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2019年12月15日日曜日

第54回音楽堂クリスマス音楽会「メサイア」全曲演奏会

2019-12-15 @県立音楽堂


小泉ひろし:指揮
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
チェンバロ:長久真実子 
オルガン:宇内千晴
合唱:神奈川県合唱連盟、音楽堂「メサイア」未来プロジェクト合唱団

山口清子:ソプラノ
上杉清仁:カウンターテナー
中嶋克彦:テナー 
加耒徹:バリトン

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」全曲 

65年の歴史を有する音楽堂ならではの「メサイア」は今年で54回目だそうな。毎年この時期はコンサートがダブってなかなか参加できないでいたが、今年は4年ぶりに参加できた。

尤も「メサイア」自体は10月の横響演奏会を同じ音楽堂で聴いた。今回はオケが小編成だが神奈川フィルなので、まあ、だいぶ安心感が違った。

合唱はこちらもアマチュアだが、県の合唱連盟傘下の多くの合唱団のほかに<未来プロジェクト>として中高大学生も混じっている。将来の「音楽堂メサイア」を支える人材育成を兼ねているのだ。こういう地道な努力のお陰もあって、安価に名作の大曲を楽しませてもらって、ありがたいことだ。

「メサイア」といえば「ハレルヤ〜」で起立するかという問題があるが、今や、起立組は絶滅危惧種である。

今日は1名発見(自席より後方は不明)。ホンの少数が立ち上がると後ろの者は迷惑だ。3百年程前の異国の作り話に乗せられて起立することはない。

♪2019-207/♪県立音楽堂-3

2018年10月28日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第7回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2018-10-28 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団*

山口清子:ソプラノ*
清水華澄:アルト*
与儀巧:テノール*
原田圭:バス*

ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB 109(ハース/オーレル版)
ブルックナー:テ・デウム WAB 45*

好みじゃないブルックナー「交響曲第9番」が今年はどういう訳か3回目だ。

でも、今日は、指揮が好みの上岡敏之だし、未完の第4楽章に代えて(ブルックナーの)「テ・デウム」を休憩なしで演奏するという野心的な試み。

これまで、ブルックナーが(第9番の終楽章が未完に終わった場合は、「テ・デウム」を代わりに演奏せよ、と)示唆したというこの形での演奏に接したことがなかったので、その面でも楽しみだった。

細部へのこだわり=上岡らしさは特に感じなかったが、弦はきれい。管はやや残念。とは言え、緊張感の持続する良い演奏だった。

難点の<長さ>については、「テ・デウム」込み(約90分)でも納得させた。というより、むしろ「テ・デウム」が終楽章の代わりに続いたことが全曲の完結感を高めたのだろう。

欲を言えば、合唱席はP席(舞台後方)を使ったのだから、冒頭から座って待っておれば良かった。80人が着席するには時間が必要で、気持ちを維持するのに一手間かかる。
でも、その合唱は良かった。
独唱4人の巧拙は別に、アンサンブルの妙が無い。そういう音楽だから仕方がない。

♪2018-138/♪みなとみらいホール-30

2017年7月30日日曜日

東京二期会 グラインドボーン音楽祭との提携公演 オペラ「ばらの騎士」

2017-07-30 @東京文化会館


セバスティアン・ヴァイグレ:指揮
リチャード・ジョーンズ:演出
ポール・スタインバーグ:装置
サラ・フェイ:演出補・振付
ニッキー・ギリブランド:衣裳
ミミ・ジョーダン・シェリン:照明

読売日本交響楽団


元帥夫人⇒森谷真理
オックス男爵⇒大塚博章
オクタヴィアン⇒澤村翔子
ファーニナル⇒清水勇磨
ゾフィー⇒山口清子
マリアンネ⇒岩下晶子
ヴァルツァッキ⇒升島唯博
アンニーナ⇒増田弥生
警部⇒清水那由太
元帥夫人家執事⇒土師雅人
ファーニナル家執事⇒新津耕平
公証人⇒松井永太郎
料理屋の主人⇒加茂下稔
テノール歌手⇒前川健生
3人の孤児⇒田崎美香/舟橋千尋/金澤桃子
帽子屋⇒斉藤園子
動物売り⇒加藤太朗

