1番。
これもやはり聴く機会が少なくて、有名な第2楽章Andante Cantabileだけを聴く機会は何度かあったが、ナマで全曲は初聴きかも。

1楽章の旋律の絡み合い、2楽章は耳馴染みのせいもあって実に美しい。3楽章の土の匂いのする民謡風なスケルツォも魅力的。終楽章も民謡風な旋律を撒き散らしながら疾走して爽快。

それにしても、トルストイが涙を流したという第2楽章はやはり美しい。

ところが、アンコールではボロディンの2番から超有名なノクターンを演奏してくれて、これがもう、しみじみと心を打った。
トルストイが絶対音楽(Andante Cantabile)で泣くとは精神状態がバランスを欠いていたと思うが、ボロディンのノクターンは聴かなかったのか?もしこちらも聴いたら、泣くどころか、崩れ落ちたかもしれないな…などと思いながら、僕は平常心を保ちながら聴いたが、なんて美しいのだ😢。

♪2023-196/♪みなとみらいホール-40

2022年6月26日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第378回定期演奏会

2022-06-26 @県民ホール



三ツ橋敬子:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
マルク・ブシュコフ:バイオリン*

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(原典版)
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調Op.35*
ボロディン:交響曲第2番ロ短調
------------------
イザイ:無伴奏バイオリンソナタ第5番から*


要約すれば、非常に面白く充実した演奏会だった。
先ず「はげ山の一夜」に吃驚。
え!これはなんだ。僕は何を聴いているのだ?
…と事態がなかなか飲み込めなかったが、プログラムに小さく《原典版》と書いてあって得心した。
馴染みのR.コルサコフ版とは全然違う!

その謎解きに心奪われて音楽に集中できなかったが、オケの尽力にもかかわらず、バラバラ感が付き纏ったのは、やはりオーケストレーションに問題があるのではないか。R.コルサコフも手を入れざるを得なかったのだろう。

チャイコフスキー:バイオリン協奏曲一段と素晴らしかった。独奏バイオリンのマルク・ブシュコフは初聴きだが、独自色をチラチラ見せながら雄弁だった。音色も美しく音圧も高い。
2013年モントリオール優勝、19年チャイフスキー・コンクール2位(同年、金川真弓4位。ピアノ部門で藤田真央2位)という実績を感じさせた。

これは要注目の期待株だ。

鳴り止まぬ絶賛拍手で長いカーテンコールだったが、1楽章の後かなり確信的な拍手が方々から起こったのも宜なるかな。

メインディッシュがボロディン交響曲第2番。だいたい2年に1回の割で聴いているが、神奈川フィルでは初めて。

なので、馴染みはそこそこあったけど、聴く度に驚かされる。
ワインガルトナーはこの曲をチャイコフシキー「悲愴」と並んでロシア人の国民性が如実に反映された作品、と言ったそうだが、西欧化と民族性の両極端において説得力がある。
厚みのある弦が、今日は特段美しく響いた。3楽章ホルンソロも良し!

♪2022-093/♪県民ホール-08

2021年7月27日火曜日

フェスタサマーミューザ2021 読売日本交響楽団 ≪これはサプライズだ!鈴木雅明の熱い夜!≫

2021-07-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール



鈴木雅明:指揮
読売日本交響楽団

ボロディン:交響曲第2番 ロ短調
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27


昨日の都響も良かったけど、今日の読響のアンサンブルの厚さは一段と強力。

鈴木氏がBCJを振る時とは身体の動きが全然異なるのは音楽の違いもあるけど、本人自身がロマン派の音楽をとても楽しんでいるように思う。


1曲目は、記録を手繰って数えてみると4年に1回の割合でしか聴いたことがないボロディンの交響曲第2番。


バロックの対極とも言える俗っぽく泥臭く大袈裟で映画音楽のようだ。

しかし、多彩なオーケストレーションで聴いていて面白い。

読響の巧さを楽しんだ。


問題は2曲目のラフマニノフ交響曲第2番。

先月東フィルで聴いたのが仲々良かった。

今日の読響も中盤迄はとても良い感じだったけど、あの美しい第3楽章辺りから徐々にモヤモヤ感が募ってきた。


この長大曲は、相当複雑らしい。

第1楽章に第3楽章の切れ端を感ずるし、第2楽章には「怒りの日」が引用され、終楽章は前3楽章を引用してある。つまりよく計算された有機的構造を持つようだ(聴いていてそれと分かる程立派な耳は持っていないけど。)。


