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2025年6月15日日曜日

都響スペシャル

2025-06-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール



沖澤のどか:指揮
東京都交響楽団
フランク・ブラレイ/務川慧悟:ピアノ*

ビュッシー:牧神の午後への前奏曲
プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP61*
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》
---Enc---------------
プーランク:カプリッチョ FP155*





楽しみは「春の祭典」。それ以外はどうでも良かったけど、聴かない訳にもゆかない。「牧神〜」は好物だ。
でも、これにはがっかりした。肝腎要のFlの音色が最初から最後までぼんやりしていた。もっと明るく艶っぽい音色で誘惑して欲しい。拍手しなかった。そんな気になれなかった。
とは言っても、2曲目プーランクは過去何度か聴いて楽しめる作品だと知っているし、若手の2人のピアニストに期待して前向きに臨んだが、やはりこれは面白い。第2楽章のモーツァルトの引用は20番の協奏曲だ。これで気分を直して後半へ。

弦16型のビッグサイズに拡張して並んだオケは文化会館やサントリーよりも広いミューザの舞台でも目一杯という感じ。
この音楽、リズムさえ破綻なければ上手いも下手も分からないような音楽だが、今日の都響のまとまりの良さには驚く。いつもの都響とは一味違って繊細さも豪胆さも備えて、行き詰まるような緊張感を最後まで維持した。
のどかマジック⁉︎

今日は、完売だそうで、ホンに、客席はもうすずなりだった。久しぶりに都響に大満足したよ。

♪2025-080/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06

2024年3月1日金曜日

新国立劇場オペラ研修所修了公演「カルメル会修道女の対話」

2024-03-01 @新国立劇場



【指揮】ジョナサン・ストックハマー
【演出・演技指導】シュテファン・グレーグラー
【照明】鈴木武人
【音響】仲田竜太

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:武蔵野音楽大学

【ド・ラ・フォルス侯爵】佐藤克彦(第24期)
【ブランシュ】冨永春菜(第25期)
【騎士】城宏憲(第10期修了)
【マダム・ド・クロワシー】前島眞奈美(第24期)
【マダム・リドワーヌ】大髙レナ(第24期)
【マリー修道女長】大城みなみ(第24期)
【コンスタンス修道女】渡邊美沙季(第26期)
【ジャンヌ修道女】小林紗季子(第9期修了)
【マチルド修道女】一條翠葉(第20期修了)
【司祭】永尾渓一郎(第25期)
【第一の人民委員】水野優(第19期修了)
【第二の人民委員/ティエリー】松浦宗梧(第25期)
【ジャヴリノ/看守】中尾奎五(第26期)
【役人】長冨将士(第24期)
【修道女たち】
 アンヌ修道女:河田まりか(第23期修了)
 ジェラール修道女:斉藤真歩(第20期修了)
ほか

新国立劇場オペラ研修所 修了公演

【作曲】フランシス・プーランク
【台本】ジョルジュ・ベルナノス

「カルメル会修道女の対話」

予定上演時間:
約2時間55分
 第1幕全4場&第2幕1〜2場 80分
  休憩 25分
 第2幕3場〜4場&第3幕全4場 70分






MET Live Viewingとその後のWOWOW放映だけしか鑑賞経験がなく、今回初めての生舞台に当たってその録画を観直して出かけたが、やはりMETの舞台の凄さを再認識することになったのは、やむを得ないね。

オペラ研修所の修了公演だから世界水準の歌手は出ていないし、舞台美術も洗練されていなかった。

登場する歌手たちの実年齢が皆んな近い上に修道女の制服だし、顔はベールみたいなので覆っているので誰が誰やら判別が難しい。前から4列目と言う絶好の席でありながら幕毎・場毎にヒロインを確認しなければならなかった。

暗い話で、それも疑問だらけで、なかなか入ってゆけない。

そしてラストシーン。
これだけはMETの演出よりある意味では凄かった。

ひとりずつギロチンが落ちる時の不気味な金属音にそれこそ身震いがしてしまった(音響スタッフが一人一人に合わせて誂えたのだそうだ。)。

帰宅後、口直しにMET版のディスクを回したが、衝撃のラストは新国版ほど残酷ではないし、むしろ信仰に殉ずる乙女たちの哀れさが胸を打った。

比べてはならないものと比べてしまったが、研修生はよくやったのかも。
難しい歌はなかったように思ったが、フランス語にラテン語を操りつつ終始緊張感のみなぎる3時間を歌い切ったのは上出来なのかもしれない。

