2022年4月27日水曜日

横浜18区コンサート 第Ⅱ期 広瀬悦子(ピアノ)×東京交響楽団メンバー(弦楽五重奏)

2022-04-27 @はまぎんホールヴィアマーレ



東京交響楽団メンバー (弦楽五重奏)
 バイオリン:水谷晃CM、鈴木孝司
 ビオラ:多井千洋
 チェロ:蟹江慶行
 コントラバス:渡邉淳子

広瀬悦子:ピアノ*

吉松隆:アトム・ハーツ・クラブ組曲第1番 Op.70b
モーツァルト:アダージョとフーガ ハ短調 K.546
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番卜長調 Op.58(ヴィンツェンツ・ラハナー編曲版)*
----アンコール-----
フェルディナント・リース:ピアノ六重奏曲 ハ長調 Op.100から 第3楽章*


最初の2曲は弦楽五重奏のみでの演奏。
吉松隆:アトム・ハーツ・クラブ組曲第1番は、原曲の弦楽四重奏で聴いたことがある。
組曲は作曲家自身が弦楽合奏に仕立てたものだそうだが、今日はそれを五重奏で演奏。ピンク・フロイド+エマーソン、レイク&パーマーにビートルズを掛け合わせたような感じ?
聴いていても元気で面白いが、演奏する方が面白そう。

次がモーツァルト:アダージョとフーガ ハ短調 K546。
弦楽四重奏版のCDは持っているが四重奏であれ、五重奏であれ生で聴くのは初めて。
珍しい短調もの。
上三声対低弦の対比で動いてゆくが、コンバスが入っているだけに低域が一層重々しく劇的だ。その時点で既にモーツァルトらしくなく、フーガに入ってからもまるでベートーベンの作品かと思った。深く、重い。聴けて良かったよ。

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番。
この18区シリーズでは毎回バイオリンかピアノの協奏曲を弦楽五重奏をバックに演奏する。
オケと異なり、独奏楽器と協奏部?の役割や絡みが明快で、とても新鮮に楽しめる。

今日はお陰で新発見…というか、これ迄何を聴いていたんだということだが、第2楽章のピアノと弦5部の対話の妙なる事!

もう、両者のやりとりを息を潜めて聴き入った。それ自身とてもスリリングでワクワクさせるが、続いて(アタッカ?)終楽章に入った時にこれまでと景色が違ったような気がしたよ。
今更ながら名曲だと大いに得心した。

広瀬悦子は5年ぶりに聴いたが、小編成なのにスケールの大きい演奏に好感した。

アンコールがベートーベンの秘書をしていたというフェルディナント・リースのピアノ六重奏曲 Op100から第3楽章(第2楽章かもしれない)が初聴きだったが、実に面白かった。

ドイツ人によるアイルランド民謡「庭の千草」を主題にした変奏曲?だが、ベートーベンの影響を受けか、情緒的にならず、どっしりとドイツ・ロマン派ぽくて面白い。

もう一度聴いてみたいと思い、帰宅後YoutubeやAmazonで調べたが発見できなかった。

♪2022-061/♪はまぎんホールヴィアマーレ-01

2022年4月24日日曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第85回

2022-04-24 @ミューザ川崎シンフォニーホール



リオネル・ブランギエ:指揮
東京交響楽団

リーズ・ドゥ・ラ・サール:ピアノ*

サロネン:ヘリックス
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調*
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)
------------------------
ショパン:夜想曲 No.20嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッショーネ」 遺作


今日の作曲家と演奏家の国を並べると🇫🇷、🇫🇮、🇷🇺で、🇷🇺の🇺🇦侵攻絵図が思い浮かぶ。
なんとか収めようとした🇫🇷のマクロンは今やその地位も危なくなっている?
🇫🇮はNATO加盟にまっしぐら。
🇷🇺の悪あがきはもう哀れを誘う。

ところで、今日のコンサートマスターはGニキティン(ロシア人)だった。彼の心中や如何にと心配をしていたが、案の定、いつもの笑顔が全く影を潜めて気の毒な具合だった。体調が悪かっただけかもしれないが。

