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2025年5月18日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 2025-2026 ミューザ川崎シリーズ 第1回

2025-05-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
清水和音:ピアノ*

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83*
ベートーべン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68「田園」



川崎も神奈川フィルにっては地元だが、東響との兼ね合いもあるのか、ミューザでの演奏会はFSMuzaや特別演奏会とみなとみらいホールの改修中に限られて、定期演奏会はなかった。

今季から、ようやく待望のミューザ定期だ。
といっても、年に3回では物足りんよ。県民ホール定期の代わりという位置付けなのだろうが、せめて5回に増やしておくれ。

その3回はすべてベートーベンが取り上げられるが、なぜか、今回だけ、ベトのPf協ではなく、ブラPf協2番がカップリングされた。好きな作品だから、これはこれで歓迎だけど、やはりベートーベンで徹底すれば良かったのに。

ブラームスのPf協は、記録にある14年以降で前回が16回目。1番と2番は8:8の互角というのも珍しい。
今日の演奏で、2番が一歩リードしたが、不思議なことに、2番の方が印象に残る演奏が多い。昨秋のオピッツ@日フィル、ゲルシュタイン@都響は、まだ記憶に新しいせいか、とても良かった。

そして、今日の清水和音の演奏もとても楽しめた。
やはり、ミューザのピアノだ。広域はコロコロを明るくころがり、中低域は重くならず、ビ〜ンと響く。
これといったヴィルトォーゾ的なPfの聴かせどころはないのだけど、べらぼうに難しいらしい。全篇がピアノ付き交響曲風でほんに聴き応えのある作品だ。


メインは「田園」だったが、今日に限っては前半がメインという印象だった。
もちろん、丁寧な演奏だし、これといった破綻もなく、水準以上の演奏だった。

ただ、みなとみらい定期ではあくまでも本格を追求して欲しいが、ミューザでは、いわば武者修行みたいなもので、普段やらないような大胆な解釈を聴かせるとか、ちょっと遊んでみてもいいのではないかと思ったよ。

今日のプログラム。とても良かったが、終わって、膨満感に襲われたよ。

♪2025-063/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-04

2024年10月26日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第399回定期演奏会

2024-10-26 @みなとみらいホール



小泉和裕:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
清水和音:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18*
プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 Op.100



小泉氏は、本当によく聴くよ。神奈川フィルと都響が圧倒的で、取り上げるのはほぼドイツもので、たまにチャイコやドボルザーク。
で、今日のラフマは初めて。プロコは2度目だが、前回も交響曲5番だった。

小泉氏はいつも安心して聴いておられるが、今日のラフマは少しテンポがゆったりだったのは、独奏者の好みなのか。

その清水和音は、大熱演で、こんなに力の入ったラフマ2番は珍しいよ。Pfは大音量でオケが隠れるくらいによく響いた。ロマンチックなのかエモーショナルか、とにかくたっぷりと歌った。案外こういうのがラフマの真骨頂かもと思った。

後半、小泉氏による2回目のプロコ5番。プロコの交響曲となるとたまに4-6-7番も聴くが大抵5番だ。馴染んでいるせいか、あまり抵抗感もないのだけど、今日は、前半でエネルギーを使ってしまったか、イマイチ入り込めなかったね。こんな日もあるよ。

♪2024-145/♪みなとみらいホール-36

2023年8月2日水曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 東京フィルハーモニー交響楽団 俊英マエストロ&円熟のピアニスト ~ドラマティック名曲集~

2023-08-02 @ミューザ川崎シンフォニーホール



出口大地:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
清水和音:ピアノ*

ハチャトゥリアン:組曲『仮面舞踏会』から ワルツ
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23 *
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
---------------------------
ラフマニノフ(ワイルド編):「何という苦しさ」Op21-12*
ハチャトゥリアン:組曲『仮面舞踏会』から マズルカ



指揮の出口大地は昨年7月の東フィル定期で聴いて以来2度目。この人のおかげで?ハチャトゥリアン指揮者コンクールなるものの存在を知った。
それで前回はハチャ~一色のプログラムだったが、今回は、最初の1曲だけ…かと思いきや、Encも同じ作品からお祭りを締めくくるにふさわしい賑やかな作品を演奏した。

