2023年2月28日火曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 珠玉のオペラ合唱名曲コンサート 〜神奈川フィル合唱団創立20周年を讃えて〜

2023-02-28 @みなとみらいホール



現田茂夫:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団#

大久保光哉:バリトンBr
鈴木玲奈:ソプラノSp
山本康寛:テノールTn

●ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」から
「序曲」/「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」#
●マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から
「オレンジの花は香り」#
●ヴェルディ:歌劇「椿姫」から
第1幕への「前奏曲」/「あの人から遠くはなれていては」Sp/「ああ、そは彼のひとか〜花から花へ」Sp/「乾杯の歌」Sp/Tn/#
●ワーグナー:歌劇「ローエングリン」から
第3幕への「前奏曲」/「婚礼の合唱」#
●ワーグナー:歌劇「タンホイザー」から
「夕星の歌」Br/「歌の殿堂を讃えよう」#
●エルガー:行進曲「威風堂々」第1番#







神奈川フィル専属のアマチュア合唱団。創立20年ということで、合唱団が主役のコンサート。
主としてオペラの合唱曲主体だが、ソプラノやテノールのプロ歌手の独唱も。
全て、聴き馴染んだものばかりで楽しめた。

合唱団は、名簿を数えたら凡そ女声60、男声30。

P席全部とRA・LAの一部を2人空けの拡大市松模様で並んだが、男声が上手側にちんまり収まったのはどうも迫力を欠いた気がする。
スカスカ配置だから、アマチュアといえども全員NoMaskだ。

「第九」の合唱のように高域で声を張り上げる曲がなかったせいか、全て良くできました!感じ。

定期演奏会ではなく1回券なので、久しぶりに…調べたら、2016年11月の独カンマーフィル以来だから6年3月ぶりに2階席で聴いてみた。正面最前列。

やはり1階席中央とは様子が違う。
遠い。
生々しさがない代わりにぼんやりとまとまりがいい。

評価のレンジは2-4という感じ。安全に聴けるというところか。
僕の好きな、1階席中央の中央だとレンジは1-5だ。非常に良い時もあるがひどい時もある。その僅かな5の機会を求めて席にこだわっている。

♪2023-038/♪みなとみらいホール-09

2023年2月26日日曜日

バレエ「コッペリア」

2023-02-26 @新国立劇場



【指揮】マルク・ルロワ=カラタユード
【振付】ローラン・プティ
【芸術アドヴァイザー/ステージング】ルイジ・ボニーノ
【音楽】レオ・ドリーブ
【美術・衣裳】エツィオ・フリジェーリオ
【照明】ジャン=ミッシェル・デジレ

【管弦楽】東京交響楽団

【スワニルダ】池田理沙子
【フランツ】奥村康祐
【コッペリウス】中島駿野

バレエ「コッペリア」
全2幕

予定上演時間:約2時間
第Ⅰ幕 45分
  休憩25分
第Ⅱ幕 50分








何十年か前に観たきりで、人が人形と踊る場面位しか記憶にない。新国立劇場でも初めてなので、Youtubeで予習したが、これがいろんな版があってむしろ混乱。ま、出たとこ勝負で出かけた。

これが存外の上出来。
とても楽しめた。

本来3幕を新国版では第2幕と第3幕を合体。

演出(振付)はローラン・プティ。
この演出は独特のものなのかもしれない。

原作の舞台、ポーランドの農村はパリに置き換えられている。能天気な明るさを、まずは舞台設定から排除して、何やら冷たさも漂う灰色の世界。

このバレエは、初めて民族舞踊を取り入れた作品として名高い(そうな)が、もちろん、音楽は原曲どおりだけど、ダンサーは民族衣装を着て民族舞踊風には踊らない。大胆な改変だが、場所をパリに設定したことから、これも違和感がない。


