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2025年7月9日水曜日

かなっくの響きを楽しむチェンバーミュージック 「奏」Vol.1

2025-07-09 @かなっくホール



新日本フィルハーモニー交響楽団チェロ部門
 弘田徹:Vc
 飯島哲蔵:Vc
 佐古健一:Vc
 佐山裕樹:Vc
 サミュエル・エリクソン:Vc
 多田麗王:Vc
 山内創一朗:パーカッション*


[第一部]
パッヘルベル:カノン
ワーグナー:エルザの大聖堂の入場
ポッパー:レクイエム
ビゼー:カルメンメドレー

[第二部」
フンク:組曲二長調
J.シュトラウス:皇帝円舞曲*
メタリカ:Master of Puppets*
(編曲:鈴木隆太、弘田徹)
ビートルズ:Let it be*
(編曲:山口尚人)
--------------------------
アメリカン・パトロール




新日フィルVcの弘田徹クンはかなっくHとの付き合いは長いが、今年度からはのクリエイティヴパートナーに任命されて、早速の自主企画を開催することにしたそうだ。

かなっくHの響の良さを新日フィルのメンバーにも知って欲しい、神奈川県下で演奏機会の少ない新日フィルを横浜のお客様にも親しんでいただいて新規のファンを獲得したい、というような趣旨らしい。

新日フィルからVcが5人とティンパニストがかなっくに集合した。

前半は、Vc6人だけ、後半の3曲とEncにパーカッション(ドラムセット)が入った。

同じ楽器の6重奏となると、表現力の面で不足に感じやすいものだけど、Vcは高域も低域も頃良い音域なので、成立するんだろう。Vn6人じゃ面白くないけどVcなら12人でも音楽になる。

とは言え、良い編曲に恵まれないとその良さは発揮できない。
今回も、物足りないものもあったが、概ね、同一楽器の合奏とは思えない多彩な響きを聴かせてくれた。
演奏面では、ちょっと音程の怪しい部分もあったけど。

「奏」Vol.1というからにはVol.2もあるんだろうな。

♪2025-093/♪かなっくホール-09

2025年6月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 Dramatic Series 楽劇「ラインの黄金」

2025-06-21 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

青山貴⇒ヴォータン
黒田祐貴⇒ドンナー
チャールズ・キム⇒フロー
澤武紀行⇒ローゲ
妻屋秀和⇒ファーゾルト
斉木健詞⇒ファフナー
志村文彦⇒アルベリヒ
高橋淳⇒ミーメ
谷口睦美⇒フリッカ
船越亜弥⇒フライア
八木寿子⇒エルダ
九嶋香奈枝⇒ヴォークリンデ
秋本悠希⇒ヴェルグンデ
藤井麻美⇒フロースヒルデ

Dramatic Series
ワーグナー:楽劇『ニーベルングの指環』序夜
「ラインの黄金」<セミステージ形式>

全1幕〈ドイツ語上演/日本語字幕付〉

予定上演時間:
約2時間30分(休憩なし)




過去鑑賞分を含め最上の「ラインの黄金」だった。
冒頭の、ラインの水煙や水の流れを表す低音の持続音に少しずつ音が重なって同じ音形を繰り返しながら徐々に音量を増すところの緊張感がまずは見事で、弦も管も美しい。
弦は16型で、総勢100人以上いたのではないか…特大編成のオケが、ピットとは異なり、見事に明瞭に唸る様が実に聴きものだった。みなとみらいホールの鳴らせ方を熟知している沼さんと神奈川フィルの最良の演奏を聴いた思いだ。

今後、「ワルキューレ」〜と全作を是非ともやってほしい。

残念だったところは、P席と左右の舞台周りのRA、LAを潰したのなら、そこをうまく活用してもっと芝居に立体感を持たせられなかったか?
照明もかなり大掛かりな機材が別途持ち込まれていたが、プロジェクターマッピングも駆使できなかったか?



