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2025年7月7日月曜日

オペラ「蝶々夫人」〜高校生のためのオペラ鑑賞教室

2025-07-07 @新国立劇場



指揮:城谷正博
演出:栗山民也
美術:島次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【蝶々夫人】 伊藤晴
【ピンカートン】村上公太
【シャープレス】近藤圭
【スズキ】 花房英里子
【ゴロー】 糸賀修平*
【ボンゾ】 三戸大久
【ヤマドリ】 吉川健一*
【ケート】 佐藤路子*
--------------------
*は5月本公演でも同役で出演

新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2025
ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
 第1幕                50分
  休憩            25分
 第2幕1場/2場 80分






「蝶々夫人」は一番鑑賞回数の多いオペラだ。何度観ても面白いけど、何度観ても納得いかない…ということはさて置いて、残念なこと3点。

①蝶々さんの自決場面に子供を出す栗山演出の意図が分からん(いつものことだが)。

②鑑賞教室のチケットはいつも取るのが超困難で、席を選ぶなんてことはほぼ不可能。今回は1階では21列しかなかった。この辺りは謂わば音響の死角だ。同じ1階でも中央列とはまるで別世界だ。響いてこない。音が遠い。
1階18列以降の5列は単に舞台から遠いだけではなく、2階席の床下に潜り込む形なので間接音が遮断される。普段は買わない席だが本公演の1/4の料金なので…それに本来高校生のための公演なのだし文句は言えないか。

③実年齢18歳くらいの歌手の蝶々夫人を観たい!

♪2025-091/♪新国立劇場-11

2025年6月3日火曜日

新国立劇場オペラ「セビリアの理髪師」

2025-06-03 @新国立劇場



【指揮】コッラード・ロヴァーリス
【演出】ヨーゼフ・E.ケップリンガー
【美術/衣裳】ハイドルン・シュメルツァー
【照明】八木麻紀

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

Tn【アルマヴィーヴァ伯爵】ローレンス・ブラウンリー
Ms【ロジーナ】脇園彩
Br【バルトロ】ジュリオ・マストロトータロ
Br【フィガロ】ロベルト・デ・カンディア
Bs【ドン・バジリオ】妻屋秀和
Ms【ベルタ】加納悦子
Br【フィオレッロ】高橋正尚
Br【隊長】秋本 健
BsBr【アンブロージオ】古川和彦


ジョアキーノ・ロッシーニ「セビリアの理髪師」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間05分
 第1幕        95分
  休憩    30分
 第2幕     60分






20年の公演と同じ演出・同じ舞台美術(ロジーナとベルタも同じ歌手)なので、特に新たに感じたこともないのだけど、演出はやはり疑問だ。1960年代に移し替える意味は分からない。特に現代の日本人にとって、フランコ政権なんて全く興味の埒外だ。
オペラの演出家は、何か、独自色を出さなければ自分の存在意義がないとばかり、あれこれ読み替えをしたがるが、本作も全く成功していない。
黙役が多いがこれもいなきゃ舞台が寂しいがなんだか鬱陶しくもある。

尤も、演出の不足も、元の台本も音楽も面白いのでこれはこれで楽しめるけど。

伯爵役(R.ブラウンリー)以外はみんなとても良かった。
伯爵は本作の唯一のテノールなのに、ベルカント・テノールの良さが全く発揮されなかった。声に輝きがない。むしろ、バルトロやフィガロはバリトンだけど、かなり高域まで明るい輝きがあった。

また、なぜか、本作にはソプラノが登場しない。
しかし、物足りなかったのは序盤だけで、どんどん調子が良くなった。この時代、少なくともロッシーにはあまり声部にこだわっていなかったという話を読んだ記憶がある。音域的にソプラノに近いメゾなのかもしれない。現にロジーナ役はソプラノが歌っているDiscも持っている。

細かな装飾音やとてつもない早口言葉の歌唱など、ベルカントの魅力を堪能できる。

カーテンコールが長かった。もういいのにと思いながら付き合ったが、今日が千秋楽だったからなんだな。

♪2025-070/♪新国立劇場-09

2025年5月21日水曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

2025-05-21 @新国立劇場



指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:栗山民也
美術:島次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗
再演演出:澤田康子
舞台監督:佐々木まゆり

