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2022年2月9日水曜日

オペラ:ドニゼッティ「愛の妙薬」

2022-02-09 @新国立劇場



指 揮】ガエタノ・デスピノーサ
【演 出】チェーザレ・リエヴィ
【美 術】ルイジ・ペーレゴ
【衣 裳】マリーナ・ルクサルド
【照 明】立田雄士

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

【アディーナ】砂川涼子
【ネモリーノ】中井亮一
【ベルコーレ】大西宇宙
【ドゥルカマーラ】久保田真澄
【ジャンネッタ】九嶋香奈枝

ガエターノ・ドニゼッティ「愛の妙薬」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間30分
 第Ⅰ幕   70分
  休憩   25分
 第Ⅱ幕   55分


今月はオペララッシュで、1週間前に「さまよえるオランダ人」を観たばかりで今日は「愛の妙薬」。

指揮のデスピノーサ&東響も「オランダ人」に引き続きの登板だ。


キャストはコロナの為に(元から出演予定の九嶋以外の)主要4役が全員日本人に代わった。

でも、それで大成功…は言い過ぎとしても、とても良かった。


何がいいかって、砂川涼子が素晴らしい。

あのふくよかで明かるく美しい声は、努力だけでは獲得できない天分だと思う。


ネモリーノ役の中井亮一にとっては歌手人生最高の大役だったと思うが、期待に応えた。

1番の聴かせどころ「人知れぬ涙」もヨシ!

もうちょっとツヤがあれば憂いも出てなお良かったが。


不満を挙げれば。

演出も美術も前回2018年公演と同じだが、前回は気づかなかったが点が今回は気になった。5年間の成長?


「文字」に拘る演出は美術面でも表れているが、「トリスタンとイゾルデ」はこの物語の契機に過ぎないのに全編にわたって「トリ・イゾ」由来の作り物がさも意味ありげに登場するのは紛らわしい。


薬売りの娘が登場するがセリフはない、歌もない。にもかかわらずなぜMaskをしているのか?

「オランダ人」の時もパントマイムの役者だけがMaskをしていた。

他にも兵士達が1幕ではMaskを。同じ連中が2幕ではNoMask。

いったいどういう整理基準なのか?


ともかく、Maskはやめてくれえ!


♪2022-016/♪新国立劇場-03

2019年9月5日木曜日

藤原歌劇団公演オペラ「ランスへの旅」

2019-09-05 @新国立劇場


折江忠道:総監督
園田隆一郎:指揮
松本重孝:演出

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団

コリンナ:ローマの女流詩人⇒砂川涼子
メリベーア侯爵夫人:ポーランドの寡婦⇒中島郁子
フォルヴィル伯爵夫人:若い寡婦⇒佐藤美枝子
コルテーゼ夫人:金の百合亭主人⇒山口佳子
騎士ベルフィオール:仏士官。コリンナに愛⇒中井亮一
リーベンスコフ伯爵:ロシア将軍⇒小堀勇介
シドニー卿:英軍人。コリンナに愛⇒伊藤貴之
ドン・プロフォンド:文学者⇒久保田真澄
トロムボノク男爵:独陸軍少佐⇒谷友博
ドン・アルバーロ:スペインの提督⇒須藤慎吾
ドン・プルデンツィオ:医者⇒三浦克次
ドン・ルイジーノ:フォ〜夫人のいとこ⇒井出司
デリア:ギリシャ孤児。コリンナ下女⇒楠野麻衣
マッダレーナ:女中頭⇒牧野真由美
モデスティーナ:フォ〜夫人の小間使い⇒丸尾有香
ゼフィリーノ:使者⇒山内政幸
アントニオ:給仕長⇒岡野守
ほか

ロッシーニ:歌劇「ランスへの旅」
オペラ全1幕〈字幕付きイタリア語上演〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ部105分
 --休憩20分--
第Ⅱ部55分

藤原歌劇団公演に二期会・新国も参加した大掛かりなプロダクション。
独唱者17人に合唱がついて目まぐるしく賑やか。
幸い同じ藤原歌劇団の同じ演出による2015年の日生劇場版を観ていたので筋書きは覚えているが、初めての人には特段の説明もなく話が進むので置いてきぼりにされるかもしれない。
ま、それでも構わぬ歌こそ命の歌劇だ。

1825年パリ近郊の湯治場、と言っても高級ホテル。
フランス王シャルルのランスでの戴冠式見物の為に同じ宿に集った紳士淑女たち。そこであれやこれやのプチ・ドラマが繰り広げられる。目的のランス行きが不可能となるもパリでもお披露目が行われると聞き安堵して、とりあえずランスへの旅の費用として集めたお金で大宴会を開くことになった。
ここまでも一言もセリフはなく、レシタティーヴォとアリアの連発だ。ともかく、次から次と歌に次ぐ歌。

