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2023年2月15日水曜日

新国立劇場オペラ「ファルスタッフ」

2023-02-15 @新国立劇場



【指揮】コッラード・ロヴァーリス
【演出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】ペーター・ペッチニック
【再演演出】三浦安浩
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

ファルスタッフ:ニコラ・アライモ
フォード:ホルヘ・エスピーノ
フェントン:村上公太
医師カイウス:青地英幸
バルドルフォ:糸賀修平
ピストーラ:久保田真澄
フォード夫人アリーチェ:ロベルタ・マンテーニャ
ナンネッタ:三宅理恵
クイックリー夫人:マリアンナ・ピッツォラート
ページ夫人メグ:脇園彩

ジュゼッペ・ヴェルディ「ファルスタッフ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第1幕・第2幕   80分
 休憩       25分
第3幕              50分



物語は単純だが真意がよく理解できないオペラが何本かあるが、これはその一つ。
2人の女性に同文のラブレターを送ったファルスタッフが、かくも女性たちから散々な目に遭わねばならないのか。それでいて、「世の中は全て冗談」と切り上げて良いのか。

「冗談だ」は登場人物に向けられたセリフなのか、客席に向けられたセリフなのか。何度観ても分からない…というか、もうそれ以上考えるのも馬鹿らしい気になって、はいはい、冗談ですよ。と自分を納得させている。

前回18年と全く同じ演出・美術だが、その時は気が付かなかったが、今回は、劇場の作品紹介動画で舞台美術について説明をしていたのを見て気が付いたのだけど、最終幕以外はフェルメールの絵画を模した美術・衣装が、登場人物や物語に、リアリティを与えている。
それで、なおさら、この話を「冗談」で済ませて良いのか!という気にさせるのは困ったものだ。

ベルディはこの最後の作品で、ようやく到達した人生哲学を披露したのだろうか?
「冗談だ」のアンサンブルは、宗教曲で使われる厳格なフーガでできていると解説に書いてある(聴いている時は全然気づかなかった!)。
何か、ベルディに担がれている気がしてならん。

♪2023-030/♪新国立劇場-03

2022年4月12日火曜日

R.シュトラウス「ばらの騎士」

2022-04-12 @新国立劇場


【指 揮】サッシャ・ゲッツェル
【演 出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】磯野睦

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】多摩ファミリーシンガーズ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【元帥夫人】アンネッテ・ダッシュ
【オックス男爵】妻屋秀和
【オクタヴィアン】小林由佳
【ファーニナル】与那城敬
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】森谷真理
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】大塚博章
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】濱松孝行
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】青地英幸
【テノール歌手】宮里直樹
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】土崎譲


R.シュトラウス「ばらの騎士」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 4時間10分
第Ⅰ幕        75分
     休憩25分
第Ⅱ幕                        60分
     休憩25分
第Ⅲ幕                        65分



残念な部分もあったが、良かったところだけ書こう。

なんと言っても、5年ぶり尊顔拝謁のアンネッテ・ダッシュが、まさに元帥夫人の気品を漲らせて◎。

テノールには重要な役が全く振られていない変わったオペラだが、役としてはなくともいいような小さい「テノール歌手」役の宮里直樹が短い出番ながら朗々と歌って◎。

ピットに入ったのはS.ゲッツェル+東フィル。

客席との仕切りが通常より低かった(東フィル仕様)ので、ゲッツェルの背中まで見えたが、彼の指揮姿が実に美しい!

その美しい指揮が東フィルから見事な響きを引き出していたように思う。ピットの音とは思えないほど弦の透明感が美しかった。
これは、ピットの仕切りが低かった事も関係しているだろう。

やはり終盤の三重唱にはゾクゾクしたが、ゲッツェルの見事な棒捌きも大いに寄与したはず。

今回、改めてR.シュトラウスの才気を感じた。

終始ウィーンワルツ風の軽やかさを保ちながら、皮肉や冗談を精密な管弦楽技法に塗り込んでいる。

余録だが、森谷真理(マリアンネ)がさほど大きな役でもないのに出演していたが、もったいないような使い方だな。

以前、森谷の元帥夫人を二期会で観たこともあるのだけど。

その一方で、人材不足も感じたよ。どの役とは言わないけど。


♪2022-049/♪新国立劇場-05

2018年12月12日水曜日

新国立劇場オペラ「ファルスタッフ」

2018-12-12 @新国立劇場


指揮:カルロ・リッツィ
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:ペーター・ペッチニック
再演演出:澤田康子
舞台監督:髙橋尚史

