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2014年9月21日日曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第100回

2014-09-21  @ミューザ川崎シンフォニーホール


準・メルクル:指揮

東京交響楽団

イリヤ・ラシュコフスキー:ピアノ

早坂文雄:左方の舞と右方の舞
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」作品28
メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調 作品90 「イタリア」
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アンコール

メンデルスゾーン:演奏会用序曲「フィンガルの洞窟」作品26


1曲めの早坂文雄「左方の舞と右方の舞」はどういう場面でか思い出せないけど、聴いたことがある。
雅楽の中に「左方の舞=唐楽」と「右方の舞=高麗楽」という種類の舞楽を管弦楽で表現したものだと解説に書いてある。
雅楽も邦楽の一部かもしれないが、雅楽というより、もっとずっと親しみやすい邦楽を感じさせる。
大陸や半島伝来の音楽ではなく、日本で育まれた「和」の音楽を感じさせる。

早川文雄と聞けば映画音楽の巨匠という刷り込みがあるせいか、この曲を聴いていても映画音楽のように感じ、あれこれ映画作品を思い浮かべた(酔いどれ天使、羅生門、七人の侍、雨月物語、山椒大夫、近松物語などの錚々たる日本映画の音楽を担当した。)。


「ティル~」は好きな音楽。
R・シュトラウスについては別の機会に書こう。



メインディッシュがメンデルスゾーンの「交響曲イタリア」。
大変なごちそうだ。
メンデルスゾーンについては、若い頃は、失礼なことに!なんだか甘ったるい作品を書く作曲家として軽んじていたが、歳をとるに連れその魅力に目覚めた。反省の意味も込めて2年ほど前に全作品集を購入したけど、聴いている時間がない。

交響曲もよく聴くのは3番「スコットランド」と4番「イタリア」。
特に「イタリア」はどの楽章も完璧に素晴らしい。
しかし、メンデルスゾーン本人は気に入らない部分があったようで、改訂版が完成するまでは出版を許さなかったそうだが、それはついに完成しなかった。
僕の耳には手の入れようがないくらいに完璧だと思うけど。

とりわけお気に入りは第2楽章のアンダンテ。
「イタリア」を好きになるきっかけはこの哀愁漂うメロディーを知ったからだ。

東響の演奏も良かった(このオケはこの日にかぎらず、たいていいつも「巧い!」と感じさせる演奏を聴かせてくれる。)。

第1楽章にしても終楽章にしてもとてもテンポが早く、とりわけ終楽章の冒頭は管楽器は非常に早くて細かいタンギングが必要だけど、これが実にきれいに揃って見事だった。
もちろん全楽章が素晴らしい演奏だった。


僕はアンコールは要らない派だけど、演奏された。
でも、選曲が良かった。
同じメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」だ。
これも好きな曲で、ワクワクさせる動機が繰り返えされながらロマンチックなメロディーに成長して展開されてゆく。
この旋律も、一度聴いたら脳裏に染みこむのではないか。


という訳で、僕には満足のコンサートだったが、前回(東響名曲全集第99回)に引き続き、1階最前列のおばちゃん!そんな目立つ場所で寝ないでください。

♪2014-87/♪ @ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2014年7月13日日曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第99回

2014-07-13  @ミューザ川崎シンフォニーホール



イリヤ・ラシュコフスキー:ピアノ
ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団

ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より 前奏曲《モスクワ河の夜明け》
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
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アンコール(ピアノソロ)
ラフマニノフ:「13の前奏曲」より第5番 ト長調 作品32-5



ムソルグスキーの歌劇といえば、「ボリス・ゴドノフ」くらいしか知らなかったので「ホヴァンシチナ」の前奏曲《モスクワ河の夜明け》ももちろんお初。

もっとも、ムソルグスキー自身はこれをピアノスコアのまま未完で逝去し、リムスキー・コルサコフが管弦楽版として完成させたそうだ。ボロディンの未完のオペラ「イーゴリ公」もR・コルサコフが完成させていることからも、R・コルサコフは管弦楽技法の大家でもあり、同国人ながら西欧音楽をロシア的に洗練させようとしたチャイコフスキーの対抗勢力としてロシア5人組の音楽を世に知らしめ遺したかったのだろうと思う。

前奏曲《モスクワ河の夜明け》は、初めてということもあったが、あまり耳に残る旋律がなく、なんだか、頼りないままに終わってしまった。歌劇の前奏曲であれば、こんなものなのかもしれないが。

            <イリヤ・ラシュコフスキー>

ラフマニノフのピアノ協奏曲は圧倒的に第2番、次いで第3番を聴く機会が多いが、できれば、1番、4番なども聴いてみたいものだ。2番はこの1年で3回めだもの。とはいえ、何度聴いても良いものは良い。
ピアニスト、イリヤ・ラシュコフスキーは30歳。まだまだこれから腕を上げてゆくのだろうが、もちろん、既にこの難曲を軽やかに弾きこなしていた。
全3楽章、どの楽章も甘くて哀愁に満ちた旋律にあふれて大いに酔わせてくれる。


交響組曲「シェエラザード」は、R・コルサコフがボロディンの未完の「イーゴリ公」のオーケストレーションの作業中にそれらの作品中のオリエンタリズムに触発を受けて書いたそうだ。

全編、アラビア風のエキゾチックな旋律が楽しい。バイオリン、チェロ、木管・金管のソロがあちこちに配置されているが、これがまたみんな腕に覚えありで、うまい。繰り返し登場するハープの伴奏に乗った独奏バイオリンによるシェエラザードのテーマは耳タコだけど、やはり実に美しい。

オーケストレーションの大家R・コルサコフがその技術をいかんなく発揮したこの大曲は、数多のオーケストラ作品の中でも管楽器の魅力を味わうのにおあつらえむきの名品だと得心した。

                                <ユベール・スダーン>

あ。1階最前列のおばちゃん!そんな目立つ場所で寝ないでください。

♪2014-71/♪ @ミューザ川崎シンフォニーホール-06