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2024年9月17日火曜日

東京フィル第1005回サントリー定期シリーズ

2024-09-17 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

マクベスBr:セバスティアン・カターナ(東フィル定期「ファルスタッフ」)
マクベス夫人Sp:ヴィットリア・イェオ
バンクォーBs:アルベルト・ペーゼンドルファー(新国「ワルキューレ」「神々の黄昏」)
マクダフTn:ステファノ・セッコ
マルコムTn:小原啓楼
侍女Ms:但馬由香
医者Bs:伊藤貴之
マクベスの従者、刺客、伝令Br:市川宥一郎
第一の幻影Br:山本竜介
第二の幻影Sp:北原瑠美
第三の幻影Sp:吉田桃子

ヴェルディ:歌劇「マクベス』
全4幕・日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
公演時間:約2時間45分(休憩含む)

第1幕  19:00…50分
第2幕  19:50…30分
----休憩      …20分
第3幕 20:40…20分
第4幕 21:00…45分
終演予定 21:45



チョンさんの歌劇シリーズはいつも本当に良い出来で、大いに楽しめる。
今日も、東フィルの第一声に痺れてしまった。これがサントリーの響か?と耳を疑うような明瞭な美しい響だ。

「オテロ」の時に気がついたが、それまでもこのスタイルだったのだろう。弦は指揮者に正対するのではなく、45度くらい客席に向かって広がっている。これが、あの美しい響きを生んでいるのではないか。

天井から普段は隠れているスピーカー群が降りていたが、一部は拡声していたのかもしれない。

歌手のうち、マクベス役はチョンさん歌劇「ファルスタッフ」で経験済み。バンクォーは新国の「ワル〜・神黄」で聴いている。夫人を歌ったVイェオもすばらしい。

いやはやみんな素晴らしくこれまで観た本格「マクベス」を含めても一番楽しめた。

あまりに良い出来だったので、「鑑賞減量」の大目標の下、東フィル定期は更新しないと決めていたが、やっぱり更新しよう。

チョンさん歌劇を聴く為だけでも定期継続の価値がある…ってミシュランの☆☆☆だね。

♪2024-125/♪サントリーホール-18

2024年6月24日月曜日

東京フィル第1001回サントリー定期シリーズ

2024-06-24 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
務川慧悟:ピアノ
原田節:オンド・マルトノ

メシアン:トゥーランガリラ交響曲
(トゥランガリーラ交響曲とも)



前回の「カル・ブラ」に続き今回も大ヒット!

「トゥラガリ」は6年5月前の都響に続き2回目。長くクラシックを聴いていてもわずか2回目!

初聴きだった前回も、存外楽しめたが、今日の東フィルの出来は段違いに良かった。

①演奏技術の確かさ。アンサンブルの正確さ。これはチョン・ミョンフンの功績もあるかな。

②今日のサントリーの響の良さが信じられない。
こういう響は5年か10年に一度遭遇するといった感じだ。
それはオケの管弦の交わりの美しさとピアノの響に特によく表れていた。

首都圏最悪のホール、特にピアノの音はトイ・ピアノのような音だと大抵こき下ろしているが、今日のピアノはSTW本来の煌めきがあった(低域はイマイチではあったが)。

どうして?
お客の入り、ホールの乾燥の具合なども関係するだろうが、舞台上手前方にオンマルのスピーカー群が並んだ為に、ピアノは普段の定位置より少し下手寄りだった(指揮台も)。
それによって幸いにも舞台の《最悪のツボ》を外れたのではないか?