歌唱は1人を除いてとても良かった。
最初はラインの乙女から始まるが、これが良い出来で、もうすっかり惹き込まれた。

残念なのは、ヴォータンと並んで大役のアルベリヒ役の志村文彦で、一人だけ譜面台にしがみついていた。これでは芝居が流れない。この神奈川フィルのDramatic Seriesの第1作「サロメ」でも一人だけ譜面台を持ってうろうろしたのがいたが、この場合は急遽の代役だったからやむを得ない。しかし、今回は代役でもないのに譜面台はよくない。また彼の舞台は何度も聴いているが、歌唱そのものも以前の巧さが感じられなかった。

ま、そこは目を瞑って、全体としてはまたとない優れた演奏・演唱だった。



ところで。
2時間半は長すぎるよ。5時間を超えるオペラもあるけど、必ず幕間休憩が入るもの。1幕もので150分は最長だと思うな。

♪2025-084/♪みなとみらいホール-017

2025年1月5日日曜日

新交響楽団第268回演奏会「ジークフリート」ハイライト

2025-01-05 @ミューザ川崎シンフォニーホール



城谷正博:指揮
新交響楽団

ジークフリート:片寄純也
ブリュンヒルデ:池田香織
ミーメ:升島唯博

ワーグナー:舞台祝祭劇《ニーベルングの指環》から
 第2日《ジークフリート》ハイライト
(演奏会形式・日本語字幕つき)

第1幕 第3場から:霊剣ノートゥングの再生(ミーメ/ジークフリート)
第3幕 第2場より:森の中のジークフリート(オーケストラ版)
第3幕 第3場:ブリュンヒルデの目覚め(ジークフリート/ブリュンヒルデ)



指揮の城谷は新国の音楽ヘッドコーチで、飯守泰次郎の薫陶を受けたワーグナーの専門家らしい。同劇場での「ジークフリート/ハイライト版」や「チェネレントラ」の指揮を経験しているし、新国オペラトーク(動画)でもお馴染み。

池田香織はリングの全作でブリュンヒルデほかを聴いている。最近ではシティ・フィルとの「トリ・イゾ〜愛の死」に痺れた。

片寄純也と升島唯博は聴いたことがありそうな名前だけど…と思いながら記録を手繰ったら前者は「ラインの黄金」2回、「フィデリオ」1回を、後者はまあいろんな作品で過去12回も聴いていたよ。あまり大きな役ではないので記憶には全く残っていなかったけど。
この両者にとっては、今回はかなり大きな役を歌ったことになるのだろうな。

池田は後半にしか登場しない(枡島は前半のみ)が、さすがの貫禄で、こちらがタイトルロールみたい。イゾルデでもそうだったが、本来はSpの役だけど、なんの苦もなく歌えるらしい。声域の違いや舞台での立ち位置での違いからか、男声よりも明瞭でかつ力強い(枡島には声量不足を感じた)。

本来は6時間近い作品を休憩を含め約2時間に圧縮したが、筋は分かっているので、これはこれで十分聴き応えがあった。

ところで、新交響楽団というアマオケは初めて聴いたが、かなり強力なオケだ。独奏パートでやや不本意なところもあったけど、弦なんかこれでアマ?と思わせる良い出来。

ハープ4台、Hr8本(Wt持替4本)、Tp4本、Tb4本、Tymp2組…よく揃えたものだ。弦の編成はもちろん16型。

スペクタクルな音楽を朗々と響かせて、驚きました。

♪2025-002/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01

2024年11月30日土曜日

NHK交響楽団2025回A定期 12月公演

2024-11-30 @NHKホール



ファビオ・ルイージ:指揮

NHK交響楽団

クリスティアーネ・カルク:ソプラノ*


—シェーンベルク生誕150年—
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」〜「前奏曲と愛の死」
R. シュトラウス:
 「ばらの花輪」、「なつかしいおもかげ」、「森の喜び」、「心安らかに」、「あすの朝」*
シェーンベルク:交響詩 「ペレアスとメリザンド」




◀️感想省略▶️


♪2024-165/♪NHKホール-09

2024年9月19日木曜日

MINAMI バイオリン・リサイタル

2024-09-19 @王子ホール



MINAMI:バイオリン(吉田南)
大伏啓太:ピアノ

ドボルザーク:ソナチネト長調 Op.100,B.183
ヒンデミット:バイオリン・ソナタ変ホ長調 Op.11-1
コルンゴルト:組曲「から騒ぎ」Op.11
シベリウス:5つの小品 Op.81から
「マズルカ」「ロンディーノ」「ワルツ」
ベートーベン:バイオリン・ソナタ第9番イ長調 Op.47「クロイツェル」
------------------------
リヒャルト・ワーグナー:アルバムの綴りイ長調(ロマンス)
クライスラー:ドボルザークの主題による「スラブ幻想曲」






随分久しぶりの王子ホール。改修後は今日が初めて。
とても音がいいのに吃驚。
あんな見事なスタインウェイを聴いたのはこれまでなかったかも。雨上がりというのも功を奏したかもしれないのだけど。

