ラベル 与儀巧 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 与儀巧 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年5月30日火曜日

新国立劇場オペラ:R.シュトラウス「サロメ」

2023-05-30 @新国立劇場



【指揮】コンスタンティン・トリンクス
【演出】アウグスト・エファーディング
【美術・衣裳】ヨルク・ツィンマーマン
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【サロメ】アレックス・ペンダ(アレクサンドリーナ・ペンダチャンスカ)
【ヘロデ】イアン・ストーレイ
【ヘロディアス】ジェニファー・ラーモア
【ヨハナーン】トマス・トマソン
【ナラボート】鈴木准
【ヘロディアスの小姓】加納悦子
【5人のユダヤ人1】与儀巧
【5人のユダヤ人2】青地英幸
【5人のユダヤ人3】加茂下稔
【5人のユダヤ人4】糸賀修平
【5人のユダヤ人5】畠山茂
【2人のナザレ人1】北川辰彦
【2人のナザレ人2】秋谷直之
【2人の兵士1】金子慧一
【2人の兵士2】大塚博章
【カッパドキア人】大久保光哉
【奴隷】花房英里子

R.シュトラウス「サロメ」
全1幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:
約1時間40分(休憩なし)






「サロメ」は2015年、デュトワ+N響の演奏会型式以来だ。凄い音楽だったと言う記憶があるが、今回、舞台を観て、やはり、何よりもRシュトラウスの音楽の凄まじさに圧倒される思いだった。帰宅後MET版ビデオを観直してみたが、ナマの迫力とは次元が違う。
この音楽を聴きながら、音楽は完全に物語に奉仕していると強く思ったことだ。

全1幕100分というコンパクトな作りだが、過不足なくまとまっていると言う印象。これ以上長いと歌う方も聴く方もしんどい。

完全な漆黒の闇から始まった。普通は指揮者の登場と拍手という手順を踏むが、いきなり暗闇から音楽だ。

主要な歌手の演唱は見事。といっても、ほとんどサロメの独り舞台だが。

そして、オケの見事なこと。
ピットの東フィルは、いつも安定感があるが、今回は最初から最後までオケが主役と思わせるような熱演だった。

欲を言えば、サロメ役(アレックス・ペンダ)はいくらなんでもおばさんだろ!実年齢52歳。サロメは12歳だったと言う説もあるのだもの。

それでも七つのベールの踊りはヒヤヒヤしながら見ていたが、文字どおりベールを1枚ずつ剥いでゆく演出はスリリング。

♪2023-096/♪新国立劇場-09

2022年12月28日水曜日

「第九」2022-⓬ 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団「第九」特別演奏会2022

2022-12-28 @東京文化会館



飯守泰次郎:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア

ソプラノ:田崎尚美
メゾ・ソプラノ:金子美香
テノール:与儀巧
バリトン:加耒徹

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



例年は12月27日のN響@サントリーで聴き納めするけど、今年は1日延ばした。
飯守泰次郎の「第九」を聴きたかったから。
果たして、なんと幸福感に満ちた演奏会。
N響にはガッカリだったが、これを最後に入れておいて大正解だった。
会場が文化会館というのも良かった。

オケは弦14型!驚く事に今年12回目にして初めてこの編成で聴く。
因みにこれまで聴いた編成は10型-1、16型-2、12型-8。
そして今日の14型だ。

この編成はベートーベンが「第九」を初演した時の編成だと聞く。
この位でちょうどいいのだと思うよ。

さらに嬉しいことに、独唱者が舞台の前方に陣取った。これがコロナ前の標準形だ。

よくぞやった飯守「第九」!
このスタイルを、東京で一番好きな文化会館で聴けるとは!
なんだか、古き良き時代を思い起こさせる。

テンポはどの楽章もゆっくり目。4楽章の入りは4秒しか置かなかった。
それでも全曲72分37秒と昨日最長を更新した井上+N響を更新して12オケ中の最長だった。

しかし、モタモタしていた訳ではないのだ。
すべて自然に流れて、全く外連のない、妙な独自性も発揮しない、もう枯れて出来上がって、寸分変わらない鉄壁の「第九」だった。もちろん暗譜で。

オケもよく期待に応えて、スムーズに流れた。リスクポイントも難なく(完璧!とは言わないが)クリア。

独唱も、舞台前方に立っているのでP席や舞台最後部から聴こえてくるものとは異なって生々しい!