③音楽自体、美しくもないし、大して面白くもないのだけど、あれだけ、多種・多量の楽器を鳴らしながら、不快な場面が一度もない。これはメシアンのオーケストレーションの見事さだなあ、と感じ入ったり。

今日の小発見:
ピアノは協奏曲の時と同じ配置だが、今日はその後ろにチェレスタともう一台小型鍵盤楽器が使われた。
あれは何か?編成表にもそれらしいものは見当たらない。

事務局の女性に聞いたら、「ジュ・ドゥ・タンブル」だという。え〜!初耳だぞ!
機能としては「鍵盤グロッケンシュピール」だった。
実際は、この「トゥラガリ」以外にも「魔笛・ダフニスとクロエ・海・マラ7・トゥーランドット」などにも使われているそうだから、当然何度も聴いているのだけど、グロッケンシュピールで代用されていたのかもしれない。

この2台の鍵盤楽器がピアノとユニゾンで旋律を担当する場面が少なからず。その為にピアノが一層煌めいたのかもしれないのだが。

合戦シーンばかり続く映画のバックミュージックのような軽い音楽だが、管弦楽の魅力に溢れている。そして、実に見事な演奏だった。あっぱれ東フィル!


♪2024-090/♪サントリーホール-14

2024年2月22日木曜日

東京フィル第996回サントリー定期シリーズ

2024-02-22 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

ベートーべン:交響曲第6番「田園」
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
第1部 大地の礼賛
  序奏
  春の兆し(乙女たちの踊り)
  誘拐の儀式
  春のロンド
  敵部族の儀式
  長老の行進
  長老の大地への口づけ
  大地の踊り
 第2部
  生贄の儀式
  序奏
  乙女の神秘的な輪
  選ばれし生贄への賛美
  祖先の召還
  祖先の儀式
  生贄の踊り
----------------------
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」から「大地の踊り」




まずは、「田園」が穏やかで、品のある良い出来だった。
チョンさんの時は、いつもこんな雰囲気が漂っている気がする。オケとの息がとっても合っているんだろう。
できれば弦12型で(14だった)聴いてみたい気がした。
後半の「春祭」(16型)との違いがどんなふうになるのかと思ったから。

その「春祭」。
オケは両翼に拡張した。
16型でも普通Vn1は6プルトで折り返して残りは内側に入る場合が多いと思うけど、今日は7プルトまで並んだ。
見た目もステレオフォニックだが、実際、今日は、その効果が遺憾無く発揮されていた。
例えが丸切り逆だけど、まるでDolby atomosの空間オーディオの如し。生なら当たり前、の域を超えて特大オーケストラが広い空間を埋め尽くした感じだ。センターで聴くからこそこの拡がりを感じられるのだろう。

狂乱する祭典かと思いきや、こちらも実に品のいい演奏だった。
6日前に久石譲+新日フィルで聴いたばかりだが、アンサンブルの見事さは東フィルに一日の長を感じた。
しかし、どちらをもう一度聴きたいか、と問われたら、新日フィルのド迫力を選ぶ。

チョンさん、2曲とも暗譜。
「春祭」に登壇した際にコンマスと戯れていたようだったが、始まってみると最初のファゴットの旋律がえらく間延びするので驚いた。これは遊びなのだろう。

Encに「大地の踊り」が演奏されたが、打ち合わせがうまくいっていなかったか、一部奏者の準備ができてなくて、間延びして始まった。こちらは予定された遊びではなかったようだが、チョンさんの苦笑が客席の笑いを誘った。

♪2024-030/♪サントリーホール-06

2023年7月31日月曜日

東京フィル第989回サントリー定期シリーズ ヴェルディ:歌劇「オテロ」

2023-07-31 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

オテロTn:グレゴリー・クンデ
デズデーモナSp:小林厚子
イアーゴBr:ダリボール・イェニス
ロドヴィーコBs:相沢創
カッシオTn:フランチェスコ・マルシーリア
エミーリアMs:中島郁子
ロデリーゴTn:村上敏明
モンターノBs:青山貴
伝令Bs:タン・ジュンボ

ヴェルディ:歌劇「オテロ」(リコルディ版)(演奏会形式)
全4幕 原語(イタリア語)上演 日本語字幕付き
原作: ウィリアム・シェイクスピア「オセロ」
台本: アッリーゴ・ボーイト
指揮:チョン・ミョンフン

