2025年1月25日土曜日
日本フィルハーモニー交響楽団 第404回横浜定期演奏会
2024年10月7日月曜日
東京都交響楽団 第1009回 定期演奏会Aシリーズ 【シェーンベルク&ホルスト生誕150年記念】
2022年8月11日木曜日
フェスタサマーミューザ2022 東京交響楽団フィナーレコンサート ≪故郷はシェイクスピア、そして映画≫
2021年5月22日土曜日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第368回定期演奏会
2021-05-22 @県民ホール
沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
バイオリン:石田泰尚*
ピアノ:石井楓子**
ソプラノ:中村恵理***
武満徹:ノスタルジア*
三善晃:ピアノ協奏曲**
マーラー:交響曲第4番ト長調***
---------------
武満徹:「リタニ」から第2曲*
しかもその前に邦人作の2曲を取り上げるなんて、意欲的だ。
マーラーでのソプラノ独唱は中村恵理。
これは2月の大野和士指揮都響のマーラー交響曲第4番と同じ組合わせ。
都響が弦16型であったのに対し、今日の神フィルは12型と小振りだが、迫力は十分。
むしろ、引き立つはずのソプラノの響きは2月の都響公演の方がよく通っていた。
ホンにホールの響きは微妙だ。
今日の県民ホールは、マーラーの前に演奏された三善晃のピアノ協奏曲でもピアノの音が燻んでいた。
僕の席は真ん中の真ん中だが、案外後ろの席の方が届いていたのかもしれない。
ま、ともかく、沼さん。神奈川フィル次季音楽監督のデビューは華々しく成功を飾って、今後の活躍に期待。
♪2021-047/♪県民ホール-06
2021年5月15日土曜日
名曲全集第167回 大植英次 名曲全集 再登場
2021-05-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール
北村朋幹:ピアノ*
武満徹:鳥は星形の庭に降りる
バルトーク:ピアノ協奏曲第1番 Sz. 83*
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 op. 73
-------------
ショパン:マズルカ第27番ホ短調 作品41-2*
東響とは7年ぶりらしい。ノットの代役ではなく彼の得意な音楽を聴きたかったが。
2年ぶりに尊顔を拝したが、その睨みつけるような顔付きにエネルギーが充満している。東響も彼の気合いに応えて熱演した。
疑問があったのは、バルトークのピアノ協奏曲だ。
ノットの好みらしく、以前、彼の指揮で川崎定期でも聴いたが、その時、Pfの屋根は客席に反響するように開いていた…はず。もしそうでなかったら、奇異に感じたはずだから。
しかし、今回は取り払われていた。
ということは、大植の指示によるのではないか。
しかし、屋根の抜けたピアノの音は、P席等舞台周りの席にとっては聴きやすかったかもしれないが、正面席には不都合だ。
音がオケに埋もれがちだった。その意図不明。
とはいえ、メインのブラームス交響曲第2番。これは良かった。弦がよく鳴ること。特に低弦が美しい。
かつて大植+日フィルの「新世界」を聴いた時のような驚きではなく、とても聴き馴染んだ素直な音楽作りだったと思うが、丹念にリハをしたのか、大植のエネルギーがオケに伝染したか、毛細血管にまで気合が行き届いているような生命力を感じた。
♪2021-045/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-08
2021年2月22日月曜日
東京都交響楽団 都響スペシャル2021
2021-02-22 @東京文化会館
大野和士:指揮
東京都交響楽団
男声合唱:新国立劇場合唱団*
ソプラノ:中村恵理**
メゾソプラノ:藤村実穂子*
武満徹:夢の時(1981)
ブラームス:アルト・ラプソディ( ゲーテ「冬のハルツの旅」による)op.53*
マーラー:交響曲第4番ト長調**
やはり都響は文化会館が似合う。
指揮は大野和士。中村恵理と藤村美穂子を迎えてブラームス「アルト・ラプソディ」、マーラー4番ほか。
なんて贅沢な!