アマ合唱団はMaskで歌ったので発音不明瞭な部分もあったが、行進曲前のソプラノの絶叫も許容範囲。

心配は、飯守御大の足腰がだいぶ弱ってこられたことだ。入退場は戸澤氏ほかが腕を支えた。
2楽章途中からは座ったきりだった。

そういう姿を見て、N響とブロムシュテット翁の印象が重なった。
師弟愛というか、指揮者とオケの間は信頼と敬愛で結ばれている。
きっとそれが、良い演奏をもたらし、心温まる演奏会にしたのだろう。久しぶりに至福の時を過ごした。

演奏好感度★98点

♪2022-207/♪東京文化会館-15

2021年12月25日土曜日

東京都交響楽団 都響スペシャル「第九」❻

2021-09-27 @東京文化会館



大野和士:指揮

東京都交響楽団
合唱:二期会合唱団

ソプラノ:小林厚子
メゾソプラノ:富岡明子
テノール:与儀巧
バリトン:清水勇磨


ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


いつも大編成が多い都響が、「第九」を弦10型とか12型なんぞでやる訳ないと思っていたが、案の定今季6回目の「第九」で初めての14型だった(その都響も19年までは16型だった。やはりコロナ仕様か。)。


二期会合唱団も56名と今季の合唱団では最大規模。


数に物言わせた最大熱量の「第九」を聴くのを楽しみにしていた。


大野+都響の「第九」は17年に続いて2度目。

その時もゆったりとした演奏だった。


今回もオーソドックスな音楽で、とりわけ指揮者の好みが端的に現れる終楽章低弦のレシタティーヴォではホンに朗唱にふさわしい丁寧な歌わせ方で、この調べを愛しんでるかのようだった。


3楽章から4楽章への入りは一呼吸で雪崩打った。


そういう緩急の面白さもあって、音楽としては十分満足できたが、残念なのは文化会館!


せっかく聴くなら各オケのホームを優先したいと文化会館を選んだ。


ちょっとデッドな響きだが、これはこれで一つの味わい。

普段は満足しているが、今回、合唱団が舞台奥に3重に並んだ為か、舞台奥の反響版がだいぶ後方に下げられた?ように思う。合わせて天井の反響版の角度も変わっていたかもしれない。


その合唱団の前に管と独唱が並ぶ格好に。


おそらくそのせいだろう。反響版のすぐ前に位置すればこんなことはないが、今回は合唱団に吸収されてしまうのか、管楽器の明るさや音圧が乏しく、独唱もどこか遠くから聴こえた。


せっかくの力の入った演奏だったが、熱が伝わるまでに途中で冷えてしまった感じだ。26日のサントリー公演も選べたのだが、おそらくサントリーならP席を合唱に使えるから独唱も管楽器も分厚い反響版を背に演奏できたはず。


♪2021-163/♪東京文化会館-07

2019年7月22日月曜日

新国立劇場オペラ「トゥーランドット」

2019-07-22 @新国立劇場


指揮:大野和士
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:ウルス・シェーネバウム
演出補:スサナ・ゴメス
舞台監督:菅原多敢弘

バルセロナ交響楽団
新国立劇場合唱団
びわ湖ホール声楽アンサンブル
TOKYO FM 少年合唱団

トゥーランドット⇒イレーネ・テオリン
カラフ⇒テオドール・イリンカイ
リュー⇒中村恵理
ティムール⇒リッカルド・ザネッラート
アルトゥム皇帝⇒持木弘
ピン⇒桝貴志
パン⇒与儀巧
ポン⇒村上敏明

オペラ夏の祭典 2019-20 Japan↔Tokyo↔World
ジャコモ・プッチーニ:オペラ「トゥーランドット」
フランコ・アルファーノ補筆
全3幕〈イタリア語上演/日本語・英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間55分
第Ⅰ幕40分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕40分

東京では公演終了したが地方公演はまだ続くのでネタバレは慎もう。
ま、かつてない幕切れであったことくらい書いてもいいか。
確かに、従来の演出ではいつも不満が残る。
さりとて、Aオリエの新演出ですべてがストンと落ちる訳でもない。2様の解釈の余地がある。