公演時間:約2時間50分(幕間/CCを含む)
 第1幕 城壁の外側 …35分
 第2幕 城内の1階の広間 …40分
 休憩       …20分
 第3幕 城の大広間 …40分
 第4幕 デズデーモナの部屋 …35分



今日の発見というか、最大の驚きは、演奏会形式だというのに、本舞台のオペラ以上に迫ってくるものが大きく強かったという事だ。

歌手達の相乗作用か、いずれも演唱の入魂ぶりが激しかったこと。
何といってもノースコアで東フィルの実力を目一杯引き出したチョン・ミョンフン指揮の音楽がただならぬものあり。
それは畢竟ヴェルディの70歳越えの作品とも思えぬエネルギッシュで工夫に満ちた音楽の凄さの片鱗を、今回初めて味わったということでもあるが、とにかく冒頭から鷲掴みにされた。
過去に、「オテロ」でこんなに気持ちを持ってゆかれたことは一度もない。

よく聴いていると、所謂ナンバーオペラを脱して、まるでワーグナー作品のように、音楽が連綿と続き、アリアらしいものは、最終幕のデズデーモナの「柳の歌」〜「アヴェ・マリア」くらいだ。今日は、しみじみとこの10分を超えるナンバーを初めて味わい深く聴いた。それでも、ここで拍手する訳にもゆかない。深刻な人間ドラマはハナから緊張を孕んで、緩む時がないのだから。

二重唱や四重唱も、よく聴いていると複雑な仕掛けになっていて、心理の駆け引きというドラマ性を帯びている。

これまで僕は何を聴いていたんだろう、という反省もあり、それは「オテロ」だけでなく、オペラ全般、ひいては音楽全般に対して「ちゃんと聴いているかい?」という自問を投げかけられることになって、お金払って楽しみを得ようとすることも、なかなか容易ならざるものだなあ、といささか自虐的になってしまった。

まだ7月が終わったばかりだけど、今日の「オテロ」は、今年のベスト5に入るだろうと思った。

余談①:サントリーホールの天井から、大型のスピーカーセットが降りてきていた。記憶が曖昧だが、これまでに見たことがなかったような気がする。
東フィルのお姉さんにあれはいつ何のために使ったのか?と聴いたら、第1幕と第3幕に登場する大砲の音をこのスピーカーから流したようだ。その音源はシンセサイザーによる合成音だったようだ。
演奏中はオケの音が十分迫力があったので気が付かなかったよ。
余談②:弦の編成は14型だった。普通、弦の各プルトは指揮者に向かって、2人が並行して並ぶ。しかし、今日は60度くらい客席側に開いて並んでいた。そんなふうに並んだところで、音が大きく聴こえるようになるとも思えないので不思議に思ったが、暫くしてその理由が分かった。
演奏会形式といっても、演唱効果を高めるために、舞台上のオケはまるでピットに入っているかのように照明がぼんやりとしか当たらない。
その為に、譜面台に照明がついているのだけど、通常の形で並ぶと、客席上手・下手からはその照明が目に入ることになる。それを避けるべく、客席に向かって角度をつけて広がるように並んだのだろう。
…とこれは僕の推測で、東フィルのお姉さんに確認した訳ではないので間違っているかもしれない。

♪2023-135/♪サントリーホール-16

2023年1月27日金曜日

東京フィル第978回サントリー定期シリーズ

2023-01-27 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D759「未完成」
ブルックナー:交響曲第7番(ノヴァーク版)





チョンさんのW7番。
シューベルトの方は3年ぶり。
大昔、アマオケ入団初練習に行ったらチェロは誰も来ていない。で、自己紹介の後すぐ、一人で冒頭の旋律を弾く羽目になって戦慄したことを思い出すよ。あれで実力も余すところなく紹介してしまった。ま、後が楽だったけど。

低音て、他に上声が乗らないと音程が高めに聴こえる。
かつて、我が家に来たピアノの調律師が「低音はより低く、高音はより高く調律しないと本当の高さに聴こえない」と言っていたがそのとおりで、今日の冒頭は音程が定まっていないように聴こえ、バイオリンが刻み出すと転調したかに聴こえ、木管が主題を始めるとまた転調したかのように聴こえ、しばらくしてからやっとロ短調の世界に統一された。

