2018年8月5日日曜日

フェスタサマーミューザ2018 東京都交響楽団 ≪鬼才ミンコフスキのくるみ割り人形≫

2018-08-05 @ミューザ川崎シンフォニーホール


マルク・ミンコフスキ:指揮
東京都交響楽団
TOKYO FM 少年合唱団

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71(抜粋)
 序曲
[第一幕]
 第1曲 情景(クリスマスツリー)
 第2曲 行進曲
 第3曲 子どもたちの小ギャロップと両親の登場
 第4曲 踊りの情景(ドロッセルマイヤーの贈り物)
 第5曲 情景と祖父の踊り
 第6曲 情景(招待客の帰宅、そして夜)
 第7曲 情景(くるみ割り人形とねずみの王様の戦い)
 第8曲 情景(松林の踊り)
 第9曲 雪片のワルツ
[第二幕]
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 第12曲 ディヴェルティスマン
  1 チョコレート(スペインの踊り)
  2 コーヒー(アラビアの踊り)
  3 お茶(中国の踊り)
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  5 葦笛の踊り
  6 ジゴーニュ小母さんと道化たち
 第13曲 花のワルツ
 第14曲 パ・ドゥ・ドゥ(金平糖の精と王子のパ・ドゥ・ドゥ)
  1 アダージュ
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  3 ヴァリアシオンⅡ:ドラジェ(金平糖)の精の踊り
  4 コーダ
 第15曲 終幕のワルツとアポテオーズ

演奏作品は、チャイコフスキーの<組曲版>ではなくバレエ音楽「くるみ割り人形」の抜粋だった。抜粋と言っても全曲から4曲*間引いただけのほぼ全曲版で演奏時間正味90分1本勝負。

チャイコフスキーは、バレエ音楽「くるみ割り人形」全曲完成に先立って自ら<組曲版>を編んでいる。これは全8曲で、作品71aという番号も付いている。
一般にはコンサートで聴く「くるみ割り人形」は大抵この<組曲>だ。

余談だが、チャイコフスキーの3大バレエ音楽が、バレエ公演ではなくコンサートで演奏される場合は<組曲>として演奏されるが、チャイコフスキー自身が編成した本物の<組曲>は上述のバレエ組曲「くるみ割り人形」だけだ。
「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」もコンサートで演奏される場合はほぼ<組曲版>だが(バレエ音楽の全体をコンサートでは聴いたことがない。)、その<組曲版>はその時の指揮者などが好みで構成した<組曲>なので、選曲が一定していないし、当然作品番号も付いていない。

元に戻って、作品71aというバレエ組曲ではなく、バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71を敢えて取り上げようとするなら、どうして完全版にしなかったのか。あと4曲加えたって10分か15分程度ではないか。まずはこの微妙な<抜粋版>だったというのが腑に落ちなかった。

また、演奏会用組曲ではなく、ここまで全曲に近い形での演奏となると、バレエ抜きのバレエ音楽を聴くことになるのでどうも釈然としない。

文楽の素浄瑠璃(人形なしの義太夫語りと三味線)から更に語りも抜いた三味線だけを聴くようなものだ。
能で言えば、能楽師も謡も抜いて笛太鼓をだけを聴くようなものか。…というのは極端な譬えだけど、バレエ音楽は音楽だけを聴いていても筋書きが分かる訳ではない。さりとて絶対音楽として聴くには短い舞曲の集まりだからこれも無理がある。

そんなこんなで、何やら隔靴掻痒の気分を収めることはできなかった。とはいえ、殆どは馴染みの音楽なので、歌のない歌謡ショーを聴いているようなものか。
部分的でもバレエを見せてほしかったな!そしてらストンと腑に落ちて音楽にも集中できたろうに。

ところで、都響がミューザで演奏するのはこのフェスタサマーミューザの機会だけだ。年に1度ということになる。いつものサントリーホール、東京文化会館、東京芸術劇場で聴いていると、それぞれ一長一短だが、久しぶりのミューザで聴く都響は一段と響が良かった。やはりミューザは聴きやすい。

*間引かれた音楽
[第二幕]
●第10曲 情景(お菓子の国の魔法の城)
●第11曲 情景(クララと王子の登場)
第12曲 ディヴェルティスマンの中の4 トレパック【ロシアの踊り】
第14曲 パ・ド・ドゥ【金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ】の中の2 ヴァリアシオン I:タランテラ

♪2018-095/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12