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2025年5月24日土曜日

青山シンフォニーオーケストラ 第37回定期演奏会

2025-05-24 @ミューザ川崎シンフォニーホール



横島勝人:指揮
青山シンフォニーオーケストラ
町田正行:チェロ*

モーツァルト:交響曲第25番ト短調 K.183
エルガー:チェロ協奏曲ホ短調 Op.85*
ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 OP.88
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カザルス:鳥の歌*
ドボルザーク:スラブ舞曲第10番
ヘンデル:ラルゴ





青山オケって聞いたこともないけどアンタどこのだれ?
という感じで、たぶんアオガク関係者のOBオケだろうなと思っていたが、事前に調べなかったので情報はなく、本番のプログラムにも何に書いてない。帰宅後NETでHPをみて初めて正体が分かったが、予想どおりだった。
アオガクOBオケが母体で、今は、広く同好の士を募っているみたいだけど、青山と名乗る以上、全く無関係では入りにくいだろうな。

定期演奏会は年に1回というから、まあ、多くの弱小アマオケの一つなんだろうな。

チケットを買った当時は、そういう事情も知らなかった。
偏に、エルガーのVc協を聴きたかったからだ。

過去平均では、2.5年に1回の割で聴いている。前回が22年1月都響だったので、まあ、平年ベースなのだけど、最近、この胸を掻きむしられるようでつらくてたまらない激しい音楽に飢えている?というか、なかなか決定版が聴けないのだ。

それで、青山の何たるかはどうでもいいから、聴くことにした。

今日、初めて聴いたオケだが、まずは全体が高水準。
指揮者も初めてだが、ちょいちょい見せる独自解釈が聴き慣れたものとは違うというだけで、あれも悪いとも言えないだろう。ただ、エルガーは、なんかまとまりに欠け求心力がなかった。ドボ8に至れば、一層入り込めなかった。

その、エルガーだが、独奏者はもちろん初めて。華々しい経歴もないけど、主として指導者として活躍をしている人らしい。このオケのトレーナーでもあるという。

久しぶりにスポットライトを浴びたのだろうけ、いやはや上手なものだ。何より、音が美しい。はじめて宮田大を聴いた時の驚きを彷彿とさせる美音の連続。

しかし、いつ、誰を聴いても、問題は、独奏がオケに負けているということだ。

これは、もう、どうにもならないと思うよ。
ピアノ以外、オケと対等に鳴らすなんてできない。

PAを使うのは邪道だけど、協奏曲ではやむを得ない。
思い切って、マイクで拾って生々しい音を増幅してみてはどうだろう。ギターではそういう試みを聴いたことがある。チェロでも(超現代曲ではあったが)PAを使った協奏曲を聴いた。
そりゃあもう安心だよ。
ヤニの飛び散る音を拾って増幅してくれえ!

♪2025-067/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2022年6月14日火曜日

シャルル・デュトワ指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 創立50周年特別演奏会

2022-06-14 @すみだトリフォニーホール



シャルル・デュトワ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
上野通明:チェロ*

バーバー:弦楽のためのアダージョ op. 11
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 op. 107*
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op. 64
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カザルス編:鳥の歌*


どんな名匠が振ろうとオケはオケ。急に巧くなる筈も無いが、指揮者によって出来具合の振幅変化はある。

で、今日の新日フィル。

驚いたよ。
出来具合測定メーターの針が<上出来>に振り切れてしまった。

バーバーの第一声が美しすぎて、そこで先ずやられた。

デュトワがオケを掴んだのか、オケが掴まれたのか、両者一体となって精妙な音楽がスキなくジワッと広がっていった。この心地良い緊張感は久しぶりに味わう。
新日フィルの弦がこんなにも透明感のある音を出すのか!
これはもうデュトワ・マジックとでも言わざるを得ない。
暫し陶然。

