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2025年9月6日土曜日

東京シティ・フィル第381回定期演奏会 歌劇「ドン・カルロ」

2025-09-06 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京シティ・フィル・コーア

フィリッポ2世:妻屋秀和
ドン・カルロ:小原啓楼
ロドリーゴ:上江隼人
宗教裁判長:大塚博章
エリザベッタ:木下美穂子
エボリ公女:加藤のぞみ
修道士:清水宏樹
テバルド:牧野元美(初聴き)
レルマ伯爵:新海康仁
---------------------------------------------
2023/11/30の「トスカ」の配役
トスカ:木下美穂子◎
カヴァラドッシ:小原啓楼◎
スカルピア:上江隼人◎
アンジェロッティ:妻屋秀和◎
堂守:晴雅彦
シャルローネ&看守:大塚博章◎
スポレッタ:高柳圭

ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」
(演奏会形式)【1884年イタリア語版(全4幕 ※第2幕第2場、大フィナーレを除く全曲)】



「ドン・カル」の本舞台経験は1度だけだが、ディスクは6枚も持っている。これらのすべてより(生だからというだけではなく)、とんでもなく素晴らしい出来で、しっかり入魂できた。
歌手陣が、高関健さん曰く「望み得る最高」で、誰も彼も巧いのにはびっくりだ。

本当に適役だったが、好みを言えば、エボリ公女:加藤のぞみ、エリザベッタ:木下美穂子、初聴きのテバルド:牧野元美が見事。女声ばかりを挙げたが男声も文句なし。

オケも、全く不満なし。

こんな素晴らしい公演をたった1回きりとは惜しい。

キャストは2年前の「トスカ」と多くがダブっているが、あの時よりも強く・深く心に刺さった。

こういうのを見せられると、シティ・フィルもやめられそうにないなあ…。

♪2025-120/♪東京オペラシティコンサートホール-08

2025年4月5日土曜日

東京シティ・フィル第378回定期演奏会

2025-04-05 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
大谷康子:バイオリン

ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「ボルト」より抜粋
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 作品64
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 作品20
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」




今日の東京シティ・フィルの定期コンサートは、客演バイオリンが大谷康子。
この人も間も無く70歳。デビュー50周年。

シティ・フィルのコンマスも長くやっていた(13年間。その後東響のコンマスを21年。)。

現役のオバサマ・バイオリニストでは一番好きな人。

昨日も聴いたメン・コンを今日も聴いた。

こう言っちゃなんだけど、昨日と比べると、(オケの実力も違うんだけど)格段の差があるな。
楽器もストラディでよく鳴るし。

ツィゴイネルワイゼンも演奏した。
生でも何十回と聴いてきたが、多分、うち、彼女の演奏がこれまで一番多かったと思う。

シティ・フィルも50周年。大谷康子も50周年。
それを記念したか、メインは「春の祭典」。

なかなか強烈だった。よく鳴るホールだから打楽器の爆裂音が容赦ないよ。

でも、新国立劇場でダンス版を観たからには、オケだけではこの頃物足りない。


追記:
4/4に小笠原伸子の四大協奏曲(ベト・ブラ・メン・チャイ)を空前絶後〜などと書いたが、忘れていたっ!

今日シティ・フィルに客演した大谷康子も10年前に四大協奏曲(ビバ・メン・プロ・ブル)を弾いたのを思い出した。おまけにENCでチャールダッシュを客席を回って弾いてくれたよ!ミューザの1階席から、2CAに通ずる階段も弾きながら上り下りするのには驚いたよ。
もう、お歳を考えたらやめた方がいいね。

この時も指揮者は高関健だった。

♪2025-044/♪東京オペラシティコンサートホール-04

2025年1月17日金曜日

東京シティ・フィル第375回定期演奏会

2025-01-17 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
奥井紫麻:ピアノ*(おくいしお)

サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品22*
マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
--------------------
ラフマニノフ:前奏曲作品23-2*




奥井紫麻は2回目。前回は2019年でチャイコの3番を弾いた(秋山翁/東響@かるっつ)。この時14歳だった。てことは、今、20歳だ。印象が全然違った。
前回は、教科書どおりみたいで、面白味はなかったが、今回は、しっかりと音楽家になっていたよ。
サン=サーンスの2番は、多分、過去に河村尚子で1度聴いて切り(Pヤルヴィ/N響@NHK)で、すっかり忘れていたが、なかなか馴染みやすく美しい音楽だった。