♪2024-033/♪新国立劇場-05

2023年12月5日火曜日

みなとみらいランチタイムコンサート 東京六人組

2023-12-05 @みなとみらいホール


東京六人組
 フルート:上野由恵
 オーボエ:金子亜未(荒絵理子の代打)
 クラリネット:金子平
 ファゴット:福士マリ子
 ホルン:福川伸陽
 ピアノ:三浦友理枝

ブラームス(岩岡一志編):ハンガリー舞曲から
 第1番、第5番、第6番
磯部周平:きらきら星変装曲
  1三星のフーガ(バッハ)
  2ケッヘル博士の忘れもの(モーツァルト) 
  3嵐のハイリゲンシュタット(ベートーベン)
  4クララのためのロマンス(シューマン)
  5紅葉のマズルカ(ショパン)
  6指輪はお嫌い?(ブラームス)
  7コスモスの舞踏(バルトーク)
  8オレンジ色の行進曲(プロコフィエフ)
  9星に憑かれた十二音(シェーンベルク)
 10たそがれどきのレント(フランセ)
 11フィナーレ:もう1つのフーガと主題(ブリテン)
プーランク:六重奏曲 FP 100から第1楽章
ラヴェル(川島素晴編):ボレロ
--------------------------
ビゼー:ファランドール


メンバーはオケや室内楽で知っている人ばかりだが、東京六人組としては初めて。ピアノと木管五重奏団(Obは代打)。
ホルンは金管合奏でも欠かせない存在だが、木管と組むと木管扱いでコウモリみたいな存在だ。ま、木管にも馴染むので、そういう扱いになっているのだろう。

福士さん、お久しぶりです。
今日はかぶりつきの正面がFgで、こんなに近くでお目もじ叶ったのは初めてだ。

女性4人は揃って赤いドレス。
男性は黒。なんとかしろよ!せめて白で統一したらどうか。

大分類では4曲。細分すれば16曲。

面白かったのは「きらきら星”変装”曲」だ。
単なる「変奏」ではなく、バッハからブリテンまでの11人の作曲家の作風〜音楽の切れ端を取り込んだ「変装」なのだ。各「変装」にそれらしいタイトルも付けられているが、その意味の分かったものについては、知的なユーモアとは思えないし、不明なのもが多い。だからというのではないが、ここまで遊ばなくとも良かったのに。

最後は「ボレロ」。あのリズムをどうするのかと思ったが、最初は出番のないObが指でリード箱?を叩いていたが、やがてFlがタンギングして、さらにはPfが受け持ってそれらしくリズムを維持したが、全体として原曲をなぞってみただけであまり成功しているとは思えなかった。

木管+Hrの五重奏自体、音色が区々でブラスの合奏のようには溶け合わないのが難点。Pfが接着剤かといえば、そうとも感じられなかったな。

♪2023-208/♪みなとみらいホール-44

2023年2月16日木曜日

白熱の室内楽!<チーム・ソワレ> 藤木大地 & みなとみらいクインテット -あいのうた-

2023-02-16 @みなとみらいホール



カウンターテナー:藤木大地
みなとみらいクインテット
 バイオリン:長原幸太/辻彩奈
 ビオラ:川本嘉子
 チェロ:辻本玲
 ピアノ:萩原麻未

ドボルザーク:ピアノ五重奏曲イ長調 Op.81 B.155から第3楽章*
ベートーべン:アデライーデ Op.46
フォーレ:リディア Op.4-2
プーランク:歌曲集《陽気な歌》FP42から第7曲 <美しき青春>
モノ―:愛の讃歌
ヴォーン・ウィリアムズ:《命の家》から <静かな真昼>
マーラー:交響曲6番イ短調「悲劇的」から第3楽章**
村松崇継:生命の奇跡
木下牧子:夢みたものは+
アーレン:ミュージカル《オズの魔法使い》から <オーバー・ザ・レインボー>
J.S.バッハ:カンタータ第170番 <満ち足れる安らい、うれしき魂の悦びよ>
-----アンコール--------------------
加藤昌則:もしも歌がなかったら