それだけに、縦横揃えて透明感を維持するのがどんなオケでも難しいのかもしれない。

加えてボロディン交響曲第2番との組合せがキツかったかな。好物とはいえ天ぷらの後にフライを出されたようなものだ。


♪2021-075/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-017

2019年8月3日土曜日

フェスタサマーミューザ2019 NHK交響楽団 ≪注目のマエストロと楽しむ名曲ツアー≫

2019-08-03 @ミューザ川崎シンフォニーホール


原田慶太楼:指揮
NHK交響楽団

反田恭平:ピアノ*

ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー*
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から だったん人の踊り
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第5番、第6番
エルガー:行進曲「威風堂々」第1番
-----------------
ショパン:子犬のワルツ*
ヒナステラ:バレエ組曲「エスタンシア」から「マランボ」

7月28日の新日フィル+小川典子の際はホールの響きが良く、特にピアノの音に端的に表れていたが、今日もオーケストラとピアノの組み合わせがあったので、どんなものか、楽しみにしていたが、ホールもピアノも格別悪くはないけど、格別良くもないフツーの響きで残念だった。
演奏者の問題ではなくホールの問題だ。
満席に近い客席が音を吸収してしまったのだろうか。

カーンと抜ける明るいピアノの響きはなかなか味わえないものだ。

今日のN響のプログラムは、明日のNHKホールの公演と相当重複していて、ミューザでの演奏はさながらに明日のためのゲネプロみたいな印象で、アンコール曲まで明日演奏する曲だった。

演奏の出来もN響にしては悪い。
ラプソディ・イン・ブルー冒頭のクラリネット独奏はどうしたものか、迷走した。こんな妙ちくりんな出だしは初めて聴く。
ハンガリー舞曲第1番も最近何度も聴いたのだが、先月の東響、東フィルに比べて雑な仕上がり。胸かきむしるような哀愁とは無縁だった。明日はホームのNHKホールで力を発揮するのだろう。

アンコールの初聴きマランボが一番面白かった。

♪2019-115/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2018年4月19日木曜日

東京都交響楽団 第854回 定期演奏会Cシリーズ

2018-04-19 @東京芸術劇場大ホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団

リムスキー=コルサコフ:序曲《ロシアの復活祭》op.36
ボロディン:歌劇『イーゴリ公』から「だったん人の娘たちの踊り」、「だったん人の踊り」
チャイコフスキー:交響曲第3番ニ長調 op.29《ポーランド》

僕が定期会員となっている6オケのうち4月からシーズンが始まる東響、神奈川フィル、読響、都響はいずれも今月は音楽監督・首席指揮者などそれぞれのトップ指揮者が登場した。
で、都響は好漢大野和士の登場だ。
都響の4月定期はA、Bが同じでマーラーの交響曲第3番。同じ曲を短期間に2度聴ききたいほど好きな曲でもないので、A定期を振り替えたのが、今日のC定期。やはり指揮は大野和士だったが、こちらはオール・ロシアプログラム。

リムスキー=コルサコフの序曲「ロシアの復活祭」は多分ナマでは初聴きだと思うし、CDも持っていないのに、耳に馴染んだ曲だった。おそらく、若い頃、FMラジオに齧りついていた頃の記憶が残っていたのだろう。

ボロディンの「だったん人の踊り」は記録によれば、10年前にN響で聴いていた。こちらの方はそうでなくとも有名な曲だから始まった途端、あ、これこれ!という感じだが、「だったん人の≪娘の≫踊り」というのまであるとは知らなかった。しかしこちらも聴いたことがあるメロディだった。

前半の2曲(3曲というべきか)は、コンサートで聴く機会は珍しいけど、昔から馴染んでいるという音楽だった。

後半のチャイコの3番は、これもナマでは初聴き。
6曲ある交響曲のうち、ナマで聴いた記憶・記録がないのはこの第3番だけだったので、クラシック歴半世紀超を経てようやくチャイコの全曲を聴き終えたことになった。
もちろん、CDなどでは何度も聴いているのだけど、4番以降ほどには馴染んでいないし、第一、4番以降のように覚えやすいきれいなメロディーが出てこないのでなかなか印象に残らないのだ。