なかなか好感の持てる青年だ(34歳?)。
すごく自然で、まっすぐな指揮ぶり。どの音楽も爽快に感じた。

チャイコのPf協1番の独奏は清水和音(でこの曲を聴くのは3回目。)。
圧倒的な演奏で、Pf協とはこういうふうにやるんだ、と言わんばかり堂に入っている。Pfを弾きながらオケも実質的に指揮をしているようだった。指揮者との連携が良かったのだけど。

後半の幻想交響曲は、昨日の読響を彷彿とさせた。
「指環」に比べると楽器編成の規模や多彩さはだいぶ地味だけど、「幻想」オーケストラル・アドベンチャーも、「指環」の完成に40年以上先立つ作品とは思えない程に派手な管弦楽が売り物。どこのオケがやってもたいてい満足できる(中でも5月の大植英次+神奈川フィルは大満足だった。)が、東フィルも見事なもので、これもオペラ絵巻に聴こえてくる。

ところで、3楽章のE-Hrと掛け合いをするバンダのObはどこで吹いていたのだろう?よく「舞台裏」で吹くと解説してあるが、現実には本舞台以外のことを指しているようで、多くの場合袖で吹いていると思うが、今日は舞台の真ん中あたりから聞こえてきたので不思議に思ったよ。

今日のミューザは天井からスピーカーが降りていたが、まさか、あそこから?

♪2023-137/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-17

2022年3月25日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#5

2022-03-25 @すみだトリフォニーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
清水和音:ピアノ*

細川俊夫:開花II(2011)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op.95「新世界から」
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ショパン:ノクターン第10番 Op32-2*
ブラームス:ハンガリアンダンス第1番


細川俊夫の初聴き作品「開花Ⅱ」は、冒頭の弦のアンサンブルがきれいだった(今日は、終始、弦に不満がなかった。)。しかし、面白味に欠ける音楽で、僕の中では花は開かずじまいだった。気分が乗れないまま続くモーツァルトのピアノ協奏曲も弾けなかった。

ところが、「新世界から」は実に小気味良いテンポで、キリリとまとまって、好印象を受けた。少し、まとまりのなさもあったのだけど、勢いが優った。

同じオケを同じホールの同じ席で聴いていても都度出来栄えが異なるのはどうして?今日など前半と後半でオケの締まり具合が違って聴こえたのは気のせいかなあ。

♪2022-041/♪すみだトリフォニーホール-02

2022年2月12日土曜日

名曲全集第174回 清水和音 X ラフマニノフ 至高のピアニズム

2022-02-12 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮
東京交響楽団
清水和音:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18*
ルーセル:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」第2組曲 op.43
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)
------アンコール--------------------
スクリャービン:2つの詩曲 Op32-1*


何がホールの響きを決定するのか判然としないが、いろんな要素の絡み合いだろう。
いつものホールでいつもの席でいつものオケを聴いても変化はある。
冬場だから客席は着膨れ。それが残響を吸収しているのは間違いないと思う。端的にピアノの音が硬かった。

ま、好みの問題で、こういうのが好きな人もいるだろう。オケも強奏Tuttiの後の余韻が短い。昨日の芸劇でさえもっと響いていた。

そんなこんなで前半のショパンはしっくり感じなかった。

が、後半はむしろこの硬さが奏功したように思う。

ルーセルは珍しいが昔「バッカス〜」も聴いた事がある。
印象派の時代だがストラヴィンスキーと作風がよく似ている。

そして最後がそのストラヴィンスキーの「火の鳥」。

昨日のN響もストラヴィンスキー2本立てで、しかも名演だったから、翌日の東響は分が悪い…という不安を跳ね飛ばすこちらも名演で、途中から、N響の続きを聴いているのか、と錯覚する程の繊細さと迫力ある演奏だった。

♪2022-019/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2021年2月17日水曜日

NHK交響楽団 02月公演

 2021-02-13 @サントリーホール


下野竜也:指揮
NHK交響楽団

ピアノ:清水和音*

シューマン:序曲「メッシーナの花嫁」作品100
ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73「皇帝」*
シューマン:交響曲第3番変ホ長調 作品97「ライン」