後半が、もちろん今日のメインだが、演奏時間、実測で80分だ。これだけ長いと普通は1本立てだよ。いやはや長い。

鑑賞記録を確実に付けるようになった約10年で、マーラーの交響曲は本日分も含めて、次のとおり。
1番⇒16
2番⇒  8
3番⇒  5
4番⇒  6
5番⇒  7
6番⇒  7
7番⇒  8
8番⇒  3
9番⇒  5

最もポピュラーな1番「巨人」がダントツに多く、大規模で長尺の3番が少ないのは当然だろう。その他はいずれも5〜8回で優位差はない。

それにしても2番「復活」と並んでこの7番「夜の歌」が同数2番目に多いのは不思議だ。全9曲の中でも最も馴染みにくい作品であるような気がするのに。

まあ、そんなことで、ワクワクするような楽しさはないのだけど、今回は、特に入り込めなかった。
歌えないような断片の楽句が次から次へと登場し、全体の構成感は全く感じられない。それに全体が大袈裟で、やかましい。どうも好きになれないよ。
近頃じゃ、若い頃は好きだった5番でさえときめくことがなくなったものな。

♪2025-008/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2024年10月3日木曜日

東京シティ・フィル第373回定期演奏会 【スメタナ生誕200周年】

2024-10-03 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」(全曲)
1985年頃当時の音楽企業スプラフォンが出版したチェコ・フィルの伝統的なパート譜に基づく「現実演奏版」)





正直にいえば、この音楽、馴染んだ「モルダウ」以外は、どこが面白いの?という感じで長年退屈に聴いていた(この罰当たり!)。

これはすごい!と目が覚めたのは今年3月の神奈川フィルby広上氏の演奏で、いやはや興奮した。

今日のシティ・フィルは神奈川フィルの時に比べて弦も管も数が少なかったが、よく鳴り、舞台の音を全部客席に飛ばしてくる武満MEMではこの編成で十分迫力ある。

いつもながら、細部も高関健さんの丹精が窺える緻密なアンサンブル。

それぞれの曲が、馴染んでくるとよくできていると感心する。第1曲の主題が全曲に散りばめられていて、とても構成感が良い。
1曲が終わり次の曲に移ってゆくのが惜しいくらいだ。
昔、僕は何を聴いていたのだろうと恥ずかしく思うよ。

第1曲の中盤の行進曲?は1812年の音楽にそっくりなので、気になっているが、今回もプログラムでもプレ・トークでも言及がなかった。単なる偶然なのかも。

♪2024-130/♪東京オペラシティコンサートホール-06

2024年9月6日金曜日

東京シティ・フィル第372回定期演奏会 【ブルックナー生誕200周年】

2024-09-06 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
(第1稿・新全集版ホークショー校訂)


ブルックナーは好きじゃないけど、高関健さんのマニアックなスコア分析に支えられてオケも熱演だった。

14型とは思えない爆音!

しかし、実測89分の長尺のタクトが降りて、気持ちを整える暫しの余韻が始まるや否や始まったパラパラの拍手に、高関さんも多くの聴衆も戸惑いを隠せない。

何で、台無しにするんだ!
もう信じられないよ。

♪2024-119/♪東京オペラシティコンサートホール-05

2024年4月19日金曜日

東京シティ・フィル第369回定期演奏会

2024-04-19 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バイオリン:南紫音

R.シュトラウス:楽劇「ぱらの騎士」作品59、第1幕及び第2幕から序奏とワルツ集
シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 作品35
ベートーべン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」



「ばらの騎士」の音楽は他人が編曲した組曲版ではなく、シュトラウス自身の手になる作品だそうだが、そもそも違いが分からない。冒頭のホルンで、ああ、これこれとオペラを思い起こしたが。

シマノフスキのVn協は3度目なのだけど、これもほとんど記憶がない。

いずれにせよ、この前半の2曲は、弦は14型と12型の違いはあったけど、多くの管打鍵が並んで賑やかなところは共通していた。
ここまで音を詰め込むか、という感じで暑苦しいばかりだ。
まあ、それをスマートにこなしていたとは思うが、楽しい音楽ではなかった。

後半。
シュトラウスと同じ弦編成(14-12-10-8-7)で「英雄」。これが実に良かった。
前半に厚ぼったいのを配したのは、軽快な「英雄」を聴かせたかったからか、と勘ぐりたくなるほど、気持ちの良い演奏で、何十回も聴いている「英雄」のオーケストレーションの巧さに、初めて気がついたものであった。
簡潔で無駄がなくすべての楽器が効果的に使われていて新鮮な驚き。これが高関健せんせいの今日の新工夫だったのだろうか。