ともあれ、次回、この第3番を聴くのは何年後だろうか、果たして聴くことがあるだろうか。まあ、生きている内に聴けて良かったかな。

ところがどっこい。
今日の都響はイマイチだった。

A、B定期のマーラー第3番でエネルギーを使い果たしたか、どうもぴりっとしない。特にバイオリン群は出がらしのように薄くて濁りのある響だった(これはホールのせいも多少あるとは思う。)。本来なら、もっと華やかな管・弦・打楽の饗宴になるべきプログラムだったが、隔靴掻痒の思いで劇場を後にした。

♪2018-043/♪東京芸術劇場大ホール-02

2017年2月4日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第11回

2017-02-04 @県民ホール


小泉和裕:特別客演指揮者
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」よりモルダウ
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール
ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」より間奏曲
チャイコフスキー:イタリア奇想曲Op.45
---------------
アンコール
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニ・オネーギン」からポロネーズ

小泉和裕御大が神奈川フィルの特別客演指揮者に就任したのが14年の夏で、それ以来この組合せで5回目だが、今回のプログラムは全9曲がいずれも序曲、間奏曲、前奏曲の類で、ちょっと重めのアンコールピースのような作品ばかりだ。確かにキャッチコピーにあるように「名曲」コンサートではある。

そのせいか、県民ホール定期にしては大勢の観客が入っていた。
県民ホールはキャパが首都圏のコンサートホールとしてはNHKホールについで大きい(2,500人。因みにNHKホールは3,600人、東京文化会館が2,300人だ。)。これだけの席を神奈川フィルの定期会員だけでは到底埋められない。それで、県民ホール定期では時として空席が目立つことしばしばである。
しかし、この日は空席もあることはあったが探さなくちゃいけないほどの少なさだった。それだけお客が入ったのも、この「名曲」ラインナップのせいだろう。また、1回券のチケット料金が年間定期会員券よりも安価に設定してあるではないか!ま、たくさん入るに越したことはないからいいけど。

オーケストラの編成は全曲ほぼ一定で、管楽器が多少出入りした程度で弦5部は固定していたのではないか。コンバス7本大勢は最初からずっと変わらなかったように思う。
つまり、コンバスが7本並ぶということは弦全体の数もそれなりの大きさで70人位いたのかもしれない。

そういう大規模管弦楽で、いずれも耳によく馴染んだ名曲が次から次へと繰り出されるのは実に心地の良いものであった。

初めてナマで聴く音楽は一つもなかったが、どの曲も面白いものばかりだ。
セビリアの音楽も良いが、リストのガンがリー狂詩曲は弦の中低域がとても力強くて美しい。
ローエングリンの前奏曲もファンファーレが見事。
「サムソンとデリラ」の音楽は異国情緒たっぷり。
「中央アジアの高原」もエキゾチックで美しい。日本人好みだ。
「マドンナの宝石」もきれいだ。

たまには、こういう肩の凝らない「名曲」集もいいものだ。

♪2017-016/♪県民ホール-01

2015年10月17日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第311回横浜定期演奏会

2015-10-17 @みなとみらいホール


アレクサンドル・ラザレフ[首席指揮者]:指揮
小川典子:ピアノ
日本フィルハーモニー交響楽団

ラームス:大学祝典序曲
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調S.124/R.455
ボロディン:交響曲第2番ロ短調
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ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」から「レズギンカ」


大学祝典序曲ではイマイチサウンドに輝きがないというか、いつもはもっとまろやかで透明感も感じられるのに、ザワーっとしたような響だったが、2曲めのリストになると弦も良く鳴っていつもの日フィルらしさが戻った。聴く側の耳の問題、気持ちの問題もあるのかもしれないけど、アコースティックな環境でのアコースティックなサウンドってほんに微妙だ。

リストのピアノ協奏曲は3作あるという説もあるが、第3番は聴いたことがない(これは全1楽章だそうだが)。
第1番も第2番も多楽章とはいえ全曲通して演奏される。
その第1番の楽章構成は全3楽章とする見方と全4楽章とする見方があっていずれにせよ通して演奏されるので、楽章の切れ目がよく分からないのだけど、4楽章構成で言えば第3楽章と第4楽章で、3楽章構成でいえば第3楽章で、トライアングルが頻繁に鳴らされるので、それを聴くとああ、この辺まで来たのか、と分かる。