指揮はPヤルヴィの代役で下野竜也。

3曲はいずれも♭3つの調性で繋がっていると解説あるも、聴き分ける耳を持たぬ身には後付けの説明のように思える。

むしろ、ベト「皇帝」ではなくシューマンのピアノ協奏曲でシューマン漬けにしてほしかった。


しかし、「皇帝」が始まってみると、今日のサントリーホールのスタインウェイの良く鳴ること!
こんなにコロコロ明るい音が響くのは珍しい。

で、初めの不満は影を潜め、「皇帝」も十分楽しめた。

綺麗な音を聴くともう音階だけでも聴いていたいようにさえ思う。


ところで、どうしても協奏曲は独奏部分がオケに埋もれる部分がある。
放送ではしっかり聴こえるだろうが生ではやむを得ない。

そんな事情もあって、これは弦12型の小編成。


「皇帝」を挟む形の序曲と「ライン」は弦14型。


ナマ「ライン」は久しぶりで前回が16年11月のN響A。
この時はマンフレッド序曲、ピアノ協奏曲、と全作シューマンだった。

4年強の久しぶりだった。

もちろん好きな曲なので、CDなどでは時々聴いているが、冒頭の3/4拍子の取りにくいこと。ヘミオラって技法だろうか?今回も頭の中でタクトを振ってみたが長くは続かず。

しかし、このリズムの躍動感がとてもキャッチーでいい。


2楽章の牧歌的な親しみやすい旋律。

箸休めみたいな3楽章。

落ち着いた4楽章。

「いきいきと」で始まった音楽が最後に5楽章「いきいきと」に回帰して、シューマンにこんな幸福な時期があったのだと思うと感動してしまうよ。

N響の合奏力も良し!


♪2021-013/♪サントリーホール-03

2018年9月22日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第340回横浜定期演奏会

2018-09-22 @みなとみらいホール


小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

清水和音:ピアノ*

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23*
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲《展覧会の絵》
---------------
アンコール
ショパン:英雄ポロネーズ*
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から間奏曲

まずは清水和音の独奏でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。
冒頭のホルン、管弦強奏の何と美しいこと。ピアノも粒立ち良くカーンと抜けてゆく。ああ、管弦楽とはこの響だ。昨日の読響・サントリーホールの響とは天地の差がある。まずもってこの響でなければ音楽が始まらぬ。

されど昨日が酷かったのは読響のせいではない。
サントリーホールのスウィートエリアが狭く、お仕着せ席がそこから遠く離れていたのでバランスが悪いだけでなくオケの響もピアノの音も聴くに耐えなかった。音楽以前と言ってもいい。
それに比べると今日の日フィルの響は至福だ。ホールと席が違うと別次元の音楽体験となる。

音の分解能が悪いサントリーホールでは席を選ばなくてはいかんということを痛感。幸いここで定期演奏会を聴いている都響B定期の席は何年もかけたどり着いた席だけに不満はないし、一回券を買って聴く場合もスウィートエリアしか買わないから、サントリーホールの響が席によってはとても悪いということに長く気づかなかったのだ。

ピアノ協奏曲は清水和音の細かい処はともかくも快音に好感。指揮もゆったり目で存分に名曲を味あわせてくれた。

展覧会の絵では、管楽器の名手たちが存分に妙技を聴かせ(Tubaはめったに聴けない美音)、弦はよく揃って共鳴し豊かに響いた。管+弦は柔らかく調和した。
何より、コバケンの指揮がオケの隅々に行き渡って、全員が呼吸を揃えていた。管弦楽を聴く楽しみここに極まれり。

♪2018-116/♪みなとみらいホール-26

2018年8月25日土曜日

華麗なるコンチェルト・シリーズ第7回 清水和音〜ラフマニノフ・ドラマティコ〜

2018-08-25 @みなとみらいホール


太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

清水和音:ピアノ*

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18*
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30*

まずは、神奈川フィルのオーケストラのみでチャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズで、最近好調の厚みのある響を聴かせた。

このところ、鑑賞・観劇は12日間の長期休暇(どこのオケもお盆前後に定期演奏会は開かない。)だったのでナマオケは13日ぶり。そう事情もあって、生演奏が干天の慈雨の如く染み込んで、一層良く聴こえたのかもしれないけど、最近の神奈川フィルのアンサンブルはとてもまとまりが良い。一皮むけた感じだ。

