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2025年6月29日日曜日

読響 第278回 日曜マチネシリーズ

2025-06-29 @東京オペラシティコンサートホール



セバスティアン・ヴァイグレ:指揮
読売日本交響楽団
児玉隼人:トランペット*

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ヴァインベルク:トランペット協奏曲変ロ長調 作品94*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」
-----------------
シャルリエ:36の超絶技巧練習曲から第1番*





「序曲」の冒頭のVc5人の独奏がモヤモヤとはっきりせず、こりゃダメだ!と思った。
最初に躓くと、立て直しが容易ではない。中盤以降面白くはなったが、とても読響とは思えない。

2曲目。ちょうど1W前のM.ブルネロがプログラムの半分をヴァインベルクの作品に充てていたが、最近、ちょいちょいこの作曲家を聴く機会がある。
その初聴きのTp協が結構面白くて気分を取り直した。
作品の面白さと以上に、独奏した16歳の児玉隼人の妙技に唸らされた。
楽器と身体は一体になって、道具を操るというより、彼が歌ったままが楽器から出ているという感じで、これにはびっくり。

後半、サン=サーンスのガン付き。ま、どのオケが誰の指揮でやってもまずは楽しめる作品だけど、ここへきて読響は弦の透明感とブラスの凄まじさが相まって、上出来だった。

ただし、今日は、振替の右翼席で、目線の先はVaの最後列とCb群だ。旋律を弾くVn1は遥か下手で、時々リズムの刻みがずれているように聴こえた。

それで読響の力演にもかかわらず三半規管が故障しているような気分にさえなった。

♪2025-086/♪東京オペラシティコンサートホール-09

2025年5月17日土曜日

読売日本交響楽団第141回横浜マチネー名曲シリーズ

2025-05-17 @みなとみらいホール



尾高忠明:指揮
読売日本交響楽団
ラファエラ・グロメス:チェロ*

ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104*
エルガー:エルガー:エニグマ変奏曲 作品36
(創作主題による変奏曲「エニグマ」)
----------------------
ハンナ・ハブリレッツ:聖母マリアへの祈り*
(グロメス+Vc4人)





今日の読響の第一声を聴いて、今更ではないけど、昨日の都響@サントリーとえらい違いだなと思った。
例えば、Tuttiの強奏の音を聴きながら、気がついたが、良いオケは全部の楽器の音色が聴こえ、それでいて迫力がある。アンサンブルの悪いオケは大きな音の塊くらいにしか聴こえない。

加えて、サントリーとみなとみらいじゃ勝負にならん。

で、大いに満足できたが、欲を言えば、Vc協は、どうしてエルガーをやらなかったのだろう。しばらく聴いていないので最近エルガーに渇望している。
ドボコンも悪くはないけど、後半プロと併せて考えてもエルガーでしょう…という残念はあった。

グロメスのVcには、不満が残った。
これはもうやむを得ないかもしれないが、音量が小さい。冒頭部分など、ヤニを飛ばす激しさが欲しいが、ひたすら美しく野性味に欠ける。
でも人柄が良さそうで、音楽外に魅力がある。
また、彼女のEncには痺れた。
初めて聴く作曲家ハンナ・ハブリレッツの「聖母マリアへの祈り」という作品だったが、彼女が主旋律を、同時にVcパートから遠藤真理ほか4人が伴奏を担当したVc五重奏が、なんとも美しくて、大儲けのEncだった。


メインの「エニグマ」。
中で一番有名で単独Encピースとしてもよく取り上げられる第9変奏「ニムロッド」が実は、主題、第1変奏、第14変奏に明確な形で登場するし、第6、10、12変奏でもそれらしい旋律の変形が聴こえてくるね。それを探しながら聴くのは楽しかった。よく考えられた謎解きだよ。

♪2025-062/♪みなとみらいホール-011

2025年3月20日木曜日

読売日本交響楽団第140回横浜マチネー名曲シリーズ

2025-03-20 @みなとみらいホール



鈴木優人:指揮
読売日本交響楽団

ジョヴァンニ・ソッリマ:チェロ*
遠藤真理:チェロ#

一柳慧:オーケストラのための「共存」
ソッリマ:「多様なる大地」(日本初演)*
ソッリマ:「チェロよ、歌え!」#*
ベートーベン:交響曲第7番イ長調 作品92
----------------------
ソッリマ:「When We Were Trees:Leaves Postcards」*