*はピアノ五重奏の原曲。
**は加藤昌則の編曲によるピアノ五重奏
+は作曲者のオリジナル
その他は全て加藤昌則の編曲による歌とピアノ五重奏








-----感想は<マチネ>に同じ----





♪2023-032/♪みなとみらいホール-07

2022年12月6日火曜日

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく Vol.5 〜神奈川フィル首席チェリスト 門脇大樹による 朝のチェロ名曲〜

2022-12-06 @かなっくホール

門脇大樹:チェロ
ゴウ芽里沙:ピアノ

エルガー:愛の挨拶
フォーレ:シシリエンヌ
プーランク:愛の小径
フォーレ:夢のあとに
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
サン=サーンス :く動物の謝肉際>から「白鳥」
フォーレ:エレジー
ドビュッシー:ピアノとチェロのためのソナタ
-------Enc--------------
ドビュッシー:美しい夕暮れ



2月に一度の神フィル面子によるシリーズ。
今日はチェロ首席の門脇大樹のリサイタル。
サッカーで朝まで起きていて睡眠時間極少なのに11時からの演奏会って辛い。

が、その第一声の見事な事。
身体中の全器官がいっぺんに覚醒した。

チェロ&ピアノは、5日前に堤剛/萩原麻未をみなとみらい大ホールで聴いたばかり。そのやや重のプログラムも聴き応えがあったが、今日はかなっくホールの良い響きに乗せてチェロとピアノの生々しい美音で綴る仏音楽の魅力を味わう。

やはり器楽リサイタルは小ホールに限るな。
大ホールとは別次元の体験だ。

英国製「愛の挨拶」は本当の”挨拶”代わりだったのだろう。
その後は全作仏製でお馴染みの小品名作ばかり。最後は技術的にも骨のあるドビュ・ソナタだが、これも12分程度。
楽器の音色が繊細で指板を指が滑る音、ピアノのペダルを離す際の微かな摩擦音までクリア。

曲調とも相俟って艶めかしく悦楽の1時間。


♪2022-185/♪かなっくホール-13

2022年6月17日金曜日

第1960回 NHK交響楽団 定期公演 池袋C-1

2022-06-17 @東京芸術劇場大ホール



ステファヌ・ドゥネーヴ:指揮
NHK交響楽団
リヴィエ・ラトリー:オルガン*

プーランク:バレエ組曲「牝鹿」
プーランク:オルガン協奏曲 ト短調
ガーシュウィン:パリのアメリカ人
---------------
ボエルマン:ゴシック組曲 作品25から第4曲「トッカータ」*



指揮のステファヌ・ドゥネーヴは2015年のN響との初共演も6月定期だった。その時は全フランス作曲家(によるスペイン音楽?)プロだった。音楽のせいもあったかもだが、好印象を覚えている。

今回はプーランク2曲にガーシュイン(🇺🇸)。
前者の2曲はほぼ初聴き。

ガーシュインが最後を飾ったが、プーランクのオルガン協奏曲こそメインのような迫力と面白さがあった。

今日は第1曲から素晴らしい出来だった。

この日のマチネで新日フィルの上出来を聴いた後だったが、なんのなんの、さすがはN響の弦だ。格違いの透明感。
これで気持ちを掴まれて、次のオルガン協奏曲はなんて格好いい音楽だこと。

芸術劇場のオルガンはどういう仕掛けか知らないが、普段はクラシックな姿だが、今日はモダンな方の顔を見せていた。そのせいでもないだろうが、音が実に鮮烈だ。
芸劇の響はそもそも硬めだが、オルガンもそれに合わせたかのような鋭く明瞭な音色だ。
ずっと前にもこのモダンな方を聴いたことがあって、その時もホールの響きが良かったのは…偶然だろうな。

でも、どちらの化粧であれ、オルガンが姿を見せない時は、天井からの反響版がオルガンを覆い隠すので、オルガンを使う時と使わない時ではホールの響きが確実に異なる。
素人の想像に過ぎないが、オルガンを覆う反響版はかえって、音を舞台上に籠らせているのではないか?