Vnもストラディの魅力を発揮して、手指
腕が楽器と一体となって、奏者の息遣いも聴こえてくる感じ。こういうのが、「音を楽しむ」喜びだよ。

変わったプログラムでベト9番とシベの1曲以外は初聴きだったけど、音が美しいから、何でも気持ちよく聴けた。

♪2024-126/♪王子ホール-16

2024年9月4日水曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ第19回 「室内楽&小編成管弦楽によるモーツァルト&ワーグナー」

2024-09-04 @フィリアホール



小林雄太:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 Vn1:執行恒宏*他7名
 Vn2:小宮直*他5名
 Va:大島亮*他4名
 Vc:上森祥平*他3名
 Cb:西澤誠治*他1名
 Fl1 / Ob2 / Cl2 / Fg2 / Hr2 / Tp1
 合計35名

モーツァルト:ディベルティメント第3番ヘ長調 K.138*

:ジークフリート牧歌 WWW.103
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
(改訂稿:クラリネットあり)
-----Enc---------------
モーツァルト:ディベルティメントニ長調 K136から第2楽章

*は弦楽五重奏版



オケは35人の小編成。
指揮はお初の副指揮者小林雄太。
メインはモツ40番。
これが一番面白かった。

小編成ということもあって各部明瞭。
テンポが良かった。
特に3⇒4楽章と進むにつれ好感度が増した。聴き慣れない表情もあるが、ここが雄太君の工夫だろう。

特に終楽章は、とんでもなく速いというのではないけど、全編が畳み掛けるようで息継ぎもできないような緊迫感。

小林秀雄「モオツァルト」の「疾走するかなしさ」ってこれかと思ったよ。
いや、褒めすぎだけど。

♪2024-117/♪フィリアホール-07

2024年4月28日日曜日

横浜交響楽団 第731回定期演奏会 【ファミリーコンサート 映画音楽特集】

2024-04-28 @県立音楽堂



泉翔士:指揮
横浜交響楽団

第1部:映画に使われたクラシック
R.シュトラウス:「2001年宇宙の旅」から「ツァラトウストラはかく語りき(導入部)」
モーツァルト:「アマデウス」から「交響曲第25番ト短調 K.183」から第1楽章
ワーグナー:「地獄の黙示録」から「ワルキューレの騎行」

第2部:映画音楽
A.ニューマン:「20世紀FOXファンファーレ」
J.ウィリアムズ:「スターウォーズ」メインテーマ
久石譲:「となりのトトロ」から「さんぽ」、「風の通り道」、「となりのトトロ」
久石譲:「魔女の宅急便」から「晴れた日に…」、「海の見える街」、「パン屋の手伝い〜仕事はじめ」
J.ウイリアムズ:「インディー・ジョーンズ」から「レイダース・マーチ」
ハンス・ジマー:「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ



横響定期はたいていほぼ満足。と言っても、そもそもあまり大きな期待はかけていないのだけど。
ところがどっこい、今日は大満足だった。

映画音楽特集だからお馴染みで軽快なものばかりだったということもあるが、選曲も良かったよ。
そして、演奏もとても良かった。
珍しく大編成で最大でHrは6本、Tbも5本並んでいたなあ。打鍵楽器も色々登場。

モーツァルト25番はアンサンブルに不満が残ったがその余は大きな破綻もなく楽しめた。

20世紀FOXファンファーレから間をおかずスターウォーズに入ったのも良かった。
Encの「パイ・カレ」の出来は特に良かった。

他にも、今日は子供たちも多かったので、それを意識してかMC付きで、これをVnの奏者が兼ねたのだけど、プロみたいに上手い。
そして、今日は舞台上のお姉さんたちがいつもの黒づくめではなく色とりどりのドレスを着ての演奏。やはり華やかでよろしい。
とても気分良くして帰途に着いた。

♪2024-060/♪県立音楽堂-04

2023年11月10日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#19

2023-11-10 @すみだトリフォニーホール



ジャン=クリストフ・ スピノジ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
HIMARI:バイオリン*

ロッシーニ:歌劇『アルジェのイタリア女』序曲
ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲
ヴィエニャフスキ:バイオリン協奏曲第1番嬰ヘ短調 op.14*
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「前奏曲と愛の死」
ビゼー:歌劇「カルメン」から第1幕への前奏曲
ビゼー:カルメン組曲(フリッツ・ホフマンの選曲・編曲)第1番から アラゴネーズ、間奏曲、セギディーリャ
 同第2番から ジプシーの踊り
---------------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第2番イ短調BWM1003 第3曲 アンダンテ*
ビゼー:歌劇「カルメン」から第1幕への前奏曲




