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2024年10月9日水曜日

新国立劇場オペラ「夢遊病の女」

2024-10-09 @新国立劇場



指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】バルバラ・リュック
【美術】クリストフ・ヘッツァー
【衣裳】クララ・ペルッフォ
【照明】ウルス・シェーネバウム
【振付】イラッツェ・アンサ
    イガール・バコヴイッチ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ロドルフォ伯爵⇒妻屋秀和
テレーザ⇒谷口睦美
アミーナ⇒クラウディア・ムスキオ
    (ローザ・フェオラの代役)
エルヴィーノ⇒アントニーノ・シラグーザ
リーザ⇒伊藤晴
アレッシオ⇒近藤圭
公証人⇒渡辺正親

ヴィンチェンツォ・ベッリーニ:
歌劇「夢遊病の女」<新制作>
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ幕
 85分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕
 65分




数百回エルヴィーノを歌っているというAシラグーザ、今夏他劇場でアミーナ・デビューしたというCムスキオによるベルカント特有の超高域・広域やくどいほどの過剰装飾を楽しんだ。

特に、ムスキオはウエスト・サイド物語のナタリー・ウッドを想起させる痩身美形で、役柄との乖離がなく(健康優良児のようなミミ!)、ローザ・フェオラの降板を残念に思っていたが十分満足させる良いピンチヒッターだった。

ラストシーンはいろんな演出があるらしいが、今回は含みを持たせた。これがどうも納得できない。

夢遊病を深刻に捉え過ぎで(それを表すバレエも何度も登場して鬱陶しい)、若い女性の一時的な症状と捉えられないのか?
めでたしめでたしの大合唱で物語は終わるのだから素直にハッピーエンドにしておけば良かった。


余談:アミーナが夢を見ながら歌う水舎小屋の屋根裏部屋から外に突き出たバルコニーの場面。
こんな高いところに立つだけでも恐ろしい。
4〜5mはありそうな高所作業だよ。手すりをつけるか命綱をしてほしいね!

それが何にもなしで動き回って歌うのだ。僕ならとても怖くて立つだけでも足がすくむよ。


唯一ディスクを持っているMET(2009)の演出では、舞台からピットに飛び出た狭い水泳の飛び込み板のようなところでNデセイが歌うのだが、これも見ていても怖い。

アミーナの役は歌唱の困難さだけでなく、歌う場所も困難だよ。

♪2024-137/♪新国立劇場-10

2024年7月10日水曜日

新国立劇場オペラ「トスカ」

2024-07-10 @新国立劇場



【指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
【美術】川口直次
【衣裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
【照明】奥畑康夫

【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

トスカ⇒ジョイス・エル=コーリー
カヴァラドッシ⇒テオドール・イリンカイ
スカルピア⇒青山貴
(ニカラズ・ラグヴィラーヴァの代役)
アンジェロッティ⇒妻屋秀和
スポレッタ⇒糸賀修平
シャルローネ⇒大塚博章
堂守⇒志村文彦
看守⇒龍進一郎
羊飼い⇒前川依子

ジャコモ・プッチーニ:歌劇「トスカ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間55分
第Ⅰ幕
 50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕
 45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕
 30分







東フィル・冒頭のブラスが美しくて、それだけでまずは惹き込まれた。

…と気持ちよくスタートしたが、物語が始まると、過去何度も新国立劇場版を観ているが、これまで気が付かなかったのか、今回独自の演出なのか?堂守の演技に違和感を持った。片足を引き摺っている。なぜ、障がい者の役にする必要があるのか?この意味不明の安易な姿勢に出鼻を挫かれた。

それ以外は、いつも満足度が高い。
(放送・録画を含め)いろんな「トスカ」を観てきたが、舞台装置の立派さは新国版に及ぶものはないと思う。

全幕豪勢だが、特に1幕終盤の「テ・デウム」のシーンは圧倒的だ。同じ新国の「アイーダ」2幕より好きだ。新国版「アイーダ」は全篇紗幕の中で進行するという訳の分からない演出(ゼッフィレッリ)が大嫌い!