腕鳴らし?の武満もきれいなアンサンブルで、始め良ければ終わり…の予感。
メゾSp(アルト)・ラプソディの出来が良かったかどうか、やや疑問が残ったのは、期待が大きすぎたせいだろう。
1番の楽しみはマーラー4番。
マーラーを聴くのも弦16型を聴くのも多分ほぼ1年ぶり。
マーラーファンでは無いとはいえ、この大袈裟な管弦の狂宴に対する渇望は高まっていたよ。
隠れた実力を隠したままで終わることもままある😛都響が、
ホームで、
音楽監督の下、
大編成で臨んだマーラーに期待は高まる。
そして、その期待に違わず、都響が本気を出した!重厚な響きをのめり込んで楽しんだ。
中村恵理もとても良かった。
♪2021-017/♪東京文化会館-01
2021年2月6日土曜日
NHK交響楽団 02月公演
2021-02-06 @NHKホール
尾高忠明:指揮
NHK交響楽団
チェロ:横坂源*
武満徹:3つの映画音楽
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番変ホ長調 作品107*
シベリウス:交響曲第1番ホ短調 作品39
-----Enc---------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番二短調 BWV1008 - サラバンド*
1曲目⇒武満徹:3つの映画音楽
久しぶりのN響弦楽合奏に期待したが、冒頭の音に違和感。自分の耳が詰まっているのか、ほじってみたが変わらず。他のオケで過去2回聴いたがもっと良かったぞ。
2曲目⇒ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
これが本日1番の楽しみだったが、オケも横坂くんも綺麗な音を出しているけどちんまり纏まって迫力不足。
ホールの空間の割に編成が小さい(弦12型)せいもある。
金管は、なんとホルンが1本だけ。しかし、それを福川名人が朗々と奏でてこれには痺れた。
3曲目⇒シベリウス:交響曲第1番。これはなかなかの名演。
それまでの編成と比べ、管楽器・打楽器がドッと増えて、弦も14型になり、「だんだんよく鳴る法華の太鼓」。
弦の響きも厚いし、管・弦の交わりが煌びやかでこれぞ「交響楽」の楽しさ。
今日7日も公演があるが、僕にとっては6日公演がNHKホールの当面の最後の機会となった。
来月から22年6月まで改修工事で休館だ。
耐震工事や設備更新が中心らしいが、1階席はもう少し傾斜をつけて、座席も広めに変えて欲しいよ。
♪2021-009/♪NHKホール-02
2020年3月20日金曜日
佐藤美枝子&西村悟 デュオ・リサイタル
2019年4月27日土曜日
日本フィルハーモニー交響楽団 第346回横浜定期演奏会
ピエタリ・インキネン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
村治佳織:ギター*
ラウタヴァーラ:In the Beginning
武満徹:夢の縁へ*
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op.36
-----アンコール-----
オーバー・ザ・レインボウ&イェスタデイ*
シベリウス:悲しきワルツ
ラウタヴァーラという作曲家の存在は知らなかったし、その作品「In the Beginning」も初聴き。2016年に亡くなったフィンランドの作曲家だというから、同国出身のインキネンにとっては大切な作品なのだろう。
2017年にインキネンがドイツ放送管弦楽団で世界初演をしている。
現代の作品なので、調性は曖昧で、終始不穏な響きが継続するが、あまり嫌な感じではなかった。
https://youtu.be/CdoZU2c2ilI
武満徹の「夢の縁へ」は小ギター協奏曲風。初聴き。
ギター独奏の村治佳織も初めて。名前は知っているけど、これまで縁がなかった。ともかく、音が小さい。ギターは爪弾く楽器だから音量の面で不利ではあるけど、それにしても小さかった。
彼女の技量の問題もあるだろうけど、いつものみなとみらいホールでの演奏なら、よく響くホールだから、音量不足をあまり感じなかったかもしれないが、今回はなぜか、県民ホールだ。残響は少ないし、客席空間は広い。それもあったかもしれない。
縁コールで、ギター独奏をしたが、これもやはり音が小さくて話にならない。
僕の席は絶好の良席だが、それでもイマイチなのだから、後方や2階、3階席では音楽として届かなかったのではないか。
メインのチャイコの4番は、10日ほど前に東フィルで聴いたばかりだったが、その際に残念に思った冒頭のファンファーレは僕の耳には完璧な出来栄えだった。
もちろん、ファンファーレだけではなく、全体としても迫力のある高水準な演奏だったが、ここでも、県民ホールの限界というか、管・弦の響きに豊かさが不足して、やはり、残念なことであった。でも、こういう音楽こそ県民ホール向きなのだけど、これでも満足を得られないとなると、悲しいね。
2019年4月26日金曜日
東京都交響楽団 第877回 定期演奏会Bシリーズ
大野和士:指揮
東京都交響楽団
武満徹:鳥は星形の庭に降りる(1977)
シベリウス:交響曲第6番ニ短調 op.104
ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45
部分的に教会旋法を使って作曲された作品例はあるが、シベリウスの交響曲第6番は、いわゆる教会旋法のドリア調で全曲が書かれているそうだ。教会旋法のことは大雑把な知識しかないが、古典派以降は長調(これを3度下げて作られた短調)に取って代わられて、特別な効果を求めるとき以外は用いられていないようだ。
ゆえに、シベリウスがドリア調で全曲を書いたというのは非常に珍しい出来事な訳だ。
ドリア調ではD音(ハ長調で言えばレの音)が第一音だが主音ではない。終止音というらしいが長調でいう主音に相当するのだろうか?