4曲は、いずれも20-21世紀の作品ばかりのせいか、弦より管打の編成が相対的に大きく、活躍する曲なので、弦の聴き処が少なかったが、そういう音楽なのだから仕方がない。

指揮のブランギエは前に東響で聴いていたが、ピアノのドゥ・ラ・サールは初聴き。偉くおとなしい演奏で、繊細で丁寧(Encショパンはいい感じ!)だけど、もう少し荒々しさも欲しかったな。あれじゃゴジラも怖くない。

本日のメインディッシュは「火の鳥(1919年版)」。
これはホンに良かった。

以前は45年版を聴く機会も少なくなかったが、21年以降は今日で5回目だが、すべて19年版だ。一種の流行りなのだろうか。

尤も、何が違うかと言われても良く分かっていないし、特に「王女たちのロンド」以降は同じに聴こえたけど違うのかな?

♪2022-060/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14

2022年4月23日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第376回横浜定期演奏会

 2022-04-23 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ピエタリ・インキネン[首席指揮者]
日本フィルハーモニー交響楽団

シベリウス:交響詩《エン・サガ》op.9
ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調 op.36
ベートーベン:交響曲第4番 変ロ長調 op.60


同日に神奈川フィルと日フィルってキビシイ!来月も同日だ。
神奈川フィルの沼さん音楽総監督就任記念式典はサボったので、今日は悠々間に合ったが、次回は怪しいな。

どうでもいい偶然だけど、神奈川フィルと日フィルの定期演奏会の回数が同じというのは不思議だ。
両方とも今日は第376回だった。みなとみらいホールが本格稼働した次の楽季からはズレが生ずるかもしれない。

シベリウスの「エン・サガ」はAギルバート+都響で聴いたのが最初で、好感を持った作品だ。

都響の時もそうだったと思うが、今日の日フィルも弦は16型。昨日の都響「英雄の生涯」も16型だったが、コロナ禍にあっては都響以外でこの編成を聴くのは久しぶりだ。

その大掛かりな編成の弦の響きのなんと美しいこと。

民謡風な調べは日本人にさえ郷愁を感じさせるのだからインキネンの望郷の思いもひとしおだったかも。

2日間で3オケを聴いた(実は明日もミューザ!)。
昨日の都響(文化会館)、本日マチネの神奈川フィル(県民ホール)とミューザではホールの響きがまるで違うが、その違いを考慮しても、日フィルの巧さが光った。

「エン・サガ」が実は一番良かった。
他はベートーベン・チクルスの再開で、今日は2番と4番。
個人的には1番に次いで聴く機会が少ない曲だ。
いずれも心地良く聴いたが、大編成曲の後では物足りなさもあった。

昨年11月のインキネンの日をダブりでパスしたので、2年半ぶりに拝顔した。元気そうで何より。

♪2022-059/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13

〜第4代音楽監督就任披露公演〜 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第376回定期演奏会

2022-04-23 @県民ホール



沼尻竜典(音楽監督):指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
児玉麻里:ピアノ*

ヘンツェ:ピアノ協奏曲第1番
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68*
-------------------------
J.S.バッハ(クルターグ編):カンタータ第106番から第1曲ソナティーナ <児玉麻里+沼尻竜典>