このところ凡打が続いたが、今日は期待していた。
演奏作品はなんでも良かった。

読響@みなとみらい。
Vc独奏がなんとソッリマ!
ついでにコンマスは大好きなバイオリン界の百済観音日下紗矢子。
これだけ揃えば期待せずにおれようか。

そして期待は裏切られることなく全部が素晴らしかった。

ソッリマは何度も聴いているが、つまらなかったことは一度もない。この「全身音楽家」は今日も大いに楽しませてくれた。
しかも新しい楽しさ=作曲家としても実に好感の持てる作品を書く。もちろん現代音楽だが、自己満足に陥るのではなく、俗っぽくもなく、良い塩梅の聴き手をくすぐるサービス精神がある。

演奏家としては、もう音楽に入り込んでその精神は音楽と一体となって爆発している。

この人のドボコンを2度聴いたが、そういう古典を演奏しても傑作なのだけど、今回彼の自作を聴いて、自作自演こそ彼の真骨頂が発揮されると得心した。

指揮の鈴木優人も良かった。特にベト7は良いノリだった。
大袈裟ではない、軽くもないが、まとまりの良い演奏だった。
もちろん読響のアンサンブルは極上だった。みなとみらいでこそ味わえる響だ。

我がマドンナ日下紗矢子嬢も、いつものように背筋を伸ばした美しいフォームは眼福モノだ。

CCが終わり、最後の最後、彼女がコンマスとして1人客席に向かって笑顔で頭を下げるところまで、餡のたっぷり詰まった特上鯛焼き君を味わうことができた。

♪2025-037/♪みなとみらいホール-06

2025年1月26日日曜日

読売日本交響楽団第139回横浜マチネー名曲シリーズ

2025-01-26 @みなとみらいホール



アラン・ブリバエフ:指揮
読売日本交響楽団
反田恭平:ピアノ*

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から“だったん人の踊り”
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品16*
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」から
モンタギュー家とキャピュレット家@第2組曲第1曲
 少女ジュリエット@第2組曲第2曲
 修道士ローレンス@第2組曲第3曲
 踊り@第2組曲第4曲
 別れの前のロメオとジュリエット@第2組曲第5曲
 ジュリエットの墓の前のロミオ@第2組曲第7曲
 仮面@第1組曲第5曲
 ティボルトの死@第1組曲第7曲
-----------------
ショパン:ラルゴ変ホ長調*





沖澤のどかの代役で指揮をしたアラン・ブリバエフは初聴き。その指揮が良かったからかどうか分からないけど、演奏は3曲とも実に素晴らしい。
大いに満足できたけど、沖澤さんならどんなふうに引っ張ったのだ
ろう?と聴いてみたかったな、という思いもあり。

3曲通じて印象的なのは、読響ブラスの咆哮がよろしい。

ボロディンとロメジュリは弦16型。
一方、プロコPf協2番は12型だったから弦の数は20人も少ない。にもかかわらず管は2本少ないだけ。

この曲はPfの超絶技巧が全編に溢れるような作品で、オケは伴奏型の協奏曲だと言われているようだが、とてもそうとは思えない。
管・弦・打楽の面白さをずっしりと詰め込んで実にエキサイティングだ。ここでもブラスが気を吐く。

過去に何度も聴いているけど、今回初めて面白いと思えた。やはり反田恭平ただモノではないな。

ロメジュリは聴く度に組合わせが違うので、没入しにくい作品ではあるけど、今日の読響のパワフルな演奏は、ともかく、オーケストラを聴く楽しみに溢れていたよ。


♪2025-014/♪みなとみらいホール-04

2024年12月15日日曜日

読売日本交響楽団第138回横浜マチネー名曲シリーズ 「第九」④

2024-12-15 @みなとみらいホール



フランチェスコ・アンジェリコ:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団

ソプラノ=中村恵理
メゾ・ソプラノ=清水華澄
テノール=ダヴィデ・ジュスティ
バス=エギルス・シリンス

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125







Vn1の高域とSpの高域が軋んで美しくない…という残念さを孕みつつ、しかし、元気な「第九」だった。やたら疾走するばかりではなく、歌心もヨシ。

低弦のレシタは良いテンポ感だったが、まだ全員の息が合っていない感じだった。これからもっと良くなる?

