ラベル ◎心中天網島 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ◎心中天網島 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年2月8日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 近松名作集第Ⅰ部 心中天網島

2023-02-08@国立劇場


第一部
(11:00時〜14:32)
近松門左衛門=作
心中天網島 (しんじゅうてんのあみじま)
◎北新地河庄の段
 中 睦太夫/勝平
 切 千歳太夫/富助
◎天満紙屋内の段
 口 希太夫/友之助
 奥 藤太夫/團七
◎大和屋の段
 切 織太夫(咲太夫の代理)/燕三
◎道行名残の橋づくし
 小春  芳穂太夫
 治兵衛 小住太夫
     亘太夫・聖太夫
      /錦糸・寛太郎・清公・清允・清方

************************
人形役割
紀伊國屋小春⇒清十郎
花車⇒紋秀
江戸屋太兵衛⇒玉助
五貫屋善六⇒簑紫郎
粉屋孫右衛門⇒玉也
紙屋治兵衛⇒玉男
女房おさん⇒和生
倅勘太郎⇒勘昇
おさんの母⇒蓑一郎
舅五左衛門⇒玉輝


今月は近松名作集だ。誰の作であれ、一般的に時代物は荒唐無稽なものも少なくないが、世話物はリアルな筋立てで密度が高い。特に近松の心中物は話の歯車が外れない。

今回で3度目だが成程巧くできていると感心できたのは一歩理解が深まったか。

構成や詞章の巧さには感心できても、相変わらず、主人公の紙屋治兵衛には全く共感できない。こんな甲斐性なしの男に惚れた挙句心中する遊女小春にも同情できない。
すると、話の中心は治兵衛の女房おさんにあるな、と今回思い至った。彼女を軸に据えて脳内再構成すると話に求心力が出てきそう。

最終段「道行名残の橋づくし」は、良くできている。
ここへ来て浄瑠璃も太夫4人に三味線5人と大編成になる。
終始暗い舞台で、2人の情死行が渡る橋の名を織り込んだ義太夫節が流れる中、遂に、網島の寺の境内で全うする。少し離れて絶命するのはおさんへの気遣いらしい。
この絵が美しい。

♪2023-024/♪国立劇場-02

2019年11月20日水曜日

国立文楽劇場開場35周年記念11月文楽公演 第1部「心中天網島」

2019-11-20 @国立文楽劇場


心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)
 北新地河庄の段
  織太夫/清介
  呂勢太夫/清治
 天満紙屋内の段
  希太夫/清馗
  呂太夫/團七
 大和屋の段
  咲太夫/燕三
 道行名残の橋づくし
  三輪太夫・睦太夫・靖太夫・小住太夫・
  文字栄太夫/ 
  清友・團吾・友之助・清公・清允

 人形役割
  紀伊国屋小春⇒簑二郎
  粉屋(こや)孫右衛門⇒玉助
  紙屋治兵衛⇒勘十郎
  女房おさん⇒清十郎
         ほか

「心中天網島」は9月に東京で観たばかりだが、せっかく大阪に行くのだからこちらも鑑賞。

演者が少し変わった。
東京では小春を和生が遣ったが大阪では河庄の前後半で簑二郎・簑助が勤めた。
太夫・三味線も変わったが河庄奥の呂勢太夫・清治、天満紙屋奥の呂太夫・団七、大和屋切の咲太夫・燕三といった重要な場面は同じ配役だった。

唯一人の切り場語り咲太夫は何度も聴いているけど、この秋、人間国宝に指定されてからは初めてということになる。ますます、ありがたみが増したような…。

甲斐性なしの紙屋治兵衛28歳。
惚れてしまった遊女小春18歳。
いずれも数えだから現代風ではもうちょっと幼い。
巻き込まれた女房おさんこそ大迷惑。

治兵衛らに同情はできないが、その心中場面。
先に殺めた小春から抜き取った真っ赤な帯揚げ?で首を括る治兵衛。
この絵の美しさが哀れを引き立たせる。

咲太夫
♪2019-183/♪国立文楽劇場-4

2019年9月19日木曜日

人形浄瑠璃文楽令和元年09月公演 第1部 心中天網島

2019-09-19 @国立劇場


心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)
 北新地河庄の段
  三輪太夫/清志郎
  呂勢太夫/清治
 天満紙屋内の段
  津国太夫/團吾
  呂太夫/團七
 大和屋の段
  咲太夫/燕三
 道行名残の橋づくし
  芳穂太夫・希太夫・小住太夫・亘太夫・碩太夫/ 
  宗助・清丈・寛太郎・錦吾・燕二郎

 人形役割
  紀伊国屋小春⇒和生
  粉屋(こや)孫右衛門⇒玉男
  紙屋治兵衛⇒勘十郎
  女房おさん⇒勘彌
    ほか

妻子有28歳紙屋治兵衛が曽根崎新地の19歳遊女小春に入れあげ、女房おさんは苦しみつつも亭主の顔を立て、小春もおさんと治兵衛の情の板挟みで身動き取れず。
恋・金・義理・人情が絡んでほぐれずどうにもならぬと落ちてゆくも哀れなり。

「道行名残の橋づくし」の義太夫に乗せて、難波の川端彷徨って遂には網島・大長寺で情死する。治兵衛と小春は身から出た錆とは言えるが、おさんがあまりに可哀想。4時間近い大曲だが救いのない話に悄然と劇場を出る。

♪2019-141/♪国立劇場-11