2023-10-14 @みなとみらいホール
アドリアン・プラバーヴァ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から“第1幕への前奏曲”
一柳慧:交響曲第3番「交信」
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116
指揮のAプラバーヴァは初めて。神奈川フィルは先月も来月もお初の指揮者が続く。
大きな目玉でエネルギッシュな指揮ぶり。一柳慧:交響曲第3番「交信」を始め全曲暗譜で振った。オケに対する求心力が相当強い感じで、デビューは大成功ではないか。
1曲目の「マイスタージンガー〜」の冒頭の弦の厚いこと!これは凄いことになるか、と思ったが、まあ、全曲終えてそうでもなかった。ワーグナーがオペラの美味しいところを全部盛り込んだためにテンション高く鳴りっぱなしのような音楽だから、この中で演奏も緊張と緩和をどう配分してゆくか難しそうだ。
一柳慧の交響曲は初聴き。現代音楽にありがちな独善が一切感じられなかったのは、僕としては珍しい体験だ。西洋音楽の書法で貫徹されているのだろうが、ふと、和のテイストを感じさせたのも好感した。
メインはバルトーク「管弦楽のための協奏曲」。
昨年までの感じで言えば、1年に1回聴く程度だったが、なぜか、今年は9月に2回。今日が3回目。記念年ではない筈だがこういうこともあるんだな。
これも神奈川フィルとしては上出来だったと思う。
弦が厚くて、かつ、透明感もほぼ維持できた。管のソロも破綻なく、プラバーヴァはオケをよく掌握して、音楽を構成していたと思う。
しかし、先月の読響の演奏があまりにも素晴らしかった。「息を潜めて緊張の渦に心地良く巻かれた。久しぶりの至福の時だ」った。名演は嬉しくもあり、悲しくもありだ。
読響を聴いていなかったら、今日の神奈川フィルも「至福の時」だったかもしれない。
♪2023-172/♪みなとみらいホール-35