一方で、支配音というのもあって、それは旋法によって異なるがドリア調の場合はちょうど5度上のA音だというから長調で言えば属音に当たる。それぞれがどんな役割を担うのかさっぱり分からない。ちょっと調べてみたが、疑問の草叢に分け入るだけみたいだから、早々にUターンした。
知らなくたって音楽は聴いて楽しめばいいから…というのは負け惜しみだけど。

では、どうやって曲が始まり、終わるのか興味深い。和声に頼らず旋律だけで終止できるのか?
などと聴きながら考えていたらいつの間にか音楽は終わってしまった!
調性に慣れた耳にはカデンツ(機能和声でいう「終止形」)の手順を踏んでキッチリ決めた音楽にこそ安心感があるなあ。
ラフマニノフの「交響的舞曲」。
彼の最後の作品にしては分かり易い。都響で聴くのも2度目だが、あまりステージにかかることが少ない音楽だ。片鱗も覚えていなかったが、結構面白い。
が、今日の都響は第1バイオリンの高域が美しくない。
先日の神奈フィル@県民ホールのような響で聴きたかったな。
今季から席替えをした。席番は同じだが、7列も前に行った。原音と残響の混じり具合が良い感じだ。その分、弦の乱れはよく聴き取れてしまう。
♪2019-054/♪サントリーホール-03
2019年3月17日日曜日
輝けるテノール 錦織健テノール・リサイタル
錦織健:テノール
多田聡子:ピアノ*
サン=サーンス:ノッテ・ステラータ〈星降る夜〉
ニーノ・ロータ:ロミオとジュリエット
ショパン:別れの曲
スッペ:恋はやさし野辺の花よ
服部良一:蘇州夜曲
多忠亮:宵待草
滝廉太郎:荒城の月
大中恩:しぐれに寄せる叙情
武満徹:小さな空
武満徹:死んだ男の残したものは
喜納昌吉:花
宮沢和史:島唄
バッサーニ:眠っているのか、美しいひとよ
カッチーニ:麗しのアマリッリ
スカルラッティ:すみれ
プッチーニ:「トゥーランドット」より“誰も寝てはならぬ”
バーンスタイン:「ウェスト・サイド・ストーリー」より “マリア”
ビクシオ:マリウ愛の言葉を
ラカジェ:アマポーラ
モリコーネ:ネッラ・ファンタジア
----------------
ドビュッシー:月の光*
QUEEN:We will Rock you
伝説のチャンピオン
Love of my life
Don't stop me now
「輝けるテノール」と題された独唱会。相変わらず輝いていたなあ。この人は話が(様子も)おかしいのでいつも本当に楽しめる。
「第九」などのソリストでの登壇とは人格が異なるようだ。
前半日本の歌、後半伊国の歌、Encはクィーンで大サービス。あんたはチャンピオンだよ。
♪2019-031/♪みなとみらいホール-11
2018年12月7日金曜日
みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 上野由恵フルート、曽根麻矢子チェンバロ
上野由恵:フルート
曽根麻矢子:チェンバロ
【第1部】
C.P.E.バッハ:フルート・ソナタニ長調 Wq83
モーツァルト:きらきら星変奏曲 K.265(チェンバロソロ)
武満徹:ヴォイス(フルートソロ)
J.S.バッハ:フルート・ソナタ イ長調 BWV1032
J.S.バッハ:G線上のアリア
【第2部】
C.P.E.バッハ:ハンブルガー・ソナタト長調 Wq133/H564
ラモ―:村娘、鳥の呼びかわし、タンブーラン、一つ目巨人たち(チェンバロソロ)
細川俊夫:線 I(フルートソロ)
J.S.バッハ:フルート・ソナタ ホ短調 BWV1034
J.S.バッハ+グノー:アヴェ・マリア
上野由恵のフルートと曽根麻矢子のチェンバロでバロックから現代までのそれぞれのソロとアンサンブル。
2週間前に同じホールでJ.S.バッハのチェンバロ協奏曲を聴いた際も感じた音量不足を感じた。今回は持ち込み楽器の特性か特に音量が小さい。
フルートは見かけより音量もインパクトもあるので、チェンバロと組んだフルート・ソナタではバランス悪くチェンバロが埋没気味だった。
チェンバロという楽器は、やはり、貴族の屋敷のサロンでせいぜい数十名で聴く楽器なのだろう。
今回は小ホールだったが、それでも440人規模となると全く不向きだと言わざるを得ない。
とは言え、司会進行役の上野が素直な人柄を表して好感。