それはともかく、歌手陣の歌唱が見事。
よく響き渡った。
中村理恵の最初のアリアには驚いた。
テオリンの謎かけの歌、イリンカイの誰も寝てはならぬ…。
全て良し。

さらに、特筆はバルセロナ交響楽団の明瞭な響きはピットに入っているオーケストラの音とも思えない。大野和士が招いただけのことはある。

モノトーンを主軸にした美術。天井の高さを生かしたセットなど視覚面でも見事だった。
ただし、衣装・化粧にはトゥーランドットを別にして疑問あり。
リューの化粧をもっとなんとかできなかったか。ここはあまりリアルにやらなくとも良かったはず。ピンポンパンも最初はまるで浮浪児だよ。

この日を以って新国立劇場の今季は全作が終了した(次季は10月から)。邦人新作1本(紫苑物語)を除いて残り全作を観たが、一番満足度が高いのは今回の「トゥーランドット」だった。次点が「蝶々夫人」かな。

♪2019-105/♪新国立劇場-08

2018年10月28日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第7回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2018-10-28 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団*

山口清子:ソプラノ*
清水華澄:アルト*
与儀巧:テノール*
原田圭:バス*

ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB 109(ハース/オーレル版)
ブルックナー:テ・デウム WAB 45*

好みじゃないブルックナー「交響曲第9番」が今年はどういう訳か3回目だ。

でも、今日は、指揮が好みの上岡敏之だし、未完の第4楽章に代えて(ブルックナーの)「テ・デウム」を休憩なしで演奏するという野心的な試み。

これまで、ブルックナーが(第9番の終楽章が未完に終わった場合は、「テ・デウム」を代わりに演奏せよ、と)示唆したというこの形での演奏に接したことがなかったので、その面でも楽しみだった。

細部へのこだわり=上岡らしさは特に感じなかったが、弦はきれい。管はやや残念。とは言え、緊張感の持続する良い演奏だった。

難点の<長さ>については、「テ・デウム」込み(約90分)でも納得させた。というより、むしろ「テ・デウム」が終楽章の代わりに続いたことが全曲の完結感を高めたのだろう。

欲を言えば、合唱席はP席(舞台後方)を使ったのだから、冒頭から座って待っておれば良かった。80人が着席するには時間が必要で、気持ちを維持するのに一手間かかる。
でも、その合唱は良かった。
独唱4人の巧拙は別に、アンサンブルの妙が無い。そういう音楽だから仕方がない。

♪2018-138/♪みなとみらいホール-30

2017年4月19日水曜日

オペラ:ヴェルディ「オテロ」

2017-04-19 @新国立劇場



オペラ:ジュゼッペ・ヴェルディ「オテロ」全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉

指揮:パオロ・カリニャーニ
演出:マリオ・マルトーネ
美術:マルゲリータ・パッリ
衣裳:ウルスラ・パーツァック
照明:川口雅弘
再演演出:菊池裕美子
舞台監督:大澤裕

オテロ⇒カルロ・ヴェントレ
デズデーモナ⇒セレーナ・ファルノッキア
イアーゴ⇒ウラディーミル・ストヤノフ
ロドヴィーコ⇒妻屋秀和
カッシオ⇒与儀巧
エミーリア⇒清水華澄
ロデリーゴ⇒村上敏明
モンターノ⇒伊藤貴之
伝令⇒タン・ジュンボ

序曲無し。
いきなり激しく劇的な大音響の音楽と共に幕が上がるとベネチアの港町。
実際の水を使った運河を含めこの大掛かりな舞台装置は全4幕ほぼ不変。代わりに照明が気分を変える。
大編成の東フィルが迫力の演奏だ。歌手も負けず声量豊か。

今回は2階最前列のど真ん中という最良席。
醜悪が無垢を打ち砕く救いの無い物語に圧倒されるも至福の2時間45分。

♪2017-061/♪新国立劇場-3

2014年12月27日土曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第103回

2014-12-27  @ミューザ川崎シンフォニーホール


秋山和慶:指揮

秋山和慶:チェンバロ*
神尾真由子:ヴァイオリン*
安井陽子:ソプラノ
清水華澄: メゾ・ソプラノ
与儀巧:テノール
萩原潤:バリトン
東響コーラス:合唱

ビバルディ:「四季」~春&冬*
ベートーベン:交響曲第9番 ニ短調 Op125 「合唱付き」



このシーズン5回目の「第九」にして今年最後のコンサート。
有終の美を飾って欲しいところ。

指揮は東響の顔とも言える御大、秋山和慶。
コンマスはこちらも東響の顔、大谷康子。
バイオリンソリストが若手バイオリニストのホープ、神尾真由子。
…と役者が揃った感じで大いに期待していたのだけど、うーむ。