クライマックスの大宴会で紳士淑女は出身国にちなむ歌を交代で披露する。実は、集まった紳士淑女たちはそれぞれ異なる国の出身者なのだ。この辺が巧い設定だ。

ドイツ人の男爵はドイツ賛歌、
ポーランドの公爵夫人はポロネーズ、
ロシアの伯爵はロシア賛歌、
スペインの海軍提督はスペインのカンツォーネ、
イギリス軍人は英国国歌、
フランスの伯爵夫人と騎士は二重唱でブルボン王家賛歌、
ティロル出身の夫人はヨーデル颯民謡
を歌い継ぎ、シメに即興詩人が全員の投票によって決まったお題を基に即興で「シャルル王」賛歌を歌い、最後は全員で「シャルル王」賛歌を歌って華やかに幕。

主要な17人の歌手の中には何度も聴いている人もいるが初めて聞く名前もあった。だが、みんな巧いことにいつもながら驚く。よく通る声で、ベルカントの難しそうな細かく早い装飾をコロコロ歌う。
独唱から二重唱、六重唱、果ては14人、17人の強力な合唱も実に聴き応えがあった。

中でも一番は主役格の砂川涼子。
この人はホンに何度も聴いているけど、今日はその実力を思い知らされた感がある。今年はまだ日生劇場の「トスカ」、紀尾井ホールでのリサイタルを追っかけなくちゃ!


♪2019-133/♪新国立劇場-09

2018年7月3日火曜日

日生劇場会場55周年記念公演 NISSAY OPERA 2018 モーツァルトシリーズ『ドン・ジョヴァンニ』

2018-07-03 @日生劇場


指揮:ジュゼッペ・サッバティーニ
演出:岩田達宗 
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:藤原歌劇団合唱部

ドン・ジョヴァンニ:ニコラ・ウリヴィエーリ
ドンナ・アンナ:坂口裕子
ドンナ・エルヴィーラ:佐藤康子
ドン・オッターヴィオ:中井亮一
騎士長:東原貞彦
レポレッロ:田中大揮
ツェルリーナ:梅津貴子(配役表には「ゼルリーナ」と表記)
マゼット:大塚雄太

モーツァルト作曲 オペラ『. 魔笛』全2幕
(ドイツ語歌唱・日本語台詞・日本語字幕付)

予定上演時間:約3時間15分
第Ⅰ幕 90分
 --休憩20分--
第Ⅱ幕 85分

今年のNISSAY OPERAはモーツァルトを4本やるというので、セット券を早割で買った。その、もう第2弾だ。

モーツァルトのオペラは、すべてを承知している訳ではないけど、大抵は、人気があり、有名なものだから、上演機会も多く、この相乗効果のおかげで結果的に耳馴染みなものが多い。

しかし、世間で人気があるほど面白いのか、といえば、そこは疑問で、どうもドラマとして観る時にスッキリとカタルシスが得られない。それでも、上述のように耳に馴染んだ音楽の力がある。
ほぼ、何の抵抗もなく、耳に入ってくるし、むしろ心地良い。

それがモーツァルトのオペラを味わう秘訣だと心得ることにしている。

ドン・ジョヴァンニは稀代の女たらしだ。その目的を達する過程で、人殺しまでやってしまう。
ついにはバチが当たって、地獄へ落ちるという話だが、そんな軽〜い話でいいのか、と思ってしまう。

ドン・ジョヴァンニはさも、悪党のようでもあるけど、モノにした2,000人を超える女性(スペインだけで1,003人と歌われる。)の全員がどんな気持ちで口説かれたのかは分からないけど、少なくとも全2幕の芝居で登場する女性3人(ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィーラ、ツェルリーナ)は、満更でもない様子だ。

すると、ドン・ジョヴァンニの<地獄堕ち>の後に、ノーテンキに「悪は滅びる」という6重唱を明るく歌っていいものか。尤も、モーツァルトは<地獄落ち>で一旦は完結させたが、その後手を入れてこのお説教めいた幕切れにしたそうだ。

深遠な哲学が貫かれているのか、軽佻浮薄なだけなのか、音楽自体の素晴らしさ・楽しさを別にして、物語としての「ドン・ジョヴァンニ」は分かりにくい。

♪2018-079/♪日生劇場-02

2016年7月16日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第8回

2016-07-16 @県民ホール

現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
横浜少年少女合唱団*
神奈川フィル合唱団**

三宅理恵:ソプラノ♡
中井亮一:テノール♭
吉江忠男:バリトン#

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から
・序曲
・酒が回ったら今度は踊りだ#
・ぶってよ、マゼット
・私の幸せは彼女にかかって
・お互い手を取り合おう#

オルフ:カルミナ・ブラーナ#**

神奈川フィルfacebookから
待望の「カルミナ・ブラーナ」。
編成が大きいのでなかなか取り上げられない。
ようやくにして初めてナマ演奏を聴くことができた。

3人の独唱に児童合唱と成人の混声四部合唱に三管編成(とはいいながら打楽器・鍵盤楽器は数も種類も多く、ティンパニ<5>、グロッケンシュピール、シロフォン、カスタネット、クレセル、クロタル、トライアングル、アンティーク・シンバル3、シンバル4、タムタム、鐘3、チューブラーベル、タンブリン、小太鼓、大太鼓にチェレスタ、グランドピアノ2を含む大掛かり)のオーケストラという編成だ。