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【蝶々夫人】 小林厚子
【ピンカートン】ホセ・シメリーリャ・ロメロ
【シャープレス】ブルーノ・タッディア
【スズキ】 山下牧子
【ゴロー】 糸賀修平
【ボンゾ】 妻屋秀和
【ヤマドリ】 吉川健一
【ケート】 佐藤路子
ほか



ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
 第1幕        50分
  休憩    25分
 第2幕1場/2場         85分





同一演目を繰り返し観た中では「蝶々夫人」が一番多いはず。音楽も筋書きもとても良くできているからで、宮本亜門版(19年二期会)を除き、がっかりしたことはない。

今日も、楽しんだ、というか、2幕からは、もう張り裂けんばかりの心持ち。感情移入が激しいが、一方で自分ならこう演出したいとクールに考えてみたり、ホンに心休まる暇がないよ。

出来栄え。
終わってみれば、みんなヨカッタのだけど、敢えて苦言を呈すれば、冒頭の前奏曲自体にオケの勢いがなかった。これが東フィル?と思わせる寂しさだった。続く歌唱も意気が上がらない。
ピンカートン、シャープレス。いずれもイマイチ。朗々と聴かせる役ではないけど、役柄に魅力を感じさせない。

小林厚子の蝶々夫人は21年日生劇場劇場版の方が良い出来だったが、2幕以降は熱演。
一番光ったのは、山下牧子のスズキ(を聴くのは4度目!)。誰が演ってもお得な役柄のせいもあるけど。




今日、思いついたこと。
ケイトは出番が少なくて人物像を際立たせることもできないのだけど、観ながら、彼女の心中は如何なものかと考えた。
彼女の演唱の中に、本作の悲劇性を象徴する要素が詰まっているのに、プッチーにはどうしてもう1曲書かなかったのか。あるいは、彼女の苦悩をもっとはっきり見せる演出はできないものか、などと思ったが…難しいな。

それにしても、名誉に生きられない者は名誉に死ぬ。
こんな、如何にも和風の美学を、プッチーにはよくぞ、音楽劇に仕上げたものだなあ。

♪2025-064/♪新国立劇場-07

2025年4月12日土曜日

バレエ「ジゼル」

2025-04-12 @新国立劇場



【指揮】冨田実里
【振付】ジャン・コラリ/ジュール・ペロー/マリウス・プティパ
【演出】吉田都
【ステージング・改訂振付】アラスター・マリオット
【音楽】アドルフ・アダン

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ジゼル】柴山紗帆
【アルブレヒト】速水渉悟
【ヒラリオン】渡邊拓朗
【ミルタ】山本涼杏

バレエ:アダン「ジゼル」
全2幕

予定上演時間:約2時間15分
第Ⅰ幕 55分
  休憩30分
第Ⅱ幕 50分



「ジゼル」はおそらく35年ぶりくらいで観たよ。
前回の内容は完全消失していたので、こんなに素晴らしいバレエだとは思ってもいなかった。

舞台美術、振り付け、演出に非の打ち所がない。
何よりもバレエ自体…特に群舞がよく揃って見事な出来だ。

パントマイムという宿命から、話の筋は見えにくいものだけど、今回は細かい仕草の振り付けもよくできていて、彼らの気持ちも良く分かる。

賑やかで明るい調子の1幕との対比で2幕のウィリ(裏切られた乙女たちの霊)の踊りがとりわけ面白かった。

裏切られた乙女がこんなにはいないだろうと思いたいが、24人かな?登場して、完全に無表情で完璧なシンクロ芸を見せて、悪い男を踊り狂わせて死に追いやる。
怖くて、しかし美しい。


ジゼルを初めは遊び半分で誘惑して夢中にさせた挙げ句、許嫁の存在がバレてジゼルを狂乱の踊りで死に追いやることになる王子もウィリの復讐を受けるが、ジゼルの霊が彼を助ける…が、本当に助かったのかどうかは分からない。余韻を残す幕切れでそれも面白いと思った。

とにかく、完成度が高い。
この作品は、7月にロイヤルオペラハウスでの公演が予定されているというが、このレベルの高さだと大成功するような気がするな。いや、して欲しいものだ。

