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2019年5月19日日曜日

華麗なるコンチェルトシリーズ〜絢爛たるフレンチ・デュオ 児玉麻里&児玉桃

2019-05-19 @みなとみらいホール


熊倉優:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

児玉麻里:ピアノ*
児玉桃:ピアノ*

フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」から前奏曲、糸を紡ぐ女、シシリエンヌ、メリザンドの死
サン=サーンス:動物の謝肉祭*
フォーレ:ドリー組曲*(連弾)
プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調FP61*
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チャイコフスキー:「くるみ割り人形」から「金平糖の踊り」*

児玉桃は以前、みなとみらいホールで聴いたことがあった。やはりフランス音楽だった。
児玉麻里は初めて。
もっとも、今回はピアノデュオと連弾なので、各人の特徴…があるとしても聴き分けられなかったと思う。

最初にオケだけでフォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」から前奏曲、糸を紡ぐ女、シシリエンヌ、メリザンドの死が演奏された。「シシリエンヌ」は器楽曲としても色んな形(特にチェロとピアノ)で演奏されるので、よく知っていたが、他の曲は都響、N響などで何度も聴いているのに、全く覚えていなかった。

「動物の謝肉祭」から児玉姉妹の登場だ。
2台のピアノとオーケストラのための作品なのでピアノはお互いが向かい合わせだ。下手が姉の麻里、上手が妹の桃で、この配置はプーランクでも同じ。最後のアンコールでは上・下が入れ替わった。因みに1台のピアノを2人で弾く連弾では高域が麻里、低域が桃の受け持ちだった。

「動物の謝肉祭」では室内オーケストラのような小規模編成の神奈川フィルが実に良い響きだった。
この曲も初めてではなく何度も聴いているが、オケは弦5部のほかは管楽器がフルートとクラリネット各1本に鉄筋・木琴?各1台ずつという編成で、弦の規模も全員で20名くらいだった。元々、そういう編成で書かれているらしいが、僕のあやふやな記憶ではこれまで聴いたオケの編成はもっと大掛かりだったように思うがどうだったのだろう。
ま、ともかく、その小規模オケの弦のアンサンブルが、あまり高域が出てこないということもあって、心地の良いこと。ここにピアノが強打した時に、えも言われぬシンフォニックな響が生まれる。

ドリー組曲はピアノだけの連弾曲。短い6曲で構成されている。名前に馴染みはなかったが、始まってみると、第1曲目の「子守歌」はよく知っている曲だった。これはバイオリンやチェロとピアノの作品としてよく演奏される作品だ。もっとも、第2曲以降は知らなかった。技術的にも多分子供でも弾けるような優しい音楽だ。

プーランクは珍しい。
ほぼ3年前に同じ神奈川フィル(ピアノ:田村響&佐藤卓史)で聴いたことがあったが、全然覚えていない。とはいえ、面白い音楽ではあった。
第1楽章は現代のミニマル音楽の先駆けのようでもあるが、何だか泥臭いところがある。
第2楽章はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番第2楽章のパロディみたいだ。
第3楽章もプーランクの過去作を引用しているらしいが、どことなくお遊びのような雰囲気だ。

アンコールだけ、フランスものではなかった。彼女たちは子供の頃からフランスで育って、桃は今もパリに住んでいるらしいが、全体として、フランスの香りがしたのかどうかは当方の鼻が鈍いのでよく分からないが、楽しめるコンサートではあった。

♪2019-067/♪みなとみらいホール-17

2015年11月26日木曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.72 児玉桃&ゴーティエ・カプソン ~フランスの風薫るデュオリサイタル~

2015-11-26 @みなとみらいホール


児玉桃:ピアノ
ゴーティエ・カプソン:チェロ

ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38
サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より"白鳥" 


ドビュッシーというと牧神の午後~とか交響詩「海」といった管弦楽作品や「映像」、「版画」、「ベルガマスク組曲」などのピアノ曲を思い出すが、室内楽はピンと来ない。
でもチェロソナタやバイオリンソナタを作曲していることは、たまにCDを聴くから知っていたけど、しっかりと聴いたこともないので、初耳のようなものだった。

ぼんやり聴いていたら、気が付いたら終わっていた。
何しろ、3楽章と言いながら2-3楽章はつながっている(アタッカ)ので実質2楽章のようなもので全部で10分強の長さだ。

チェロのいろんな奏法が用いられており、演奏難度は高いようだ。
しかし、これといって盛り上がりもないままに終曲する。

このドビュッシー唯一のチェロソナタの完成が1915年で、16年~17年(死の前年)にかけて作曲された同じく唯一のバイオリンソナタも同じような曲調で、既に病状が思わしくなかったようだから、全体として重苦しく、晴れやかな感じはFinaleに至ってもない。
既に癌を患っており、この曲の完成後2年ほどで亡くなるが、そういう事情も背負っていたのかもしれない。
チェロの高度なテクニックを聴かせるのが主眼の作品ではないか。

ドビュッシーに比べるとブラームスのチェロ・ソナタはずいぶん分かりやすい。まあ、自分がこの曲に馴染んでいるからでもあるけど。暗くて重いけどロマンティックな香りも残した冒頭のメロディーがきれいだ。
全3楽章とも短調(ホーイーホ)だ。せめて第2楽章の三部形式のいずれかのパートを長調にすれば変化が出て他のマイナー部分の哀愁が一層引き立ったろうに。と考えるのは素人の思いつきなのだろうな。
第3楽章はピアノの旋律をチェロが追いかけて始まる(フーガ)。両者のからみ合いが面白い。


チェロのゴーティエ・カプソン。1981年生まれのフランス人。アントニオ・バンデラスを若くしたような男前だ。
コンクール入賞歴多数。世界中の一流オケと共演をしている。
相当な腕前なのだろうが、印象に遺ったことが二つ。
一つはエンドピンの長いこと!
1mくらい伸ばしていたのではないか。
もう一つは、楽器の音が素晴らしくよく通る。良く鳴るのだ。
みなとみらいホールの大ホールでチェロの独奏を聴くのは数知れずだが、こんなに明瞭できれいな音を聴くのは初めてだ。

もっといろんなタイプの音楽を聴きたかったな。

使用楽器は1701年製のマッテオ・ゴフリラーだそうな。
チェロに限らず弦楽器の銘器といえばストラディヴァリウスやアマティ(のチェロがあるか知らないけど)が有名だが、このゴフリラーを愛用する名人も多いようだ。
カザルス、フルニエ、シュタルケル、ヨーヨー・マ、マリア・クレーゲルそれに長谷川陽子など。

もちろん、個体差もあるだろうけど、今日のゴティエ・カプソンの音が素晴らしかったのは、腕もあるだろうが、やはりゴフリラーの素晴らしさに由来しているのだろう。


♪2015-116/♪みなとみらいホール-34