2023年1月27日金曜日

東京フィル第978回サントリー定期シリーズ

2023-01-27 @サントリーホール



チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D759「未完成」
ブルックナー:交響曲第7番(ノヴァーク版)





チョンさんのW7番。
シューベルトの方は3年ぶり。
大昔、アマオケ入団初練習に行ったらチェロは誰も来ていない。で、自己紹介の後すぐ、一人で冒頭の旋律を弾く羽目になって戦慄したことを思い出すよ。あれで実力も余すところなく紹介してしまった。ま、後が楽だったけど。

低音て、他に上声が乗らないと音程が高めに聴こえる。
かつて、我が家に来たピアノの調律師が「低音はより低く、高音はより高く調律しないと本当の高さに聴こえない」と言っていたがそのとおりで、今日の冒頭は音程が定まっていないように聴こえ、バイオリンが刻み出すと転調したかに聴こえ、木管が主題を始めるとまた転調したかのように聴こえ、しばらくしてからやっとロ短調の世界に統一された。

でも、これはオケのせいではない。
それどころか、弦16型という大規模編成であったにも関わらず、弦は透明感があり、とても綺麗な演奏だった。
処々独自な節回しに一瞬違和感があったけど、全体としては好ましい演奏で「完成」された「未完成」。

ブルックナーはどうかな。
あまり好んで聴かない音楽なので、これがフツーの演奏かどうかは分からないが、ここでも弦の美しさは立派なものだった。
一昨日のN響は、ホールのせいで乾いた響きになったのが残念だったが、今日は、みつばちの法則「雨の日はホールが良く鳴る」が当たって潤いもあり、東フィルってこんなに達者なんだ、と再確認。

やや疑問は、管・弦のバランスはこれで良かったのか。ブラスの咆哮に弦が負けていなかったかと思ったりもしたけど。部分的に。

終曲後は、待ちきれないような猛獣の咆哮がそこここで始まった。確かにお達しで禁じられている「ブラボー」ではないのだけど「ウォウ!」「ウワーオ」となんだか気の毒なくらい。いっそはっきり「ブラボー」と叫べば良かったよ。

館内は、もう、5類相当を先取りしたかのようだった。

♪2023-015/♪サントリーホール-03