さて、見処は。
まずは、舞台美術が美しい。色彩はパステル調に抑えられ、配色も地味だけどセンスがある。

スワニルダを踊った池田理沙子が実にカワユイ。いや、可愛いだけではないぞ。この役はほぼ全幕踊りっぱなしの大活躍。

スワニルダが本来は主人公なのだろうが、このプティの演出では、むしろ人形コッペリアを作ったコッペリウスが主人公と言っていいと思う。
彼が思いを寄せるスワニルダに似せて作ったコッペリアと踊るシーンの孤独。
その人形と入れ替わってコッペリウスを揶揄うスワニルダ。
なんと残酷な。

最終幕はスワニルダが思いを寄せていたフランツと結ばれてめでたし。しかし、コッペリウスが抱いていた人形コッペリアはバラバラになって足元に転がる。
2幕からは終幕まで、コッペリウスの孤独が溢れている。
どこも悪くない人形師が、若者たちの残酷さに翻弄される様は哀れでならない。

他の振り付けでは、陽気に終わるのが多いようだが…。

余談①:今年になって、新国のオペラ・バレエは3本続いて東響がピットイン。今日のCMはニキティンだった。顔は見えなかったが元気でなにより。2月24日をどうやり過ごしたろうか。

余談②:来月のオペラ「ホフマン物語」でも人形師コッペリウスが登場する…なんという偶然!

♪2023-037/♪新国立劇場-03

2023年2月24日金曜日

東京フィル第980回サントリー定期シリーズ

2023-02-24 @サントリーホール



ミハイル・プレトニョフ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
イム・ユンチャン:ピアノ*

ベートーべン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73「皇帝」*
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 Op.58
----------------------------
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第5番から第2楽章*
J.S.バッハ(マイラ・ヘス編):主よ、人の望みの喜びよ*


ロシアによるウクライナ侵攻1年という日に舞台に立たなければならなかったプレトニョフの心境は如何に?

それはともかく、マンフレッド交響曲は生では初聴き!
CDも持ってはいるけど、まともに聴いたこともなかったよ。

標題音楽なのに物語の内容が分かっていない(解説も不親切)ので、どういうふうに立ち向かえば良いのか、すっきりしないまま聴き終えたが、音楽自体は分かり易い。

バーンスタインはこの曲を「屑」と言ったそうだが、ま、僕はそんな大それたことは言わないけど、あまり格調高くないね。俗臭芬々だ。それが親しみやすい原因の一つでもあるので、ゲージュツ観賞って難しいね。

驚いたのは前半の「皇帝」だ。
今日も耐え難いピアノの音を聴かされるかと思っていたが、なんと今日のスタインウェイの綺麗なこと。
昼に聴いたみなとみらいホールのピアノとは、まだ、薄皮を1枚纏ったような鈍い響だけど、意識せずに聴いていたら、フツーに美しい。

一体なぜか?
ホンに不思議なので、サントリーホールの人に、床を替えたかと訊いたが「そんなことはありませぬ」。天井の反響板を細工したか?「編成によって上下させることはあるけどはて、今日は…?」と、頼りない。
他に、原因が見つからないので、多分、みつばちの法則「雨の日はホールがよく鳴る」からかな…。

♪2023-036/♪サントリーホール-06

みなとみらいアフタヌーンコンサート2022後期 ユリアンナ・アヴデーエワ/ピアノ・リサイタル 〜凛として、美しく〜

2023-02-24 @みなとみらいホール



ユリアンナ・アヴデーエワ:ピアノ

●ショパン:ポロネーズ 第7番変イ長調op.61「幻想ポロネーズ」

●シュピルマン:ピアノ組曲「ザ・ライフ・オブ・ザ・マシーンズ」
 I.Begin slowly
 II.Machine at rest
 II.Toccatina

●ヴァインベルク:ピアノ・ソナタ第4番ロ短調 op.56
 第1楽章 アレグロ
 第2楽章 アレグロ
 第3楽章 アダージョ
 第4楽章 アレグロ

●ラフマニノフ:10のプレリュード op.23より
 第10番変ト長調
 第09番変ホ短調
 第08番変イ長調
 第07番ハ短調

●ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番変短調 op.36(アヴデーエワ版)
 第1楽章 アレグロ・アジタート
 第2楽章 ノン・アレグロ
 第3楽章 アレグロ・モルト