今日から新楽季。
沼さんの音楽総監督就任記念公演と銘打たれていたが、終演後就任式典が準備されていた為か、短い目のプログラムだった。

まず、ヘンツェって人の作品はピアノ・トリオを聴いたことがあるだけで今回のピアノ協奏曲(1950年)はもちろん初聴き。調性不明の現代曲。

繰り返し聴いておればいつか耳馴染んで面白いと思える日が…絶対来ないだろう。来なくともよろしい。

後半は、その対極にあるようなブラームスの1番。
こういうのを聴いて心穏やかに過ごしたいね。

新監督を迎えた神フィルが、ようやく本領を発揮して乾いた響きのホールを、緻密で柔らかいアンサンブルで満たした。

石田組長の隣には大江薫君が座っていた。N響の郷古廉も同様だが、若手の独奏者がオケと交流するのはとても良い経験になるだろう。

開演前の沼さんのプレトークが面白い。
三遊亭小朝が、沼さんを、まるで噺家みたいと評していたが、ホンに飄々としていながら滑舌良く分かり易い話ぶりで好感。

♪2022-058/♪県民ホール-06

2022年4月22日金曜日

東京都交響楽団 第944回 定期演奏会Aシリーズ

2022-04-22 @東京文化会館



大野和士:指揮
東京都交響楽団

藤田真央:ピアノ*
バイオリン:矢部達哉(都響ソロ・コンサートマスター)**

ヴァレンティン・シルヴェストロフ (アンドレアス・ジース編曲):ウクライナへの祈り(管弦楽版) [日本初演]
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54*
R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》op.40**
---------------------------
J.S.バッハ(ラフマニノフ編曲):無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006から「ガヴォット」*


何はともあれ、2年ぶりの”定期”の再開。毎月チケを買う面倒が省けて嬉しい。
藤田君の姿勢はもう少しシャキッとできないのか。
でも、演奏は良かった。
2年前か?N響でもシューマンを弾いた。あの日のN響はさっぱり出来が悪かったが、彼のシューマンだけが光っていた。

それを思い出した。
文化会館大HではPfの輝きがないのが残念。

Encやるならシューマンでしょ!…を聴きたかった。

定期再開今季第1回を飾る大曲「英雄の生涯」に矢部CMを擁して臨んだのは相応しかった。
ま、演奏している側や都響fanには熱い思いがあったのだろうけど、僕はfanじゃないので、格別の思いは立ち上らなかった。
弦16型を繰り出して、それが功を奏する場合は極めて稀。今日も透明感が犠牲に。

ところで。
開演前に都響職員に「なぜルガンスキーを降板させたか」尋ねた。職員3人暫時鳩首会談の結果「え…諸般の事情で…」と既公表理由の繰り返し。想定問答もの用意もなし。

ま、そうしか答えられないのは分かっていたが、あまり重大な問題だと認識していない様子にがっかりしたよ。

今後どうするのか?
ロシア人はお断り?
中国人、インド人、その他の国の人にはどうする?
国籍問わず全員にプーチンへの賛否という踏絵を踏ませるのか?

明らかに🇷🇺が正しいと公言して憚らぬ者の演奏は聴きたくはないが、公言しない者まで拒否するのか?

ルガンスキーについては降板理由を明確にせず、本人の主張も不明なままでは納得できない。

都響は国際刑事裁判所になってはいかん!

感心したこと。
今日は、マスク着用率がだいぶ下がって弦の8割くらいはNoMaskだった。
組織も個人もしっかり健康管理して、無意味な舞台演奏中のマスクは止めよう。

♪2022-057/♪東京文化会館-09

2022年4月20日水曜日

モーツァルト「魔笛」

 2022-04-20 @新国立劇場


指 揮】オレグ・カエターニ
【演 出】ウィリアム・ケントリッジ
【美 術】ウィリアム・ケントリッジ、ザビーネ・トイニッセン
【衣 裳】グレタ・ゴアリス
【照 明】ジェニファー・ティプトン
【プロジェクション】キャサリン・メイバーグ
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】村田健輔

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ザラストロ】河野鉄平
【タミーノ】鈴木准
【弁者・僧侶Ⅰ・武士Ⅱ】町英和
【僧侶Ⅱ・武士I】秋谷直之
【夜の女王】安井陽子
【パミーナ】砂川涼子
【侍女I】増田のり子
【侍女Ⅱ】小泉詠子
【侍女Ⅲ】山下牧子
【童子I】前川依子
【童子Ⅱ】野田千恵子
【童子Ⅲ】花房英里子
【パパゲーナ】三宅理恵
【パパゲーノ】近藤圭
【モノスタトス】升島唯博


モーツァルト「魔笛」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 3時間
第Ⅰ幕       70分
     休憩25分
第Ⅱ幕                 85分


