2014-07-13 @ミューザ川崎シンフォニーホール
イリヤ・ラシュコフスキー:ピアノ
ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団
ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より 前奏曲《モスクワ河の夜明け》
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
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アンコール(ピアノソロ)
ラフマニノフ:「13の前奏曲」より第5番 ト長調 作品32-5
ムソルグスキーの歌劇といえば、「ボリス・ゴドノフ」くらいしか知らなかったので「ホヴァンシチナ」の前奏曲《モスクワ河の夜明け》ももちろんお初。
もっとも、ムソルグスキー自身はこれをピアノスコアのまま未完で逝去し、リムスキー・コルサコフが管弦楽版として完成させたそうだ。ボロディンの未完のオペラ「イーゴリ公」もR・コルサコフが完成させていることからも、R・コルサコフは管弦楽技法の大家でもあり、同国人ながら西欧音楽をロシア的に洗練させようとしたチャイコフスキーの対抗勢力としてロシア5人組の音楽を世に知らしめ遺したかったのだろうと思う。
前奏曲《モスクワ河の夜明け》は、初めてということもあったが、あまり耳に残る旋律がなく、なんだか、頼りないままに終わってしまった。歌劇の前奏曲であれば、こんなものなのかもしれないが。
ラフマニノフのピアノ協奏曲は圧倒的に第2番、次いで第3番を聴く機会が多いが、できれば、1番、4番なども聴いてみたいものだ。2番はこの1年で3回めだもの。とはいえ、何度聴いても良いものは良い。
ピアニスト、イリヤ・ラシュコフスキーは30歳。まだまだこれから腕を上げてゆくのだろうが、もちろん、既にこの難曲を軽やかに弾きこなしていた。
全3楽章、どの楽章も甘くて哀愁に満ちた旋律にあふれて大いに酔わせてくれる。
交響組曲「シェエラザード」は、R・コルサコフがボロディンの未完の「イーゴリ公」のオーケストレーションの作業中にそれらの作品中のオリエンタリズムに触発を受けて書いたそうだ。
全編、アラビア風のエキゾチックな旋律が楽しい。バイオリン、チェロ、木管・金管のソロがあちこちに配置されているが、これがまたみんな腕に覚えありで、うまい。繰り返し登場するハープの伴奏に乗った独奏バイオリンによるシェエラザードのテーマは耳タコだけど、やはり実に美しい。
オーケストレーションの大家R・コルサコフがその技術をいかんなく発揮したこの大曲は、数多のオーケストラ作品の中でも管楽器の魅力を味わうのにおあつらえむきの名品だと得心した。
あ。1階最前列のおばちゃん!そんな目立つ場所で寝ないでください。
♪2014-71/♪ @ミューザ川崎シンフォニーホール-06