バロックから現代曲といっても、現代曲を演奏したのは2曲ともフルートの為の無伴奏曲だった。やはり、チェンバロ用の現代曲はないのかな。
2018年10月7日日曜日
東京交響楽団 川崎定期演奏会 第68回
大井剛史:指揮
東京交響楽団
阪田知樹:ピアノ*
深井史郎:架空のバレエのための三楽章
早坂文雄:ピアノ協奏曲*
小山清茂:弦楽のためのアイヌの唄
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ(1979年改訂版)
-----------------
武満徹:雨の樹素描Ⅱ〜オリヴィエ・メシアンの追憶に〜*
1914年生(小山、伊福部、早坂)、東響が日本初演(早坂、伊福部、深井)、アイヌがテーマ(小山、伊福部)という繋がりによる日本人作曲家特集…とチラシに書いてあった。
このうち深井と小山はその存在さえ知らなかったのだから、当然初聴き。早坂と伊福部はコンサートでも複数回聴いているが、今日の作品はいずれも初聴き。全曲初聴き!って非常に珍しい。
4作品とも1948〜64年初演のほぼ同時代の邦人作品ということで、すべて初聴きのせいもあったか、結果的にはどれもよく似た感じだが、所謂「現代音楽」の嫌味がまったくない。
阪田知樹と共演で早坂文雄の「ピアノ協奏曲」(2楽章構成)はピアノ中心に管弦楽編成の規模も大きく、華やかな音楽で演奏時間も一番長かった(僅かな差だが)ので、メインに据えても良い感じだったが…。
小山清茂の「弦楽のためのアイヌの唄」も弦楽アンサンブルに小型パーカッションという珍しい組み合わせで、靴べらによるチェロのピチカートなど、全体に新鮮な魅力があった。
それらの中でも最後に登場した伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」が一番楽しめた。音楽的に他作より抜きん出ているかどうかは分からないが、聴いていて実に面白く楽しい。
他の3作にも共通するが、西洋音楽の調性はあるようなないようなではっきりしない。調性というより日本古来の旋法が取り入れられているのだろう。部分的に雅楽や民謡、祭り囃子(「タプカーラ」はアイヌの民族舞踊を意味するらしい。)のような音楽が西洋音楽の調性と組み合わされているのではないかと聴いていた。
そのような試みが一番親しみやすく発揮されていたのが「シンフォニア」だと思う。
大井剛史の指揮も複雑な変拍子をきれいに捌いて東響のアンサンブルも上等。
余談ながら:
全員の生没年と今日の作品の初演年を書いておこう。
深井史郎(1907〜1959)⇒1956年
早坂文雄(1914〜1955)⇒1948年
小山清茂(1914〜2009)⇒1964年
伊福部昭(1914〜2006)⇒1955年(世界)、56年(日本)、80年(改訂版)
全作品が20世紀中程に作曲・初演されたものだ。
西洋音楽史的に言えば「現代音楽」の始まりの頃か。
さて、これらの作品を音楽界(どんな世界だ?)で「現代音楽」と呼んでいるのかどうかは知らない。「現代音楽」の定義があいまいだから。「現代」の音楽と言うなら、「現代音楽」に違いがない。無調又は調性が拡大されているのが「現代音楽」ならこれらの作品は半分くらい(数ではなくどの作品も内容的に)は「現代音楽」と言えるのかもしれない。
しかし、「現代音楽」という場合、その代表とされるジョン・ケージの「4分33秒」(幸いにして聴いた?ことがない。)とかリゲティの「ポエム・サンフォニック(100台のメトロノームのための)」(東響で聴かされた!腹立たしい。)など、「無調」さえ超え、古典的な「音楽」の定義にも外れるような作品も堂々とステージに掛けられているが、今日の邦人作品群はそんな不届きな作品とは別世界のものだ。だから、これらの作品を「現代音楽」という言葉で括るのは抵抗もあるし、間違いではないだろうか。
…などと余計なたわごとを記したのは、自分の備忘のためでもあるし、所謂「現代音楽」に時々我慢がならないからだ(アルヴォ・ペルトの作品などはほとんど抵抗なく受け入れられるから、時期的な括りで音楽の「現代」性を捉えるのも間違っていると考えている。)。
行き詰まりから始まり、調性を諦め、不協雑音と激しいリズムとダイナミックレンジで聴衆の<意表を突くだけ>の「現代音楽」に展望があるはずがない。「古典にもどれ!」と言いたい。