先週の「ばらの騎士」にように「良かったところだけ」書きたいけど、そうすれば砂川涼子のパミーナがとても良かった!で終わってしまいそう。

はっきり言って、このオペラは面白さが分からぬ。上演機会が多いから観る機会も多いけどストンと落ちない。


オペラの最高傑作とか書いてあったりすると自信を失ってしまう。

それでも敢えて言えば、ケントリッジの演出(というより美術)は単純な物語を、偉く意味深なものに見えるようにとの作為を感じてならない。

昔に日生劇場で観たパパゲーノは鳥刺の格好だった。

そんなメルヘンぽいのが好き。


夜の女王役の安井陽子は「ばらの騎士」ではゾフィーを歌ったばかり。

実は、ゾフィーは似合わないと思っていた。

夜の女王の方が余程似合っている。その有名な2幕のアリアの後はすぐ袖に引っ込ませないで拍手を受けさせるようにした方が歌手の為だけでなくお客の精神衛生上も好都合なのに。


♪2022-056/♪新国立劇場-06

2022年4月19日火曜日

ランチタイムコンサート 異端児二人による鍵盤数176から奏でる衝撃のピアノスペクタクル!

2022-04-19 @ミューザ川崎シンフォニーホール


un-sept-six アン・セット・シス
ピアノ:山中惇史、高橋優介

モーツァルト:4手のためのソナタ ニ長調 K381
レスピーギ(山中・高橋編):ローマの祭り
 第1部 チルチェンシス
 第2部 五十年祭
 第3部 十月祭
 第4部 主顕祭
J.ウィリアムズ(山中編):映画「ハリーポッター」シリーズから「ヘドウィグのテーマ」
J.ウィリアムズ(山中編):映画「ハリーポッター」シリーズから「ハリーの不思議な世界」
------アンコール----------
J.ウィリアムズ(山中編):映画「スターウォーズ」からメインテーマ


176を仏語でアン・セット・シスと読むそうな。88x2の意味だ。

1曲目だけ連弾だったが、これがなかなか良かった。もとより、音符の数が少ないのだろ。ひょっとして3手でも弾けるのかもしれないが、それにしても1人で弾いているような見事な呼吸の良さ。


2曲目以降は2台によるDUOで、編曲も彼らによる「ローマの祭り」がなかなかの聴きごたえ。それこそ88鍵x2を駆使して un-sept-sixの面目躍如だ。レスピの3部作全作を発表済みだそうで、機会があったら聴いてみたい。

Jウィリアムズの3曲も派手で、煌びやかで、原曲のオケ版を彷彿とさせる上出来。

♪2022-055/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12

2022年4月17日日曜日

東京・春・音楽祭2022 プッチーニ・シリーズ vol.3 《トゥーランドット》

2022-04-17 @東京文化会館



ピエール・ジョルジョ・モランディ:指揮
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
児童合唱:東京少年少女合唱隊
合唱指揮:宮松重紀
児童合唱指揮:長谷川久恵

トゥーランドットSp:リカルダ・メルベート
カラフTn:ステファノ・ラ・コッラ
リューSp:セレーネ・ザネッティ
ティムールBsBr:シム・インスン
皇帝アルトゥムTn:市川和彦
ピンBr:萩原潤
パンTn:児玉和弘
ポンTn:糸賀修平
役人Br:井出壮志朗

プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》
(全3幕)<演奏会形式/イタリア語上演/字幕付>

予定上演時間:約2時間45分
 第Ⅰ幕   30分
  休憩  25分
 第Ⅱ幕   45分
  休憩  25分
 第Ⅲ幕   40分


今回も良席ではなかったけど、ローエングリーンの時よりずっとマシだったので、首の捻れで苦しむことなくかなり没入できた。
何しろ冒頭の読響の音の鮮烈なこと。これでまずは惹き込まれた。その後も終始心地よい響きで、今日の1番の功績かも。

海外勢ではRメルベートには縁があって、何度も聴いているので楽しみだったが、期待に違わず脂が乗っているという感じ。リュー役のザネッティも1度新国で聴いている。好感。カラフ役のSラ.コッラは初めてだったが、歌手陣では今回のHitかな。「寝ては〜」を朗々と鳴り響かせてゾクゾクさせた。

上演形式上演出は最少限。その為か、いつも納得できるかハラハラする最終場面が、案外抵抗なく収まってしまった…のは、物語に納得したからではない。見事な歌唱、オケ・合唱も素晴らしくて、演奏会形式として極上の音楽を聴きながらなお不満に思うなら、それは場違いの感じがしたから。