ところで、この作品。
弦5部にティンパニーとオルガンだけ。管楽器は1本も使われていない。最近、立て続けにこの管なし音楽を聴いている。5/22東響、5/30-31都響、そして今日のN響オルガン協奏曲。

この、弦5部とオルガンという親和性の高い楽器群が作り出す響はまるで異次元の強化拡大弦楽合奏を聴いているようで、今宵はその饗宴に酔った。

さて、今日で今季のN響Cが終了した。
最初は、芸劇の悪口ばかり書いていたが、馴れるとこういう乾いた音もまあいいか、という気になってきた。
そうなってくると、絶好・最良席との別れがツラい。


♪2022-089/♪東京芸術劇場大ホール-04

2022年3月25日金曜日

東京・春・音楽祭 岡本侑也(チェロ)&河村尚子(ピアノ)

2022-03-25 @東京文化会館



岡本侑也:チェロ
河村尚子:ピアノ

ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
ブーランジェ:チェロとピアノのための3つの小品
プーランク:チェロ・ソナタ FP143
ブラームス:チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 op.99
--------アンコール--------
ブーランジェ:ヴァイオリンとピアノのための2つの小品 第1番 夜想曲(チェロ版)
シューマン:ミルテの花より 献呈
ドビュッシー:美しき夕暮れ


河村ちゃんは、大好きで機会を逃さないように聴いている。
岡本くんは昨夏カーチュン・ウォン+都響で聴いたのが最初で、その時とても驚いた。あの美しい響きは只者ではない。

で、この2人のDuoとなれば期待せずにおれなかったが、今日はその大きな期待を軽々超えた!

河村ちゃんは登場してあの愛嬌溢れる笑顔をみせただけでもう気分はお花畑の如し。ピアノに向かう表情を見るのも楽しい。ああ、彼女は今、音楽している!

プログラムはブラームス以外は初聴きというサービス精神に欠けるものだったが、それだけに2人の気合を感じた。

果たして岡本くんの第一声の美しさは?

これが半端ではなかった。

いろんなチェリストのいろんな音色を聴いてきた。
これまで一番美しい音を出すのは宮田大だった。
しかし、今日確信したよ。岡本くんの音色が実に美しく、力強い。こんなに綺麗な音は滅多に聴けないと思う。


サポートする河村ちゃんのピアノの音も負けず美しい。

つい先日、この会場で室内オケによるピアノ協奏曲をほぼ同じ席で聴いたのだけど、響きが違う。協奏曲でのピアノの位置は客席寄りだが、今日はチェロが前に出て、ピアノは後ろだ。それだけの違いだが、音が柔らかい。タッチの違いもあるだろうけどこんなに違うとは!

少なくとも配置によってPfの響きが変わるのは間違いない。
ともかく、河村ちゃんの特に低域の美しさにはジーンときたよ。

PfとVcの両者が、音楽の根本である楽器の”音”において比類ない美しさを聴かせてくれた。
音だけではなく、表現技術、解釈も必要だろうが、まずもって”音”が大切。美しい音が出せないなければ”音楽”にはならない。

こんなに美音なら、音階練習だって聴いていたいよ。


♪2022-042/♪東京文化会館-05

2020年12月4日金曜日

ともよあずさ 〜ウィンターコンサート2020〜

 2020-12-04 @みなとみらいホール


堀部ともよ:ピアノ*
中村梓:マリンバ**

①モーツァルト:バイオリン・ソナタ イ長調 K305から第1楽章
②クリストファー・ノートン:ノヴェンバー・イヴニング**
③プーランク:即興曲から*
 第7番
 第12番「シューベルトを讃えて」
 第15番「エディットピアフを讃えて」
④一柳慧:パガニーニパーソナル
⑤フランク:バイオリン・ソナタ イ長調
----ENC---------
ベートーベン:バイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 第3楽章
* ** はソロ演奏


年始の定例演奏会がホールの改修で来年から使えないので年内になった。

このデュオは今年の年初に初めて聴いたが、その時はピアノとマリンバという同じ鍵盤楽器の組み合わせでは妙味に欠けるのではと思っていたが、実際に聴いてみるとそうでもなかった。

マリンバに詳しくないけど、あずさ嬢のはとても大きく、グランドピアノに負けない迫力と繊細なトレモロが美しく、案外面白い組合せだ。

デュエットの他に各自ソロもあり。

あずさ嬢の演奏曲は作曲家も初めて。ジャズっぽい現代曲で4本マレットを操って見た目にも楽しめる。

ともよ嬢はプーランクの即興曲から3曲。初めて聴いたがいずれも親しみやすい音楽を好演。

デュエットでは一柳慧「パガニーニパーソナル」がピアノとマリンバのオリジナルで、これも初聴きだったが緊張感漂う演奏だった。小品とはいえ10分近い。この組み合わせではどうしてもマリンバの妙技が目立つが、ピアノもなかなか手強そうだったな。