でも、これはオケのせいではない。
それどころか、弦16型という大規模編成であったにも関わらず、弦は透明感があり、とても綺麗な演奏だった。
処々独自な節回しに一瞬違和感があったけど、全体としては好ましい演奏で「完成」された「未完成」。

ブルックナーはどうかな。
あまり好んで聴かない音楽なので、これがフツーの演奏かどうかは分からないが、ここでも弦の美しさは立派なものだった。
一昨日のN響は、ホールのせいで乾いた響きになったのが残念だったが、今日は、みつばちの法則「雨の日はホールが良く鳴る」が当たって潤いもあり、東フィルってこんなに達者なんだ、と再確認。

やや疑問は、管・弦のバランスはこれで良かったのか。ブラスの咆哮に弦が負けていなかったかと思ったりもしたけど。部分的に。

終曲後は、待ちきれないような猛獣の咆哮がそこここで始まった。確かにお達しで禁じられている「ブラボー」ではないのだけど「ウォウ!」「ウワーオ」となんだか気の毒なくらい。いっそはっきり「ブラボー」と叫べば良かったよ。

館内は、もう、5類相当を先取りしたかのようだった。

♪2023-015/♪サントリーホール-03

2022年10月20日木曜日

東京フィル第976回サントリー定期シリーズ

2022-10-20 @サントリーホール



ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」(リコルディ版)(演奏会形式)
全3幕 原語(イタリア語)上演 日本語字幕付き
原作: ウィリアム・シェイクスピア「ウィンザーの陽気な女房たち」
台本: アッリーゴ・ボーイト

公演時間:約2時間35分(幕間/CCを含む)
 第1幕/第2幕第1部…60分
 休憩       …15分
 第2幕第2部/第3幕…60分

指揮・演出:チョン・ミョンフン
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

ファルスタッフ(Br):セバスティアン・カターナ
フォード(Br):須藤慎吾
フェントン(Tn):小堀勇介
カイウス(Tn):清水徹太郎
バルドルフォ(Tn):大槻孝志
ピストーラ(Bs Br):加藤宏隆
アリーチェ(Sp):砂川涼子❤️
ナンネッタ(Sp):三宅理恵
クイックリー(Ms):中島郁子
メグ(Ms):向野由美子
合唱:新国立劇場合唱団



某響と違って、東フィルは定期演奏会なのに豪華面子を揃えてオペラだ。
舞台回りの客席を全部潰した(そこまでしなくとも合唱は十分並んだのに。)のはチケット収入より演出を重視したからだろう。太っ腹具合はファルスタッフ並みで嬉しい。

チョン・ミョンフン自らの演出だが、冒頭、第一幕の舞台である居酒屋の主人宜しく白いエプロンを付け、手には大きな箒を持って登場して大いに笑いをとった。もうこれで成功したようなものだ。
その後も指揮の傍ら歌手にお酒を注いだり小道具を渡したりと忙しい。

今日の東フィルは舞台にひな壇がなく、まるでピットにいるかのような配置だったが、時に応じて管楽器が立ち上がる場面も。

オペラ慣れしているオケだけあって演奏に何の不満も感じさせず、団員も楽しんでいるのがよく伝わって良かった。
最後にもオケの意外なパフォーマンスにニンマリ。

タイトルロールを歌うセバスティアン・カターナは初聴きだが体躯も声量も十分ファルスタッフ級だ。
女声主役は我がマドンナ砂川涼子❤️。
輝かしい高音が美しいが、最後の十重唱でも際立っていた。
ソプラノやテノールは言うまでもなく高い音が出れば良いという訳ではないが、ああいう声質は訓練の賜物というより天性のものではないか。


終演後は順調にカーテンコールが続いたが、ここで意外なアンコール。
終幕の十重唱が再度演奏されて大いに盛り上がった。客席は多くの人が立ち上がって拍手の嵐。

さて、「ファルスタッフ」は何度観ても聴いてもオチに納得できない。深いのか軽いのか…。この頃は考えないことにしている。全ては冗談だと思うしかないね。

東フィルは来季定期も「オテロ」だ。楽しみ!