♪2022-047/♪東京文化会館-08

2022年4月16日土曜日

名曲全集第176回 演奏活動60周年!前橋汀子のメンデルスゾーン

2022-04-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール



小林研一郎:指揮
東京交響楽団

前橋汀子:バイオリン*

メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 op. 64
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op. 95 「新世界から」
---------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番ハ長調 BWV1005から ラルゴ*
ドボルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op. 95「新世界より」から 第4楽章の最終部分


前橋汀子は演奏活動60周年だそうだ。御年78歳には見えない。尤もコバケンの方は82歳というから驚く。

この2人のメンコンが存外良かった。

初めは独奏Vnの音が小さく、これは如何なものかと思っていたが、だんだん良くなる法華の太鼓。徐々に味わいが出てきた。

もう、彼女の形が完全に出来上がっているんだと思った。
コバケンは指揮台を45度下手に回し、ほとんどの間、前橋の方を向いて指揮をした。時々のアイコンタクトは息を合わせるというより、前橋がキューを出しているかにみえたよ。

2人合わせて160歳のメンコンが何やら心温まるひとときになった。

後半は「新世界」。

コバケンの「新世界」は初めてではないが、7年ぶりだ。その時は終楽章を弄り回して遊んでいたのでがっかりしたことを覚えているが、最近はほぼ遊びを封じている。
とは言え、終楽章はやはり、かなりタメを効かせたコバケン節が垣間見えたが、むしろ、好感を以って楽しんだ。

東京”マスク”交響楽団は、僕が定期会員になっている9オケのうち最もマスク着用率が高い。弦楽器のほぼ全員(前半3-後半4人を除く)がマスクをして呼吸困難な演奏をするが、皆んな感染しているのか?
それにしては、今日は良い響きだった。

な訳で弦奏者は顔が分からん。
Vcの首席が見慣れぬ顔。ひょっとして?と後で訊いたら、やはりカルテット・アマービレの笹沼くんだった。

♪2022-053/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-11

2022年4月15日金曜日

第1952回 NHK交響楽団 定期公演 池袋C-1

2022-04-15 @東京芸術劇場大ホール


クリストフ・エッシェンバッハ:指揮
NHK交響楽団

マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調


この日マチネとソワレの二本立てで、疲れていたのが残念な印象を生んだ原因でもある。
とは言え、エッシェンバッハとは予てから相性が悪い。表現が過剰ではないかと前から思っている。

今回は、冒頭のTpが素晴らしく、その後の弦も豊かで、これは期待できるかなと、思ったが…。

N響らしい重厚な響きや時折の透明感など、概ね好感を持って聴いたが、終わってみると、迫力の演出は見事だが表現が大袈裟。疲れる。

N響の経験で言えばPヤルヴィやブロム翁が時々見せる毛細血管の先まで神経が行き届いているような緻密なアンサンブルの美しさは何処に?

周囲の熱狂的なカーテンコール(CC)の嵐の中で、1人置いてけ堀を食って白けていた。
どこのオケでもマーラーがかかるといつもCCでは大勢が熱狂するのが分からん。あんな音楽で熱狂するなら、ブラームスやベートーベンならバタバタ卒倒して死人が出てもいいくらいだと思うよ。

♪2022-052/♪東京芸術劇場大ホール-02

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#6

2022-04-15 @すみだトリフォニーホール




久石譲:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
リーウェイ・キン:チェロ*

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番 イ短調 op. 33*
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(M.ラヴェルによる管弦楽編)
-------------------
ソッリマ:アローン*
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番サラバンド*
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ


「雨の日はホールが良く鳴る」が当たった日。そんな訳か、3作品とも楽しめた。オケは良い出来だったと思う。

久石譲の指揮に関しては、以前ベト2本立を聴いた時に感じた違和感が今回は全然なし。
非独墺・近代の作品は彼自身の作風に近いものがあるのかもしれない。

初めて聴くチェロのリーウェイ・キン(中国系豪州人/チャイコ銀)はとても繊細で綺麗な音を出したが、惜しむらくは音量が小さかった。
冒頭のユニークな掴みで聴衆を掴みきれなかった?

