2023-02-26 @新国立劇場
【振付】ローラン・プティ
【芸術アドヴァイザー/ステージング】ルイジ・ボニーノ
【音楽】レオ・ドリーブ
【美術・衣裳】エツィオ・フリジェーリオ
【照明】ジャン=ミッシェル・デジレ
【管弦楽】東京交響楽団
【スワニルダ】池田理沙子
【フランツ】奥村康祐
【コッペリウス】中島駿野
バレエ「コッペリア」
全2幕
予定上演時間:約2時間
第Ⅰ幕 45分
休憩25分
第Ⅱ幕 50分
何十年か前に観たきりで、人が人形と踊る場面位しか記憶にない。新国立劇場でも初めてなので、Youtubeで予習したが、これがいろんな版があってむしろ混乱。ま、出たとこ勝負で出かけた。
これが存外の上出来。
とても楽しめた。
本来3幕を新国版では第2幕と第3幕を合体。
演出(振付)はローラン・プティ。
この演出は独特のものなのかもしれない。
原作の舞台、ポーランドの農村はパリに置き換えられている。能天気な明るさを、まずは舞台設定から排除して、何やら冷たさも漂う灰色の世界。
このバレエは、初めて民族舞踊を取り入れた作品として名高い(そうな)が、もちろん、音楽は原曲どおりだけど、ダンサーは民族衣装を着て民族舞踊風には踊らない。大胆な改変だが、場所をパリに設定したことから、これも違和感がない。
まずは、舞台美術が美しい。色彩はパステル調に抑えられ、配色も地味だけどセンスがある。
スワニルダを踊った池田理沙子が実にカワユイ。いや、可愛いだけではないぞ。この役はほぼ全幕踊りっぱなしの大活躍。
スワニルダが本来は主人公なのだろうが、このプティの演出では、むしろ人形コッペリアを作ったコッペリウスが主人公と言っていいと思う。
彼が思いを寄せるスワニルダに似せて作ったコッペリアと踊るシーンの孤独。
その人形と入れ替わってコッペリウスを揶揄うスワニルダ。
なんと残酷な。
最終幕はスワニルダが思いを寄せていたフランツと結ばれてめでたし。しかし、コッペリウスが抱いていた人形コッペリアはバラバラになって足元に転がる。
2幕からは終幕まで、コッペリウスの孤独が溢れている。
どこも悪くない人形師が、若者たちの残酷さに翻弄される様は哀れでならない。
他の振り付けでは、陽気に終わるのが多いようだが…。
余談①:今年になって、新国のオペラ・バレエは3本続いて東響がピットイン。今日のCMはニキティンだった。顔は見えなかったが元気でなにより。2月24日をどうやり過ごしたろうか。
余談②:来月のオペラ「ホフマン物語」でも人形師コッペリウスが登場する…なんという偶然!
♪2023-037/♪新国立劇場-03