「第九」のコンサートは1本立てでいいと思うのだけど、ビバルディのバイオリン協奏曲「四季」から春と冬が前置された。
やるなら全曲やって欲しいところだけど、中途半端だ。

管弦楽は弦楽器のみ20人に指揮者が兼任するチェンバロが加わっただけの極めて小編成。実際にビバルディが作曲した当時はこんな程度だったのだろう。
これに神尾真由子のソロヴァイオリンが加わるが、ソロはもちろん、伴奏(協奏というべきか)の各パートもくっきりとして新鮮な感じで聴くことができた。

<ミューザ提供>

ソロパートの節回しに普段聴き馴染んでいるものと違うようなところを感じたのは普段聴こえていない音を聴いたからだろうか?トリルなどの装飾音の奏法が違ったのか、それとも気のせいだろうか。
神尾真由子のバイオリンは、ここぞというところでは大きな音が出るものだ。ソリストはなにより音量が大事だけど、楽器の良さもあるだろうが、全身を楽器にして絞りだす音に迫力がある。かと思えば、微細加工も怠りない。幾多のコンクールを制覇し、とりわけチャイコフスキー・コンクール第1位というのはなるほどこういうものかと、耳の保養になった。
<ミューザ提供>

さて、「第九」だ。
実は、「四季」のときから感じていたのだけど、いつもの東響の音じゃないように思ったのは「四季」ではオケの編成があまりに小さいためではないか、と思っていた。
しかし、「第九」でもやはり、どうも違う。音のまろやかさが違うなあ。どうして?

いや、音の問題だけではなく、わずかながら生理的に違和感があった。
微妙な間の取り方などが、自分の脳内で流れている音楽と完全シンクロしないからだ。どうして?

<ミューザ提供>

「第九」の、「第1楽章」と「部分的に第1楽章を再現する第4楽章」の一部にとても危なっかしいところがあると感じている。
緊張感を失うと空中分解してしまいそうな場所がある…と思っている。
でも、普段は、それを感ずることはない。
音楽に違和感を感じた時だけ、その失速しそうな危うさを嗅ぎとってしまうみたいだ。
滅多に無いことだけど、今日は感じてしまったなあ。それが引っかかって最後までとうとう気持ちが盛り上がらなかったのが残念。

でも、この原因は僕の側にあるのだろう。13日からの15日間で「第九」を5回も聴いたということは3日に1回は聴いたということだ。僕の脳内は異常に敏感になっていたのかもしれない。

<ミューザ提供>

「第九」が終わった後のカーテンコールのさなかに楽団員が譜面台にアンテナのようなものを取り付けているのを発見。何かあるな、と思っていたら、カーテンコールもひととおり山場を過ぎると声楽ソリストも元の場所に戻り、音楽が始まった。
アンコールというより一年の最後を締めくくるという意味だろう、合唱団とソリストたちによる「蛍の光」がオーケストラ伴奏で始まった。途中から館内の照明が落ちると、合唱団やソリストは手に持っていたカラフルなLEDライトを一斉に点灯した。譜面台に取り付けたものもLEDライトだった。
これがなかなか幻想的でよかった。
青色ダイオードのおかげだよ。
そういう意味では2014年掉尾を飾るにふさわしかったかも。

余談:
声楽がどこで登壇するか?シリーズ。
合唱団は全員冒頭から着座した。
ソリストは、やはり、第2楽章が終わったところで入場し着座した。
この入場に関して、曲の始まる前に「指揮者からのお願い」が館内放送された。
音楽の緊張感を維持するために、第2楽章終了後ソリストが入場するが、拍手はご遠慮いただきたい、ということだった。
宗教音楽でもあるまいしそんなにテンションを高めなくともいいかとも思うけど、そこまでする以上、第3楽章と第4楽章は切れ目なく演奏するのだな、と受け取ったが、果たしてそのとおりだった。
間髪入れず第4楽章になだれ込んだ。「第九」はこうでなくちゃ。


♪2014-121/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13