-----アンコール----------------
シュピルマン:マズルカ
シルベストロフ:バガテル op.1-2



久しぶりのナマ・アヴデーエワ。
この人の音楽に立ち向かう姿勢がとても真摯で好感。
今日の曲目は、ラフマニノヌの前奏曲作品23抜粋(何故か逆順の演奏)以外はほぼ馴染みが無かった。ラフマニノフのソナタでさえアヴデーエワ編曲版でこれも厳密には初聴き。

しかし、ホールの響はいいし、丁寧でしなやかな指遣いが発するピアノの音は最弱音も見事に美しい。
こんな美しい音なら音階練習だって音楽になりそうだ。

彼女はいつも《演奏に集中できる服装》で登場するが、今回も黒にラメの入ったパンタロンスーツ?
休憩後のお色直しさえない。

この求道者のような態度は、観客をもその世界に引き込んで、みんな本当に行儀良く、咳払いもほぼ聴こえなかったし、フライングなどもってのほか。

僕だけでなく多くのお客にとっても馴染みの音楽は少なかったと思うけど、ひたすら彼女の呼吸に合わせて聴き入っていた。

アンコールで彼女がマイクを持って説明をしてくれた。日本語でさえ聴き取りにくいホールのPAだが、どうやら英語だったようで、幾つか聴き取れた単語を並べると、最初はナチス被害者であるポーランドのシュピルマンの作品、2曲目はウクライナ人作曲家シルベストロフの作品を、ロシア侵攻一年の今日 、犠牲者を追悼して演奏する、と言ったような…あてにならないが。

まさに、アヴデーエワの真摯な音楽を通じて、2月24日に深く思いを致し、襟を正された気もした良い演奏会だった。


♪2023-035/♪みなとみらいホール-08

2023年2月17日金曜日

東京シティフィル第357回定期演奏会

2023-02-17 @東京オペラシティコンサートホール



川瀬賢太郎:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バイオリン:郷古廉*

マクミラン:バイオリン協奏曲*
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
---------------------------------
イザイ:無伴奏バイオリンソナタ第2番第2楽章憂鬱*





ジェームズ・マクミラン:バイオリン協奏曲は初聴き。2009年初演だそうな。

弦編成は(幻想も)12型だが、多種多様な打楽器が繰り出され、人間の声も。
終楽章でビオラの最後列女史が楽器を持って離脱したので弦が切れたのかと思っていたが、そうではなくて、これも袖から何やら声を発する為だった…。

こういう、つまるところ、効果音の連続で、聴き手の意表を突くことを本意としているような音楽はキライである。劇伴音楽としては意味あるが演奏会には適さない。やめてケレ。

幻想交響曲は賢太郎氏得意のパターン。ハープ2台を指揮台の周りに配置するが、2楽章が終わったらもう出番のない奏者は退席し、残された楽器が管楽器奏者を見えにくくして大いに邪魔だよ。

客席前方列にはハープが異常によく聴こえるだろうけど、中程から後方の席には定位置に据えた場合と有意差はないと思うが。

タケミツメモリアルは時に鳴り過ぎるくらいのホールだが、季節のせいか、今日は、ここでも少し音が硬かった。

とはいえ、手堅くまとめて12型とは思えないくらいの迫力。

♪2023-034/♪東京オペラシティコンサートホール-02

2023年2月16日木曜日

白熱の室内楽!<チーム・ソワレ> 藤木大地 & みなとみらいクインテット -あいのうた-

2023-02-16 @みなとみらいホール



カウンターテナー:藤木大地
みなとみらいクインテット
 バイオリン:長原幸太/辻彩奈
 ビオラ:川本嘉子
 チェロ:辻本玲
 ピアノ:萩原麻未

ドボルザーク:ピアノ五重奏曲イ長調 Op.81 B.155から第3楽章*
ベートーべン:アデライーデ Op.46
フォーレ:リディア Op.4-2
プーランク:歌曲集《陽気な歌》FP42から第7曲 <美しき青春>
モノ―:愛の讃歌
ヴォーン・ウィリアムズ:《命の家》から <静かな真昼>
マーラー:交響曲6番イ短調「悲劇的」から第3楽章**
村松崇継:生命の奇跡
木下牧子:夢みたものは+
アーレン:ミュージカル《オズの魔法使い》から <オーバー・ザ・レインボー>
J.S.バッハ:カンタータ第170番 <満ち足れる安らい、うれしき魂の悦びよ>
-----アンコール--------------------
加藤昌則:もしも歌がなかったら

