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2021年9月12日日曜日

ベッリーニ作曲「清教徒」全3幕 藤原歌劇団公演(共催:新国立劇場・東京二期会)新制作

2021-09-12 @新国立劇場


ベッリーニ作曲「清教徒」
全3幕〈イタリア語上演/日本語字幕付〉

予定上演時間:約3時間20分
第Ⅰ幕 75分
  休憩20分
第Ⅱ幕 50分
  休憩20分
第Ⅲ幕 35分

指揮:柴田真郁
演出:松本重孝
合唱指揮:安部克彦
美術:大沢佐智子
衣裳:前岡直子
照明:服部基

合唱:藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

エルヴィーラ⇒佐藤美枝子
アルトゥーロ⇒澤﨑一了
ジョルジョ⇒伊藤貴之
リッカルド⇒岡昭宏
ヴァルトン卿⇒東原貞彦
ブルーノ⇒曽我雄一
エンリケッタ⇒古澤真紀子


「清教徒」は初生観賞。
上演機会も少ないと思うが、持っている録画は2007年METのものだけ。しかし、この公演ではネトレプコが舞台の端、ピットギリギリに仰向けで歌う「狂乱のアリア」が凄い。

我がベルカントの女王(と呼ばれているかどうかは知らないけど)佐藤美枝子がどんな風に狂乱するかが楽しみ。

オペラで狂乱するのは女性と決まっている。
そういう作品を得意としたのはベッリーニとドニゼッティ(ベルカントオペラの親分と言えるロッシーニに狂乱アリアが見当たらないのは勉強不足かな?)。

過度な装飾と超高域を駆使する超絶技巧のベルカントと狂乱アリアは似合うからだろう。

本作でもヒロイン、エルヴィーラ(佐藤)は本篇中2度狂乱し2度正気に戻る。

しかし仰向けはなかった。

エルヴィーラの相手役がアルトゥーロ(澤﨑一了)。
こちらは正気を保ったまま!超高域の難曲を歌う。
しかもほぼ出ずっぱり。

物語は清教徒と王党派の争い(清教徒革命)を背景にしているが、アルトゥーロは王党派。ならば、タイトルは「清教徒」というより「王党派」としてあげたいくらいの活躍で上出来。

ピットに入った東フィルの出来がやや不満。

♪2021-095/♪新国立劇場-07

2019年9月5日木曜日

藤原歌劇団公演オペラ「ランスへの旅」

2019-09-05 @新国立劇場


折江忠道:総監督
園田隆一郎:指揮
松本重孝:演出

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団

コリンナ:ローマの女流詩人⇒砂川涼子
メリベーア侯爵夫人:ポーランドの寡婦⇒中島郁子
フォルヴィル伯爵夫人:若い寡婦⇒佐藤美枝子
コルテーゼ夫人:金の百合亭主人⇒山口佳子
騎士ベルフィオール:仏士官。コリンナに愛⇒中井亮一
リーベンスコフ伯爵:ロシア将軍⇒小堀勇介
シドニー卿:英軍人。コリンナに愛⇒伊藤貴之
ドン・プロフォンド:文学者⇒久保田真澄
トロムボノク男爵:独陸軍少佐⇒谷友博
ドン・アルバーロ:スペインの提督⇒須藤慎吾
ドン・プルデンツィオ:医者⇒三浦克次
ドン・ルイジーノ:フォ〜夫人のいとこ⇒井出司
デリア:ギリシャ孤児。コリンナ下女⇒楠野麻衣
マッダレーナ:女中頭⇒牧野真由美
モデスティーナ:フォ〜夫人の小間使い⇒丸尾有香
ゼフィリーノ:使者⇒山内政幸
アントニオ:給仕長⇒岡野守
ほか

ロッシーニ:歌劇「ランスへの旅」
オペラ全1幕〈字幕付きイタリア語上演〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ部105分
 --休憩20分--
第Ⅱ部55分

藤原歌劇団公演に二期会・新国も参加した大掛かりなプロダクション。
独唱者17人に合唱がついて目まぐるしく賑やか。
幸い同じ藤原歌劇団の同じ演出による2015年の日生劇場版を観ていたので筋書きは覚えているが、初めての人には特段の説明もなく話が進むので置いてきぼりにされるかもしれない。
ま、それでも構わぬ歌こそ命の歌劇だ。

1825年パリ近郊の湯治場、と言っても高級ホテル。
フランス王シャルルのランスでの戴冠式見物の為に同じ宿に集った紳士淑女たち。そこであれやこれやのプチ・ドラマが繰り広げられる。目的のランス行きが不可能となるもパリでもお披露目が行われると聞き安堵して、とりあえずランスへの旅の費用として集めたお金で大宴会を開くことになった。
ここまでも一言もセリフはなく、レシタティーヴォとアリアの連発だ。ともかく、次から次と歌に次ぐ歌。

クライマックスの大宴会で紳士淑女は出身国にちなむ歌を交代で披露する。実は、集まった紳士淑女たちはそれぞれ異なる国の出身者なのだ。この辺が巧い設定だ。

ドイツ人の男爵はドイツ賛歌、
ポーランドの公爵夫人はポロネーズ、
ロシアの伯爵はロシア賛歌、
スペインの海軍提督はスペインのカンツォーネ、
イギリス軍人は英国国歌、
フランスの伯爵夫人と騎士は二重唱でブルボン王家賛歌、
ティロル出身の夫人はヨーデル颯民謡
を歌い継ぎ、シメに即興詩人が全員の投票によって決まったお題を基に即興で「シャルル王」賛歌を歌い、最後は全員で「シャルル王」賛歌を歌って華やかに幕。

主要な17人の歌手の中には何度も聴いている人もいるが初めて聞く名前もあった。だが、みんな巧いことにいつもながら驚く。よく通る声で、ベルカントの難しそうな細かく早い装飾をコロコロ歌う。
独唱から二重唱、六重唱、果ては14人、17人の強力な合唱も実に聴き応えがあった。

中でも一番は主役格の砂川涼子。
この人はホンに何度も聴いているけど、今日はその実力を思い知らされた感がある。今年はまだ日生劇場の「トスカ」、紀尾井ホールでのリサイタルを追っかけなくちゃ!


♪2019-133/♪新国立劇場-09