指揮者は初聴き。ロマン・ロランの小説の主人公みたいだが、あれはベートーベンがモデルなんだったな。

メリハリのついた音楽だが、メリとハリのほかには何にもない感じだ。

最初の2曲でもう受け入れ不能状態になった。
Vn協奏曲も、頭に入ってこない。
HIMARI君は今回も線が細い。音が十分出ていない。どんなに技術が優れていてもコンチェルトを弾く筋力が出来上がっていないのではないか。

Encではバッハを弾いたが、12歳の子供のバッハを聴かされるとはなあ…。

カルメン前奏曲は弾けていたが、それでも、あんな遊び半分のようなテンポ設計は受け入れ難い。
Encで同曲をもう一度やったが、今度はラデツキー行進曲のように客席に手拍子を求め、さらにはハミングまで求められて、それに乗って楽しんでいた素直なお客さんもいたけど、僕は、もう寒くなるほど白けてしまった。

新日フィルは実力があるのに、こういう演奏もやらされるのは気の毒に思ったよ。


2023-191/♪すみだトリフォニーホール-08

2023年10月14日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第389回定期演奏会

2023-10-14 @みなとみらいホール



アドリアン・プラバーヴァ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から“第1幕への前奏曲”
一柳慧:交響曲第3番「交信」
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116



指揮のAプラバーヴァは初めて。神奈川フィルは先月も来月もお初の指揮者が続く。
大きな目玉でエネルギッシュな指揮ぶり。一柳慧:交響曲第3番「交信」を始め全曲暗譜で振った。オケに対する求心力が相当強い感じで、デビューは大成功ではないか。

1曲目の「マイスタージンガー〜」の冒頭の弦の厚いこと!これは凄いことになるか、と思ったが、まあ、全曲終えてそうでもなかった。ワーグナーがオペラの美味しいところを全部盛り込んだためにテンション高く鳴りっぱなしのような音楽だから、この中で演奏も緊張と緩和をどう配分してゆくか難しそうだ。

一柳慧の交響曲は初聴き。現代音楽にありがちな独善が一切感じられなかったのは、僕としては珍しい体験だ。西洋音楽の書法で貫徹されているのだろうが、ふと、和のテイストを感じさせたのも好感した。

メインはバルトーク「管弦楽のための協奏曲」。
昨年までの感じで言えば、1年に1回聴く程度だったが、なぜか、今年は9月に2回。今日が3回目。記念年ではない筈だがこういうこともあるんだな。

これも神奈川フィルとしては上出来だったと思う。
弦が厚くて、かつ、透明感もほぼ維持できた。管のソロも破綻なく、プラバーヴァはオケをよく掌握して、音楽を構成していたと思う。

しかし、先月の読響の演奏があまりにも素晴らしかった。「息を潜めて緊張の渦に心地良く巻かれた。久しぶりの至福の時だ」った。名演は嬉しくもあり、悲しくもありだ。

読響を聴いていなかったら、今日の神奈川フィルも「至福の時」だったかもしれない。

♪2023-172/♪みなとみらいホール-35

2023年10月4日水曜日

東京シティ・フィル第364回定期演奏会

2023-10-04 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
池田香織:メゾ・ソプラノ*

ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死*
ブルックナー:交響曲第9番二短調(原典版・未完成)





本来は飯守泰次郎御大によるシューベルト2作が予定されていたが、思いがけず追悼コンサートになってしまった。

プログラムも氏の得意だったワーグナーとブルックナーに変更成された。
過去の鑑賞記録を調べると、確かにワーグナー、ブルックナー、ベートーベン、シューベルトの作品が多い。因みにマーラーは一度も記録されていない。
初めて聴いた時も「トリ・イゾ〜愛の死」とブルックナー7番の組合せだった。

高関氏もオケも気分が高揚していたのだと思うが、厚いサウンドに熱い思いが込められて、普段とはえらく密度が違う気がした。

しかし、それがうまくアンサンブルになっていたかと言えば、オランダ人では気持ちが先走って、管と弦の連携が美しくない。

これは、ブルックナーでは、少し良くなったものの、やはり厚くて熱い演奏ではあるけど、その熱量に違和感も感じてしまった。弦は終始繊細で透明感を保ったが。

一方、池田香織による「愛の死」の見事な歌唱には圧倒される思いだった。オペラや声楽付きオケ作品で彼女を聴く機会は多いが、かくも美しく良く通る声の持ち主であるとは認識不足だった。小ぶりの、よく響くホールのせいもあったろうけど。
最初は椅子に座ったまま歌い出したが程なく立ち上がり、感情豊かに「愛の・死」による魂の浄化の物語を描いた。