♪2022-156/♪サントリーホール-18

2022年5月18日水曜日

東京フィル第968回サントリー定期シリーズ

2022-05-19 @サントリーホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

フォーレ:組曲『ペレアスとメリザンド』1898年
ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲1912年
ドビュッシー:交響詩『海』(管弦楽のための3つの交響的素描)1905年
ラヴェル:管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』1920年



ほとんど睡眠薬みたいなプログラムで、「海」で船を漕ぐのはピッタリだと思っていたが、いずれも好演かつ演奏時間が短いので眠ることもなかった。

「ペレアスとメリザンド」はいろんな作曲家が取り上げているが、中で聴く機会が断トツ多いのは今日のフォーレ。
ドビュッシーは同じ題材をオペラ化しており、デュトワ+N響で聴いたのはもう8年も前か…。
ちょっと失敗したデュトワは6月に新日フィルで復権が楽しみ。またN響定期で演奏会形式オペラを期待するよ。

ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」は7月に新国立劇場が取り上げるのも楽しみだ。

4曲とも独墺古典にない管弦楽技法の面白さ。
特に管楽器使用の巧みさ。

中でも一番好きで一番楽しめたのは「海」。

惜しむらくは、たいてい、いつも、どのオケでもだが、第一バイオリンの高域が歯軋りをしている。弱音器をつけた弦はきれいに響いたが、ここぞとばかりに炸裂するときに、耳障りなこと。

さて、今日の曲順F⇒R⇒D⇒R’のコンセプト如何?

作曲順ならF⇒D⇒R⇒R’だが、1番の大曲はDなので、F⇒R⇒R’⇒Dが落ち着いたのにな。


♪2022-072/♪サントリーホール-05

2021年9月17日金曜日

東京フィル第958回サントリー定期シリーズ

2021-09-17 @サントリーホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
----アンコール--------------------
ブラームス:ハンガリアンダンスNo.1ト短調


先日、NHKが東フィルとチョン師の真摯なブラームスへの取組みぶりを放映したばかりだったので(7月定期もすばらしかったし)、今日のサントリーホールはチョン・ミョンフン教祖の司祭する聖堂のような雰囲気(っとこれは言い過ぎかも)。

