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2017年5月26日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第690回東京定期演奏会

2017-05-26 @東京文化会館


ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》 
序夜「ラインの黄金」(演奏会形式/字幕つき)

ピエタリ・インキネン:指揮[首席指揮者]
演出:佐藤美晴
日本フィルハーモニー交響楽団

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
フリッカ:リリ・パーシキヴィ
ローゲ:ウィル・ハルトマン⇒西村悟
アルベリヒ:ワーウィック・ファイフェ
フライア:安藤赴美子
ドンナー:畠山茂
フロー:片寄純也
エルダ:池田香織
ヴォークリンデ:林正子
ヴェルクンデ:平井香織
フロスヒルデ:清水華澄
ミーメ:高橋淳⇒与儀巧
ファーゾルト:斉木健詞
ファフナー:山下浩司

サントリーが使えない間放浪している日フィル東京定期。今回は文化会館で演奏会形式「ラインの黄金」。ピットではなく舞台上に特大オケが所狭しと並んでいるのを見ると、サントリーじゃこれだけ並ばなかったのではないか。

4月に同じ場所で聴いたN響の「神々の黄昏」は素晴らしかったが、「黄昏」ではこんなにもオケの編成が大きかったろうか。また15年秋に新国立で「黄金」を聴いた時、ピットの中にはかくも大勢が収まっていたのだろうか。

何よりも、舞台上のオケの編成の大きさに目を奪われ、これから大変なものが始まるという高揚感で開幕を待った。
指揮は首席のP・インキネン。若いけど正統な熟練を感じさせて好感度大。聴いたのは初日。ローゲとミーメ役が体調不良で急遽交代した。


N響の「黄昏」でもジークフリート役が急遽交代した。まあ、その辺はちゃんと手当がしてあるのだろう。今回の日フィルでも、特にローゲ役は見事な歌唱力だった。もちろん、体調十分な各歌手も人間拡声器かと思うくらい訓練された美声を轟かせてた。

演奏会形式だから歌手がそれらしい衣裳を着用しているだけで舞台装置はない。しかし、今回は照明がとても凝っていて素晴らしく、各情景が照明だけでも十分想像できるのだ。それを踏まえた演出も良かった。
オケも音が明瞭にして繊細、時に爆音。

舞台のオケは演出効果のため終始暗かったが、そんな中で大編成のオケを仕切りまとめワーグナーの真骨頂を聴かせてくれたインキネンも日フィルも凄い。かつてメンデルスゾーンの「エリア」を演奏した日フィルが最高だと思っていたが、記録更新した。

事前のアナウンスは2時間半、休憩なし。実際はカーテンコールも含め2時間50分は座り続けたよ。そんなに長く耐えられるかという不安もあったが、なんて事もなく至福の2時間50分だった。

♪2017-092/♪東京文化会館-09


2015年10月14日水曜日

楽劇「ニーベルングの指環」序夜〜ラインの黄金〜

2015-10-14 @新国立劇場


指揮:飯守泰次郎
演出:ゲッツ・フリードリヒ

【ヴォータン】 ユッカ・ラジライネン
【ドンナー】 黒田博
【フロー】 片寄純也
【ローゲ】 ステファン・グールド
【ファーゾルト】 妻屋秀和
【ファフナー】 クリスティアン・ヒュープナー
【アルベリヒ】 トーマス・ガゼリ
【ミーメ】 アンドレアス・コンラッド
【フリッカ】 シモーネ・シュレーダー
【フライア】 安藤赴美子
【エルダ】 クリスタ・マイヤー
【ヴォークリンデ】 増田のり子
【ヴェルグンデ】 池田香織
【フロスヒルデ】 清水華澄

東京フィルハーモニー交響楽団

ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」序夜~ラインの黄金~


もう、一体何年ぶりかわからないくらい久しぶりの本格的なオペラ鑑賞。
オペラを観にゆくより、そのお金と時間をコンサートに回すべし、が僕のクラシック鑑賞ルールで、オペラはもっぱらホームシアターで楽しんでいるが、やはり、「指環」は一度は観ておきたい作品だ。

新国立劇場では2001年から4年がかりで全作品を上演したそうだが、その時はどういう訳か第1作(ラインの黄金)の公演情報を見逃し、結局一作品も観なかった。
今回2度めの上演は、再び「ラインの黄金」から3年がかりで全4作を上演するというので、機会ヨシ、とばかり観に行った。

久しぶりのオペラ(本作は「歌劇」に非ず「楽劇」と呼ばれている)の生舞台。
新国立劇場自体初めての経験だったが、少なくとも2階席中央ブロックは舞台は見やすいし音響面でも申し分なかった。

「指環」のビデオは4セット持っているくらい好きで、僕にとっては(多分、よほどワーグナー嫌いでもなければ全オペラファンにとっても)特別な作品だ。
今回は、事前にMETの「ラインの黄金」をじっくり観直して臨んだ。
全篇が聴き馴染んだ音楽ばかりで楽しいやらうれしいやら。
ビデオ鑑賞は特等席でゆっくりできるが、やはり(というか、残念ながらというか)、ナマのオーケストラと歌声にはかなわない。

飯守泰次郎御大は御年75歳だ。
これまでオーケストラ・コンサートで何度か指揮を聴いているがいつも満足できる。このクラスとなるとその音楽性は及びもつかないので分からないが、人間的魅力が指揮ぶりにも表れていて好感するのだろうと自分を納得させている。

その高齢にもかかわらず、「ラインの黄金」は4場が連続して休憩無しの160分、音楽が途切れることがないという長大作。
100名を超えるオーケストラ団員も、歌手たちも(出番のない場面では)、1,800人の観客も当然、その長時間を座わって過ごすのだけど、唯一、指揮者だけは立ち通しだ。まあ、背もたれくらいあったのかもしれないけど、もう、それだけでも敬服してしまうが、何より、この長いだけではない複雑なドラマを孕んだ超大作を完全理解していてこそ全篇にわたる緊張感を漲らせた音楽を再現できるのだから、これを指揮することが大変な力量を必要とされるだろうことは凡才にも想像ができる。

東京フィルも良く鳴って迫力十分だ。
これは新国立劇場が最初からオーケストラピットでの演奏を前提としてホールの音響効果が設計されているからではないかとも思うが、そもそもオケとしての実力がなければどんなホールだってうまくは響かない。

演出(というか、むしろ舞台装置)について言えば、METのロベール・ルパージュ演出版(2010年~)のシンプルながら舞台の全空間を活かした構造に魅了されている身としては、今回の舞台装置はちょっとチープ感が漂っていたが、これはMETと比較するからで、そこは知らなかったことにすれば十分満足できる。

ワーグナー恐るべし。
飯守泰次郎恐るべし。
東京フィルも見直した。


♪2015-102/♪新国立劇場-1