♪2024-174/♪みなとみらいホール-43

2024年6月30日日曜日

読売日本交響楽団第134回横浜マチネー名曲シリーズ

2024-06-30 @みなとみらいホール



マキシム・パスカル:指揮
読売日本交響楽団
村治佳織:ギター*
北村貴子:オーボエ・ダモーレ**

ハイドン:交響曲第22番変ホ長調「哲学者」
ビバルディ:「四季」から"春"(ギター独奏)*
武満徹:「虹へ向かって、パルマ」* **
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
------------------------
アーレン(武満徹編):オーバー・ザ・レインボー*



読響のプログラムには曲目の解説はあってもその日の番組ポリシーが書いてないの(書いてあるオケにしてもコジツケとしか思えないような内容であることが多いが。)で、はて、と首を傾げることが少なくない。

ハイドン〜ビバルディ〜武満徹〜ストラビンスキーは一体なんなの?特にハイドンが分からん。

ま、コンセプトは分からなかったが、演奏が悪い訳ではなく、ハイドン22番は、生では多分初めて聴いたと思う。
弦は10型?(10-8-6-4-3)に木管がオーボエの代わりにイングリッシュ・ホルン2、ファゴット、ホルン2、チェンバロという小型で、変わった編成だった。
終始、弦がナヨナヨと鳴っていた印象が残っている。

次のビバルディの四季から「春」だが、バイオリン独奏に代えてギターだ。
オケにギターは実に相性が悪い。音量の圧倒的な差があるので、ギターは埋もれてしまう。それを避けるためか奏者の側に小型のスピーカーが配置されるのが通例だけど、これがなんのためかはっきりしない。奏者や指揮者のためのモニターとしては役に立っているのだと思うが、客席に拡声して聴かせるにはほとんど音は届かない。隔靴掻痒だ。

ギター協奏曲をやるなら、エレキを使うか、もっと大掛かりな拡声装置を使わないと2000人のホールでは無理だよ。

武満の作品では、初めからギターとオーボエ・ダモーレの独奏を前提に作曲されているので、ビバルディに比べるとだいぶマシだった。

メインは「ハルサイ」。
ま、やっと、ここに来て楽しめたよ。

♪2024-095/♪みなとみらいホール-24

2024年5月19日日曜日

読売日本交響楽団第134回横浜マチネー名曲シリーズ

2024-05-19 @みなとみらいホール



ユライ・ヴァルチュハ:指揮
読売日本交響楽団(16型)
女性合唱:国立音楽大学(42人)
児童合唱:東京少少女合唱隊(30人)
メゾ・ソプラノ:エリザベス・デション


マーラー:交響曲第3番ニ短調



みなとみらい大ホールが続き、昨日はミッキーの「タコ10」。今日はもっと大曲の「マラ3」。

独唱・合唱を伴う大規模曲(かつ100分の長尺!)なので、なかなか聴く機会がないと思いがちで、最新が18年の大野和士/都響だからだいぶ遠のいたが、コロナ禍を挟んでいたのでそういうことになったのだろう。記録を見れば10年に5回という頻度だ。ほぼ1年後にはF・ルイージ/N響でも予定されている。だから、昨日の「タコ10」と同じような鑑賞頻度だ。

僕は消極的アンチ・ブル・マラ派ではあるが、いくつかは聴いてみたいと思うものがあり、このマラ3はその筆頭格だ。

で、出来栄えは?
冒頭の8人(実際は+1人はアシスト?)のHrのTuttiが上手なんだけど、艶がなかった。それで期待したほどには惹き込まれなかった。

その後も全く破綻はないし、新しく就任した首席客演のヴァルチュハが巧かったのかどうか分からないけど、実に、自然に音楽が流れていった。

ただ、音楽の違いかもしれないが、昨日、同じ舞台に乗っていた日フィルの同じ16型の弦の柔らかさに比べると、おいどうした読響!という場所もあったな。

100分が少しも長いと感じさせず、良い感じにまとまった。

終曲の時。暫時沈黙。ヴァルチュハにもったいぶった気取りもなく、フラ拍もなく、自然に拍手喝采が生まれたのも良い感じだった。

余談だが、比較をすれば、16年秋のP・ヤルヴィ/N響が全般緊張を孕んですごい演奏だと思った。4K収録をしたはずのあの演奏がいまだに放映されないのは児童合唱の気の毒な事故が理由かもしれないが、NHKの技術でなんとでもカバーできるのではないかと思う。あれは是非放映してほしい。

♪2024-067/♪みなとみらいホール-17

2024年1月16日火曜日

読響第634回定期演奏会

2024-01-16 @サントリーホール



セバスティアン・ヴァイグレ:指揮
読売日本交響楽団

ダニエル・ロザコヴィッチ:バイオリン




ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
ベートーベン:バイオリン協奏曲ニ長調 作品61
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
-------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第1番第1楽章