♪2024-055/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2023年12月28日木曜日

「第九」2023-❿ 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団「第九」特別演奏会2023

2023-12-28 @東京文化会館



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア

ソプラノ:中江早希
メゾ・ソプラノ:相田麻純
テノール:宮里直樹
バリトン:池内響

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


高関氏は、指揮台に乗ってからオケと合唱団に客席へのあいさつの為に立つように促した。オケは立ったが、合唱団が立たない。振り向いて大きなジェスチャーで立ってくださいよ!と何度か促したが合唱は立つそぶりがない。そりゃそうだ。初めから立っているのだもの。舞台後方の雛壇が低いので立っているふうには見えなかったのだ。ようやく気がついてニヤリ頭を掻いて客席に向き直った。このコントで客席と舞台の笑いをとってから「第九」が厳かに始まった(このコントは終演後のCCでも再演された!)。

この「第九」が僕にとって、今年、10回目の「第九」であり、今年の鑑賞生活の掉尾を飾る演奏会だった。

昨年も「第九」はプロオケで10回聴いて、シティ・フィルは読響と並んでベストの出来だった。それだけに期待をしていた高関「第九」。
しかし、昨年の飯守泰次郎御大の人生最後の「第九」には何かが乗り移っていたのだろうか。あの見事さに比べるとやや力が出きっていない印象を受けた。スコア研究に余念のない先生、ギリギリまで迷っていたやに聞くが迷いは吹っ切れたのだろうか。

2楽章までは聴き慣れた音楽だったが、3楽章にかつて聴いたことのない表現があり、4楽章のレシタも爆速で、ここいらが新研究の成果なのか。変わってはいたけど、これはこれで良かった。とにかく、あまり重苦しいのは好きじゃない。

全体にビブラートを抑え、音をあまり伸ばさない奏法で、ホールのせいもあるが、響きは硬めだった。武満MEMで聴くのとはだいぶ異なる。しかし、これもまた一つの味わいで、シャキシャキとしたまとまりの良さを感じさせた。

独唱陣は、やはり、少し遠かった。昨年は舞台前で歌ったが、今年は、他のオケでも(5月のインキネン以外)舞台前で歌う「第九」は一つもなかった。
独唱は、前に出てきて歌うべきだよ。
「第九」の独唱は合唱の一部だ、という説もあるようだが、どうであれ、独唱が合唱やオケに埋もれたんでは話にならない。

♪2022-228/♪東京文化会館-14

2023年11月30日木曜日

東京シティ・フィル第365回定期演奏会

2023-11-30 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京シティ・フィル・コーア
児童合唱・羊飼い:江東少年少女合唱団

トスカ:木下美穂子
カヴァラドッシ:小原啓楼
スカルピア:上江隼人
アンジェロッティ:妻屋秀和
堂守:晴雅彦
シャルローネ&看守:大塚博章
スポレッタ:高柳圭

プッチーニ:歌劇「トスカ」全3幕(演奏会形式)


定期会員だからいつもの席はあるし、オケを聴くには十分満足しているけど、今日はオペラなので、別途1回券を買って前の方に陣取った。

いつになく、気合が入っていてプレトークなど聞いたことがなかったが、今回は間に合うように出掛けて聞いた。高関氏のカラヤンの下での修行時代の秘話も面白かった。
一般的な演奏会型式とは異なる声楽・楽器配置も氏の工夫らしい。できるだけ音楽を途切れさせたくないという遠慮がちな物言いは、歌手への気配りだったのだろう。拍手が起こるのは仕方がない。しかし、途切れさせたくない。

20年3月に予定されていた公演を同じキャストで3年8月越しで実現できるという喜びと高揚感が言葉の端々に漲って、いよいよ期待が高まる。


冒頭の強烈な管弦のTuttiにまずは驚く。何しろ、5列目真ん中なので、普段聴くオケの音圧ではない。ここでもう、身も心も揺さぶられてしまった。あとは、至福の3時間。
シティ・フィルが先ず以て上出来。主要歌手もホレボレの歌唱。
近くで聴いたせいこれまで何度も聴いている音楽なのに、改めてプッチーニのオーケストレーションの上手さも発見した。