そして、演奏は、ただならぬ気合の入り方で物凄い圧力を感じた。

ブラームスの交響曲という重量級の作品を2本、演奏する方も大変だろうが、聴く側も気楽には聴けない。精神力を試されているようなところがある。


それにしても、ブラームスの底力というか真価を改めて思い知らされた。たぶん僕はブラームスの入付近口を彷徨っているに過ぎないのだけど、それでも奥の深さは感じられる。


カーテンコールは7月定期の際と同じく、熱狂のうちに進行した。指揮者のみならずオケも再登場して客席はほとんどが立ち上がって拍手した。


面白いのは、前回7月定期の際も同様だったが、ブラボータオルを掲げる人が1人もいなかった(正しくは僕の席からは見えなかった)事。


チョン師のブラームスにタオル⁉︎

そんな軽い反応を許さない雰囲気だったかも。


♪2021-098/♪サントリーホール-12

2021年7月2日金曜日

東京フィル第956回サントリー定期シリーズ

2021-07-02 @サントリーホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73


チョン・ミョンフンも1年4月ぶりの登場。

次回9月と合わせてブラームスの交響曲を順番どおり2曲ずつという、なにやら軽く受け止めてはいけないような厳粛な緊張感を要するプログラム。


果たして、オケも良い緊張感、客席も同様。


ブラームスが素晴らしいから、というだけではなく、この日の演奏は、最高水準の出来ではなかったか。

細部まで行き届いた音楽作りで、ブラームスのオーケストレーションの巧さまで改めて感じさせる、随所に発見のある演奏だった。


個人的には、多少、好みの合わない部分もあった。


2曲とも終楽章のテンポ設計に異議あり。

クライマックスに前置した一種の溜めだろうが、in tempoで駆け抜けても良かったのでは、とは思ったが、今回の熱演の前には些細なことのようにも思った。


前日の都響同様カーテンコールは長く、客席は大いに盛り上がった。終演のアナウンスの後にも指揮者だけでなくもオケ迄も登場。


しかし、客席からは、誰一人タオルやパネルなどを出す人はなく、大勢のお客が立ち上がって拍手を続けたが、感動と興奮もブラームスの後では高貴な緊張感に包まれたものとなった。

プログラム、指揮者の人柄等の違いもあるだろうけど、終演後の客席の興奮状態を見て都響と東フィルの”客筋の違い”を感じた。


今回も東フィルは全員マスクなし。プロの演奏家としての意気込みも嬉しい。


因みに弦編成は、バイオリンは対抗配置ではなく通常配置だが12-12-10-8-6と第1と第2は同数だった。


♪2021-066/♪サントリーホール-09

2020年2月19日水曜日

東京フィル第131回東京オペラシティ定期シリーズ

2020-02-19 @東京オペラシティコンサートホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団
杉並児童合唱団

カルメン:マリーナ・コンパラート
ドン・ホセ:キム・アルフレード
エスカミーリョ:チェ・ビョンヒョク
ミカエラ:アンドレア・キャロル
スニガ:伊藤貴之
モラレス:青山貴
ダンカイロ:上江隼人
レメンダード:清水徹太郎
フラスキータ:伊藤晴
メルセデス:山下牧子


ビゼー:歌劇『カルメン』(演奏会形式:全3幕・フランス語上演・字幕付き)

 前奏曲:約4分
第1幕:約50分
 間奏曲:約2分
第2幕:約40分
  ― 休憩:20分 ―
 前奏曲:約3分
第3幕第1場:約40分
 間奏曲:約2分
第3幕第2場:約20分
 合計:約3時間 (休憩含む)

演奏会形式「カルメン」全曲…というとデュトワ+N響を思い出す。あれは良かった。N響の時もメルセデス役は今日の山下牧子だった、というのはどうでもいいけど、歌手・合唱、オケのどれをとっても上出来で大満足だった(わずかな瑕疵は感じたが。)。

東フィルの出だしはざわつき感があったが程なく揃い出してからは最後まで高いテンションを維持した。

ピットのオケのくすんだ響も好きだが、舞台上のオケは明瞭で突き刺さるように音が飛んでくる。迫力十分なのに一定の透明感は維持しているから凄いものだ。

声楽の巧さはよく分からない(下手はすぐ分かる)し、日本人歌手以外は多分全員初めて?必ずしも世界の一流ではなさそうだが、僕にとってはみんな十分に巧い。

馴染み過ぎていて、時々緊張感をなくす「カルメン」だが、今日の演奏は、演奏会型式にもかかわらずやっぱり「カルメン」はいいぞと再認識。至福の3時間。

♪2020-027/♪東京オペラシティコンサートホール-02

2019年7月19日金曜日

東京フィル第126回東京オペラシティ定期シリーズ

2019-07-19 @東京オペラシティコンサートホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

クリステル・リー:バイオリン*

シベリウス:バイオリン協奏曲ニ短調 Op47*
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op95「新世界から」
-----アンコール-----------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第3番からルーレ*
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調

チョン・ミョンフン指揮、超巨大「新世界」は、弦5部の編成が16-16-14-12-10という信じられないような超特大規模。それでもキビキビ、シャキシャキの演奏だ。第1〜3楽章まではさほどの効果は現れなかったけど、特に終楽章の冒頭の弦一斉強奏(tutti)は、音を楽譜以上にたっぷり延ばして、まるでシネラマ(古い!)でD51がのっそりのっそり、しかし、力強く飛び出してくるような大迫力で、成る程、これがやりたかったのか、と納得。