振替席なので左翼から鑑賞。ビオラが遠い。
読響が特に精彩を欠いたという訳でもないが、斜めから聴くと音楽に没入できない…という病。

ロザコヴィッチ君もどこが良いのか分からなかった。
3日前に聴いた金川真弓の方が断然魅力あり。

♪2024-008/♪サントリーホール-01

2023年12月17日日曜日

読売日本交響楽団第131回横浜マチネー名曲シリーズ「第九」❹

2023-12-17 @みなとみらいホール



ヤン=ウィレム・デ・フリーント:指揮
読売日本交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ソプラノ:森谷真理
メゾ・ソプラノ:山下裕賀
テノール:アルヴァロ・ザンブラーノ
バス:加藤宏隆

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



ちょっと残念な点を先に言うなら、独唱が舞台前で歌えばなお良かった。3-4楽章の休止をもっと短く、半呼吸で終楽章になだれ込んで欲しかった。

しかし、こんな不満など、軽く吹き飛ばしてしまう快演・名演だった。

「第九」は今日で今年の4回目。年内にN響を含む6オケが残っているが、おそらく、今日の読響を超える演奏は聴くことができないだろう。
そういえば、昨年は12回聴いたが、僕の採点表では、鈴木優人+読響と飯守泰次郎+シティ・フィルが同点で、N響を僅差で抜いて1番だった。どうも、今年もそういう展開が予想できる。

初めて聴くヤン=ウィレム・デ・フリーント氏の音楽は、遠い昔から馴染んだ、全く正統派で、独自色がないのが独自色か。下手に個性を発揮してくれないでいい。喉にも胃にも閊(つか)えるところがない完全消化できる、とても好感度の高い音楽だった。

今日の読響の弦編成は12型。昨年多くのオケを聴いた中でも16型はN響と<なんでも16型の>都響だけで、他のオケは14型が一つ、10型が一つ、その他は全て12型だった。
大編成ではないが、各部が明瞭に鳴るのがいい。特に、みなとみらいホールは弦を明瞭に際立たせる。それゆえ下手なオケでは悲劇が生まれることもあるが、読響クラスになると、一糸乱れず、まるで一本の楽器が発するような透明感を維持しつつ、共鳴・共振・反響が作り上げる弦の響が見事に美しい。こういう音を聴きたい、といつも願っている、その音が舞台から繰り出される充実感と幸福感。

管打の乗りも良く、ほぼ非の打ち所がない。

配置は、Vn1に対抗するのは珍しくVc(首席は遠藤真理)だった。読響に限らず、プロオケではVcは中に入るのが通例だが、今日は違った。フリーント氏の狙いは、当然、終楽章のレシタティーヴォを明確に歌わせたかったのだろう。この狙いも見事に当たった。6本のVcと4本のCbは息を合わせて歌った。音量のバランスも良く、低音楽器コンビでは音程が正確であればあるほど調子外れに聴こえがちだが、Vcがリードすることで旋律が浮かび上がった。聴きながらもったいないと思うくらい美しいユニゾンだ。

新国立合唱団は、昨日・今日と「一千人の交響曲」にも出ているはずで、総勢何人いるのか知らないが、うち男声・女声合わせて60人が読響の舞台に立った。この数も今年の「第九」で目下最少。おそらく全回聴き終えても最少だろう。それでも迫力に何の問題もなかった。

音楽的感動は規模がもたらすものではないという当たり前のことを実感した。
こんなに見事な合奏力を味わったのは、数年ぶりではないだろうか。
読響、恐るべし。

♪2023-220/♪みなとみらいホール-48

2023年11月23日木曜日

読売日本交響楽団第130回横浜マチネー名曲シリーズ

2023-11-23 @みなとみらいホール



小林資典:指揮
読売日本交響楽団
HIMARI:バイオリン*

ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
クライスラー:ジプシーの女*
ワックスマン:カルメン幻想曲*
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
--------------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第2番イ短調BWM1003 第3曲 アンダンテ*


「運命の力」の冒頭のブラスが何て美しいこと。続く弦がこれを台無しにしないでくれよ…と祈るような気持ち…が通じたか、透明度の高い響が重なって、とても良い出来。
読響の実力を感ずる。9月に続いて(10月は体調不良でパス)
横綱相撲のような安心感。