合唱指揮⇒三澤洋史
合唱⇒新国立劇場合唱団
管弦楽⇒東京フィルハーモニー交響楽団

ファルスタッフ⇒ロベルト・デ・カンディア
フォード⇒マッティア・オリヴィエーリ
フェントン⇒村上公太
医師カイウス⇒青地英幸
バルドルフォ⇒糸賀修平
ピストーラ⇒妻屋秀和
フォード夫人アリーチェ⇒エヴァ・メイ
ナンネッタ⇒幸田浩子
クイックリー夫人⇒エンケレイダ・シュコーザ
ページ夫人メグ⇒鳥木弥生

ヴェルディ:「ファルスタッフ」全3幕
〈イタリア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕、第Ⅱ幕80分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕50分

喜劇≒悲劇という見方があるが、「ファルスタッフ」こそ喜劇と見るには腑に落ちない。「ファルスタッフ」も喜劇風オペラに有り勝ちな、終盤の力技による大団円で「人生は全て冗談」と笑い飛ばして終わるが、真面目に物語を考えた場合、むしろ悲劇ではないか。

ファルスタッフにも十分な非があるとはいえ、テームズ川に放り込まれ、とことんバカにされるのはあんまりではないか。
それをお人好しにも仲直りして笑って済ませるのは情けない。もう一人、なんの罪もないのに槍玉に会う男もいるが、彼の名誉など、物語は全く考慮しない。

原作はシェークスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」だそうだ。これを読んでいないので、なんとも言えないが、シェークスピアがこんな手抜きの物語を書いたとは思えないから、オペラの台本にするときに換骨奪胎したのではないだろうか。

79歳になった大オペラ作家ヴェルディには、最後の力を振り絞るに当たって何か感ずるところがあったのだろうな。

音楽的には、拍子違いの九重唱、最後は十人+合唱によるフーガも登場させて音楽的にやり尽くした感のあるヴェルディ最後の歌劇は、口ずさめるような名調子のアリアもなく、同年生まれで既に世を去さっていたワーグナーのオペラのように、セリフのような歌を連続させて、次代の歌劇の魁となった事は音楽を聴きながら成る程と思った。

ナンネッタを演じた幸田浩子が、大柄な他の歌手たちの中にあって、ひときわ小さくて可愛らしかった。身体は小さいながらもよく通るソプラノは埋没することなく光っていた。

♪2018-168/♪新国立劇場-13

2017年12月6日水曜日

オペラ「ばらの騎士」

2017-12-06 @新国立劇場


指揮:ウルフ・シルマー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳イ:ザベラ・バイウォーター
照明:磯野 睦

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

元帥夫人:リカルダ・メルベート

オックス男爵:ユルゲン・リン
オクタヴィアン:ステファニー・アタナソフ*
ファーニナル:クレメンス・ウンターライナー
ゾフィー:ゴルダ・シュルツ
マリアンネ:増田のり子
ヴァルツァッキ:内山信吾
アンニーナ:加納悦子
警部:長谷川顯
元帥夫人の執事:升島唯博
ファーニナル家の執事:秋谷直之
公証人:晴雅彦
料理屋の主人:加茂下稔
テノール歌手:水口聡
帽子屋:佐藤路子
動物商:青地英幸
  ダニエラ・シンドラムの代役*
       
R.シュトラウス:「ばらの騎士」全3幕〈ドイツ語上演/字幕付〉

6月ジークフリートで好感したR.メルベートが元帥夫人だったからという訳でもないが、最終幕の重唱がこれ程胸を打ったのは初めて。
R.シュトラウスがいやが上にも煽りたてる複雑な愛の三重唱と繊細に愛を語る二重唱の対比が見事。

7月にも二期会公演を観たが、演出、舞台美術で格違いを感じた。


♪2017-195/♪新国立劇場-09