今回に限っては、トスカ役ジョイス・エル=コーリーが美形でトスカにハマり役だった。
カヴァラドッシのテオドール・イリンカイは前に「トゥーランドット」で聴いているが、今回も良かった。

特筆は、N.ラグヴィラーヴァの代役でスカルピアを歌った青山貴かな。海外勢に引けを取らない憎々しげで堂々たる演唱だった。

つまり、堂守の演技プランはBooだがそれを除けば、すべて水準以上で満足できたのだけど、アンジェロッティ役の妻屋秀和氏がTwitterでBooが入ったと嘆いていたが、僕には聞こえなかったなあ。

本作で今季は完了だ。
今季は「シモン・ボッカネグラ」、「エフゲニー・オネーギン」、「トリスタンとイゾルデ」、「コジ・ファン・トゥッテ」と1本おきに秀作が続き「トスカ」が有終の美を飾った。

♪2024-099/♪新国立劇場-09

2023年5月31日水曜日

新国立劇場オペラ:ヴェルディ「リゴレット」

2023-05-31 @新国立劇場



指揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演出】エミリオ・サージ
【美術】リカルド・サンチェス・クエルダ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【リゴレット】ロベルト・フロンターリ
【ジルダ】ハスミック・トロシャン*
【マントヴァ公爵】イヴァン・アヨン・リヴァス
【スパラフチーレ】妻屋秀和
【マッダレーナ】清水華澄
【モンテローネ伯爵】須藤慎吾
【ジョヴァンナ】森山京子
【マルッロ】友清崇
【ボルサ】升島唯博
【チェプラーノ伯爵】吉川健一
【チェプラーノ伯爵夫人】佐藤路子
【小姓】前川依子
【牢番】高橋正尚
 *2019「ドン・パスクワーレ」ノリーナ

ジュゼッペ・ヴェルディ「リゴレット」<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
第1幕 60分
 休憩 30分
第2-3幕 70分



「リゴレット」はヴェルディの中でも人気作なのか?
我が家のオペラ・ディスク・コレクションにヴェルディは60枚あって、一番多いのが「椿姫」11枚。次が「アイーダ」8枚。そして堂々3位が「リゴレット」の7枚。全部TV録画だからそれだけ放映される機会が多いという事だ。そして、観賞機会が多い。

ま、オペラとしては、聴きどころがとても多い。独唱・二重唱・三重唱・四重唱・合唱と手を変え品を変えて繰り出されるので膨満感すら感ずるところがある。胃薬が必要か。

でも、そんなに面白いかというと難しい。これは僕の理解力が不足しているのかもしれないが。

物語は、呪いに始まり呪い(の成就)で終わる。
呪いをかけたモンテローネの恨みが激しくは描かれないので呪いに説得力が不足。また、呪いの1番の矛先はマンドヴァ公爵に向けられているはず(リゴレットへの呪いは”ついで”)なのに、リゴレットの生きがいそのものである唯一の善人・純粋無垢のジルダが死んでリゴレットは身を切られるより辛い。一方で、公爵はなんのお咎めもなしで、呑気に「女心の歌」を歌って幕だ。

「呪い」の話にしては線が弱く、勧善懲悪でもない。
つべこべ言わずに歌を、音楽を楽しめば良いのか。



ジルダ役のハスミック・トロシャンは2019「ドン・パスクワーレ」ノリーナに引き続き今回も素晴らしい。
いや、歌手陣はみんな素晴らしかった。

「サロメ」と掛け持ちの東フィルは、音楽がだいぶ違うので、昨日と比較はできないけど、今日も十分に楽しめた。

指揮はMETをよく振っているマウリツィオ・ベニーニだ。
本格的な音楽を聴かせてもらったというくらいしか分からないのだけど、東フィルにとっては大きな財産になるのだろうな。

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新制作ということだが、新国立劇場では、初めて制作すれば「新演出」というらしい(世界的にそういう扱いが普通なのかもしれないが)。でも、この舞台美術と演出はスペインのバルビオ・オペラで上演済みで、今回は、上演の権利とともに大道具・小道具などを買取ったのだそうだ。てことはこの先何年もこのバージョンを観ることになる。
なら、今後は少し手を加えてもう少し舞台を明るくしてほしいね。
また、女心の歌は袖から歌うのではなく舞台で歌ってほしいよ(僕の知る限り、世界の全ての演出で、袖で歌わせているが。)。リゴレットと目を合わせなきゃ、何も袖で歌わせることないと思うよ。

♪2023-097/♪新国立劇場-10