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2020年2月3日月曜日

東京都交響楽団 第896回 定期演奏会Aシリーズ

2020-02-03 @東京文化会館


フランソワ=グザヴィエ・ロト:指揮
東京都交響楽団
栗友会合唱団

ラモー:オペラ=バレ『優雅なインドの国々』組曲
ルベル:バレエ音楽《四大元素》
ラヴェル:バレエ音楽《ダフニスとクロエ》(全曲)

過去3回聴いただけだが、ロトにハズレなし…と言ってもLOTOではなくフランソワ=グザヴィエ・ロトだが、毎回新鮮な切り口で楽しませてくれる。

前半2曲は18C前半の作品で、ルベルなんて名前も初めて。もちろん初聴き。

この2人の作品はどちらも舞曲調(オペラ=バレというジャンル自体、舞踏中心のバロックオペラらしいし、ルベルの作品はそもそもがバレエ音楽。)が多く、聴いていて実に心地よい音楽だった。

しかも、弦の編成が、ラモーは弦10型、ルベルは12型という小ぶりだったので弦がクリアに聴こえた。

後半が「ダフネスとクロエ」全曲。

ここから数曲を抜粋した組曲版のうち、第2組曲はかなりの回数聴いているが、第1組曲は記憶がない。今日の全曲版も初めて。
混成合唱が入るダフ・クロも初めて。

合唱は歌詞がなくヴォカリーズだった(この為、合唱部分を管弦楽用に編曲した版もあるらしい。合唱団なしでもそれなりに演奏できるからだ。しかし、今日、素晴らしい合唱を聴いたので、とても合唱なしではもう聴く気が起こらない。)。
栗友会は実にうまかった。

オケも16型に拡大。

全曲55分という長尺だが、実に素晴らしい作品で終わるのが惜しい…まだまだ続けてほしいと思いながら聴いていた。

演奏も良かった。

16型まで膨れ上がった都響の弦はほとんどの場合美しくないが、今日はラヴェルの見事なオーケストレーションに助けられて?美しく響いた。
管(特に木管)楽器も名人芸。ロトの采配が絶品。

♪2020-015/♪東京文化会館-01

2016年4月12日火曜日

東京都交響楽団第805回 定期演奏会Aシリーズ

2016-04-12 @東京文化会館


フランソワ=グザヴィエ・ロト:指揮
東京都交響楽団

ストラヴィンスキー:バレエ音楽《ペトルーシカ》(1911年版)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》(1910年版)


舌を噛みそうな名前の指揮者、フランソワ=グザヴィエ・ロトも都響のB定期に続いて今月2度めだったので、ようやく名前を覚えて発音できるようになった。

この人は、2003年「レ・シエクル」というオーケストラを創設して、モダン楽器と古楽器を一つのコンサートで使い分けているそうだ。
そのコンビで、古楽器を使って原典版の楽譜で録音した「ペトルーシカ」と「春の祭典」は第52回レコードアカデミー賞大賞を受賞しているそうだ。

いわば得意のストラヴィンスキーという訳だ。
古楽器と初演版へのこだわりから生まれる響や音楽がどんなものなのか興味深い。
今日は、モダン楽器ではあるけど、2曲とも原典版(初演版)での演奏だった。

手元にあるCDは放送などでもよく聴く改訂版(「ペト~」は1947年版、「火の鳥」は1945年版が多いようだ。)と同じで、おそらく原典版を聴くのは放送、ビデオ、CDを含めて初めてだったと思う。そのせいか、特に「火の鳥」に馴染みのない音楽が垣間聴こえたが、それが原典版故なのかどうかは自信がないのだけど。

両者の原典版は改訂版に比べて、とりわけオーケストラの編成が大きいようだ。
弦5部の編成も大きいが、管楽器も、多種多様な打楽器や鍵盤楽器も加わって、その音色の派手なこと。

こういうモダンな音楽(とはいえ、もはや古楽器で演奏されるというのだから、モダンとも言えないのかもしれないが)は、文化会館のような(ミューザ・サントリー・みなとみらいホールなどに比べて)残響の短いホールでは、音のキレが良くて向いていると思った。