「展覧会の絵」も管・弦が良く鳴って楽しく聴いた。

昨年末のデスピノーザ+N響とは比べない事にする。

♪2022-051/♪すみだトリフォニーホール-03

2022年4月14日木曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 「上岡敏之 plays Piano」 上岡敏之 ピアノ・リサイタル

2022-04-14 @県立音楽堂



上岡敏之:ピアノ

ショパン:バラード第1番 op.23
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」
ショパン:ノクターン ホ短調 op.72-1
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調 op.53
ドビュッシー:ヒースの茂る荒れ地(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:花火(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:エレジー
ショパン:スケルツォ第1番 op.20
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番「戦争ソナタ」
----アンコール----
ヘンデル(ケンプ編曲):クラヴィーア組曲第1番からメヌエット
シューベルト:楽興の時 第2番 Op. 94-2
J.S.バッハ:平均率クラヴィーア曲集第1巻第1番からプレリュード
スクリャービン:3つの小品から「アルバムの綴り」Op.45-1


上岡敏之のピアノは、かつて室内楽で聴いたことがあったが、単独リサイタルは初めて。
指揮者としてもユニークだが、ピアノ・リサイタルも独特の雰囲気を醸して非常に面白かった。

何しろ、会場は真っ暗闇。
鍵盤部分にのみライトが当たっている。
ご本人の登場もピアノの傍に来て初めて確認できる。

1曲目のショパンが終わっても指は鍵盤を離れず、そのままスクリャービンに突入。以下、前半の8曲は絶妙な間合いで連続演奏した。

この独自なスタイルこそ上岡流なのだろう。

ショパン以外は初聴きだったが、次第に彼の構築する世界に惹き込まれて行った。

プログラミングの意図は分からないが終わってみれば不思議なもので、途中なんの違和感も感じなかった。緻密な計算があったのだろう。

後半は、プロコの戦争ソナタ8番。これも初聴き。

ワクワクするような音楽じゃないけど、ピアニズムを駆使した感じで楽しく聴けた。
プロコフィエフはドネツィク(「ドネツク」はロシア読み)州生まれだそうで、彼の手になる戦争ソナタを聴くとは感慨無量。

♪2022-050/♪神奈川県立音楽堂-04

2022年4月12日火曜日

R.シュトラウス「ばらの騎士」

2022-04-12 @新国立劇場


【指 揮】サッシャ・ゲッツェル
【演 出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】磯野睦

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】多摩ファミリーシンガーズ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【元帥夫人】アンネッテ・ダッシュ
【オックス男爵】妻屋秀和
【オクタヴィアン】小林由佳
【ファーニナル】与那城敬
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】森谷真理
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】大塚博章
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】濱松孝行
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】青地英幸
【テノール歌手】宮里直樹
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】土崎譲


R.シュトラウス「ばらの騎士」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 4時間10分
第Ⅰ幕        75分
     休憩25分
第Ⅱ幕                        60分
     休憩25分
第Ⅲ幕                        65分



残念な部分もあったが、良かったところだけ書こう。

なんと言っても、5年ぶり尊顔拝謁のアンネッテ・ダッシュが、まさに元帥夫人の気品を漲らせて◎。

テノールには重要な役が全く振られていない変わったオペラだが、役としてはなくともいいような小さい「テノール歌手」役の宮里直樹が短い出番ながら朗々と歌って◎。

ピットに入ったのはS.ゲッツェル+東フィル。

客席との仕切りが通常より低かった(東フィル仕様)ので、ゲッツェルの背中まで見えたが、彼の指揮姿が実に美しい!