*はピアノ五重奏の原曲。
**は加藤昌則の編曲によるピアノ五重奏
+は作曲者のオリジナル
その他は全て加藤昌則の編曲による歌とピアノ五重奏








-----感想は<マチネ>に同じ----





♪2023-032/♪みなとみらいホール-07

白熱の室内楽!<チーム・マチネ> 藤木大地 & みなとみらいクインテット -いのちのうた-

2023-02-16 @みなとみらいホール



カウンターテナー:藤木大地
みなとみらいクインテット
 バイオリン:成田達輝/周防亮介
 ビオラ:川本嘉子
 チェロ:中木健二
 ピアノ:松本和将

シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調 Op.44から 第3楽章*
シューベルト:魔王 Op.1 D.328
マーラー:《リュッケルトの詩による5つの歌曲》から 第5番<私はこの世に忘れられた>
ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34 No.14
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
ヴュータン:アメリカの思い出《ヤンキー・ドゥードゥル》Op.17**
加藤昌則:レモン哀歌
木下牧子:鴎
モリコーネ:映画《ミッション》から<ネッラ・ファンタジア>
平井夏美:瑠璃色の地球
村松崇継:いのちの歌
-----アンコール--------------------
加藤昌則:もしも歌がなかったら

*はピアノ五重奏の原曲。
**は加藤昌則の編曲によるピアノ五重奏
その他は全て加藤昌則の編曲による歌とピアノ五重奏





昨秋横浜18区コンサートシリーズで行われた「藤木大地&みなとみらいクインテット」の続きとして企画された。

今回は、1日にマチネとソワレ2公演で、メンバーも藤木大地と川本嘉子以外は変わった。
マチネの出演者は18区と同じメンバーで小林美樹が出演するはずだったが、体調不良で周防亮介に代わった。しかし、彼も(彼女も?)素晴らしかった。可愛らしいお声も拝聴して、なんだか、親近感を感じてしまったよ!それでいいのかっ!

藤木大地の歌とピアノ五重奏団による、ボーダーレス・ジャンルの歌曲の数々に器楽のみの演奏も各公演に2曲混じった。

さて、マチネはシューマンPf五重奏曲の第3楽章から始まったが、これがもう素晴らしくて一気に持ってゆかれた。

各楽器の音色のなんて美しい事。前日、前々日のサントリーホールの干からびた響に比べると雲泥の差だ。

みなとみらい小ホールは文化会館小ホールと並んで響の良さでは知る限り最高だ。こういうところで、名人たちによる生の音楽を聴くことができるのは何ものにも代え難い幸福だ。

メンバー紹介は、藤木が行うのではなく、自己紹介でもなく、”他己紹介”が傑作で、隣席を紹介するのだが、それぞれに面白く、各人の人柄が分かって楽しいひと時だった。

余談:メンバーから宇宙人と言われていた成田達輝(マチネの第1バイオリン担当)と最近大物との共演が続いている萩原麻未ちゃん(ソワレのピアノ担当)が夫婦だったとは知らなかったよ。出番の終わったタッキーがソワレでは客席から応援していたよ。

♪2023-033/♪みなとみらいホール-06

2023年2月15日水曜日

第1976回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-02-15 @サントリーホール



ヤクブ・フルシャ:指揮
NHK交響楽団
ピョートル・アンデルシェフスキ:ピアノ*

ドボルザーク:序曲「フス教徒」作品67
シマノフスキ:交響曲第4番 作品60「協奏交響曲」* 
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
------------------------
シマノフスキ:20のマズルカ 作品50 - 第3曲*




