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2018年10月4日木曜日

十月歌舞伎 通し狂言「平家女護島」

2018-10-04 @国立劇場


近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
国立劇場美術係=美術
通し狂言 平家女護島(へいけにょごのしま)三幕四場

序 幕 六波羅清盛館の場 
二幕目 鬼界ヶ島の場
三幕目 敷名の浦磯辺の場
同   御座船の場

(主な配役)
平相国入道清盛/俊寛僧都⇒中村芝翫
俊寛妻東屋⇒片岡孝太郎
瀬尾太郎兼康⇒中村亀鶴
能登守教経/丹左衛門尉基康⇒中村橋之助
俊寛郎等有王丸⇒中村福之助
上臈松ヶ枝⇒中村梅花
海女千鳥⇒坂東新悟
越中次郎兵衛盛次/丹波少将成経⇒中村松江
後白河法皇⇒中村東蔵
ほか

所謂「俊寛」に前後の段を加えた通しとして演じられた。できるだけオリジナルを復元して次代に伝えようという姿勢で、これが国立劇場の魅力だ。
しかし、先月秀山祭@歌舞伎座で吉右衛門が「俊寛」を演ったせいか、2ヵ月続いて「俊寛」では誰が演じてもお客は呼べないだろう。

僕は、秀山祭は昼の部だけを観て夜の部の「俊寛」をパスし、今月の国立での通し狂言「平家女護島」に期待をしていた。

しかし、というか、案の定というべきか、厳しい状況で、芝翫が吉右衛門にかなうはずもなし。
今日のお客の入りは全館で五分〜せいぜい六分の入りか。

舞台は芝翫親子が熱演しているのだけど、空席の目立つ客席は緊張がシカンしていた。

芝翫の息子たち、橋之助・福之助兄弟はそれぞれに出番の多い役で頑張っていたが、舞台にも生まれる緊張の隙間を埋めるには到底心もとなく、お稽古教室の感があった。

鬼界ヶ島で俊寛に斬り殺されてしまう悪役・瀬尾太郎兼康を中村亀鶴が演じていた。亀鶴という役者をこれまで何度も観てきているが、その都度忘れてしまう、まあ、あまり存在感のある役は振られていなかったように思うが、今回の役はなかなか良かった。元気な悪党ぶりが頼もしかった。これで当分覚えているだろう。

♪2018-123/♪国立劇場-014

2018年6月11日月曜日

明治150年記念 平成30年6月歌舞伎鑑賞教室「連獅子」

2018-06-11 @国立劇場


解説 歌舞伎のみかた
坂東巳之助

河竹黙阿弥=作
連獅子 長唄囃子連中

狂言師右近後に親獅子の精⇒ 中村又五郎
狂言師左近後に仔獅子の精⇒ 中村歌昇
浄土の僧遍念⇒ 中村隼人
法華の僧蓮念⇒ 中村福之助

今月の鑑賞教室は珍しく舞踊劇「連獅子」。又五郎・歌昇実の親子が獅子の親子を舞った。口跡の良い又五郎の台詞が聴けないのは寂しいなと思っていたけど、今回は舞踊劇=所作事の中でも舞台、衣装も派手で、踊りもアクロバティックなものだけに普段は苦手に思っているジャンルだけどあらたな面白さを発見できたように思う。

大きく3つの部分に分かれるが、最初は2人の狂言師が親子の獅子の「子落とし」の伝説を語らい(舞踊のみで発声はしない。)、自らが獅子の親子に化身してその物語を演ずる。

中間部に文字通りの「狂言」が多少歌舞伎化されて登場するが、僧侶が2人。ともに道不案内な旅の途中で知り合って、心強く思っていたが、話をしてみると互いに宗門が異なる。1人は浄土宗で念仏を唱える。もう1人は日蓮宗で題目を唱える。そこで、互いが自分の宗門こそ正しい道だお譲らず宗論が始まるが、互いに念仏と題目を耳うるさく唱え合うばかりで実におかしい。
今は昔のことだけど、能狂言に夢中になっていた時期があってずいぶん能楽堂に通った。それで、今日は本当にずいぶんの久しぶりで「狂言」を楽しめたのも収穫の一つ。隼人と福之助が演じた。まだ芸に不足は感ずるけど、こうやって、芸域を広げて歌舞伎役者としてうまくなってゆくのだろう。