♪2018-125/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-19
2017年10月14日土曜日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第333回
川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
唐田えりか:語り*
柴崎和佳:アコーディオン*
武満徹:系図 ~若い人のための音楽詩~*
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
武満の「系図」は初聴きで、谷川俊太郎の詩集「はだか」(の全部ではないらしい)に音を付けた「音楽詩」だ。オーケストラの伴奏に若い女性がその詩を(歌うのではなく)朗読する。
女の子、を主人公にした内容で、「むかしむかし」、「おじいちゃん」、「おばあちゃん」、「おとうさん」、「おかあさん」、「とおく」という6篇の連続する内容を持った詩=音楽で構成されている。当日の語り手は唐田えりかという97年生まれの女性だった。参考のためにYoutubeで演奏例をいくつか聴いたが、いずれもハタチ前後と思しき女性が演じていた。
プログラムにはその詩が全篇掲載されているのだけど、すべて平仮名ばかりだ。谷川俊太郎は、なんでこんな妙な表現をするのだろう。漢字が読めない子供の為に?まさか。漢字も読めないような子供にこの内容が理解できるとは思えない。
…が、耳で聴く分にはカナだろうが、カタカナだろうが、漢字混じりだろうが関係はない。語り手には読みづらいだろうけど、平仮名で表現できる程度の内容なので、聴いていてその詩の世界が良く分かる。
また、音楽が、現代音楽なのだけどとても平易で耳障りが良く、抵抗なく受け入れることができた。
R.シュトラウスの「英雄の生涯」は多彩な管弦楽法で楽しめる。
尤も、一昨年の2月にパーヴォ+N響で、この同じみなとみらいホールで聴いたのが非常に素晴らしかったので、それに比べるとやはり耳劣りするのはやむを得ないか。
でも、神奈川フィルも相当健闘していた。
♪2017-163/♪みなとみらいホール-38
2017年10月1日日曜日
ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート2017後期 ≪カタリ・カタリ≫ 中鉢聡 テノール・リサイタル
中鉢聡:テノール
藤原藍子:ピアノ
レオンカヴァッロ:朝の歌
トスティ:かわいい口元
トスティ:理想のひと
プッチーニ:星は光りぬ~「トスカ」より
プッチーニ:誰も寝てはならぬ~「トゥーランドット」より
中山晋平:出船の港
越谷達之介:初恋
小林秀雄:落葉松
武満徹:小さな空
クルティス:勿忘草
ララ:グラナダ
カルディッロ:カタリ・カタリ
------------
アンコール
デ・カプア:オー・ソレ・ミオ
今年5月にこのシリーズで錦織健のテノールを聴いたときの感動に比べると今日はかなり、こじんまりだ。
そもそも中鉢聡という声楽家を知らなかった。今回はじめて聴くみたいだ。
イタリア・オペラやカンツォーネが得意なようで、今日のリサイタルのタイトルは「カタリ・カタリ」。終盤に、アンコールを含め得意のナンバーを絶唱してくれた。トスティの2曲を除けばよく知っている曲ばかりで、どれも楽しめた(「誰も寝てはならぬ」で思わぬ故障が入ったが。)。
しかし、声量はあるのだけど、声に華やかさ、輝きが無い。地声の延長のように聴こえる。ここで悲しいかな錦織健とは圧倒的な差が付いてしまう。
ところで、ピアノ伴奏が藤原藍子さん。この人も始めてだったが。背が高くきれいな人だ。中鉢聡も所属する藤原歌劇団の生みの親、かの有名な藤原義江のお孫さんだそうだ。
♪2017-158/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-27
2017年3月4日土曜日
ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート2017前期 ≪小菅優の”現在”を聴く!≫小菅優 ピアノ・リサイタル
小菅優:ピアノ
