2018-08-25 @みなとみらいホール
太田弦:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
清水和音:ピアノ*
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18*
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30*
まずは、神奈川フィルのオーケストラのみでチャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズで、最近好調の厚みのある響を聴かせた。
このところ、鑑賞・観劇は12日間の長期休暇(どこのオケもお盆前後に定期演奏会は開かない。)だったのでナマオケは13日ぶり。そう事情もあって、生演奏が干天の慈雨の如く染み込んで、一層良く聴こえたのかもしれないけど、最近の神奈川フィルのアンサンブルはとてもまとまりが良い。一皮むけた感じだ。
次に、今日のメインプログラム。
清水和音のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2、第3番はいずれも力演だった。
みなとみらいホール自体が楽器のように高性能だから、スタインウェイを一層ブリリアントで力強く響かせて、第2番第1楽章冒頭の有名な和音連打(10本の指で最大9重音!)がワクワクさせ、それに誘われるように入ってくる弦による主題が美しい。マリリン・モンローの「七年目の浮気」で浮気男の妄想をかき立てたのがこのメロディーだ。
2番はラフマニノフの全4曲ある協奏曲の中で、人気No.1だろう。演奏機会が多く、聴く機会も多い。この曲のロマンチックでメランコリックな情感に浸るのは、妄想の助けにもなるが、癒やしにもなる。
僕としては、3番も同じくらいに好きだ。
各人の好みだけど、3番はちょっと音楽的に難しいように思う。オーケストレーションも複雑で、指揮者が(どんな音楽でも基本的には同じだけど)各パートをしっかり制御して縦横をきちんと合わせないと音楽が空中分解してしまいそうな、聴いていてそんなリスクを感ずるけど、その代りきちんと制御されたならラフマニノフが構想した絶妙なアンサンブルが再現できる訳だ。
今日の若手指揮者太田弦くん(1944年生)、初聴きだが、ピアノとオケの絡みが複雑な管弦楽を綺麗にまとめ、清水和音の強力な演奏と相まって、うねるように陶然たるクライマックスに仕上げて、振り終えるや間髪入れず大きな拍手と歓声が一斉に巻き起こった。
♪2018-100/♪みなとみらいホール-23