2018年12月12日水曜日

新国立劇場オペラ「ファルスタッフ」

2018-12-12 @新国立劇場


指揮:カルロ・リッツィ
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:ペーター・ペッチニック
再演演出:澤田康子
舞台監督:髙橋尚史

合唱指揮⇒三澤洋史
合唱⇒新国立劇場合唱団
管弦楽⇒東京フィルハーモニー交響楽団

ファルスタッフ⇒ロベルト・デ・カンディア
フォード⇒マッティア・オリヴィエーリ
フェントン⇒村上公太
医師カイウス⇒青地英幸
バルドルフォ⇒糸賀修平
ピストーラ⇒妻屋秀和
フォード夫人アリーチェ⇒エヴァ・メイ
ナンネッタ⇒幸田浩子
クイックリー夫人⇒エンケレイダ・シュコーザ
ページ夫人メグ⇒鳥木弥生

ヴェルディ:「ファルスタッフ」全3幕
〈イタリア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕、第Ⅱ幕80分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕50分

喜劇≒悲劇という見方があるが、「ファルスタッフ」こそ喜劇と見るには腑に落ちない。「ファルスタッフ」も喜劇風オペラに有り勝ちな、終盤の力技による大団円で「人生は全て冗談」と笑い飛ばして終わるが、真面目に物語を考えた場合、むしろ悲劇ではないか。

ファルスタッフにも十分な非があるとはいえ、テームズ川に放り込まれ、とことんバカにされるのはあんまりではないか。
それをお人好しにも仲直りして笑って済ませるのは情けない。もう一人、なんの罪もないのに槍玉に会う男もいるが、彼の名誉など、物語は全く考慮しない。

原作はシェークスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」だそうだ。これを読んでいないので、なんとも言えないが、シェークスピアがこんな手抜きの物語を書いたとは思えないから、オペラの台本にするときに換骨奪胎したのではないだろうか。

79歳になった大オペラ作家ヴェルディには、最後の力を振り絞るに当たって何か感ずるところがあったのだろうな。

音楽的には、拍子違いの九重唱、最後は十人+合唱によるフーガも登場させて音楽的にやり尽くした感のあるヴェルディ最後の歌劇は、口ずさめるような名調子のアリアもなく、同年生まれで既に世を去さっていたワーグナーのオペラのように、セリフのような歌を連続させて、次代の歌劇の魁となった事は音楽を聴きながら成る程と思った。

ナンネッタを演じた幸田浩子が、大柄な他の歌手たちの中にあって、ひときわ小さくて可愛らしかった。身体は小さいながらもよく通るソプラノは埋没することなく光っていた。

♪2018-168/♪新国立劇場-13