予てから1幕の終わり、「テ・デウム」にはオルガンが欲しいなと思っていたが、今日は、立派なパイプオルガンが荘重な響で盛り上げた。
このオルガンについてはこれまで誤解していたが、プッチーにはオルガンを編成に入れているんだ。今日もプログラムにはバンダ/オルガン2(2はミスプリだと思う。)と表記されていた。つまり、これまで聴いた「トスカ」でも袖でポジティフオルガンを使っていたようだ。それに気が付かなかったのだ。

今日は、オペラシティでの演奏会形式なので、袖でポジティフを鳴らすなんて野暮なスタイルではなく、堂々とパイプオルガンを使ったのが嬉しい。

名アリアが続出だ。「妙なる調和」、「歌に生き、恋に生き」、「星は光ぬ」…。終われば拍手したいところだが、プレトークの高関さんの「できるだけ音楽を途切れさせたくない」が効いたか、誰も拍手をしないのは立派?だった。

その代わり、終演後の拍手喝采は一際大きかった。

大いに楽しみ、大いに勉強になった。

♪2023-205/♪東京オペラシティコンサートホール-08

2023年10月4日水曜日

東京シティ・フィル第364回定期演奏会

2023-10-04 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
池田香織:メゾ・ソプラノ*

ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死*
ブルックナー:交響曲第9番二短調(原典版・未完成)





本来は飯守泰次郎御大によるシューベルト2作が予定されていたが、思いがけず追悼コンサートになってしまった。

プログラムも氏の得意だったワーグナーとブルックナーに変更成された。
過去の鑑賞記録を調べると、確かにワーグナー、ブルックナー、ベートーベン、シューベルトの作品が多い。因みにマーラーは一度も記録されていない。
初めて聴いた時も「トリ・イゾ〜愛の死」とブルックナー7番の組合せだった。

高関氏もオケも気分が高揚していたのだと思うが、厚いサウンドに熱い思いが込められて、普段とはえらく密度が違う気がした。

しかし、それがうまくアンサンブルになっていたかと言えば、オランダ人では気持ちが先走って、管と弦の連携が美しくない。

これは、ブルックナーでは、少し良くなったものの、やはり厚くて熱い演奏ではあるけど、その熱量に違和感も感じてしまった。弦は終始繊細で透明感を保ったが。

一方、池田香織による「愛の死」の見事な歌唱には圧倒される思いだった。オペラや声楽付きオケ作品で彼女を聴く機会は多いが、かくも美しく良く通る声の持ち主であるとは認識不足だった。小ぶりの、よく響くホールのせいもあったろうけど。
最初は椅子に座ったまま歌い出したが程なく立ち上がり、感情豊かに「愛の・死」による魂の浄化の物語を描いた。

メゾでありながらソプラノも歌える声域の広さや、それでいて重みもある声質が効いていた。
この1曲を聴く事ができて、僕としては大満足だった。

♪2023-166/♪東京オペラシティコンサートホール-07

2023年9月1日金曜日

東京シティ・フィル第363回定期演奏会

2023-09-01 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
荒井英治:バイオリン*
(特別客演コンサートマスター)


桂冠名誉指揮者 飯守泰次郎を追悼して〜
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
--------------
リゲティ:ルーマニア協奏曲
リゲティ:バイオリン協奏曲
バルトーク:管弦楽のための協奏曲


学究の徒、高関健の指揮だと、たとえどう仕上がろうともまずは傾聴したい、という気になる。

最初に、誰も予定もしていなかった故飯守御大への献奏(「ローエングリン」第1幕への前奏曲)から始まったが、弦の仕事ぶりが丁寧で良い演奏だった。みんな、気持ちを込めたのだろう。

本編はリゲティとバルトークの組合せ。
今年3月の都響Bが同じだった。やはり、両者は音楽史的に継続しているということらしい。

ルーマニア組曲は初聴きだが、とてもリゲティとは思えない親しみやすい音楽だったので驚いた。
リゲティにはうんざりする作品もあるけど、「ルクス・エテルナ」のような精妙で美しいのもあるし、今日の初聴きのように好ましいものもあるから、距離の持ちようが難しい。

さて、今日はバイオリン協奏曲だ。
…と言えば、上述3月都響のコパチンスカヤの強烈なパフォーマンス(「マカーブルの秘密」に比べたらおとなしいものだったとはいえ…)が忘れられない。
今日は、Vnの名手、シティ・フィルの特別客演コンマスでもある荒井英治が独奏に回ったが…コパチンの独奏で聴いた作品と同じだったのだろうか?と思うくらいで、帰宅後都響のプログラムと照らし合わせたよ。
まあ、両者とも腕前は確かだが、だいぶ音楽の雰囲気が違った。