ホールのせいか腕利きが揃っているのか、高域弦もほどほど透明感を保ちながらぶ厚いアンサンブルが高揚感を掻き立てる。
これは正に「新世界」の「新世界」!オーケストラをナマで聴く楽しさを満喫。

ドボルザークの交響曲に続いてアンコールがハンガリー舞曲第1番って、4日前の東響と同じ(東京は交響曲第7番だった。)展開だ。特大編成を維持したままのこの演奏も素晴らしい響だったが、何が違ったのだろう、東響の哀愁には及ばなかったなあ。

前半のシベリウスのバイオリン協奏曲もなかなか聴きごたえあった。こちらも協奏曲としては弦の編成が14-14-12-10-8という変則14型で大規模だが、独奏バイオリンが良く響いて違和感はなかった。メリハリの効いた演奏で、あまり情緒に流されるようなこともなく、快活なシベリウスだったなあ。

♪2019-103/♪東京オペラシティコンサートホール-04

2019年2月15日金曜日

東京フィルハーモニー交響楽団 第916回サントリー定期シリーズ

2019-02-15 @サントリーホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

マーラー:交響曲第9番ニ長調

何度聴いても捉えどころのないマーラー9番。東京フィルハーモニー交響楽団は定期会員ではないので1回券を買って聴きに行った。

今回も予習の為にCDでも何度か聴いたが、今回は、目下ベルリン・フィル・デジタル・コンサート・ホールの試聴期間中でもあるので、ベルリン・フィルの演奏でも2回も予習したせいもあってか、相当期待値が上がっていた。

東京フィルの演奏は、冒頭の弱音でのハープ、弦に乗る形の管楽器がモタついて先行き不安になってしまった。
この辺りはベルリン・フィルの連中は名人揃いだなあと思う。しかし、その後は持ち直して驚異的なアンサンブルが炸裂した。

特に、第2・第3楽章の賑やかな部分の迫力は、弦5部の編成が、第1バイオリンから順に16-16-14-10-10という変則の大編成が功を奏したか久々にゾクゾクする重厚な管・弦・楽の響を楽しんだ。

第1バイオリンと第2バイオリンが同数で、コントラバスが10本というのもあまり例がなく、時々音大の合同演奏会などでコンバス10本を経験することはあるが、プロオケでは「千人の交響曲」くらいの規模になるとあり得るだろうけど、他は思いつかない。
つまり、オーディオの世界では高音域と低音域を持ち上げるドン・シャリ型で、褒められた形ではないけど、ナマのオケでは時にこれが効果を持つということを実感した。
重厚なアンサンブルだが、その重さが並みのものではなかった。マーラーはこれを求めたのだろう。そしてこのような楽器の編成がマーラーの意図に沿うものだとチョン・ミョンフンは考えたのだ。おそらく、正解だったと思う。

また、今回のサトリーホールにおける席は、SS席のど真ん中で、好みは別にして、サントリーホールとしての極上音響をこの重厚長大音楽で確認できたのは幸運だった。

好みで言えば、今回の席より数列、前の方が音圧にまみれることができるので好きだけど、そのエリア(S席)が既に売り切れで、SS席しか残っていなかったのだ。不幸中の幸いはSS席は定期演奏会にしてはあまりに高い(1万5千円)ので、多くが売れ残っていたので、せめてもの真ん中を取れたのが良かった。

定期演奏会でSS席を設定しているのは東京フィルだけではないだろうか?尤も、他のオケでは同じエリアもS席だが、なぜか、取ることができない。ほとんどがスポンサーか関係者への招待席として非売席になっているように思う。

♪2019-018/♪サントリーホール-02

2017年7月27日木曜日

フェスタサマーミューザ2017 東京フィルハーモニー交響楽団 ≪チョン・ミョンフンのベートーベン≫

2017-07-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール


チョン・ミョンフン:指揮
清水和音:ピアノ*
東京フィルハーモニー交響楽団

<オール・ベートーベン・プログラム>
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37*
交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
-------------
アンコール