メゾでありながらソプラノも歌える声域の広さや、それでいて重みもある声質が効いていた。
この1曲を聴く事ができて、僕としては大満足だった。

♪2023-166/♪東京オペラシティコンサートホール-07

2023年9月15日金曜日

NHK交響楽団1990回C定期 09月公演

2023-09-15 @NHKホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団

ワーグナー/フリーヘル編:楽劇「ニーベルングの指環」 
 -オーケストラル・アドベンチャー-

01前奏曲
02ラインの黄金
03ニーベルング族
04ワルハラ城
05ワルキューレの騎行
06ウォータンの別れと魔の炎の音楽
07森のささやき
08英雄ジークフリート
09ブリュンヒルデの目覚め
10ジークフリートとブリュンヒルデ
11ジークフリートのラインの旅
12ジークフリートの死
13葬送行進曲
14ブリュンヒルデの自己犠牲





「指環」にはいろんな種類のオケ編曲版があり、これまで色々聴いてきたが、フリーヘルの編曲版が一番しっくりくるし、演奏機会もダントツに多い。

N響のC定期は会員ではないので、良席が取れず、いっそ遠くで聴いてみようと、初めてE席で聴いたが、家で上質のCDを聴いている感じかな。まる〜っとまとまっているが、音圧が物足りないし、各楽器の音が紗幕越しで聴くように生々しい明瞭さに欠ける。
それでも、音響的にはさほど不満は感じなかったし、値段は1Fの1/5位だから実にリーズナブルだ。

演奏の出来は、どうか?
やはり距離感から、なかなか音楽に入り込めなかった。これは慣れれば解消できるかもしれないけど…。

いつも、どのオケでも、冒頭の前奏曲で緊張を保つのが難しいようだ。それにN響らしからぬ主要管に数回ミスがあった。

今日の演奏に関しては、先月のヴァイグレ+読響@ミューザには及ばなかったか。聴いた席が天地ほどに異なるので比較は無理があるけど。

♪2023-158/♪NHKホール-07

2023年9月1日金曜日

東京シティ・フィル第363回定期演奏会

2023-09-01 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
荒井英治:バイオリン*
(特別客演コンサートマスター)


桂冠名誉指揮者 飯守泰次郎を追悼して〜
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
--------------
リゲティ:ルーマニア協奏曲
リゲティ:バイオリン協奏曲
バルトーク:管弦楽のための協奏曲


学究の徒、高関健の指揮だと、たとえどう仕上がろうともまずは傾聴したい、という気になる。

最初に、誰も予定もしていなかった故飯守御大への献奏(「ローエングリン」第1幕への前奏曲)から始まったが、弦の仕事ぶりが丁寧で良い演奏だった。みんな、気持ちを込めたのだろう。

本編はリゲティとバルトークの組合せ。
今年3月の都響Bが同じだった。やはり、両者は音楽史的に継続しているということらしい。

ルーマニア組曲は初聴きだが、とてもリゲティとは思えない親しみやすい音楽だったので驚いた。
リゲティにはうんざりする作品もあるけど、「ルクス・エテルナ」のような精妙で美しいのもあるし、今日の初聴きのように好ましいものもあるから、距離の持ちようが難しい。

さて、今日はバイオリン協奏曲だ。
…と言えば、上述3月都響のコパチンスカヤの強烈なパフォーマンス(「マカーブルの秘密」に比べたらおとなしいものだったとはいえ…)が忘れられない。
今日は、Vnの名手、シティ・フィルの特別客演コンマスでもある荒井英治が独奏に回ったが…コパチンの独奏で聴いた作品と同じだったのだろうか?と思うくらいで、帰宅後都響のプログラムと照らし合わせたよ。
まあ、両者とも腕前は確かだが、だいぶ音楽の雰囲気が違った。

最後にバルトークのオケ協。シティ・フィルが堅実に収めた感じがした。

Vn協奏曲の楽器配置が特殊なのでこれに手間取り、予定外の献奏も加わり、休憩は15分で、CCもあっさり目だったものの、終演が21時15分頃で、それから、オケの人とちょいと話し込んでいたら、駅に着いたのは21時30分を回っていた。