最後にバルトークのオケ協。シティ・フィルが堅実に収めた感じがした。

Vn協奏曲の楽器配置が特殊なのでこれに手間取り、予定外の献奏も加わり、休憩は15分で、CCもあっさり目だったものの、終演が21時15分頃で、それから、オケの人とちょいと話し込んでいたら、駅に着いたのは21時30分を回っていた。

♪2023-148/♪東京オペラシティコンサートホール-06

2023年7月26日水曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 新時代の先駆者たち〜アメリカン・オールスターズ〜〜

2023-07-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
横山幸雄:ピアノ*

ガーシュウィン:パリのアメリカ人
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー*
バーンスタイン:『ウエスト・サイド物語」から「シンフォニック・ダンス」
 1 プロローグ
 2 サムウェア
   3 スケルツォ
 4 マンボ
 5 チャチャ
 6 出会いの場面
 7 クール~フーガ
 8 ランブル(決闘)
 9 フィナーレ
バーンスタイン:ディヴェルティメント
 1 セネッツとタケッツ
 2 ワルツ
 3 マズルカ
 4 サンバ
 5 ターキー・トロット
 6 スフィンクス
 7 ブルース
 8 イン・メモリアル~行進曲「ボストン響よ、永遠なれ」
-------アンコール--------------------------
ドビュッシー:前奏曲第2集第6番*
バーンスタイン:ディヴェルティメントから
 8 イン・メモリアル~行進曲「ボストン響よ、永遠なれ」



ガーシュウィンとバーンスタインの作品2曲ずつ。
いずれもお祭り向きなのか、FSMuzaでも複数回聴いている。

横山幸雄の「ラプソ~」始め、みんな良い演奏だった。これと言って文句のつけようもなく、いつも聴く武満MEMでの演奏より、ミューザが開放的な分、気持ち良く聴こえた。

それにしても、覚えの悪いのがレニーの「ディヴェルティメント」で、タイトルと中身がしっくりこないのもなかなか馴染めない理由かもしれない。

ぼんやり聴いていたせいで、Encでその第8曲が再度演奏された時に、聴いたことのある曲だけど…とは思ったけど、つい今しがた本編で聴いた曲だと気づかなかった。恥ずかしや。
そのEnc曲の演奏では、終盤、オケ全員(Vc含め)が立ち上がって演奏した。中に放浪するものもあり。
お祭りの演出なんだな。賑やかに終わって、これも良き哉。

♪2023-129/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14

2023年6月9日金曜日

東京シティ・フィル第361回定期演奏会

2023-05-10 @東京オペラシティコンサートホール



高関健” / 山上紘生"" :指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
務川慧悟:ピアノ*

シベリウス:悲しきワルツ 作品44”
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16”*
吉松隆:交響曲第3番 作品75””
---------------------------------
ビゼー(ホロヴィッツ編):カルメン幻想曲*



好漢藤岡幸夫を楽しみにしていたが、なんと肺炎の為入院。急遽前半2曲を高関健に、後半を指揮研究生の山上紘生に変更された。山上は高関の藝大での教え子でもあり、シティ・フィルで吉松作品の練習指揮を担当していたので、急なデビューとなった。

結果は上出来で吉松本人にも祝福された華々しく感動的なデビューとなった。

さて、まずは、前半のグリーグPf協が素晴らしかった。先日、みなとみらいHでこれ以上のPf協は聴けないかと思うほどに素晴らしくブリリアントな演奏(コバケン+小山実稚恵+日フィル)を聴いたが、武満MEMもいつも良くなるホールとは言え、これ程までに美しい響だとは驚き。件のPf協にかなり肉薄している。煌めくPfだった。
まずは音が美しい。Pfとオケとの協奏の妙味が発揮されている。時に丁々発止の緊張関係がある。もちろん、ホールを知り尽くした高関健とシティ・フィルのサポートも按配を心得ているのだ。


後半、吉松隆:交響曲第3番は初めて聴いた。これまで、交響曲は6番ばかり。結論を言えば、今日の3番の方が俄然面白い。45分という大作だが、現代作品にありがちなコケ威や意表を突く爆音もないではないけど、それ以上に旋律が耳に馴染みやすい。終楽章など、ラヴェルの「ボレロ」の高揚部分を延々と続け、クライマックスは未曾有の超爆音で燃焼した。
ま、聴きながら、色々考えることはあったが、「現代」に交響曲となれば、これは意義のある作品ではないかと思ったよ。