リスト:「愛の夢」第1番*

今日は、チョン・ミョンフン指揮東京フィルでベートーベンプログラム。
ピアノ協奏曲第3番(ピアノ:清水和音)と交響曲第3番「英雄」という実に分かりやすい組合せだった。

東フィルは気になるオケであるにもかかわらずコンサートで聴く機会は少なく、毎夏のフェスタサマーミューザで聴く程度だ。その代わりピットで聴くオケではもう断然東フィルが群を抜いて多い。オペラで素晴らしい演奏を何度も聴いているので、相当レベルの高いオケだと思ってはいるが、コンサートの回数が少ないので、しかと、評価する機会はなかった。

しかし、今日の「英雄」はなかなかの聴きものだった。

最初に演奏された協奏曲も悪くはなかったけど、やはり、こちらはピアノが主役でそれを抜きにしたオケ自体の面白みは、少なくとも今日も感じなかった。名曲だと思うし、大好きなものの一つではあるけど。僕の関心が東フィルの実力如何というところに集中していたせいもあるかもしれないが、全体として可もなく不可もないという印象の弱い演奏だった。

ところが、休憩後の「英雄」では冒頭の2つの和音が素晴らしくて一挙に惹き込まれた。
硬くて、重くて、それでいて簡潔で引き締まった見事な和音の2連発。2つの和音の間に僅かな残響も美しい。
「英雄」は数え切れないほど聴いているが、こんな印象的な出だしは初めてだ。ここで心を掴まれてしまったから、あとはもうただ、キビキビした爽快な演奏を黙って聴くしかない。

協奏曲と異なり、「英雄」ではチョン・ミョンフンのコントロールがフレーズの細部まで行き渡っているように思った。終楽章に、若干管の乱れを感じたが、弦楽合奏の力強さが全てを補って余りあり。

ますます、東フィルは気になる存在だ。でも、既に6オケ7定期でもアップアップなのにこれ以上定期は増やせない。機会を見つけて一回券で聴くようにしようかな。

♪2017-129/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-18

2016年7月27日水曜日

フェスタサマーミューザ2016 東京フィルハーモニー交響楽団 チョン・ミョンフンの情熱

2016-07-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール


チョン・ミョンフン:指揮
クララ=ジュミ・カン:バイオリン*
東京フィルハーモニー交響楽団

チャイコフスキー:バイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35*
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 Op.36
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番BWV1005からラルゴ*

フェスタサマーのHPから
一昨日の新日本フィルも今日の東京フィルも普段はほとんど聴くことがなくて、このフェスタサマーミューザやオペラでの演奏を聴くぐらいだ。
フェスタサマーでは、同じ会場の同じ席で各オーケストラの演奏を比較できるのが面白い。
一昨日の上岡+新日本フィルが上岡氏の強い個性で隅々まで管理されていると思えたが、対してミョンフン+東京フィルはいわば野放しの感。良く言えば骨太だが弦と管のバランスに疑問を感ずる場面が何度かあった。つまり、弦の音圧が弱いように思ったのだけど。

しかし、チャイコの4番では管の鳴り過ぎがかえって絶大な効果をあげていたな。



フェスタサマーのHPから
今日のオケの配置は指揮者の右側(上手)にビオラが置かれていた(珍しくもなくむしろ普通だと思うけど。)。その首席が、ビオラ界ではちょっと有名な須田祥子だ。この人の演奏は室内楽でも聴いたことがあるし、TVの音楽番組でも何度か登場したのを聴いているが、オーケストラ演奏で聴くのは初めてだったかも(ピットに入っている場合は分からない。)。
ジェスチャーが大きいので、こちら(指揮者の右)側にコンサートマスターが座っているのか、と錯覚しそうな気合の入れ方だった。後ろの列の楽団員も思わず力が入るだろうな。


♪2016-105/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-17