♪2025-046/♪新国立劇場-07

2025年1月3日金曜日

バレエ「くるみ割り人形」

2025-01-03 @新国立劇場



【指揮】アレクセイ・バクラン
【振付】ウエイン・イーグリング
【美術】川口直次
【衣裳】前田文子
【照明】沢田祐二

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合唱】東京少年少女合唱隊

【クララ/金平糖の精】木村優里
【ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子】渡邊峻郁

バレエ:チャイコフスキー「くるみ割り人形」
全2幕

予定上演時間:約2時間15分
第Ⅰ幕 55分
  休憩30分
第Ⅱ幕 50分



ここ4年は毎年初詣代わりに1月3日に「くるみ割り」を観に行っている。その前は毎年ではないが年内に観に行っていた。

ともかく、新国立劇場以外でも観ているからバレエ作品の中では一番回数が多いかもしれない。

これまでは、毎回満足して帰路についたが、今年は小異変が起こった。なんだか、乗り切れなかった。体調が悪かった訳でもないけど。

新国の演出も指揮もオケも全く変わっていないのだけど、これまでは気にならなかった、1幕前半の紗幕が邪魔でしようががなかった。雪を投影する以外に全く役に立たないばかりか、舞台を薄暗くして見えづらい。オペラでも、安易に紗幕を使う演出がはやっているが、あれは、少なくとも僕の感情を損ねるよ。
東フィルもいまいち弾けていなかったような気がするのは八つ当たりかも…。


そもそも、このバレエ、物語としては1幕だけでもう完結している。2幕は付け足しだ。各国(スペイン・アラビア・中国など)の踊りや花のワルツも金平糖の踊りも、まさにバレエとしては見ものなんだけど、物語としては蛇足だ。クララの夢物語という構成なので、なんでもありとは言えるのだけど。
そこをもう少し、物語性を演出でうまく繋げられないものかと、今日はつくづく思ったね。

物語としては肝心の1幕も、ほとんど子供の踊り中心でフラストレーションが溜まった(これまでどうして違和感を感じなかったのだろう?)。最後の最後に来て雪の精の踊りで溜飲を下げるというか、我慢のしがいがあったと思う。

「くるみ割り」全編中、最高に美しい。
ここで終わる手もあったのではないか。

ともかく、第2幕に続く。
チャイコの美旋律の連射でバレエを思い切り堪能できるシーンが続く。
花のワルツは群舞のクライマックス。金平糖の踊りを経て〜というのか一体なのかもしれないがクララと王子のパ・ド・ドゥが華やかに繰り広げられて、いやはや大したものだと感心する。僕なんか、片脚で30度もあげることできないよ。

まあ、無理やり夢オチで決着を付けられてしまう残念感はあるけど、まあいいかな。来年も3日にゆこう。

♪2025-001/♪新国立劇場-01

2024年12月12日木曜日

新国立劇場オペラ「魔笛」

2024-12-12 @新国立劇場



【指揮】トマーシュ・ネトピル
【演出】ウィリアム・ケントリッジ
【美術】ウィリアム・ケントリッジ、ザビーネ・トイニッセン
【衣裳】グレタ・ゴアリス

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団


ザラストロ⇒ マテウス・フランサ
タミーノ⇒ パヴォル・ブレスリック
弁者/僧侶Ⅰ/武士II⇒ 清水宏樹
僧侶Ⅱ/武士I⇒ 秋谷直之
夜の女王⇒ 安井陽子
パミーナ⇒ 九嶋香奈枝
侍女I⇒ 今野沙知恵
侍女II⇒ 宮澤彩子
侍女III⇒ 石井藍
童子I⇒ 前川依子
童子II⇒ 野田千恵子
童子III⇒ 花房英里子
パパゲーナ⇒ 種谷典子
パパゲーノ⇒ 駒田敏章
モノスタトス⇒ 升島唯博

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
歌劇「魔笛」
全2幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ幕
 70分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕
 85分





4日前に藤沢市民オペラで観たばかりの「魔笛」だ。
新国立劇場版はWケントリッジの演出で3回目。
前2回の我が鑑賞ノートを読んでみたら悪口ばっかり書いている。

舞台美術がつまらない。終始暗い。
そもそも、物語は謎だらけだ。
それらの謎解きをしてくれても良いはずの2幕が長すぎて(85’)、詰め込まれた多くのエピソードの関連が分からない。

…と、自分の勉強不足を棚に上げて毎回不満を募らせている。でも、新国立劇場の前の版も日生劇場ほかのプロダクションとかこの作品はそこそこ観ているけど、物語に納得できないのはいつも同じ。