今回最大の楽しみはショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番。この曲にはショスタコの魅力が缶詰になっていると思っている。
中でも第2楽章の哀愁。
長音階を巧みに避けて外しながら調性はぎりぎり残している芸当。
大昔、チェロを習っていた時の発表会で、先生の用意した曲を嫌ってこの楽章の主要部分をチェロ二重奏に編曲して弾いたが、先生もよく伴奏してくれたものだ。そんな思い出のある曲だが、なかなか生では聴く機会が少ない。

上野君は過去何度も聴いているが全て室内楽ばかりで、今回初めて協奏曲を聴いた。

できれば避けたい客席の一桁列の効果は利・不利あるが、今回は利が上回った。フラジオの蚊の鳴くような最弱音からヤニの飛び散るような最強音まで縦横無尽のダイナミック・レンジがこの曲の魅力を最大限に発揮した。
ホルンとの二重協奏曲風なこの曲ではホルン首席の日高氏もここぞと美音を轟かせた。

メインのチャイコフスキー交響曲第5番も実に迫力があった。
これはオケに近い席だったから、音圧が高かったから、ということもあるが、音のせいだけではない。
普段は表情まで読み取れない団員の集中力が客席にも伝わり、音楽にかける意気込みの神々しい雰囲気さえ味わった。

確実に、今日の演奏会は、特別な経験となった。

良い演奏を聴くのは幸福なことでもあるが、この後に膨大な残念会が控えているとも言える。


♪2022-087/♪すみだトリフォニーホール-05

2021年10月16日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 横浜第371回定期演奏会

2021-10-16 @カルッツかわさき



アレクサンドル・ラザレフ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

宮田大:チェロ*

ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 op.104
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73
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カザルス編:鳥の歌*
ブラームス:ハンガリー舞曲第2番二短調


18年の秋以来(記録ミス?)という久しぶりのラザレフはかなり劇的!に登場した。

オケより早く1人で登場してパントマイムショーで客席を笑わせたが、どうやら待機期間が不足していたらしい。

入退場は孤独に、指揮台周りは広く侵入禁止エリアが設定されていていた。


先月のPヤルヴィの場合はまろ氏が付き添っていたが、ラザレフは芸人だから1人無言コントで終演まで間を持たせ客席を沸かせた。


指揮台と独奏者宮田大との距離は間にVn1プルト入れても余るくらい離れている。コンマスは遥かに遠い。そのせいもあったか、ドボコンの出来はイマイチだった。


会場の響きの悪さが第一の原因で、音楽が薄っぺらく聴こえてしまう。宮田の音の良さは何度も経験しているが、カルッツではその美音に潤いがない。オケの響きも同様にとてもドライだ。


しかし、一方で気づきもあった。

ホールの響きが悪いと演奏だけでなく作品の出来まで露見させてしまう…ドボルザークとブラームスの音楽の差だ。


後半のブラームス交響曲第2番は、響きのハンデを乗り越えてしまう重厚なアンサンブルに圧倒される思いだった。これぞ本来の日フィルの底力。ラザレフは見事にそれを引き出していた。久しぶりとは言え、彼の指揮で聴くのはずいぶん回数を重ねているが、今日は、この人の底力も強く感じた。素晴らしい音楽を聴かせてくれた。終曲時に、これは珍しいことではないが、タクトを振り下ろすと同時にくるりと身を翻して客席にドヤ顔を見せる。いやはや、今日の演奏は本気でドヤ顔が似合ったよ。


ところで、ドボルザークとブラームスは管弦楽に対する考え方・作曲技法等に違いがあるのは当然として、それが作品に刻印されているが、決定的には才能が違うのではないか。

それゆえに顕れる音楽そのものの持つ力の差を、響の悪いホールのお陰で感じ、今更乍らブラームスの偉大さが身に沁みた。


♪2021-112/♪カルッツかわさき-02

2021年7月26日月曜日

フェスタサマーミューザ2021 東京都交響楽団 ≪アジアの新星と都響がミューザで出会う≫

2021-07-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



カーチュン・ウォン:指揮
東京都交響楽団
岡本侑也:チェロ*

リスト:交響詩「前奏曲(レ・プレリュード)」
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲*
―休憩〔20分〕―
ドボルザーク:交響曲 第9番「新世界から」
-----アンコール-----
カザルス:鳥の歌*
ドボルザーク:スラブ舞曲作品46 第8番