映画音楽などでよく使われている冒頭の「運命の女神」が始まった途端、オルフの描く奇妙な世界にいっぺんに惹きこまれてしまう。
重厚で荘厳な響あり、自然賛歌あり、官能的な歌、清らかな世界を描く歌など聖俗混淆のごった煮が、次から次へと繰り出され、原始脳を刺激する狂乱の60分。

声楽、合唱も素晴らしかったが、神奈川フィルにとっては恩師ともいうべき現田マエストロの期待に応えんとしたか、オケの出来栄えも素晴らしいものだった。

前日のN響には随分がっかりしていたが、今日の神奈川フィルは昨日のN響を凌ぐ力演・熱演・怪演だった。
たまにやってくれるんだよな。こういうホームラン級の演奏を。


♪2016-099/♪県民ホール-02

2016年6月18日土曜日

NISSAY OPERA 2016オペラ『セビリアの理髪師』

2016-06-18 @日生劇場


園田隆一郎:指揮
粟國淳:演出
新日本フィルハーモニー交響楽団
        
アルマヴィーヴァ伯爵⇒中井亮一
ロジーナ⇒      富岡明子
バルトロ⇒      増原英也
フィガロ⇒      青山貴 
ドン・バジリオ⇒   伊藤貴之
ベルタ⇒       山口佳子
フィオレッロ⇒    清水勇磨

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」


その昔、日生劇場には、オペラやバレエでも数回出かけたが、主に劇団四季のミュージカルやストレートプレイにせっせと通っていたところ、四季が「キャッツ」以後仮設専用劇場を建て、やがて自前の劇場を持つようになってからはそれまでホームグランドとしていた日生劇場での公演をやらなくなり、僕の足も日生劇場からは自然と遠のいてしまった。
職場の親睦会の行事で演歌歌手のコンサートなどには出かけたが、それにしても10年は経つのでずいぶん長くご無沙汰していたものだ。

ロビーやホワイエの白い大理石に赤絨毯。ホール内は海中を模した独特の意匠で、その空間に身を置いた瞬間にかつてここで観たいろんな芝居やミュージカルを思い出して非常に懐かしかった。

オペラの録画ディスクは著名なところは全て揃っていると思うが、いずれヒマができたらじっくり鑑賞しようと思いつつ、未だわずかしか目を通せていない。
ナマのオペラもリタイア後は年に数本観るようになったが、現役時代は数年に1本といったところだった。
その中でも「セビリア*の理髪師」には縁があって、一昨年のみなとみらいホール小ホールオペラを含め今回で3回めだと思う。

モーツァルトの「フィガロの結婚」の前日譚で、「フィガロ~」では悪役になるアルマヴィーヴァ伯爵はここではまだ?善人で恋する若者だ。フィガロの人格は2作で変わっていないようだ。
「セビリア~」での悪役はヒロイン・ロジーナの叔父で彼女の財産目当ての結婚を企んでいる医師バルトロだが、この名前は「フィガロ~」でも登場するが、そこでは伯爵家のお抱え医師になっている。
原作者(ピエール・ド・ボーマルシェ)は同じでも、台本を書いた人が異なるし、作曲者も違うので、人物の設定は原作とは変えてあるのかもしれない。

「セビリア~」は「フィガロ~」ほど登場人物は多くないし、物語も単純で、上演時間も短く(本篇のみ2時間半くらい)、音楽はいくつかの有名なアリアが耳に馴染んでいるし、そのほかのアリアも親しみやすい音楽だ。字幕上演とあいまって、物語は進行とともにほぼ必要な範囲で?消化できるのが嬉しい。

指揮の園田氏は記憶・記録にある限り、日フィルの定期で一度聴いたが、その時もオペラ・アリア集だった。歌劇畑の指揮者なのかな。

ほとんど馴染みのない歌手たち(バルトロを演じた増原英也氏は3回目だったが、ほかの人は初めてだろう。2012年より前の昔のコンサートは記録をしていないので分からない。)なので、楽壇における立ち位置は分からないけど、みんな上手だった。
声がよく通る。ビンビン響くのには驚きだ。音響が良すぎてクラシック・コンサートには向かないという説もあるが、1300席強というこじんまりした空間も観る・聴くにちょうどいい環境だ。

随分久しぶりに、本格的な舞台オペラ(演奏会形式ではなく、小ホール形式でもない)を、これまた随分久しぶりの日生劇場で、ゴージャスに楽しむことができた。オペラは、どうもクセになりそうだ。


♪2016-087/♪日生劇場-1




*「セヴィリア」の理髪師と表記されることもあるが、自己流の表記法で「セビリア」の理髪師に統一することにしている。
ヴァイオリン⇒バイオリン
ベートーヴェン⇒ベートーベン
ドヴォルジャーク⇒ドボルザーク
など。なるべく簡単に。