メインの耳タコ「幻想交響曲」もきめ細かくて迫力があって、管も弦も美しい。ハイレベルの職人仕事だ。こういう管弦楽をみなとみらいホールで聴く幸せ。

このところN響の不調(僕の耳で。)もあって、読響の方が実力があるんじゃないかとも思わせる。

しかし、間に挟んだ小ぶりの作品2曲はイマイチだった。
いずれも独奏バイオリンが妙技を発揮する協奏曲風なつくりで、ソリストは今年8月に初めて聴いた12歳のHIMARIくん。
短期間になぜか今日で3回目。
いずれの回も同じ感想。
まだ協奏曲(風)を演るには早過ぎる。
筋力や内臓の力も十分ではないのだろう。
名器を以ってしても音が弱い。
でも、あと5-6年もすれば、自身が大器に成長する予感はある。

今回もアンコールにバッハだったが、これは受け入れ難いよ、お嬢ちゃん!
「赤とんぼ」とか「ぞうさん」とかでいいんじゃないの。

『なぜか』は続く。
「運命の力」はなぜか今年4回目。
この4回中、今日の読響が最高の出来だった。

「幻想交響曲」に至ってはなぜか今年5回目。
大植+神奈川フィル、C.デュフレーヌ+東フィルと本日の読響が拮抗する。

これら2曲はいずれも名曲ではあるが、首都圏オケ連盟(があるかどうか知らないけど)で調整して、記念年以外は同じ作品は最高3回までで調整してほしいね。

♪2023-199/♪みなとみらいホール-42

2023年9月24日日曜日

読売日本交響楽団第128回横浜マチネー名曲シリーズ

2023-09-24 @みなとみらいホール



ギエドレ・シュレキーテ:指揮
読売日本交響楽団
エマニュエル・パユ:フルート*

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
サン=サーンス:オデレット
サン=サーンス:ロマンス
シャミナード:フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ
バルトーク:管弦楽のための協奏曲







結論を手短に言えば、年に数回遭遇できるかという幸福な体験をした。

コンマスはVn界の百済観音、日下紗矢子だ。もうそれだけでワクワクする。この人の姿勢の良いこと。椅子に掛けていても背筋がピンと伸びている。ボウイングも綺麗でそれだけでも鑑賞に値する。

指揮は初顔のGシュレキーテ。演奏中の表情は見えないが、客席に向かった時は終始明るい笑顔で愛想が良い。いや、指揮も的確だったのだろう。確実に読響メンツの人心を総攬していたようで、1曲終わる度、奏者各人の表情が緩む。

そういう指揮者とコンマスを得て、第1曲がチャイコの「ロメジュリ」の見事なアンサンブルにびっくり。弦16型の大編成だが、60人の弦が一糸乱れず透明感を維持し、読響ブラスは面目躍如。特に、躓きやすいHrが弱音の重奏を美しくハモる。もちろん、木管も打楽器も、全員ノーミスのみならず、管・弦の絶妙な交わりから生まれる甘い響きを久しぶりに聴いた。これは、みなとみらいホールならではの妙なる響だ。

ラストのバルトークは、「ロメジュリ」以上に各部門が活躍し(ま、そういう音楽だ)、息を潜めて緊張の渦に心地良く巻かれた。久しぶりの至福の時だ。


全体の構成は、ちょっと風変わりなプログラムで上述のように最初と最後に弦16型の大編成。そこに挟まれた14分-6分-8分の小品3曲。
この小品3曲はいずれもFlと管弦楽のための作品で10型の小規模編成。
うち最初の2曲はサン=サーンスの作品だが初聴き。シャミナード作も初聴きかと思っていたが、始まると思い出した。全国学生音楽コンクールのFl部門で何度か聴いた曲だ。あの気になる主旋律は、ぞうさんの歌と部分的にそっくりだ。

3曲とも穏やかな音楽で、Fl独奏のパユが見事に明るく、柔らかくて煌めいていた。

兎にも角にも、読響の実力をしかと受け止めた。今月のN響ABCのいずれをも上回る合奏力、個人芸だった。

また、指揮のギエドレ・シュレキーテ。なかなか覚えられそうにもない名前だが、注目してゆこう。

♪2023-161/♪みなとみらいホール-32

2023年8月1日火曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 読売日本交響楽団 サマーミューザ初登場!オペラの名匠ヴァイグレ×指環

2023-08-01 @ミューザ川崎シンフォニーホール



セバスティアン・ヴァイグレ:指揮
読売日本交響楽団

ベートーべン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
ワーグナー/フリーヘル編:楽劇「ニーベルングの指環」 
 -オーケストラル・アドベンチャー-