今年はオーケストラ・セット券ではなく、平日昼/夜8公演のセット券と1回券を2公演買った。

僕にとって今日が FestaSummerMuza2021 の第1日目。


カーチュン・ウォンは過去2回聴いていずれも好演だったので、今回も楽しみだった。果たして、第1曲冒頭のアンサンブルの見事なこと!


大いに気を良くして2曲目。

岡本侑也のチェロでロココ風〜がこれまたすごい。

弦の編成は1-3曲が14型だが、ロココだけは10-8-6-5-3と都響には珍しくコンパクトで、これがVcを良く引き立てた。

岡本くんは初聴きだが見事に美しい音色だ。

オケに埋もれることなく悠々たる弾きっぷり。

アンコールの鳥の歌も上等!


ドボルザーク交響曲第9番「新世界から」もアンサンブルが美しい。

これがあの都響か?と思う程美しい。

一つにはカーチュン・ウォンの彫琢が行き届いていたのだろうが、ミューザの音響の良さも大いに奏功しているはず。


指揮振りは正統派だが、終楽章に至って、ちょっと独自な美学を発揮した。好みじゃないけど悪くはなかった。


♪2021-074/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-016


2019年11月22日金曜日

新日本フィル:#27ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

2019-11-22 @すみだトリフォニーホール


キンボー・イシイ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

山崎伸子:チェロ*

シューベルト:交響曲第1番ニ長調 D82
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 op. 33*
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調 op. 67「運命」
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カザルス:鳥の歌*

新日フィルの指揮は太田弦から急遽変わってキンボー・イシイ。
シューベルト交響曲第1番、チャイコフスキーのロココ風の主題による変奏曲にベートーベン交響曲第5番。
癒しコンサートだった。

「運命」は全体にUPテンポだったが、処々にルバートを効かせたのが安っぽく感じた。僕の気分ではインテンポで走って欲しい。

今年は「運命」当たり年だった。
飯守+日フィルには刮目した。
小泉+神奈川フィルの全編煽り運転も痺れた。
井上+都響は井上流外連を効かせた。

そんな後のイシイ+新日フィルは平凡に良し。

♪2019-184/♪すみだトリフォニーホール-04

2019年10月17日木曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2019後期 〜「ウィーン、我が夢の街」 フランツ・バルトロイ チェロ・リサイタル

2019-10-17@みなとみらいホール


フランツ・バルトロメイ:チェロ*
後藤泉:ピアノ

J.S.バッハ:ビオラ・ダ・ガンバソナタ第3番ト短調 BWV1029(チェロ編)
メンデルスゾーン:チェロソナタ第2番ニ長調 op.58
シューマン:アダージョとアレグロ op.70
ブルッフ:コル・ニドライ op.47
サン=サーンス:白鳥
クライスラー:愛の悲しみ/美しきロスマリン
ジーツィンスキー:ウィーン我が夢の街 
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シベリウス:悲しきワルツ
カザルス:鳥の歌

3年半前に同じみなとみらいホールで聴いた。
ウィーンフィルで首席ソロ・チェロを39年勤めたそうだ。
音色は美しいし、腕は確かで、危なげがないというのは失礼だが、模範演奏のように完璧な感じがする。派手派手しいものは何にもなくて、気持ち良く名曲を楽しんだ。

アフタヌーンコンサート2019後期全5回のうちのひとつとして聴いたが、個別ならもういいかな。ちょっと名曲コンサート過ぎて面白みには欠けたなあ。

♪2019-160/♪みなとみらいホール-45

2016年7月2日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第319回横浜定期演奏会

2016-07-02 @みなとみらいホール



アレクサンドル・ラザレフ:首席指揮者
辻本玲:チェロ[日フィル・ソロ・チェロ]*
日本フィルハーモニー交響楽団

ドボルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104*
ドボルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88
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アンコール
パブロ・カザルス編:鳥の歌*
ドボルザーク:スラブ舞曲作品72 第2番マズルカ