フランソワ=グザヴィエ・ロトがB定期(サントリー・ホール)ではベートーベン「英雄」ほかを演奏し、A定期(文化会館)ではストラヴィンスキーを選んだのはその辺りも考慮したのかもしれないな。


♪2016-043/♪東京文化会館-06

2016年4月7日木曜日

東京都交響楽団第804回 定期演奏会Bシリーズ

2016-04-07 @サントリーホール


フランソワ=グザヴィエ・ロト:指揮
東京都交響楽団

シューベルト(ウェーベルン編曲):ドイツ舞曲 D820
R.シュトラウス:メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作
ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 op.55《英雄》

フランソワ=グザヴィエ・ロトという指揮者。この舌を噛むような名前に、だからこそだろうけど、聞き覚え、見覚えがあるのだけど、過去の記録を手繰ってみてもどうやら初めてらしい。

放送で聴いたのかなと思って録画ディスクを調べたら、2014年のN響の「第九」を振っていた。年末のN響の「第九」はほぼ毎年聴いているからそれで、頭の片隅に「グザヴィエ・ロト」という変わった名前がインプットされていたらしい。

この人、一つのコンサートで古楽器とモダン楽器を使い分けたプログラムを演奏するなど、かなり革新的、意欲的な取り組みをしているようだ。

そういえば、本日のメインディッシュ、ベートーベンの「英雄」の手綱さばきは、モダン楽器を使いながら、ベートーベン時代ならこうかもといった感じの演奏だった。
つまり、オケの規模はこじんまりとコンバス4本、チェロ6本、バイオリン&ビオラは5プルトずつの編成だったような気がする。

シンフォニックな響に欠ける割に、各パートが明確に聴こえてくるのがこういうピリオド風(その時代風)な演奏の面白さだ。
そして、ビブラートを控えめにして、テンポは速め、というのもまさにピリオド風味の演奏スタイルだ。

このスタイルは、前に聴いたロジャー・ノリントンやジャナンドレア・ノセダ(いずれもN響)、鈴木秀美(神奈川フィル)らのベートーベン解釈とやや類似性があるのではないか。
パーヴォ・ヤルヴィもこの仲間に入れても良いかもしれない。少なくともヤルヴィの年末のN響「第九」ではそういうアプローチが新鮮だった。
疾走するベートーベン、とまでは言えなくとも、かなりテンポの良いベートーベンだった。

さて、今日のプログラムは相当凝った仕掛けが施されていた。

まず、シューベルトの「ドイツ舞曲」D820は、6曲の舞曲からなるピアノ曲だ(ほかにもシューベルトは12のドイツ舞曲という作品集D790も作っている。)。これを12音技法の確立に寄与したウェーベルンが木管と弦楽のアンサンブルに編曲したものだ。
原曲の方も今回のコンサートの予習として何度か聴いたが、ウェーベルンの編曲したものはCDの手持ちにないし、過去にも聴いたことがなかった。ウェーベルンが編曲したのだから、相当モダンな、調性の怪しい作品になっているのではないかと思ったが、ウェーベルンはそこまでは編曲しなかったようで、19世紀前半の音楽ぽい出来上がりだった。
ただし、原曲の6曲をウェーベルンは並べ替え繰り返し、計10曲の作品に「変容」させていることで、単なるオーケストレーションには終わっていない。

R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」は編曲作品ではなく、シュトラウスのオリジナルだが、バイオリン10、ビオラ5、チェロ5、コンバス3という小規模弦楽合奏で、それぞれのパートは、通常のオーケストラ曲と異なって、かなり各人が独奏的な動きをするところが特徴か。
そして、タイトルが表す「変容」は通常の冒頭提示される主題が繰り返し変奏されるという形ではなく、最初は音楽のかけらがばらまかれ、やがて形を成し、最終部に至って、ベートーベンの交響曲第3番「英雄」の第2楽章の有名な主題が浮かび上がるという凝った仕掛けだ。

「変容」をテーマに構成されたプログラムが「英雄」の葬送行進曲に完結して、後半、いよいよ本物の「英雄」が登場するなんて、よく考えているね。


♪2016-039/♪サントリーホール-03