今日のN響は昨夜の都響のデジャヴだった。番組構成も似ていたが、響の悪さがそっくり。ま、これはオケのせいではない。ホールのせいだというのも気の毒なくらい、冬場のせいかホールも楽器も乾燥していたのではないか。まるで原音を聴いているようで潤いがない。

そこへきて3曲とも弦16型。キンキンシャリシャリ、煩いのなんのって。
加えて、今日もピアノの音は最悪。
重い・暗い・硬い・鈍いと4拍子揃って聴くに耐えない。
真ん中の真ん中、やや前寄りで聴いているので、席に問題はない。ピアノに関してはサントリー固有の問題だ。
どこのホールでもそう聴こえるのではない。
みなとみらいホール、ミューザ、音楽堂、オペラシティ、文化会館などではスタインウェイは大抵明るく輝いて聴こえる。
演奏者は直接音を聴いているから客席でどう聴こえているかは分からないのだろう。
タダ券もらっている評論家は気がついていても何も言えない。
演奏家も客席で聴けば音が悪いのが分かるはずだが言えない。

楽しみにしていた、ブラームスは、ありゃブラームスではない。
ショスタコとかストラヴィンスキーみたいだった。

♪2023-031/♪サントリーホール-05

新国立劇場オペラ「ファルスタッフ」

2023-02-15 @新国立劇場



【指揮】コッラード・ロヴァーリス
【演出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】ペーター・ペッチニック
【再演演出】三浦安浩
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

ファルスタッフ:ニコラ・アライモ
フォード:ホルヘ・エスピーノ
フェントン:村上公太
医師カイウス:青地英幸
バルドルフォ:糸賀修平
ピストーラ:久保田真澄
フォード夫人アリーチェ:ロベルタ・マンテーニャ
ナンネッタ:三宅理恵
クイックリー夫人:マリアンナ・ピッツォラート
ページ夫人メグ:脇園彩

ジュゼッペ・ヴェルディ「ファルスタッフ」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第1幕・第2幕   80分
 休憩       25分
第3幕              50分



物語は単純だが真意がよく理解できないオペラが何本かあるが、これはその一つ。
2人の女性に同文のラブレターを送ったファルスタッフが、かくも女性たちから散々な目に遭わねばならないのか。それでいて、「世の中は全て冗談」と切り上げて良いのか。

「冗談だ」は登場人物に向けられたセリフなのか、客席に向けられたセリフなのか。何度観ても分からない…というか、もうそれ以上考えるのも馬鹿らしい気になって、はいはい、冗談ですよ。と自分を納得させている。

前回18年と全く同じ演出・美術だが、その時は気が付かなかったが、今回は、劇場の作品紹介動画で舞台美術について説明をしていたのを見て気が付いたのだけど、最終幕以外はフェルメールの絵画を模した美術・衣装が、登場人物や物語に、リアリティを与えている。
それで、なおさら、この話を「冗談」で済ませて良いのか!という気にさせるのは困ったものだ。

ベルディはこの最後の作品で、ようやく到達した人生哲学を披露したのだろうか?
「冗談だ」のアンサンブルは、宗教曲で使われる厳格なフーガでできていると解説に書いてある(聴いている時は全然気づかなかった!)。
何か、ベルディに担がれている気がしてならん。

♪2023-030/♪新国立劇場-03

2023年2月14日火曜日

東京都交響楽団 第962回 定期演奏会Bシリーズ

2023-02-14 @サントリーホール



ヤン・パスカル・トルトゥリエ:指揮
東京都交響楽団
阪田知樹:ピアノ*

フォーレ:歌劇『ペネロープ』前奏曲
フローラン・シュミット:管弦楽とピアノのための協奏交響曲 op.82*
ショーソン:交響曲変ロ長調 op.20



3曲も演奏するのに全曲初聴きとは珍しいが、定期ならではのお仕着せプログラムだ。1回券なら買わないね。

フォーレではウトウトしたがフローラン・シュミットでは煩くて眠るどころか。
都響得意のナンデモ16型弦編成と阪田くんの熱狂ピアノが”協奏”ならぬ”強奏”の”競争”で”狂騒”した。