次に、今日のメインプログラム。
清水和音のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2、第3番はいずれも力演だった。

みなとみらいホール自体が楽器のように高性能だから、スタインウェイを一層ブリリアントで力強く響かせて、第2番第1楽章冒頭の有名な和音連打(10本の指で最大9重音!)がワクワクさせ、それに誘われるように入ってくる弦による主題が美しい。マリリン・モンローの「七年目の浮気」で浮気男の妄想をかき立てたのがこのメロディーだ。

2番はラフマニノフの全4曲ある協奏曲の中で、人気No.1だろう。演奏機会が多く、聴く機会も多い。この曲のロマンチックでメランコリックな情感に浸るのは、妄想の助けにもなるが、癒やしにもなる。

僕としては、3番も同じくらいに好きだ。
各人の好みだけど、3番はちょっと音楽的に難しいように思う。オーケストレーションも複雑で、指揮者が(どんな音楽でも基本的には同じだけど)各パートをしっかり制御して縦横をきちんと合わせないと音楽が空中分解してしまいそうな、聴いていてそんなリスクを感ずるけど、その代りきちんと制御されたならラフマニノフが構想した絶妙なアンサンブルが再現できる訳だ。

今日の若手指揮者太田弦くん(1944年生)、初聴きだが、ピアノとオケの絡みが複雑な管弦楽を綺麗にまとめ、清水和音の強力な演奏と相まって、うねるように陶然たるクライマックスに仕上げて、振り終えるや間髪入れず大きな拍手と歓声が一斉に巻き起こった。

♪2018-100/♪みなとみらいホール-23

2017年7月27日木曜日

フェスタサマーミューザ2017 東京フィルハーモニー交響楽団 ≪チョン・ミョンフンのベートーベン≫

2017-07-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール


チョン・ミョンフン:指揮
清水和音:ピアノ*
東京フィルハーモニー交響楽団

<オール・ベートーベン・プログラム>
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37*
交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
-------------
アンコール

リスト:「愛の夢」第1番*

今日は、チョン・ミョンフン指揮東京フィルでベートーベンプログラム。
ピアノ協奏曲第3番(ピアノ:清水和音)と交響曲第3番「英雄」という実に分かりやすい組合せだった。

東フィルは気になるオケであるにもかかわらずコンサートで聴く機会は少なく、毎夏のフェスタサマーミューザで聴く程度だ。その代わりピットで聴くオケではもう断然東フィルが群を抜いて多い。オペラで素晴らしい演奏を何度も聴いているので、相当レベルの高いオケだと思ってはいるが、コンサートの回数が少ないので、しかと、評価する機会はなかった。

しかし、今日の「英雄」はなかなかの聴きものだった。

最初に演奏された協奏曲も悪くはなかったけど、やはり、こちらはピアノが主役でそれを抜きにしたオケ自体の面白みは、少なくとも今日も感じなかった。名曲だと思うし、大好きなものの一つではあるけど。僕の関心が東フィルの実力如何というところに集中していたせいもあるかもしれないが、全体として可もなく不可もないという印象の弱い演奏だった。

ところが、休憩後の「英雄」では冒頭の2つの和音が素晴らしくて一挙に惹き込まれた。
硬くて、重くて、それでいて簡潔で引き締まった見事な和音の2連発。2つの和音の間に僅かな残響も美しい。
「英雄」は数え切れないほど聴いているが、こんな印象的な出だしは初めてだ。ここで心を掴まれてしまったから、あとはもうただ、キビキビした爽快な演奏を黙って聴くしかない。

協奏曲と異なり、「英雄」ではチョン・ミョンフンのコントロールがフレーズの細部まで行き渡っているように思った。終楽章に、若干管の乱れを感じたが、弦楽合奏の力強さが全てを補って余りあり。

ますます、東フィルは気になる存在だ。でも、既に6オケ7定期でもアップアップなのにこれ以上定期は増やせない。機会を見つけて一回券で聴くようにしようかな。

♪2017-129/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-18

2017年3月30日木曜日

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-偉大な芸術家の思い出に~堀正文、イェンス=ペーター・マインツ、清水和音