これがモーツァルトの最後のオペラで最高傑作と言われているけど、理解できないよ。
でもいつかそのゆえんを理解できる日が来るか…楽しみにておこう。

藤沢版に比べると、オケはダンチで、音楽面は充実していて聴きごたえがあった。


♪2024-170/♪新国立劇場-13

2024年11月28日木曜日

新国立劇場オペラ「ウィリアム・テル」 <新制作>

 2024-11-28 @新国立劇場




【指揮】大野和士
【演出/美術/衣裳】ヤニス・コッコス
【アーティスティック・コラボレーター】アンヌ・ブランカール
【照明】ヴィニチオ・ケリ
【映像】エリック・デュラント
【振付】ナタリー・ヴァン・パリス

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)⇒ゲジム・ミシュケタ<22年椿姫>
アルノルド・メルクタール⇒ルネ・バルベラ<20年セビリアの理髪師/21年チェネレントラ/22年N響ヴェル・レク>
ヴァルテル・フュルスト⇒須藤慎吾
メルクタール⇒田中大揮
ジェミ⇒安井陽子
ジェスレル⇒妻屋秀和
ロドルフ⇒村上敏明
リュオディ⇒山本康寛
ルートルド⇒成田博之
マティルド⇒オルガ・ペレチャッコ<17年ルチア/18年N響カルミナ・ブラーナ>
エドヴィージュ⇒齊藤純子

狩人⇒佐藤勝司


ジョアキーノ・ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」<新制作>
全4幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約4時間35分
第Ⅰ幕
 75分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕
 55分
 --休憩30分--
第Ⅲ・Ⅳ幕
 85分




序曲は聴く機会が多いけど、オペラ本編は放映・ビデオでも観たことがない。
実際、滅多に上演されないと思う。

歌唱技術の難しさ、合唱・バレエに大勢が必要、何より長くて、正味4時間というから、2度の休憩を挟むと拘束5時間だ。ワーグナー並だよ。
そんな理由で上演されないのだろう。
でも、今回初めて観て、それだけじゃない。面白くないというのも重要な理由だろうと思った。

そういうこともあってか、新国立劇場が新制作した今回の作品も、少し端折ってあったかもしれない。

まあ、とにかく長く、話が分かりづらく、深刻な話なのだからバレエの出番などなくともいいと思うが、そこそこに用意してある。これが緊張を削ぐ。


演出家の記したものには、ロッシーに最後のオペラ作品である本作は「音楽における自殺」と評されることがあるそうだ。その正確な意味は分からないが、実際、それまでのロッシーに作品のような面白さ、分かり易さ、軽やかさがない。

どうも、失敗作ではなかったか、とど素人の僕は思うのであります。

余談ながら、日本で初めて本舞台形式で上演したのが藤沢市民オペラだそうだ。アマチュアだからこそ経費の面でもチャレンジできたのだろうな。

♪2024-163/♪新国立劇場-12

2024年10月29日火曜日

バレエ「眠れる森の美女」

2024-10-29 @新国立劇場



【指揮】ギャヴィン・サザーランド
【振付】ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)
【音楽】チャイコフスキー
【編曲】ギャヴィン・サザーランド
【美術】川口直次
【衣裳】トゥール・ヴァン・シャイク
【照明】沢田祐二

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【オーロラ姫】佐々晴香(SassaHarukaベルリン国立バレエ)
【デジレ王子】井澤駿
【リラの精】 米沢唯

眠れる森の美女 The Sleeping Beauty

上演時間:約3時間20分
プロローグ40分
  休憩25分
第Ⅰ-Ⅱ幕   65分
  休憩25分
第Ⅲ幕   45分




「眠れる森の美女」はコンサートで音楽だけ聴くこともたまにあるが、大抵は有名な「ワルツ」だけのことが多いので、文字どおり全曲を聴くのは何十年かぶりだった。バレエももちろん楽しみだったが、音楽全曲を聴くというのが一番だったかも。まず、聴いたことがないと思わせるような音楽はほぼない。耳に馴染んだ名曲の連射を、東フィルがいつもながら見事な演奏で、この点はまず大いに満足させた。

しかし、やはり、素晴らしいのはバレエだ。


今日の配役はオーロラ姫が佐々晴香というベルリン国立バレエのプリンシパルで、確か、当初のキャストから代わっての登場だったと思う。
リラの精が、特に選んで観ている訳ではないけど、これまでシンデレラ、白鳥の湖ほかで可憐なところを見せてくれている米沢唯。デジレ王子もお馴染みの井澤俊と、うまいへたは分からないけど、3人とも見事なものだ。