♪2023-148/♪東京オペラシティコンサートホール-06

2023年8月1日火曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2023 読売日本交響楽団 サマーミューザ初登場!オペラの名匠ヴァイグレ×指環

2023-08-01 @ミューザ川崎シンフォニーホール



セバスティアン・ヴァイグレ:指揮
読売日本交響楽団

ベートーべン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
ワーグナー/フリーヘル編:楽劇「ニーベルングの指環」 
 -オーケストラル・アドベンチャー-




FSMuzaは今年は10本聴くが、中で1番の楽しみが今日の読響…というより、指環オケ版だ。

しかも、ヴァイグレも1年ぶりだが、コンマスがVn界の百済観音、日下紗矢子姫❤️だというのが誠に嬉しい。
スリムな長身で、コンマスならではのメリハリのあるボウイングが美しい。

さて、指環。
いろんな編曲ものがあり、生でもCDでもいろいろ聴いているが、中でも今日のフリーヘルによるものが一番成功している気がするし、好きだ。また、多くのオケが取り上げるのもこの版が多く、N響9月のCプロもこの版だ(楽しみ!)。

この編曲では、全4部の物語の順番に沿って音楽を選択している。
声楽部分は当然カットされているが、それを器楽で補うことをせず、ワーグナーが書いた管弦楽の美味しい部分をその楽譜のまま用いている。
フリーヘルが手を加えたのは、楽曲の接合部分だけで、これが実に自然で全く違和感がない。
全曲60分強にわたって一度も休止することなく、ワーグナーの描いた絵巻がオペラ本編をイメージしながら味わえるところがたまらない魅力だ。

で、どうだったか。
多分全曲中一番難しいのが第1曲だと思うが、最弱音から同一(分散)和音を執拗に繰り返す(5分超!)、もやもやの霧の中で世界が目覚めてゆくように管楽器が加わって増えてゆくが、ここがやや不本意な出来だった。
しかし、その後は、段々よく鳴る法華の太鼓で、一気に指環の世界を展開させた。

終曲のタクトはなかなか降りない。まあ、これだけの大曲だ、簡単には気持ちの整理がつかないのだろう。
感心したのは客席で、同じように呼吸を整えて、タクトが降りるのをずっと待った。野暮な飛び出しはなし。完全にヴァイグレのタクトが降りきって、初めて、どっとブラボーの嵐。

いつも愛想のないヴァイグレも繰り返しCCに応じ、だいぶご機嫌だったようだ。そういえば、FSMuzaは初めての登場だったな。相当良い印象を残したろう。また来年も来ておくれ。コンマスは日下紗矢子❤️で!

♪2023-136/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-16

2023年3月18日土曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#13

2023-03-18 @すみだトリフォニーホール



大植英次:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
小曽根トリオ*
 小曽根真:ピアノ
 小川晋平:ベース
 きたいくにと:ドラムス

小曽根真:ピアノ協奏曲「SUMIDA」(新日本フィル創立50周年委嘱作品/世界初演)*
ワーグナー:歌劇『ローエングリン』から「エルザの大聖堂への行進」
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)
---------------------------------
小曽根真:エイジアン・ドリーム(ピアノ・ソロ)*




昨夏以来の大植ちゃんにまずはびっくり!
なんという変わりよう。以前は、顔もお腹もパンパンだったが、えらくスリムに。多分20Kg位は減量できた(痩せ衰えた?)。
同時にギラギラと漲る情熱・自信・オーラは少なくなっていたと思う。病気でなければいいけど。

前半は小曽根トリオとの協奏曲。初演。
小曽根はいつものようにセンスのない服装だ。パン職人か、化学実験助手みたいな白装束が浮いている。
彼自身の作曲による作品は、仕掛けに満ちてはいても結局既視感強く面白みに欠けた。彼の音楽はどこへゆく?二兎追っていずれ行方不明になりはすまいか。

このところどこのホールも音が硬い。墨鳥も例外ではなく、ブルックナーは熱演だったが響に潤いを欠いた。



終盤は演奏にも疲れが出たか、終楽章冒頭のVn1の9度の跳躍音がG線でスラーの為か探り弾きのようで音程が瞬時には定まらず。最後の管のppによるロングトーンでは息切れ状態に。
お疲れ様…

♪2023-047/♪すみだトリフォニーホール-02