今日は今季の最終回。ラザレフにとっては首席指揮者として最後の横浜定期だ(次季からは桂冠指揮者兼芸術顧問)。
全ドボルザークプログラム。

独奏チェロの辻本玲は2015年6月から日フィルのソロ・チェロ。
これまでにも定期演奏会で聴いていたのだろうがソロは初めて。
まだ30歳代前半らしい。
楽器はNPO邦人から貸与されたストラディバリウス。
というせいでか、確かにチェロの音はきれいだ。これまで聴いたソロ・チェロの音の中でもベスト5には入りそう。
しかし、あまりにきれいな音で、欲を言えば野性味が欲しかったな。

しかし、今日の日フィルは我が耳を疑う見事なアンサンブルだった。仲間のソロを盛り上げようという気合が入っていたのか、今季最後で爆発したのか、協奏曲のみならず交響曲第8番も文句のつけようのない出来で今季の、そして首席指揮者ラザレフの有終の美を飾った。

これまで聴いた日フィルの演奏の中でベストかもしれないな。

♪2016-091/♪みなとみらいホール-23

2016年4月14日木曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2016前期 ≪ウィーンのチェロ≫フランツ・バルトロメイ チェロ・リサイタル

2016-04-14 @みなとみらいホール


フランツ・バルトロメイ:チェロ*
後藤泉:ピアノ

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009*
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
シューマン:幻想小曲集 作品73(全3曲)
ベートーベン:魔笛「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲
サン=サーンス:「動物の謝肉祭」から「白鳥」
J.シュトラウスⅡ:ロマンス第1番ニ短調作品243/同第2番ト短調作品255
クライスラー:美しきロスマリン/愛の悲しみ
ルドルフ・ジーツィンスキー:ウィーン、我が夢の街
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アンコール
カザルス編:「鳥の歌」
*のみチェロ独奏

フランツ・バルトロメイというチェリストの存在は知らなかった。
今期から始まったみなとみらいホール主催の「アフタヌーンコンサート2016」の第1回目に取り上げられたので聴きに行った。いわば、お仕着せだ。

フランツ・バルトロメイは数年前までウィーン・フィルの首席チェリストだったそうだ。
たまたま、このコンサートの後、自宅で数日前のNHKBS「クラシック音楽館」で放映されたニコラウス・アーノンクールの追悼番組の録画を観ていたら、2006年のウィーン・フィルを率いての日本公演で、フランツ・バルトロメイは確かに首席に座っていた。

随分盛りだくさんの内容で、本篇最後のルドルフ・ジーツィンスキーの作品は初聴きだった(そもそもこういう作曲家がいたことを知らなかった。)が、それ以外は耳に馴染んだものばかりでいずれも楽しめた。


ただ、数日前にベルリン・フィルのメンバーによる室内楽を聴いた際に(東京文化会館小ホール)彼らの豊かな音色と音量と明瞭な音楽が素晴らしかったので、つい比較して、やや物足りなさを感じてしまったが、これは大ホールでのチェロ(とピアノ)の演奏であるから、本来は比較するのは適切ではないのだろう。

物足りなさは、あまりに優しい音色と表現で、例えば、チェロの低弦がガリッと脂を飛ばすような凄み(が魅力的だ)が全く無く、ひたすら穏やかに美しい。もう少し、ケレン味のある弾き方をしても良かったのではないかと思った。

が、最後にアンコールで「鳥の歌」を聴いた時、その穏やかさが見事にピッタリとハマって素晴らしい演奏だった。
こういう弾き方は彼のスタイルなのだ、と思ったら、ストンと腑に落ちた。


♪2016-044/♪みなとみらいホール-13