メインはフランクのバイオリン・ソナタ。

数あるバイオリン・ソナタの中でもとても人気のある曲だけに、バイオリンをマリンバに置き換えてどうなのか…、と思ったが、これも始まってみると違和感もなく、これはこれで一つの世界だった。

舞台の運び方に不慣れを感じたが、それもご愛嬌ということで。

https://youtu.be/Rb_JbOo2QIc

♪2020-091/♪みなとみらいホール-26

2020年9月11日金曜日

新日本フィル:#33ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

 2020-09-11 @すみだトリフォニーホール


矢崎彦太郎:指揮
三浦文彰:バイオリン*

新日本フィルハーモニー交響楽団

ビゼー:カルメン組曲第1番
サン=サーンス:バイオリン協奏曲第3番ロ短調 op. 61*
プーランク:シンフォニエッタ
---Enc------------
ヴュータン:アメリカの思い出『ヤンキー・ドゥードゥル』*
ラヴェル:「クープランの墓」から


随分久しぶりのトリフォニー。

矢崎彦太郎という指揮者は初めて。

パリ在住で仏ものが得意らしい。で、全曲仏作品。

サン=サーンスのVn協は随分久しぶりで、プーランクもいろいろ小物を聴いているけど「シンフォニエッタ」は初聴きだったが、いずれも面白かった。

冒頭「カルメン」でえらくオケの音が綺麗だなと思ったが、音楽の割に弦の編成が小さかったことがざわつきを抑えて良い効果を生んだのかもしれないが、一方で弦の厚みは不足。

しかしVn協ではそれが独奏を引き立てて三浦くんのストラディが良く鳴った。

プーランクは管が多彩に響いた。

それにしても三浦くんと管楽器以外は全員マスク姿というのは異様だよ。

最近聴いた読響、東響そして新日フィルとオケによって対処方針がバラバラだし、そもそもマスクは何の為?

近く、全席お客を入れるようになるらしいが、舞台の側も陰性確認をしてノーマスク&本来配置で頼むよ。

継続記念にCDをもらった。

去年の10月定期#26の録音でバルトークの「管弦楽の為の協奏曲」だ。

N響、読響、神フィルなども自演CDをくれるもののあまり好録音はないが、このCDはなかなか良く録れている。僕も会場で聴いている日の録音なので、拍手の中にほれ、僕のも聞こえるぞ!


♪2020-048/♪すみだトリフォニーホール-02

2019年7月1日月曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 辻彩奈バイオリン・リサイタル

2019-07-01 @みなとみらいホール


辻彩奈:バイオリン
碓井俊樹:ピアノ

【第1部】
サン=サーンス:ハバネラ Op.83
プーランク:バイオリン・ソナタ FP119
ラヴェル:バイオリン・ソナタ ト長調

【第2部】
ショーソン:詩曲 Op.25
サン=サーンス:序奏とロンドカプリチオーソ Op.28
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調 FWV8
----------------
マスネ:タイスの瞑想曲
フォーレ:夢のあとに

辻彩奈を初めて聴いたのは、たぶん、2年前の「熱狂の日」にオーヴェルニュ室内管弦楽団(その日は管楽器なしの約20名の弦楽合奏団だったが。)のソリストとして登場した時で、若い(19歳?)のにしっかりとリードしているのが印象的だった。

2回目は、昨年末に、ミューザで東響の恒例<秋山第九>定番の「四季」〜春冬〜への登場だったが、「第九」の添え物とも思えない明瞭で雄弁な弾きっぷりに驚いた。

それで、今回のリサイタルは大いに楽しみだった。

さて、今回は、両部通してフランス音楽集だ。
プーランクのソナタやショーソンの「詞曲」は初聴きだったし、ラヴェルのソナタもフランクのソナタほどには馴染んでいない。しかし、どれもこれもすべて心地よい。

実に明瞭な音色で音楽が闊達だ。
曖昧なところが全然ない。
その音色を聴いているだけでも満足できる演奏だ。

彼女に貸与されている楽器は、ガダニーニの作(1748年製)だそうな。名器は必ずしも鳴り易いというものではないそうだが、見事に豊かな音色を響かせてくれた。
もとより、みなとみらいホールの小ホールはホール自体が楽器のようによく鳴り響くが、そこで才人が名器を使いこなすと、かくも幸福な世界が出現するのか、という感動を覚えた。