相変わらずサントリーホールのピアノの音が酷い。
重く、硬く、鈍く、とてもSteinwayとは思えない。

共感できない音楽でも、もう少しコンパクトなオケ編成で音の分離が良ければ。ピアノも贅沢は言わん。町の公民館並みにフツーの響であれば、シュミットの音楽も多彩な管弦楽として楽しめたのではないかと思う。

一方、ショーソンは拍子抜けする程まともに綺麗な音楽で、「象さんと遊ぶ田舎の呑気な生活」という副題を思いついた。終楽章では「♪象さん〃お鼻が長いのね」の旋律が支配するから。

余談:シュミットの表記が他の2人と異なり名・姓表記になっているのは、フランツ・シュミットと区別する為かな。


♪2023-029/♪サントリーホール-04

MUZAランチタイムコンサート02月 この日に聴きたいロマンティック・クラシック

2023-02-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ソプラノ:コロンえりか♡
バリトン:ヴィタリ・ユシュマノフ♠︎
ピアノ:高橋優介

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から お手をどうぞ♡♠︎
メンデルスゾーン:6つの二重唱曲から あいさつ♡♠︎
フォーレ:秘密♡♠
ラフマニノフ:夜の神秘な静けさの中♠︎
コルンゴルト:歌劇「死の都」から ピエロの歌♠︎
アルディーティ:口づけ♡
デ・クルティス:世界でただひとり君を愛す♠︎
ブリテン:愛って本当は何?♡
レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」から とざした唇に♡♠︎
------------------------
サティ:あなたが欲しい♡♠︎



「この日に聴きたい〜」の意味が分からず出かけたが、始まって成程と思った。今日はバレンタインデーなんだ。
で、オペラアリアや歌曲からソロと二重唱で愛の歌特集。
知らない曲が多かった一方で、Encの超有名曲がサティの曲だと知って驚き。

最後にそのアンコール曲を歌いながら薔薇の花束を抱えて1F客席に配って歩いてくれたが、立派な薔薇で、買えば今日のチケット代より高価なんじゃないかと思った。良い演出のバレンターンデー・コンサートだった。


上白石萌音って歌も歌うんだ。

♪2023-028/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2023年2月12日日曜日

横浜交響楽団 第721回定期演奏会 ”横響創立90周年記念コンサート”

2023-02-12 @みなとみらいホール



鈴木衛:指揮
横浜交響楽団
池澤卓朗:バイオリン*

南能衛:横浜市歌
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調 Op.35*
ショスタコーヴィチ:祝典序曲 Op.96
レスピーギ:交響詩《ローマの松》
----------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのソナタ第1番からフーガ



横浜交響楽団は、今年90周年というので記念の演奏会を、いつもの音楽堂からみなとみらいホールに変えて開催した。
90年という歴史は”屈指”であるには違いないが、定期演奏会が721回を数えるというのが物凄い!
年8回定期演奏会を開催しているアマオケってある?

記念の演奏会とあって、女性は全員色とりどりのドレスというのが華やいでいい。演目も祝祭感溢れる曲が並んだ。

音楽堂のソリッドな響とは違ってみみHでは腕も上がった!

初聴きのVn池澤卓郎氏のチャイコは、個性的な節回しで感情移入が難しかったが、後半調子が出たように思う。

ショスタコの祝典序曲はオルガン前で10人の金管バンダが派手に盛り上げた。だいぶ練習を積んだか、今日の金管はなかなかうまい。
本命がローマの松。
こちらも左右バルコニーに2組のバンダ。オルガン”ルーシー”も加わって、横響とは思えない華やかで色彩豊かな音の絵巻。


予て、年間パスポートを提案していたが、僕の提案を受けてかどうかは分からないが、4月定期分から作成し、販売する事にしたという。申し込み方法は今日のプログラムに書いてあっただけで、ホームページには何にも書いてないのはどうして?
まあ、早速申し込んでおいたが…。