2017-03-30 @東京文化会館


バイオリン:堀正文
チェロ:イェンス=ペーター・マインツ
ピアノ:清水和音

ハイドン:ピアノ三重奏曲 第25番 ト長調 Hob.XV:25 《ジプシー・ロンド》
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 op.49
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 op.50 《偉大な芸術家の思い出に》

メンデルスゾーンとチャイコフスキーのピアノ・トリオの組み合わせなんて個人的には理想的だ。最近ちょっと傷心を愉しんでいるので癒しにぴったり。
でも2週間前に同じ場所で聴いたベルリンフィル三重奏程の調和は不足。また、10日前の山根君らの演奏程にも琴線を震わせなかった。達者に軽く弾くのが、これらの作品に抱いているイメージと異なるので期待を外されてしまうのかも。 

今日のコンサートはどうもチェロの音が明確ではなかった。やはり、チェロの場合は正面からせいぜい±15度くらいに収まらないとだめなんじゃないかと思った。ほぼ正面に楽器を見ないと(先日の多重奏も然り)音楽に入ってゆくのが難しい。今日の演奏は特にそういう感じだった。

♪2017-48/♪東京文化会館-04

2016年10月11日火曜日

横浜18区ショートフィルム&コンサート 〜清水和音ピアノ・リサイタル

2016-10-11 @かなっくホール


清水和音:ピアノ#
大江馨:バイオリン*

◆ショートフィルム上映作品◆
ピアノ・エチュード(原題:Etude,Solo)
監督:Dae-eol Yoo 製作国:韓国

◆コンサート◆
ショパン:ノクターン第9番変ロ長調作品32-1#
スクリャービン:8つのエチュードより第5曲 嬰ハ短調 作品42-5#
クライスラー:美しきロスマリン/愛の悲しみ/愛の喜び#*
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンパルティータ第2番から「シャコンヌ」*

ベートーベン:ピアノソナタ 第21番 ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」#
ショパン:バラード第4番#
-------------
アンコール
エルガー:愛のあいさつ#*

別所哲也って聞いた名前だけど何者?と思って調べたら、役者であり、みなとみらいにあるショートフィルムシアターの経営者?だそうな。

で、彼がクラシック・コンサートのプロデュースをしている理由はよく分からないけど、コンサートの前に短編映画が上映されるので、それが彼の肝煎なのかもしれない。
映画はあまり面白いとも思えなかったが、家の近所のコンサートホールでクラシックコンサートを聴けるのはありがたい。

横浜市は全部で18区から成る。
今回の企画は、その各区でショートフィルムの上映と清水和音のピアノリサイタルを何人かのゲストを迎えて巡回しようというものらしい。そこで、18区とショパンの夜想曲全18曲を無理やりつなげて、各区毎に1曲ずつ弾いて全区で全曲という構想が出来上がったのだろう。
しかし、ショパンの夜想曲は、手持ちのCDではぜんぶで21曲あるので18曲ってどういう計算なのか?
確かに18番までがショパン生存中に発表されたもので、遺作を除けば全18曲ということになるので、まあ、それなりの理屈になっているが、無理筋だなあ。
全18回のコンサートを通して聴く人もいないだろうから、それより、各回ごとのプログラムとして構成力を持たせるべきだったと思う。

全18回を通じてメインの出演者は清水和音氏。これに数人のゲストが加わるが今回のゲストはバイオリニストの大江馨くん。
この人のコンクール歴はすごい。前にも協奏曲を聴いたことがあるが、相当高度なレベルだと思う。

清水和音は何度も聴いているけど、いずれもオーケストラとの協奏曲ばかりでソロあるいはバイオリンとのデュエットは初めてだった。

小さなホールだし、響がいい。
むしろ良すぎるくらいで、最初のピアノソロの2曲は鳴り過ぎの感じもしたが、バイオリンにはとてもこの響具合が好ましくて、演奏している方も気持ち良く弾けたのではないかと思う。
バイオリン独奏のJ.S.バッハのシャコンヌなど、まるで拡声装置でも付けたのかと思うくらいに豊かな音色が響いた。

