2018年8月28日火曜日

MUZAナイトコンサート60 音と語りで楽しむ「セロ弾きのゴーシュ」

2018-08-28 @ミューザ川崎シンフォニーホール

チェロ:山崎伸子*
ピアノ:寺嶋陸也+
語り:青池玲奈#

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から*
 前奏曲、サラバンド、メヌエット
ドビュッシー: 前奏曲第1巻から第10曲「沈める寺」+
ドビュッシー:チェロ・ソナタ*+
林光(編曲:青島広志):チェリストのための童話「セロ弾きのゴーシュ」*+#
ポッパー:ハンガリアン狂詩曲*+
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サン=サーンス:白鳥*+

子供向けのようなタイトルの演奏会だが、しっかりと大人向けの充実したプログラムだった。

J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」から始まって、ピアノ独奏ドビュッシーの「沈める寺」、同「チェロソナタ」、林光のチェリストのための童話「セロ弾きのゴーシュ」など。

林光の「セロ弾きの〜」は初聴き。
原曲はオペラらしいが、今日の演奏はチェロ、ピアノ、語りの3人で演奏されるように編曲されている。尤も、オペラの方はオーケストラはピアノ1台だそうだから、今日の簡略版の方が編成は豪華だ!
全9曲で構成されていて、どれも面白いが、この中にもバッハの無伴奏組曲1番前奏曲が組み込まれていたが、ここでは無伴奏ではなく、チェロのアルペジオ風の音楽にピアノによる美しい旋律がかぶる。しばらくするとこれが逆転してピアノがチェロのパートを弾きこれにチェロがメロディーを載せる。
ちょうど、J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集の第1曲にグノーが美しい旋律を載せた所謂「グノーのアヴェ・マリア」の趣向と同じことを林光はチェロの無伴奏組曲の第1曲でやった訳だ。無伴奏は単独で演奏されるものだから、邪道かもしれないけど、あまりにうまくメロディが嵌っているので新鮮な驚きがあった。

語り手は第5曲「カッコウのドレミファ」では自らカッコウになって歌うほか、第6曲「子狸のデュエット」では打楽器でも参加しするので、ただ朗読がうまいだけでは務まらない。変形ピアノ・トリオのようだ。

林光を聴く機会はめったにないが、こんなに楽しくて親しみやすいのを作曲しているとは知らなかった。

チェロのベテラン山崎伸子も初めて聴いた。還暦は過ぎていてチラシの写真とのギャップが大きいが、さすがにケレンなく軽ろやかで安定感があり非常に心地良かった。

♪2018-102/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-16