初めて神尾真由子の演奏を聴いたのも、東響の<秋山第九>の「四季」で、その時のかなり強力な印象が今も残っているが、若き日の(今でも十分若いけど…)神尾真由子の登場と形も同じだったが、音楽性も類似点があるように感じた。

次の機会には、やはりベートーベン、ブラームスやシューマンなど独墺音楽をたっぷり聴きたいものだ。




余談:この「クラシック・マチネ」シリーズは1部と2部に分かれて、どちらか一つの演奏会だけを買うこともできるので、以前は時間の遅い2部だけを年間セットで買っていたものの、結局はプログラムを見て1部も聴きたくなって追加購入することがしばしばだったので、前季から1部〜2部の通しの年間セット券を買っている。
この両方を聴いて1日1,800円(年間6公演中2公演は2,700円)という信じられないような料金で、かてて加えてホールの会員はさらに割引があるので、もう、本当に申し訳ないようなありがたさだ。

♪2019-092/♪みなとみらいホール-28

2019年5月19日日曜日

華麗なるコンチェルトシリーズ〜絢爛たるフレンチ・デュオ 児玉麻里&児玉桃

2019-05-19 @みなとみらいホール


熊倉優:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

児玉麻里:ピアノ*
児玉桃:ピアノ*

フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」から前奏曲、糸を紡ぐ女、シシリエンヌ、メリザンドの死
サン=サーンス:動物の謝肉祭*
フォーレ:ドリー組曲*(連弾)
プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調FP61*
---------------
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」から「金平糖の踊り」*

児玉桃は以前、みなとみらいホールで聴いたことがあった。やはりフランス音楽だった。
児玉麻里は初めて。
もっとも、今回はピアノデュオと連弾なので、各人の特徴…があるとしても聴き分けられなかったと思う。

最初にオケだけでフォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」から前奏曲、糸を紡ぐ女、シシリエンヌ、メリザンドの死が演奏された。「シシリエンヌ」は器楽曲としても色んな形(特にチェロとピアノ)で演奏されるので、よく知っていたが、他の曲は都響、N響などで何度も聴いているのに、全く覚えていなかった。

「動物の謝肉祭」から児玉姉妹の登場だ。
2台のピアノとオーケストラのための作品なのでピアノはお互いが向かい合わせだ。下手が姉の麻里、上手が妹の桃で、この配置はプーランクでも同じ。最後のアンコールでは上・下が入れ替わった。因みに1台のピアノを2人で弾く連弾では高域が麻里、低域が桃の受け持ちだった。

「動物の謝肉祭」では室内オーケストラのような小規模編成の神奈川フィルが実に良い響きだった。
この曲も初めてではなく何度も聴いているが、オケは弦5部のほかは管楽器がフルートとクラリネット各1本に鉄筋・木琴?各1台ずつという編成で、弦の規模も全員で20名くらいだった。元々、そういう編成で書かれているらしいが、僕のあやふやな記憶ではこれまで聴いたオケの編成はもっと大掛かりだったように思うがどうだったのだろう。
ま、ともかく、その小規模オケの弦のアンサンブルが、あまり高域が出てこないということもあって、心地の良いこと。ここにピアノが強打した時に、えも言われぬシンフォニックな響が生まれる。

ドリー組曲はピアノだけの連弾曲。短い6曲で構成されている。名前に馴染みはなかったが、始まってみると、第1曲目の「子守歌」はよく知っている曲だった。これはバイオリンやチェロとピアノの作品としてよく演奏される作品だ。もっとも、第2曲以降は知らなかった。技術的にも多分子供でも弾けるような優しい音楽だ。

プーランクは珍しい。
ほぼ3年前に同じ神奈川フィル(ピアノ:田村響&佐藤卓史)で聴いたことがあったが、全然覚えていない。とはいえ、面白い音楽ではあった。
第1楽章は現代のミニマル音楽の先駆けのようでもあるが、何だか泥臭いところがある。
第2楽章はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番第2楽章のパロディみたいだ。
第3楽章もプーランクの過去作を引用しているらしいが、どことなくお遊びのような雰囲気だ。

