2014年10月29日水曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.61 神奈川フィル名手による室内楽③

2014-10-29 @みなとみらいホール


古山真里江:オーボエ(神奈川フィル首席)
鈴木一成:ファゴット(神奈川フィル首席)
久下未来:ピアノ

J.W.カリヴォダ:オーボエとピアノのためのサロンの小品 作品228
サン=サーンス:ファゴットとピアノのためのソナタ 作品168
F・プーランク:オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲 FP43
--------------
アンコール
ベートーベン:3つの二重奏曲第1番 ハ長調 WoO.27 から第1楽章


オーボエ、ファゴットが主役のミニ・リサイタル。
もちろん、ピアノも入っている。

こういう楽器の組み合わせは初めてだった。
3曲とアンコールの断章を聴いたが、どの作品も初めて。

オーボエもファゴットも神奈川フィルのそれぞれのパートの首席なので、演奏面では何の不安もなかったが、ピアノとのアンサンブルが難しいように思ったのは、僕の体調が良くなかったせいかもしれないが。

まずは、オーボエとピアノによる小品。
カリヴォダ(チェコ/1801-1866)なんて作曲家の名前も初めてだったが、年代的にはメンデルスゾーン、ショパン、シューマンなどと同じロマン派に属するようだ。
メランコリックな曲調で始まり、旋律の豊かな民謡風な作品だ。
ところどころ、オーボエの聴かせどころが配されていてる。オーボエ吹きの世界では有名な曲らしい。


次がファゴットとピアノのソナタ。
ファゴットの名曲だそうだ。サン=サーンス(フランス/1835-1921)はこの時代の作曲家にしては長生きで86歳で歿したが、その亡くなる年に書いたもので、作品番号は最後の一つ前だ。

ピアノのアルペジオに乗ってロマンチックなメロディーが始まる。
とにかく、まったく老境を感じさせない、若々しい曲だったのは驚きだ。特に第2楽章はテンポも早くファゴットの技術も相当難度が高いのではないかと思った。

最後に3人揃ってプーランク(フランス/1899-1963)のピアノトリオ。
年代的にはサン=サーンスの作品とさほど変わらないが、こちらは新しい感覚を感じさせる。冒頭からしてドビューシートなんかをイメージさせる。フランスぽい。第2楽章はうって変わって牧歌的。
第3楽章は忙しい。
全曲を通じて気分が変わりやすいのが、良いのか悪いのか。


アンコールにベートーベンの二重奏曲から一楽章を演奏してくれたが、これがオーボエとファゴットの二重奏だ。
もともとはクラリネットとファゴットのための作品らしい。
およそベートーベンの声楽以外の作品で演奏会で取り上げられるような作品なら知らない曲はないだろうと高を括っていたが、あるんだなあ。
ピアノが入らないので、2本の木管楽器がよく調和して響も明瞭で、実はこの曲が一番楽しめた。
ところが、この曲は、贋作の疑いがかかっているそうだ。
しかし、いかにもベートーベンらしい音楽なのだけど、それだけにかえって怪しいということかも。

♪2014-98/♪みなとみらいホール小ホール-38