その「狂言」を挟んで第3部に当たるのが、白毛の親獅子の精と赤毛の仔獅子の精だ。
松羽目を背景に真っ赤なひな壇の上下に三味線・太鼓・笛などの長唄連中が20名ほど。その音楽に乗せて長い毛を振り乱し舞い遊ぶ。実の親子が演じていると思うと、舞によって演じられる親子の情愛がしみじみと伝わるとともに、徐々に激しくなる音楽と乱舞にしばし陶酔の感があった。

恒例、歌舞伎解説の巳之助も慣れたもので、今回は演目に合わせて歌舞伎の「舞」を中心に説明してくれたが、大いに可笑しくて為になった。

♪2018-068/♪国立劇場-09

2016年10月25日火曜日

中村橋之助改め 八代目 中村芝翫 中村国生改め 四代目中村橋之助     中村宗生改め 三代目中村福之助 中村宜生改め 四代目中村歌之助 襲名披露      芸術祭十月大歌舞伎

2016-10-25 @歌舞伎座


山口晃 作
寛徳山人 作
一 初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)
橋彦⇒国生改め橋之助
福彦⇒宗生改め福之助
歌彦⇒宜生改め歌之助

二 女暫(おんなしばらく)
巴御前⇒七之助
舞台番松吉⇒松緑
轟坊震斎⇒松也
手塚太郎⇒歌昇
紅梅姫⇒尾上右近
女鯰若菜⇒児太郎
局唐糸⇒芝喜松改め梅花
東条八郎⇒吉之丞
江田源三⇒亀寿
猪俣平六⇒亀三郎
成田五郎⇒男女蔵
清水冠者義高⇒権十郎
蒲冠者範頼⇒又五郎
     
三 お染 久松 浮塒鷗(うきねのともどり)
女猿曳⇒菊之助
お染⇒児太郎
久松⇒松也

河竹黙阿弥 作
四 極付 幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」
幡随院長兵衛⇒橋之助改め芝翫
女房お時⇒雀右衛門
唐犬権兵衛⇒又五郎
伊予守源頼義⇒七之助
坂田公平⇒亀三郎
御台柏の前⇒児太郎
極楽十三⇒国生改め橋之助
雷重五郎⇒宗生改め福之助
神田弥吉⇒宜生改め歌之助
下女およし⇒芝喜松改め梅花
舞台番新吉⇒吉之丞
坂田金左衛門⇒男女蔵
出尻清兵衛⇒松緑
近藤登之助⇒東蔵
水野十郎左衛門⇒菊五郎


芝翫襲名を前にして不埒?な話題でマスコミを賑わしてしまったのがバッドタイミングだったが、「芸の肥やし」だと開き直れる時代ではないが、ひんしゅくを買ったことも含め、このことは「芸の肥やし」として生きてくるのだろう。

そういう事情もあって、一部にチケットの売れ行きが悪いとかいう説も流れていたが、なんのなんの。

「夜の部」は「襲名口上」のほか「熊谷陣屋」の直実を、一般的に行われている團十郎型ではなく先々代が工夫した「芝翫型」で演ずるという点でも評判が高く、玉三郎が「藤娘」を踊るということもあってか、「夜の部」の3階席のチケットが取れず、「昼の部」にした。

しかし、「昼の部」も襲名披露興行らしい演目が4つも並んでいずれも楽しめた。

一つ目と三つ目はいずれも踊りを味わうもので、まあ、こんなものか。
七之助が巴御前を演じた「女暫」が傑作で、この人はなかなかうまいと思うよ。悪党の首をゾロっとはねて一応幕が閉まるが、その後に松緑が演ずる舞台番の松吉(なんで舞台番がここで登場するのか分からなかったが。)が出てきて、花道の七三で芝翫親子の襲名を祝う巴御前に(この辺も筋はもう無茶苦茶だ。)、六方を踏んで下がるよう勧め、巴御前は女だてらに恥ずかしいとかなんとか遣取りがあって、結局松吉に教わった六方の型を少し、その型も恥ずかしさに崩して花道を下がるという段取りで、本来の芝居の部分に取って付けたような筋の通らない話だが、ま、ここは何でもありの歌舞伎ならではのサービスだ。

いよいよ、「幡随長兵衛」が新・芝翫の見せどころ。
男気を通して殺されるという、ちょっと馬鹿な話なのだけど、丁寧な話の作りで、長兵衛(芝翫)やその女房(雀右衛門)たちの心情の機微がよく伝わって、気持ちが芝居に入り込んだ。
6月国立劇場での「魚屋宗五郎」の橋之助は素晴らしかったが、こういう世話物というのか、町衆の心意気などを演ずるとまことにハマって巧いと思うよ。

今回は、芝翫、七之助、松緑が実に良かった。

♪2016-147/♪歌舞伎座-07