大きなホールの後ろの方で聴いているのだけど、あの小さな楽器がチリンチリンとよく伝わってくる。CDだと聞き逃すことも多いのだけど。

もちろん、主役はピアノで、終始ピアノが華麗に鳴り続けている。

ボロディンの交響曲第2番は、チャイコフスキーの悲愴と並んでロシア人の国民性が如実に反映された作品だ…とワインガルトナーが言ったと解説にある。

しかし、この2作品はその洗練度において大きな開きがあると思うが、あるいは、だからこそ、この2曲がロシアの2面性を代表するのかもしれないが。

とても素朴というか、民族性が露骨に出て、俗っぽい音楽だ。
初めて聴いたが、それだけに分かり易く親しみやすい。


ラザレフは、どの曲も<ここで終わり>という瞬間に指揮台でくるっと踵を返し客席に向かって拍手を促す。それは全然嫌味ではなくて、彼自身が音楽を楽しんで、お客と一体感を味わいたいという気持ちだろう。観客サービスでもある。
普通は、終曲は観客と演奏家が音楽の最後の余韻まで納得して共有して迎えるものだけど、このタイミングはなかなか難しくて、観客も気持ちを一つにできるとは限らないのだけど、ラザレフのようにくるっと客席に向かってバンザイをしてくれると、ああ、これで終わったんだ、という気持ちの整理が<明確に>ついて、文句の言いようもない。


♪2015-104/♪みなとみらいホール-30

2015年7月5日日曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第109回

2015-07-05 @ミューザ川崎シンフォニーホール



飯守泰次郎:指揮

アレクサンダー・クリッヒェル:ピアノ
東京交響楽団

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より “ダッタン人の踊り”
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 作品43
---------------------
アンコール(ピアノソロ)
クリッヒェル:ララバイ(自作曲)


この日は、体調が思わしくない上に睡眠不足で、こりゃ寝てしまうかもと危惧をしていたが、最初の「ダッタン人」で覚醒した。

東響ってホンにうまいなあ。弦もいいが管が特にうまいと思う。
東響の演奏は定期だけでも年に15回(名曲全集と川崎定期)聴いているけど一度もがっかりしたことがない。
主にミューザ川崎シンフォニーホール(不都合なときはサントリーホール)という聴きやすいホールで聴いていることも多少は関係あるのかもしれないけど、何と言っても「実力」がなければホールの音響効果ではごまかしきれないはずだ。

ラフマニノフのピアノ協奏曲は全部で4曲あるけど、コンサートで取り上げられるのは今日の第2番が圧倒的に多い。
次いで3番かな。
僕は第1番も第4番もCDでは聴くけどナマで聴いた覚えがない。

第2番は映画でもよく使われているし、多くの人の耳に馴染んだ人気曲だからコンサートでも取り上げられるのだろうけど、ピアニストにとっても弾き甲斐のある曲なんだろうな。とにかく、難曲だ。
そのアクロバティックな妙技を見る・聴くのもコンサートの楽しみだ。

ピアノのアレクサンダー・クリッヒェルという人は、1989年生まれというから25、6歳か。
ピアノの才能は言うまでもないが、数学、生物学、語学などの分野でも数学オリンピックをはじめ各種コンクールにも入賞し、今もそれらの分野の研鑽も積んでいるというからえらくマルチなタレントだ。こういう人が他の人の才能まで喰ってしまっているのかもなあ。
いや、礼儀正しい好青年ではあった。


シベリウスは今年が生誕150年なので、コンサートでも取り上げられることが多い。先月のN響定期でも聴いた。
シベリウスの交響曲についても全7曲(+クレルヴォ交響曲)あるのにコンサートで取り上げられるのは圧倒的に第2番。ほかには5番を一度聴いた記憶があるだけだ。
手持ちのCDもやはり2番と5番だけなので他の交響曲の世界を知らない。生誕150年の今年こそ、いろんな作品を取り上げてほしいものだ。