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」 作品27-2
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」作品53
武満徹:雨の樹素描Ⅰ、Ⅱ-オリヴィエ・メシアンの追憶に-
リスト:エステ荘の噴水〜巡礼の年第3年から
リスト:バラード第2番
ワーグナー:イゾルデの愛の死
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アンコール
メシアン:8つの前奏曲集第1番「鳩」
旬のピアニストは目下ベートーベン完全制覇中。
という事もあってか彼のソナタ2本(月光・ワルトシュタイン)を大胆にも前半に並べ、後半は武満2本、リスト3本を全く間を空けず弾き切った。満席の観客にも緊張が求められて一種修行空間。
♪2017-032/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-02
2017年2月23日木曜日
NHK交響楽団横浜スペシャル
パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
武満徹:弦楽のためのレクイエム(1957)
マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」
N響は(いつから始まったか知らないが)毎年度末に横浜みなとみらいホールでN響横浜定期演奏会を1公演だけ開催している。
それが今年は90周年という意味もあったのだろうが、横浜スペシャルと称して2日間の公演があった。
武満徹の「弦楽のためのレクイエム」とマーラーの交響曲第6番「悲劇的」の2本立てだ。
僕は2日めに行ったら、ステージ上には夥しいマイクが林立し、天上からも何組ものマイクが下がっていた。NHKホールでは珍しくもないがみなとみらいホールではなかなか見慣れぬ光景だ。
SONYクラシックスが収録をするための準備だということが後刻分かった。
指揮台の回りも背の高いポールに取り付けられたマイクが取り囲んでいるので、開演してパーヴォ・ヤルヴィが指揮台に立ったときはまるで檻に閉じ込められているようにも見えた。
しかし、CD収録を兼ねた演奏というと、当然パーヴォもN響も気合の入れ方が違うはず。ラッキーかも。
ホルン9本<8>、ティンパニ2セット、シンバル4組8枚、ハンマー、ハープ3台<2>のほかたくさんのパーカッションに、何と言ってもハンマーが駄目押しの迫力。2>8>
プログラム掲載の楽器編成(<>に記載)より実際に登場した楽器の数が多かったのは、収録を意図していたからではないか。
マーラーの交響曲には多分共通する(正確に確かめてはいないけど)のがこの管・打楽器の活躍で、6番でもまるでN響吹奏楽団に弦楽部賛助出演みたいだ。
特にトロンボーン以下中低管の重音もオルガンの如き見事なハモリが美しく、チューバの音色がこんなにきれいなものだったのか、と非常に驚いた。定期演奏会でもしばしばチューバは聴いているはずなのに、低い音、大きな音、と思うことはあっても美しい音を出す楽器だとは思っていなかった。
その賛助出演!の弦楽も力強く透明感がある。
ヤルヴィの意気込みが隅々に貫徹している様子がありあり!
N響としても力を出し切ったのではないだろうか。
なんともすごい演奏を聴いた、というのは掛け値なしの印象だ。
90周年記念で出かけるヨーローッパツアーでもこのプログラムを演奏するらしいから、CD収録に加え、日本での仕上げの意味もあったのだろう。
余談:この曲には第2-3楽章の順番に諸説あり、今回はスケルツォ〜アンダンテの順番で演奏された。
手持ちCDロリン・マゼールもエリアフ・インバルもS-Aだ。
因みに、鑑賞記録を残すようにした2014年以後の記録を見ると、
2014年3月金聖響指揮神奈川フィル⇒A-S
6月インキネン指揮日フィル ⇒S-A
となっていた。
全曲の演奏時間は80分以上あり、うち第1楽章が23分ほど、終楽章が最長で30分を要する。なので、実のところ第2楽章と第3楽章をどの順序で演奏されようとも聴いている方には迫りくる怒涛の悲劇の前のホンの静けさみたいなもので、全体の音楽がもつ構成感に余り影響しないように思うけど。
♪2017-028/♪みなとみらいホール-09