バイオリンとピアノのデュオは、小品ばかりだったが、その後に清水御大がピアノ独奏で再登場し、かなりの重量級を2曲演奏した。
「ワルトシュタイン」は想定よりもゆったりとした出だしだったが、徐々にテンポが早まり、第1楽章の終盤と終楽章は早業を聴いている感じだった。
予定番組最後のバラードもピアノの音色の美しさがよく響いていた。

珍しいところで、スクリャービンのエチュードが(これは冒頭に上映された短編映画の中でも取り上げあられたものだ)、多分初聴きだけど、もっと小難しいのかと危惧していたけど、とてもロマン派ぽくて興味を深めた。

ところで、このコンサートは「横浜音祭り2016」のイベントの一環だ。
このイベントは主催者側は「日本最大規模の音楽フェスティバル」と謳っているが、それにしては全然盛り上がっていない。
最近出かけたコンサートでも確かに「横音2016」に協賛しているものはいくつかあったけど、独自企画の目玉コンサートをやらなくちゃアピールできないな。


♪2016-139/♪かなっくホール-03

2015年9月12日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第5回

2015-09-12 @県民ホール


小泉和裕(特別客演指揮者)
清水和音:ピアノ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーべン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73 「皇帝」
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98


今日のプログラムはも、王道の中の王道。
ベートーベンとブラームスという、作曲家も王道だが、各自の作品がそれぞれのジャンルでの各自の最高峰ではないか(ま、人によって好みの違いがあるかもしれないけど。)。

こういう作品が並んだコンサートは実に安心できる。
幸福な時間だ。
でも、幸福すぎて前半は船を漕いでしまった。

なにしろ、今朝の6時前の激震(正確には震度4だけど…突き上げるような揺れだった。)ですっかり目を覚ましてしまってそれから寝られず、激しい睡眠不足状態だった。

どのオケのコンサートでも、第一声は不安だ。
ちゃんとピッチのあったきれいな音が協和して響くだろうか。
でも、この問題は、曲によってはそう心配しなくともよい場合がある。一般化してどう表現したら良いか思いつかないけど、例えば、ホルンを筆頭に木管の弱音で始まらない場合、とりわけ、低弦中心のTutti(言語矛盾があるかも)で音楽が始まる場合は不安要素が少ない。
最近、体感した例では、ベートーベンの「エグモント」序曲のようなタイプだ。そして、今日の同じくベートーベンの「皇帝」も安心できるタイプだ。

出だしはとてもきれいな響でホッとした。
続くピアノのアルペジオもきれいだし、とても気分の良い出だしだったが、2楽章の途中から、意識が朦朧としてしまったのは、演奏している人たちに大変申し訳無い。


「皇帝」の聴き所は全曲だろうけど、個人的に細かいところをあげるなら2楽章の終わりから終楽章へのつなぎの部分もゾクゾクするところだ。
終楽章のテーマをスローテンポで小出しにしながら盛り上げてゆき、ついに頂点に達した時に(attaccaで)第3楽章が華やかに始まる。
これは「運命」の第3楽章から第4楽章へのつなぎと同じ趣向だ。
「皇帝」は「運命」のほぼ1年後に完成しているらしいから、もう一度異なる分野でも同じ趣向を試みたのだろう。

ま、そんな訳で、個人的には、第2楽章の終わりから第3楽章への緊張感の持続と盛り上がりを興味を持ちつつ味わいたいところなので、第1楽章でうたた寝しても第2楽章では覚醒していなければならなかったが、震度4の余震がこんなところに及ぶとは思わず、気づいたら終楽章が始まっていた。残念無念。

でも、堂々とした「皇帝」ぶりで良かった…なんて、ちょっと白々しい?


休憩挟んで後半はばっちり刮目してブラームスを楽しんだ。
この曲は、初っ端からもうハラハラと泣ける感じだ。
それでいてその気になって泣いていると置いてゆかれてしまう。
この辺がチャイコフスキーなんかとは違うんだなあ。
情緒的ではあるけど、情緒に流されない。その抑制された感情表現がブラームスの真骨頂ではないか。

「ブラームスはお好き」?とサガンは問うた。
もちろん「大好きだよ!」と答えよう。



♪2015-84/♪県民ホール-02