とはいえ、やはり、馴染んだ第2番はゾクゾクするほど素晴らしい。
第1楽章冒頭から、独墺、フランス、イタリア、英国、ロシアとは確実に一線を画す、いかにも氷河と森のフィンランドぽいムードがたちこめてその世界に惹きこまれる。
第2楽章は低弦のピチカートにチョッとリズムが外れたようなファゴットのメロディーが不安定で霧の中を彷徨うようだ。
シベリウス独特(フィンランド民謡が取り込まれているのだろうか)ではあるが、美しいメロディーが繰り出される。
第3楽章のモゾモゾした不気味さは徐々に盛り上がっていき、やがて切れ目なく(アタッカで)第4楽章になだれこむとその後は緊張が押しては引くやりとりを繰り返しながら徐々に悠々たるクライマックスに高揚する。このカタルシスは何度聴いてもぐったりするほど感情移入してしまう。

それを指揮する飯森泰次郎御大のクールさがおかしいくらいだ。
髪振り乱し汗だくでタクトを振る人もいるけど、御大はほとんど表情は変えず穏やかに微笑さえしているようで、それでいて大クライマックスを引き出すのだからやはり只者ではないのだろうな。

東響の素晴らしいサウンドと揺るぎない安定感。
久しぶりの至福の時を過ごした。

♪2015-63/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2015年6月17日水曜日

横浜交響楽団第663回定期演奏会

2015-06-17 @県立音楽堂



飛永悠佑輝:指揮
有賀叶:バイオリン
横浜交響楽団

シベリウス:交響詩「トゥオネラの白鳥」
シベリウス:バイオリン協奏曲ニ短調
ボロディン:交響曲第2番ロ短調


シベリウスは今年(12月8日)生誕150年を迎えるので、昨年から、コンサートでも取り上げられる機会が多い。

横響はアマチュアだが、年間8回もの定期演奏会をこなす本格的なオーケストラだ。
かなり高水準の腕前だと思うが、ハラハラすることも少なからず。

交響詩「トゥオネラの白鳥」は、1曲めの腕慣らしにしては良いスタートだった。

2曲めの協奏曲のソロゲストは有賀叶クン。
どこかで聴いたような気もするのだけど、初めてなのかもしれない。まだ、高校1年生だ。
既にいくつかのコンクールで1位ほか上位入賞をしている。

とはいえ、多分、オーケストラと千人以上のお客の前で演奏するのは初めてだろう。舞台上の素振りはどこかぎこちなさを感ずるが、そのくらいでなくちゃ可愛げがないからこれはこれでいい。

演奏は速いパッセージなどはノーミスでクリアしていたが、何ヶ所か音程が甘くなる瞬間もあった。でも、こういう人はみるみる上達してゆくのだろう。

オーケストラの方もところどころ音が外れたり、ハーモニーが濁ったりしするのは今回が初めてではないし、まあ、アマチュアだものこんなものだろう。

ただ、両者が凡ミスせず、無事に弾き終えてほしいという気持ちで聴いていたので、音楽に入り込むことは難しかった。
でも、聴いているだけだけど、若い才能の涵養に自分も一役買っていると思えばこれはこれで楽しい。


ボロディンといえば、交響詩「中央アジアの高原にて」、弦楽四重奏曲第2番「ノクターン付き」、オペラ「イーゴリ公」から「韃靼人の踊り」くらいしか聴くことがない。
交響曲まで作っていたとは知らなかった。
3曲あって、うち第3番は未完成だったがグラズノフの補筆で完成したそうだ。

今日の演奏は第2番。

第1楽章のテーマが、かつて聴いたことがない泥臭さ(母なるロシアの大地、という言い方もできるだろうけど。)。
このメロディに比べるとマーラーもブルックナーも上品に思えてくる。しかもこの楽章の最後がやはりこの主題を思い切り強奏で、思い切りテンポをリタルダンドして、ケレン味いっぱいに終わるのに少々驚かされた。この感覚は粋じゃないと思った。
弦楽四重奏の「ノクターン」を書いた人とは思えない。

第2楽章以降は第1楽章ほどのドラマ性はなく、驚くようなものではなかった(というか第1楽章で相当驚いたので)。

オケも慣れていないようで、第2、第4楽章のシンコペーションがオケ全体としてぴたっと合わずにつんのめるような感じもあった。
これは結構難しいのかもしれない。
全体として、まだ自分のモノにはなっていないという感じだった。