鍛えられた足腰の筋力に支えられた超人的なバランス感覚で、軽やかに舞って、実に優雅そのもの。
いやはや、ラグジュアリーなひと時を過ごしたよ。

♪2024-146/♪新国立劇場-11

2024年10月17日木曜日

東京フィル第1006回サントリー定期シリーズ

2024-10-17 @サントリーホール



出口大地:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
服部百音:バイオリン*

ハチャトゥリアン:「ヴァレンシアの寡婦」組曲から
 1イントロダクション
 2歌
 3ダンス
ファジル・サイ:バイオリン協奏曲「ハーレムの千一夜」Op.25*
コダーイ:ガランタ舞曲
コダーイ:ハンガリー民謡「孔雀は飛んだ」による変奏曲 主題と第1〜16変奏とファイナーレ
-----------------------
パガニーニ:ヴェニスの謝肉祭*



大地君の時はハチャトゥリアンはじめロシア・東欧ものが多いよ。本人の希望なの?ドイツものだってできるのに。

今日は多楽章ものを含め作曲家3人の作品4曲で、どうも集中できなかった。

それに弦の出来はイマイチ。

全曲、金管がおとなしい曲ばかりでどうも盛り上がりに欠けたな。

休憩時に外に出て見上げたスーパームーンが綺麗だったよ。


♪2024-139/♪サントリーホール-20

2024年10月9日水曜日

新国立劇場オペラ「夢遊病の女」

2024-10-09 @新国立劇場



指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】バルバラ・リュック
【美術】クリストフ・ヘッツァー
【衣裳】クララ・ペルッフォ
【照明】ウルス・シェーネバウム
【振付】イラッツェ・アンサ
    イガール・バコヴイッチ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ロドルフォ伯爵⇒妻屋秀和
テレーザ⇒谷口睦美
アミーナ⇒クラウディア・ムスキオ
    (ローザ・フェオラの代役)
エルヴィーノ⇒アントニーノ・シラグーザ
リーザ⇒伊藤晴
アレッシオ⇒近藤圭
公証人⇒渡辺正親

ヴィンチェンツォ・ベッリーニ:
歌劇「夢遊病の女」<新制作>
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ幕
 85分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕
 65分




数百回エルヴィーノを歌っているというAシラグーザ、今夏他劇場でアミーナ・デビューしたというCムスキオによるベルカント特有の超高域・広域やくどいほどの過剰装飾を楽しんだ。

特に、ムスキオはウエスト・サイド物語のナタリー・ウッドを想起させる痩身美形で、役柄との乖離がなく(健康優良児のようなミミ!)、ローザ・フェオラの降板を残念に思っていたが十分満足させる良いピンチヒッターだった。

ラストシーンはいろんな演出があるらしいが、今回は含みを持たせた。これがどうも納得できない。

夢遊病を深刻に捉え過ぎで(それを表すバレエも何度も登場して鬱陶しい)、若い女性の一時的な症状と捉えられないのか?
めでたしめでたしの大合唱で物語は終わるのだから素直にハッピーエンドにしておけば良かった。


余談:アミーナが夢を見ながら歌う水舎小屋の屋根裏部屋から外に突き出たバルコニーの場面。
こんな高いところに立つだけでも恐ろしい。
4〜5mはありそうな高所作業だよ。手すりをつけるか命綱をしてほしいね!

それが何にもなしで動き回って歌うのだ。僕ならとても怖くて立つだけでも足がすくむよ。


唯一ディスクを持っているMET(2009)の演出では、舞台からピットに飛び出た狭い水泳の飛び込み板のようなところでNデセイが歌うのだが、これも見ていても怖い。

アミーナの役は歌唱の困難さだけでなく、歌う場所も困難だよ。

♪2024-137/♪新国立劇場-10

2024年9月17日火曜日

東京フィル第1005回サントリー定期シリーズ

2024-09-17 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

マクベスBr:セバスティアン・カターナ(東フィル定期「ファルスタッフ」)
マクベス夫人Sp:ヴィットリア・イェオ
バンクォーBs:アルベルト・ペーゼンドルファー(新国「ワルキューレ」「神々の黄昏」)
マクダフTn:ステファノ・セッコ
マルコムTn:小原啓楼
侍女Ms:但馬由香
医者Bs:伊藤貴之
マクベスの従者、刺客、伝令Br:市川宥一郎
第一の幻影Br:山本竜介
第二の幻影Sp:北原瑠美
第三の幻影Sp:吉田桃子