アンコールだけ、フランスものではなかった。彼女たちは子供の頃からフランスで育って、桃は今もパリに住んでいるらしいが、全体として、フランスの香りがしたのかどうかは当方の鼻が鈍いのでよく分からないが、楽しめるコンサートではあった。

♪2019-067/♪みなとみらいホール-17

2018年12月16日日曜日

東京工業大学管弦楽団第159回定期演奏会

2018-12-16 @みなとみらいホール


末永隆一:指揮
東京工業大学管弦楽団
村本麻里子:オルガン*

ドボルザーク:序曲「謝肉祭」
シベリウス:交響曲第6番ニ短調 作品104
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」*
---アンコール---
プーランク:組曲「牝鹿」から「フィナーレ」

東京工業大学管弦楽団がサン=サーンスの交響曲第3番、所謂「オルガン付き」をやるというので、昼のミューザ東響に続いてのハシゴ。

大学オケは一般に市民オケより大抵レベルが高い…という経験則から来た期待を裏切らずかなり巧い。
弦も透明感がある。特に第1バイオリン群は昼のプロオケより耳障りがな音が少ない。
さりとて、やはりプロの持つレベルとはちと違う。
なにやら、音の線が細過ぎて全体として湧き上がってくる熱量に不足していた。

また、アマチュアだからやむを得ないか、年に2度の晴れ舞台で、緊張しているのだろう、いずれも表情が硬く、音楽を楽しんでいる風ではない。も少し愛嬌も振り撒いてくれたら良かったけどなあ。ま、これは指揮者の責任でもあるけど。


♪2018-172/♪みなとみらいホール-41

2016年7月11日月曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~毛利文香 バイオリン・リサイタル~

2016-07-11 @みなとみらいホール


毛利文香:バイオリン
日下知奈:ピアノ

プーランク:バイオリン・ソナタ
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調

5月から始まったクラシック・マチネの第2弾。
このシリーズは、毎回12時10分からの第1部と14時30分からの第2部に分かれていているが、両方又は好きな方だけ買うことができるので、僕は第2部だけの年会員になった。格安チケットなので第1部も一緒に買っても良かったけど12時過ぎに始まるというところに抵抗があって午後の部だけにした。

でも、今日に限って言えば、第1部も1回券を買って聴けば良かった。第1部ではモーツァルトの第28番ホ短調のソナタ(モーツァルトの全40曲<偽作も含む>のうち唯一の短調作品)とベートーベンの第9番「クロイツェル」を弾くと事前に知っていたら絶対にチケットを買うのだったよ。実に惜しいことをした。


さて、プーランクとのソナタは初聴き。
調性はぼんやりしているが、激しくリズミカルな出だしで惹き込まれたのは束の間、大波に揺られる小舟のようにウトウトしたが乗心地は良好。終楽章が再び荒れ狂うような掛け合いですっかり覚醒した。
ナマで聴くと面白いのだけど、CDでは余り聴きたくないな。これも何度か経験するとアジが出てくるのだろうけど。

やっぱり、なんといってもフランクがいい。
先日、石田泰尚のリサイタルで久しぶりにナマを聴いたが、聴き始めると続くものだ。
蠱惑的な洒落た感じのささやきに惹き込まれる。第2楽章はバイオリンとピアノが激しくせめぎあう。叙唱を経て終楽章はモーツァルトやベートーベンみたいな調べで古典派風に締める。とても楽しめる要素が多い。
いろんな作曲家のバイオリン・ソナタの中でも好きな5曲には入るな。

それにしても、久しぶりに小ホールでのバイオリンとピアノ。
実に豊かな響だ。
毛利文香も日下知奈も多分初めて聴く人だが、巧いし音が綺麗でボリュームもある。ピアノとのバランスもよくて素晴らしい。

先日の石田氏の場合は会場が大ホールなのでバイオリンがやや音圧に欠けたが、今日の演奏は、ちょうど音楽堂での千住真理子の演奏(響の種類はぜんぜん異なり、みなとみらいホール・小ホールは残響を効かせた豊かな響であるが)と同じく、バイオリンの魅力を十分に伝える芳醇な音空間だった。まさしく至福の時なり。


♪2016-96/♪みなとみらいホール-25

2016年4月9日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第318回

2016-04-09 @みなとみらいホール


川瀬賢太郎:指揮
田村響&佐藤卓史:ピアノ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

コダーイ:ガランタ舞曲
プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP.61
ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14