とはいえ、横響がこういうレアな分野にも積極果敢に取り組んで聴かせてくれるのはありがたい。

♪2015-59/♪県立音楽堂-05

2014年12月21日日曜日

横浜交響楽団第659回定期演奏会

2014-12-21 @県民ホール


飛永悠佑輝:指揮
高品綾野 :ソプラノ
平山莉奈 :アルト
宮里直樹 :テナー
池内響    :バリトン
合唱       :横響合唱団
       :横響と「第九」を歌う会合唱団

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調Op.125 「合唱付」



今季の「第九」3回め。
でも、一番楽しみにしていた「第九」だ。

横響は、7月から聴いていなかった。演奏会が他のオケとダブってやむなく聴くことができなかった。

でも、12月の横響の「第九」だけは聴き逃すことができない。
幸い、他のオーケストラ公演ともダブリがなく、喜んで、売り出し当日に指定席を買った。
ちょっと前過ぎるなあ、と思いながらも、超大規模編成の管弦楽と600人の大合唱(一昨年の演奏会でそのように聞いたので、多分、毎年その規模だろうと思っている。)を間近で聴きたいという欲求に抗することができず、前から7列目のセンターを購入した。

これでよし。
最高にパワフルな演奏に身も心も包まれるはず!

だいぶ早めに着いたが、県民ホールは大勢のお客でごった返していた。横浜市内の定例の音楽行事としてはおそらく最大の盛り上がりだろう。何しろ、合唱団がものすごい数なので、その家族や友人など一族郎党が、普段はクラシックなど聴かない人まで、この日だけは義理・人情も手伝って総動員されるからほとんど関係者だけでも観客席は埋まってしまうのではないかと思う。
ホール内は開演の前から熱気ムンムンだ。


さて、大いなる期待を抱いて指定席に向かっていったらこれはびっくり。前から7列目を探して座ろうとするが、7列目に第7列がない!
泡食ってしまったが、なんてことはない。
第7列は2列目に変わっていた。
つまり、最前列が第1列ではなく第6列で、僕が買った第7列は2列目になっていたのだ。

なぜなら、大オーケストラと大合唱団を舞台に載せるために舞台が客席側に拡張された結果、前方客席の計5列分がなくなってしまったのだ。

7列目でさえ前過ぎたかなと思っていたのに、2列目はさすがに辛い。前の列の人の前はもうステージで、首席チェリストに手が届きそうだ。それに舞台が結構高いので見上げなくてはいけない。
声楽ソリストは指揮者の直前だったから、これもとても近い。
合唱団は背の高い人以外はほとんど見えない。

演奏中もやたらチェロが響いてくる。バランスは良くない。
超ステレオを聴いているような音場の広さは「目移り」ならぬ「耳移り」して落ち着かない。
元々アマチュアなのでいつものことながら弦のピッチは微妙だ。
でも、アマチュアにしては相当レベルが高いと思う。

あれこれ問題はあったが、終わってみれば、すべて吹き飛ばす熱演であった。ま、来年は2階席でも選んでみようと思うが。

横響の「第九」コンサートは、毎年、終演後「蛍の光」の演奏が恒例になっている。大合唱団のオケ伴つき「蛍の光」は感動的だ。
お客様をお見送りするという趣向なので、僕も遠慮なく演奏を聴きながら少し上気した心持ちでオーディトリアムを後にした。

ギリギリまで拡張された舞台

前5列がなくなった。

余談:
声楽がどこで登壇するか?シリーズ。
大合唱団なので舞台上で座って待つスペースはないから、冒頭から登壇したのでは出番までずっと立ちん坊になるのはしんどい。

そこで第2楽章が終わってから合唱団が入場してきた。合理的だ。その後、ソリストが4人拍手を受けて着席する。

第3楽章が終わって第4楽章の開始は一呼吸程度だった。
一昨日の神奈川フィルも(合唱団は数が少ないので最初から着座していたが)同じスタイルだった。
これが普通だと思うが、18日の日フィルはどうして第3楽章終了後にソリストを入れたのかますます疑問だ。

♪2014-118/♪県民ホール-04