R.シュトラウス:オペラ「ばらの騎士」全3幕ドイツ語公演日本語字幕付き


「ばらの騎士」。予てから観たいと思って既に12月の新国立のチケットはとってある。それで、二期会には失礼だが、新国立での鑑賞の予行演習みたいな気分で出かけた。
「ばらの騎士」も初めてなら文化会館で(演奏会形式ではない本物の)オペラを観るのも初めてだった。

今日の興行は、グラインドボーン音楽祭(彼の地での劇場はキャパが1,300人らしい。)との提携公演だそうだ。
つまり、彼の地での公演と同じ演出、同じ舞台美術で、歌手やオケがメイド・イン・ジャパンという訳だ。その為に、客席数で言えば2倍近い文化会館の舞台にグラインドボーンで使った舞台セットをそのまま持ってきたのでは小さくなってしまう。現に、額縁の中に額縁を重ねることになり、せっかくの文化会館の大きな舞台空間を十分活かせず隔靴掻痒の感無きにしも非ず。

が、それも、まあ、違和感を感じたのは冒頭と第3幕で、その他は問題なく、に第2幕は奥行きをたっぷり使って狭さを微塵も感じさせなかった。

オペラは演出次第でずいぶん様子が異なる。
「ばらの騎士」のナマは初めてだったが、放送録画を数種類持っていてビデオによる鑑賞は何度も、何種類も経験済みだが、今日の演出には驚く部分があった。

何といっても、第1幕冒頭のシーンだ。舞台は元帥夫人の部屋で、昨夜から若いツバメであるオクタヴィアンと過ごした朝、舞台奥に作られたのは、特大水盤で水浴びする裸体の女性。古典派画家アングルの「泉」を思わせる。天井からは本当に水が流れている。あまり照明が当たっていないし、しばらくその裸体は動かなかったのでてっきり水浴びする銅像かと思ったが、やがて、その全裸が動き出した。もう本当に素っ裸なのだ。ここでは当然、手持ちのモノキュラーが活躍する。驚いた。乳首まではっきり見える。が、同時に、肌色の着包みであることも見えてしまったが。
それにしても大胆な演出で、惹き付けられた。

良い演出ばかりではなく疑問点もいっぱい。
第1幕の終盤、元帥夫人が時の流れには勝てないとしみじみ嘆く、第1幕最大の聴きどころ。ここでは普通、恋人の若い燕オクタヴィアンをキスもせずに帰してしまった元帥夫人が部屋に一人残って独白するはずなのに、部屋の隅には老人が一人椅子に座っていた。彼が一体何者なのか?こんな演出はかつて観たことがないので気になってしまった。件の老人は第3幕にも登場するが一言のセリフ(歌)もないので、なおさら、何者か分からない。分かった観客がいたろうか。

釈然としなかったので、終演後、二期会関係者を捕まえて質してみたら、その老人は元帥夫人の書記だという。18世紀ウィーンの貴族の屋敷には、夫人の独り言さえ記録する書記が居たのだろうか?そもそも、婚約者に「ばらの騎士」が銀のバラを贈る、という風習も作者が捏造したものなので、この書記の存在もあてにはならない。
ま、真偽はともかく、物語の進行において、まったく意味をなさない演出だ。

ほかにも、第2幕の上手と下手に置かれた椅子が他の調度と時代が全く異なるとか、第3幕では唐突に衣裳以外が現代になるのも不自然、というか、その理由が理解できない。第3幕の居酒屋が舞台を広く使わず、三角形の部屋(ドアも3か所、天井も三角形)で窮屈そうなのは、元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィーの三角関係を示唆しているのだろうが、せっかくの三重唱をスケールを小さくした印象が否めない。その三重唱が始まる第3幕中盤のゾフィーの洋服が可愛げない。それにメガネを掛けていたのではそれまでの可愛らしさが消えてしまったのも残念。

と、演出・装置などでは不満も残ったが、二期会歌手陣はいずれも素晴らしい。そして、読響の演奏も力強くて良かった。

♪2017-131/♪東京文化会館-12