コダーイとプーランクの作品はいずれも初聴きだったが、「ガランタ舞曲」は現在はスロバキア(その前はチェコスロバキア。その前はオーストリア・ハンガリー帝国)に属する「ガランタ」という地方の民謡(実質はロマの音楽)を素材にしているだけに、大げさな哀愁に満ちた、情緒溢れる、まさしく「ロマ」ンチックな音楽で、初聴きでもこれはほとんど抵抗感なく楽しめる。

プーランクの方も民謡やモーツァルトのピアノ協奏曲(第21番の第2楽章)、自身の過去作のフレーズなどが組み込まれた、作曲家の遊びのような作品で、これも気楽に聴ける作品だ。
楽器の編成(パート毎の人数)と配置が楽譜に指定されているそうだ。と言っても特に変わったところもなかったが。

いずれも賑やかな音楽だ。

その後、本日のメインイベント。
大編成に衣替えした大管弦楽団が前二者に倍するけたたましきベルリオーズの幻想交響曲を渾身の力で演奏。何しろ、ティンパニーも大太鼓も2セットというのがすごいね。
大いなるカタルシスを得て最近の鬱屈が一時的にせよ晴れた。

♪2016-040/♪みなとみらいホール-11

2014年10月29日水曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.61 神奈川フィル名手による室内楽③

2014-10-29 @みなとみらいホール


古山真里江:オーボエ(神奈川フィル首席)
鈴木一成:ファゴット(神奈川フィル首席)
久下未来:ピアノ

J.W.カリヴォダ:オーボエとピアノのためのサロンの小品 作品228
サン=サーンス:ファゴットとピアノのためのソナタ 作品168
F・プーランク:オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲 FP43
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アンコール
ベートーベン:3つの二重奏曲第1番 ハ長調 WoO.27 から第1楽章


オーボエ、ファゴットが主役のミニ・リサイタル。
もちろん、ピアノも入っている。

こういう楽器の組み合わせは初めてだった。
3曲とアンコールの断章を聴いたが、どの作品も初めて。

オーボエもファゴットも神奈川フィルのそれぞれのパートの首席なので、演奏面では何の不安もなかったが、ピアノとのアンサンブルが難しいように思ったのは、僕の体調が良くなかったせいかもしれないが。

まずは、オーボエとピアノによる小品。
カリヴォダ(チェコ/1801-1866)なんて作曲家の名前も初めてだったが、年代的にはメンデルスゾーン、ショパン、シューマンなどと同じロマン派に属するようだ。
メランコリックな曲調で始まり、旋律の豊かな民謡風な作品だ。
ところどころ、オーボエの聴かせどころが配されていてる。オーボエ吹きの世界では有名な曲らしい。


次がファゴットとピアノのソナタ。
ファゴットの名曲だそうだ。サン=サーンス(フランス/1835-1921)はこの時代の作曲家にしては長生きで86歳で歿したが、その亡くなる年に書いたもので、作品番号は最後の一つ前だ。

ピアノのアルペジオに乗ってロマンチックなメロディーが始まる。
とにかく、まったく老境を感じさせない、若々しい曲だったのは驚きだ。特に第2楽章はテンポも早くファゴットの技術も相当難度が高いのではないかと思った。

最後に3人揃ってプーランク(フランス/1899-1963)のピアノトリオ。
年代的にはサン=サーンスの作品とさほど変わらないが、こちらは新しい感覚を感じさせる。冒頭からしてドビューシートなんかをイメージさせる。フランスぽい。第2楽章はうって変わって牧歌的。
第3楽章は忙しい。
全曲を通じて気分が変わりやすいのが、良いのか悪いのか。


アンコールにベートーベンの二重奏曲から一楽章を演奏してくれたが、これがオーボエとファゴットの二重奏だ。
もともとはクラリネットとファゴットのための作品らしい。
およそベートーベンの声楽以外の作品で演奏会で取り上げられるような作品なら知らない曲はないだろうと高を括っていたが、あるんだなあ。
ピアノが入らないので、2本の木管楽器がよく調和して響も明瞭で、実はこの曲が一番楽しめた。
ところが、この曲は、贋作の疑いがかかっているそうだ。
しかし、いかにもベートーベンらしい音楽なのだけど、それだけにかえって怪しいということかも。

♪2014-98/♪みなとみらいホール小ホール-38