ヴェルディ:歌劇「マクベス』
全4幕・日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
公演時間:約2時間45分(休憩含む)

第1幕  19:00…50分
第2幕  19:50…30分
----休憩      …20分
第3幕 20:40…20分
第4幕 21:00…45分
終演予定 21:45



チョンさんの歌劇シリーズはいつも本当に良い出来で、大いに楽しめる。
今日も、東フィルの第一声に痺れてしまった。これがサントリーの響か?と耳を疑うような明瞭な美しい響だ。

「オテロ」の時に気がついたが、それまでもこのスタイルだったのだろう。弦は指揮者に正対するのではなく、45度くらい客席に向かって広がっている。これが、あの美しい響きを生んでいるのではないか。

天井から普段は隠れているスピーカー群が降りていたが、一部は拡声していたのかもしれない。

歌手のうち、マクベス役はチョンさん歌劇「ファルスタッフ」で経験済み。バンクォーは新国の「ワル〜・神黄」で聴いている。夫人を歌ったVイェオもすばらしい。

いやはやみんな素晴らしくこれまで観た本格「マクベス」を含めても一番楽しめた。

あまりに良い出来だったので、「鑑賞減量」の大目標の下、東フィル定期は更新しないと決めていたが、やっぱり更新しよう。

チョンさん歌劇を聴く為だけでも定期継続の価値がある…ってミシュランの☆☆☆だね。

♪2024-125/♪サントリーホール-18

2024年7月10日水曜日

新国立劇場オペラ「トスカ」

2024-07-10 @新国立劇場



【指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
【美術】川口直次
【衣裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
【照明】奥畑康夫

【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

トスカ⇒ジョイス・エル=コーリー
カヴァラドッシ⇒テオドール・イリンカイ
スカルピア⇒青山貴
(ニカラズ・ラグヴィラーヴァの代役)
アンジェロッティ⇒妻屋秀和
スポレッタ⇒糸賀修平
シャルローネ⇒大塚博章
堂守⇒志村文彦
看守⇒龍進一郎
羊飼い⇒前川依子

ジャコモ・プッチーニ:歌劇「トスカ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間55分
第Ⅰ幕
 50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕
 45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕
 30分







東フィル・冒頭のブラスが美しくて、それだけでまずは惹き込まれた。

…と気持ちよくスタートしたが、物語が始まると、過去何度も新国立劇場版を観ているが、これまで気が付かなかったのか、今回独自の演出なのか?堂守の演技に違和感を持った。片足を引き摺っている。なぜ、障がい者の役にする必要があるのか?この意味不明の安易な姿勢に出鼻を挫かれた。

それ以外は、いつも満足度が高い。
(放送・録画を含め)いろんな「トスカ」を観てきたが、舞台装置の立派さは新国版に及ぶものはないと思う。

全幕豪勢だが、特に1幕終盤の「テ・デウム」のシーンは圧倒的だ。同じ新国の「アイーダ」2幕より好きだ。新国版「アイーダ」は全篇紗幕の中で進行するという訳の分からない演出(ゼッフィレッリ)が大嫌い!

今回に限っては、トスカ役ジョイス・エル=コーリーが美形でトスカにハマり役だった。
カヴァラドッシのテオドール・イリンカイは前に「トゥーランドット」で聴いているが、今回も良かった。

特筆は、N.ラグヴィラーヴァの代役でスカルピアを歌った青山貴かな。海外勢に引けを取らない憎々しげで堂々たる演唱だった。

つまり、堂守の演技プランはBooだがそれを除けば、すべて水準以上で満足できたのだけど、アンジェロッティ役の妻屋秀和氏がTwitterでBooが入ったと嘆いていたが、僕には聞こえなかったなあ。

本作で今季は完了だ。
今季は「シモン・ボッカネグラ」、「エフゲニー・オネーギン」、「トリスタンとイゾルデ」、「コジ・ファン・トゥッテ」と1本おきに秀作が続き「トスカ」が有終の美を飾った。

♪2024-099/♪新国立劇場-09