劇的デビューを果たした山上クンはやんやの拍手喝采。
腕に嵌めていたApple Watchのノイズメーターが94dBを指したよ。

♪2023-103/♪東京オペラシティコンサートホール-04

2023年5月10日水曜日

東京シティ・フィル第360回定期演奏会

2023-05-10 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バイオリン:山根一仁*

ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20
ベルク:バイオリン協奏曲*
ネオゲル:交響曲第3番「典礼風」
---------------------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第1番から第3曲「サラバンド〜ドゥーブル」*





シティ・フィル今季1回目。
なのに高関センセは小難しいのばかり並べた。

ベルクとオネゲルはいずれもN響と都響で過去数回ずつ聴いていたが良い印象は残っていない。

ブリテンは初聴き。せめてこれに淡い期待をかけていたがやはり面白くない。
しかし、いずれの曲もオケの気合いと迫力は十分感じた。

ブリテンはとても「レクイエム」とは思えない轟音で始まって、途中にも、いかなる爆睡者をも覚醒させる大爆音。

最後のオネゲルも終盤手前で、さあ起きろ!と言わんばかりの大爆音。

弦は変則14型(14-11-10-8-7)で管打もさほど多くはないのだけど、こんな大音量が出るのかと思う程の凄さに圧倒されてしまった。

先述の如くオネゲル「典礼風」は過去2-3回は聴いているのだけど、その日の記録を読み返してもその轟音について何も書いていないのが不思議。

たぶん、武満メモリアルの、時に鳴り過ぎる響の良さが今回は奏功したか。

♪2023-076/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2023年1月28日土曜日

東京シティフィル第357回定期演奏会

2023-01-28 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:小林愛実*

ベートーべン:「献堂式」序曲 作品124
ベートーべン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40



ベートーベン「献堂式」序曲は初聴き。
作曲の経緯を読むとあまりやる気を持った書いたとは思えないし、実際、聴くと内容的にもとてもベートーべン作とは思えない。
演奏の方もリキが入らず、冒頭の和音5強打中2回目迄は前打音付きかと思うくらいTuttiがズレていた。

小林愛実は昨年2月に都響と協演したベートーべン4番が、それまでの印象を変えて(以前よく聴いた曲種との違いにすぎなかったかも)、とても堂々として情緒を抑えたような様子が好ましいと思ったが、今日のベートーベン協3番でも、磨きをかけているな、という感じがした。
お腹が大きいせいかアンコールなし。

ここでは、オケも本来の力を発揮して好感!

メインが「英雄の生涯」だったが、これを聴いていると日フィル定期に間に合わないので諦めたが、高関氏は当然ここに焦点を合わせていたはずなので残念無念。

まことに余談:
ミーハーの目線では彼女と反田くんの結婚は、釈然としないね。

https://bunshun.jp/articles/-/60361

♪2023-016/♪東京オペラシティコンサートホール-01

2023年1月13日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#12

2023-01-13 @すみだトリフォニーホール



高関健:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
ネルソン・ゲルナー:ピアノ*

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 83*
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 op. 90
---------------------------------
ブラームス:6つの小品 Op18-2 から間奏曲イ長調


学究の徒、高関センセ。外連なし、遊びなしの正統派真っ向勝負。
独逸音楽の粋、ブラームスを2曲という豪華版。

ピアノのネルソン・ゲルナーて人は17年に熱狂の日で聴いて以来だったが、高関氏と息が合って、本当に久しぶりに美しいピアノ協奏曲第2番。

ピアノの音がとても良い。

高域はカーンと抜け。コロコロと輝く。低域は銅線巻きの太い弦が震えている感じが伝わってくる。ピアノとは本来こういう音なのだ(なのに、三鳥のおもちゃのピアノのような悲しい響に、演奏家や関係者は気づいていないのだろうか。)。

交響曲3番も、はい、これがブラームスです!という心地良さ。

臍曲がり気味の僕も、とても素直にこの世界に浸りきった。
オケは弦14型で、昨日のガサツな16型とは比べ物にならない透明感。管弦楽とはこうでなくちゃ。

また、ゲルナーのアンコールが気が利いている。
ブラームスの間奏曲イ長調で、これはグレン・グールドのアルバムに名演(と思う)が収められていて大好物の一つ!

♪2023-006/♪すみだトリフォニーホール-01