♪2023-027/♪県民ホール-05

2023年2月11日土曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 近松名作集第Ⅲ部 女殺油地獄

2023-02-08@国立劇場




第3部(18:30時〜20:57)
近松門左衛門=作
女殺油地獄 (おんなころしあぶらのじごく)
◎徳庵堤の段
 南都太夫・亘太夫・津國太夫・文字栄太夫・薫太夫
 /清𠀋
◎河内屋内の段
 口 咲寿太夫/團吾
 奥 靖太夫/清志郎
◎豊島屋油店の段
 切 呂太夫/清介

************************
人形役割
女房お吉⇒一輔
河内屋与兵衛⇒勘十郎
山本森右衛門⇒勘市
豊島屋七左衛門⇒勘彌
河内屋徳兵衛⇒勘壽
徳兵衛女房お沢⇒文昇
河内屋太兵衛⇒清五郎
妹おかち⇒紋臣




























今月の文楽公演は近松名作集。
「女殺油地獄」は最晩年の作(ひょっとして絶筆か)。
「心中天網島」は3時間半を超えるがこれは2時間30分と短く、話がよく纏まっていて分かり易い。

過去にも鑑賞歴があるが、歌舞伎も含め、今回の公演が一番面白かった。

今回は三段構成でそれぞれの段は趣を異にしているが、序破急の典型のようで、作劇の巧さを味わった。

一段目は、主要人物の紹介と事件端緒を野崎参りの賑やかな茶店で描き、
二段目はどうにもならない性悪与兵衛と親のとの葛藤を、
三段目は、それでも見捨てることができない親の情け。

段々と舞台は暗くなってゆく。A

親の情けを知りつつも、与兵衛は豊島屋女房お吉へ強引な金の無心。断られた与兵衛は脇差でお吉を刺す。切る。抉る。
逃げるお吉も追う与兵衛も油まみれ・血まみれの凄惨図。
油敷の床で与兵衛もお吉も思うに任せず、よく滑ること。
この迫力がコワイ。

遂に息絶えたお吉から鍵を盗み、与兵衛は金を奪って夜のしじまに消えてゆく。途中、血まみれの脇差を「栴檀の木橋」から捨てる、とある。北浜から今でいう中之島公会堂を結ぶ橋だ。個人的には懐かしい。

今日の公演は三段目までだったが、18年に観た時は、四段目「逮捕の段」があり、与兵衛は捕まるがそれで気分がスッキリするような話でもない。

今回のように、悪事を尽くして逃げ落ちるところで幕にした方が怖さも一入という気がする。

一人の悪に周りが振り回され、救いは全くない。

悄然と劇場を出た。

♪2023-024/♪国立劇場-02

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第383回定期演奏会

2023-02-11 @みなとみらいホール



下野竜也:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
野田清隆:ピアノ*

尾高惇忠:ピアノ協奏曲*
ブルックナー:交響曲第6番イ長調WAB.106(原典版)
--------------------------
尾高惇忠:春の足音*


先週、N響は尾高忠明から見て指揮で、忠明の父の尚忠のチェロ協奏曲を。今日は忠明の兄の惇忠のピアノ協奏曲を聴いた。6月東フィルも惇忠作品を取り上げるが、記念年だろうか?

尚忠と惇忠では1世代違うからか、音楽がだいぶ屈折的で、現代音楽撲滅協会参与としては楽しめなかった。ピアノの音はコロコロと輝いて魅力的。

オケの演奏は1曲目も良かったが、ブルックナー第6番はずっと良かった。

好きな音楽ではないけど(7番に対してらしいが、ハンスリック曰く『不自然におおげさで、病的で、破滅的である…』と書いているそうだ。全く6番も同様だと思う。)、合奏力は示した。弦はコンパクトな12型編成。良さびさにコンマスに就いた石田組長の好みを反映してか、細くて透明感を発揮。
管楽器も上出来で、管弦楽としてもの面白さは味わった。

♪2023-025/♪みなとみらいホール-04