FSMuzaは今年は10本聴くが、中で1番の楽しみが今日の読響…というより、指環オケ版だ。

しかも、ヴァイグレも1年ぶりだが、コンマスがVn界の百済観音、日下紗矢子姫❤️だというのが誠に嬉しい。
スリムな長身で、コンマスならではのメリハリのあるボウイングが美しい。

さて、指環。
いろんな編曲ものがあり、生でもCDでもいろいろ聴いているが、中でも今日のフリーヘルによるものが一番成功している気がするし、好きだ。また、多くのオケが取り上げるのもこの版が多く、N響9月のCプロもこの版だ(楽しみ!)。

この編曲では、全4部の物語の順番に沿って音楽を選択している。
声楽部分は当然カットされているが、それを器楽で補うことをせず、ワーグナーが書いた管弦楽の美味しい部分をその楽譜のまま用いている。
フリーヘルが手を加えたのは、楽曲の接合部分だけで、これが実に自然で全く違和感がない。
全曲60分強にわたって一度も休止することなく、ワーグナーの描いた絵巻がオペラ本編をイメージしながら味わえるところがたまらない魅力だ。

で、どうだったか。
多分全曲中一番難しいのが第1曲だと思うが、最弱音から同一(分散)和音を執拗に繰り返す(5分超!)、もやもやの霧の中で世界が目覚めてゆくように管楽器が加わって増えてゆくが、ここがやや不本意な出来だった。
しかし、その後は、段々よく鳴る法華の太鼓で、一気に指環の世界を展開させた。

終曲のタクトはなかなか降りない。まあ、これだけの大曲だ、簡単には気持ちの整理がつかないのだろう。
感心したのは客席で、同じように呼吸を整えて、タクトが降りるのをずっと待った。野暮な飛び出しはなし。完全にヴァイグレのタクトが降りきって、初めて、どっとブラボーの嵐。

いつも愛想のないヴァイグレも繰り返しCCに応じ、だいぶご機嫌だったようだ。そういえば、FSMuzaは初めての登場だったな。相当良い印象を残したろう。また来年も来ておくれ。コンマスは日下紗矢子❤️で!

♪2023-136/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-16

2023年7月2日日曜日

読売日本交響楽団第127回横浜マチネー名曲シリーズ

2023-07-02 @みなとみらいホール



アレクサンダー・ソディ:指揮
読売日本交響楽団
反田恭平:ピアノ*

〈生誕150年記念〉
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
-----アンコール--------------
リスト(シューマン):献呈*



前半:反田恭平のピアノでラフマニノフ協奏曲第3番。
僕の経験が乏しいのか、4つある協奏曲中1番と4番は多分ナマでは聴いたことがない。2番と3番だけ。それも2番が7割で3番が3割だ。僕の好みではなく、各オケが定期演奏会で取り上げる割合でもある。せっかくの記念年なのに普段聴けない1番や4番をどこか演奏してくれたらいいのに。

3番は、ラフマ印が刻印されているとはいえ、2番に比べると相当現代的で、実験的だと思う。ピアノの技術をことん追求して、これでもかと超絶技巧を聴かせるのは、それ自体面白い。でも、管弦楽作品としては、オケの聴かせどころが見当たらず、協奏曲というよりピアノの為のオケ伴奏曲か。

気になったこと:普通、独奏者は登壇時、終演時、カーテンコールやアンコール演奏で出入りする時などのいずれかの機会に、コンサートマスター(CM:今日は長原幸太)と握手したり、会釈をしたりするものだが、今日の反田は、何度も出入りしたのに、CMには一瞥もくれなかった。これは見ていて気持ちの良いものではないね。

アンコール演奏が、リスト編:シューマンの「献呈」で、これは大好物。昨日、「おんがく交差点」で小林沙羅の歌う原曲を聴いて幸福感に浸っていたが、不思議な偶然だ。

後半:昨日、N響で聴いたばかりのチャイコフスキー交響曲第4番。
聴きながら思ったのは、N響が、響のよくない葛飾ホール(偶々昨日だけの現象だったかもしれないが)での演奏だったが、なんと力強い熱量を孕んだものであったかを今にして思い返した。今日の読響も、いつもの力を発揮したと思うが、どうも、昨日のN響が頭に残っていて、響が薄いというか、熱量が足らん、と思えて仕方がなかった。
ようやく来たか、と思えたのは終楽章クライマックスだ。読響ブラス!も咆哮し、やっと人心地ついた。

♪2023-116/♪みなとみらいホール-24