その美しい指揮が東フィルから見事な響きを引き出していたように思う。ピットの音とは思えないほど弦の透明感が美しかった。
これは、ピットの仕切りが低かった事も関係しているだろう。

やはり終盤の三重唱にはゾクゾクしたが、ゲッツェルの見事な棒捌きも大いに寄与したはず。

今回、改めてR.シュトラウスの才気を感じた。

終始ウィーンワルツ風の軽やかさを保ちながら、皮肉や冗談を精密な管弦楽技法に塗り込んでいる。

余録だが、森谷真理(マリアンネ)がさほど大きな役でもないのに出演していたが、もったいないような使い方だな。

以前、森谷の元帥夫人を二期会で観たこともあるのだけど。

その一方で、人材不足も感じたよ。どの役とは言わないけど。


♪2022-049/♪新国立劇場-05

2022年4月3日日曜日

Le Billet Doux 恋文2e/神話と詩人と薔薇

2022-04-03 @かなっくホール


Sp:吉府充希子
Fl:吉岡次郎
Vc:藤森亮一
Pf:横山美里

ラヴェル:ロンサールここに眠る
ルーセル:ロンサールの2つの詩
ルーセル:笛吹たち
ドビュッシー:シランクス
ドビュッシー:ビリティスの3つの歌
ドビュッシー:チェロソナタ
ラヴェル:マダガスカル島民の歌


気取ったタイトルのマニアックなプログラムの演奏会だった。
主宰者本人も言う<自己満足的プロ>で、ラヴェル・ドビュッシー・ルーセルの作品のみ全7曲。
うち初聴きが5曲…というか、それらは存在さえ知らなかった。

しかし、プログラムには懇切な解説が添えてあり、MCを兼ねた主宰者でもあるソプラノの吉府女史の逐一の説明もあって、嫌味はなかった。

そのソプラノの出来はどうか?と思ったが、他のフルート、ピアノ、チェロはいずれも達者で、特にチェロの藤森氏(N響首席)の腕前を室内楽では初めて聴いたが、トリオを組んでいるというピアノの横山女史とのチェロソナタは、キビキビとして、実に新鮮な演奏だった。

シランクスを独奏したフルートの吉岡氏もドビュッシューが活躍した時代の楽器で演奏したが、この音をドビュッシーも聴いたのか、と思うとありがたさも加わって味わい深かった。

♪2022-048/♪かなっくホール-03

2022年4月1日金曜日

東京・春・音楽祭2022 塩貝みつるVn &江尻南美 Pf ブラームス バイオリン・ソナタ全曲演奏会

2022-04-01 @旧奏楽堂


バイオリン:塩貝みつる
ピアノ:江尻南美

ブラームス:
 バイオリン・ソナタ《F.A.E.》ハ短調 WoO.2 からスケルツォ
 バイオリン・ソナタ第1番ト長調《雨の歌》 op.78
 バイオリン・ソナタ第2番イ長調 op.100
 バイオリン・ソナタ第3番ニ短調 op.108
----アンコール-------------------
ブラームス:5つの歌 op.105から 第1曲 調べのように私を通り抜ける


ブラームスのバイオリン・ソナタ全曲は、前回、小林美樹で聴いて以来半年ぶり。塩貝の演奏は、当たり前だけど、小林とは様子が違った。

あまり表情を変えず、淡々と流れる(技術の確かさ!)が、処々に思いが籠っていて、ブラームスの叙情的な部分がフイと顔を見せる。

ソナタ3曲とも好みに甲乙つけ難いが、今日は、僕にとって3番が特別良かった。2楽章以降の聴き古した中に発見があって、ブラームス音楽の大きさを再確認できたのが良かった。

アンコールはとても好きな小品。
これも小林美樹の別のリサイタルで聴いたし、その後もCDでよく聴いていたので、嬉しかった。

不満もあり。
旧奏楽堂の響きの硬さは兼ねてから経験しているが、今日は特に響かなかった。残響の問題だけではないと思う。音に潤いがなくなるのが残念だ。
もし、文化小ホールならもっと心に響く豊かな音楽体験ができたろうに残念。
まずは舞台と客席のカーテン類をなんとかできんか!


もう一点。
収録用にマイクが舞台や客席床に何本か立っていたが、その中に、こともあろうに舞台中央下に高さ4m程のマイクが聳え立っているのには参った。
見苦しいだけでなく、演奏家の顔や楽器がマイクの陰に入るのでは、音楽への没入が妨げられる。

専門バカというのはこういう仕事をする職人達だ。

♪2022-047/♪旧東京音楽学校奏楽堂-01